芦沢央のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
裏表紙に書いてある通り、珠玉の6作だと思いました。
アンソロジーは初めて読みましたが、1冊で様々な話を読めて非常に楽しかったです。
どの話も面白かったんですが、特に有栖川有栖さん作の話と辻村深月さん作の話が印象に残りました。
有栖川有栖さん作の話は主人公たち推理研がパズル研の人たちから出題された論理パズルをお互いに知恵を出しながらパズルを解いていく、というものでした。
探偵役はずば抜けた推理力であっさりとパズルを解いてしまいます。
この探偵役の鮮やかな推理も痛快で面白いのですが、探偵役でないその他の推理研メンバーがお互いに知恵を出し合ってパズルを解こうとしている様子を見るのが非常に楽しかった -
Posted by ブクログ
「将棋」にまつわる五篇からなる短編集。
巻末の解説によると作者さんはなかなかの将棋好きらしく、そういえば以前、藤井聡太の対局に作者さんがこっそり映っていたけれど本作を書くための取材だったのかな?
作中には実際に将棋を打っている人にしか書けないような臨場感が醸し出されていて、読んでいてハラハラした。とても面白かった。
ちなみに「将棋」をテーマにしているとはいえ、将棋の知識がないと読めないということは全くない。将棋はあくまでも世界観のひとつであって、中心となるのはその世界観の中で悩む人間たち。
特に印象深かったのが「弱い者」と表題作の「神の悪手」で、「弱い者」は被災地支援の一環として行われた将 -
Posted by ブクログ
小学生の男の子視点の連作ミステリー。
春から始まり夏秋冬、そしてもう一度来る春の訪れの時、見せられる結末はジワリと心に沁み込ませ、強く刻み込まれる。
それぞれのお話は別のようでいて、しっかりとラストに回収される。読んでいると芦沢先生テイストにグイグイ持っていかれる。
切なさ、もどかしさ、やるせなさ、狡さ。やんわりきゅぅっと締め付けられる。
子供らしい主人公に聡明過ぎる水谷くんの関係性、そしてそれぞれの心の内が着地する最後、どんな表情で「彼」は「彼」を見ていたんだろうか。
映画のワンシーンをみているようでした。好きだなぁ。
それにしても水谷くんはカッコ良すぎではないですか!小学生!?って何度思っ