【感想・ネタバレ】神の悪手(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

俺はなぜ、もっと早く引き返さなかったのか――。棋士を目指して13歳で奨励会に入会した岩城啓一だったが、20歳をとうに過ぎた現在もプロ入りを果たせずにいた。9期目となった三段リーグ最終日前日の夕刻、翌日対局する村尾が突然訪ねてくる。今期が昇段のラストチャンスとなった村尾が啓一に告げたのは……。夢を追うことの恍惚と苦悩、誰とも分かち合えない孤独を深く刻むミステリ5編。(解説・斜線堂有紀)

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買ってから将棋が題材だと気づき、不安に思いつつ読み出したものの杞憂だった。国宝を読んだ時も感じた、極める者の物語の美しさ、切迫感、切なさがある。将棋を知ってたらもっと楽しめるとは思うけれど、知らなくても物語の大切なところは十分味わえると。

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2025年07月19日

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被災経験のある棋士と避難所の性被害から逃れようともがく少女、プレッシャーにあえぐ奨励会員とアリバイ作り、詰将棋誌の編集と特殊な教義の宗教に洗脳されていた元少年、20代半ばと40代半ばの棋士のタイトル戦に潜む生き物、師弟対決に挑む棋将と対局前検分に赴く駒師。棋士に対する憧れがあるという著者による、「将棋」という独特な世界における機微を様々な切り口から描いた5編。この勝負の世界に漠然とでも関心がある人ならば、きっと響く言葉がある。

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2025年03月03日

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将棋ミステリ短編集。「将棋」という論理のゲームから、人間の心理を解き明かす。特に「弱い者」に隠された巧妙なトリックは、鬼手と言えるほど衝撃を受けた。また、表題作「神の悪手」は、人生を賭けて戦う者たちの心理が描かれており、そこにはミステリの「絶対に見破られたくない」という犯人の心理と重なる場面があった

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2024年12月18日

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p87「負けましたと口にするたびに、少しずつ自分が殺されていくのを感じた。費やしてきた時間、正しいと信じて選び取ったこと、自分を自分たらしめるものが、剝ぎ取られていった。無限の可能性を秘めていたはずの駒たちは窮屈な場所に閉じ込められ、恨めしそうに啓一を見上げていた」

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2024年08月01日

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「将棋」にまつわる五篇からなる短編集。
巻末の解説によると作者さんはなかなかの将棋好きらしく、そういえば以前、藤井聡太の対局に作者さんがこっそり映っていたけれど本作を書くための取材だったのかな?

作中には実際に将棋を打っている人にしか書けないような臨場感が醸し出されていて、読んでいてハラハラした。とても面白かった。
ちなみに「将棋」をテーマにしているとはいえ、将棋の知識がないと読めないということは全くない。将棋はあくまでも世界観のひとつであって、中心となるのはその世界観の中で悩む人間たち。

特に印象深かったのが「弱い者」と表題作の「神の悪手」で、「弱い者」は被災地支援の一環として行われた将棋大会にプロ棋士の主人公が参加し、一人の「少年」に出会う、という物語。被災地の実際は過酷で、「少年」にとって将棋を打つという行為はそこで生き抜くための一つの手段となっていた。ラストで「弱い者」のイメージがひっくり返えされるのが痛快。

「神の悪手」はザ芦沢さんといったところ。とにかく主人公がじわじわ追い詰められていく様がとても苦しく、心地よい。明日に仕事を控えた日曜日の夜なんかには絶対に読みたくない作品。もし読むなら心をリラックスさせた状態で読みたいところ。

他の作品も良作揃いで、まさに傑作短篇集といえるのでは?
というわけで文句なしに⭐︎5つ。

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2024年07月18日

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ネタバレ

5つの物語からなる短編集
どれも将棋がテーマでありながら一つ一つ違うストーリー
どれも奥が深く、短編集にするのがもったいないくらい

1話め 弱い者
大震災後の避難所が舞台
被災者を元気づけるための復興支援で将棋を指していた北山八段は、おぼつかない手つきながら時折鋭い手を指してくる少年に惹きつけられる。ところが強いはずの少年が詰めを誤り悪手を打つ。それも二度も。
試合後の表彰式で少年へ「奨励会に入らないか」と提案する北山。さらに「内弟子にならないか」とも。
そこではじめて少年だと思っていたその子が、実は女の子であったことを知る…
避難所で起きていた犯罪。見知らぬ人が夜中に布団に入ってきていた事実。あまりの恐怖に、自ら髪を切り「男の子」になり切って自分の身を守るしかなかった彼女。
悪手を放っていたのは、試合を終わらせないため(彼女につきまとうボランティアが帰るのを待つため)だったことが判明する。

大震災の後の復興には莫大なお金と時間がかかる。地震直後には命が助かった喜びしかないが、長期化するにつれて様々な問題が出てくる。
無いに等しいプライバシー、避難所に持ち込む荷物の差、女性なら月のものも来るし、いびきで寝られないこともある。赤ん坊なら泣かずにいられないし、ミルクやオムツも足らなくなる。持病の薬が足らなくなる人、コンタクトレンズがなくなって目が見えない人… 何日もお風呂に入れず、トイレは汚物で溢れかえり衛生状態は日に日に悪くなる。そんな中で起こる犯罪… これは本当に起こり得る話で、実際起きていた話も聞いたことがある。女性だから男性だから、では済まない話。物語は帰りの空港に向かっていた北山が、迎えの車を断るつもりで口を開くシーンで終わる。その後どうなったのか、は読者に委ねられる。避難所に戻って少女と話をし、内弟子にしたのだろうか。この続きを読みたかった。
2話め 神の悪手
奨励会の三段リーグ。満26歳の誕生日を含むリーグ終了までにプロになれなければ退会を余儀なくされる。その最終日の前日に、啓一の部屋を訪ねてきた村尾は、まさに最後のリーグであり、現在第二位タイ。村尾は、明日の最終戦で啓一が戦う、現在トップの宮内への攻略戦を教え、宮内に勝ってくれと頼む。明日の最終日に啓一が戦うのは、トップの宮内と村尾の2人。
啓一が宮内に勝ち、村尾に負ければ、村尾はリーグ優勝となりプロになれるのだ。
あまりの理不尽な話に、部屋を後にしようとする啓一だったが、村尾に引き止められた腕を振り解いたとき、村尾は大事なトロフィーが宙に舞うのを受け止めようとバランスを崩して転倒し動かなくなってしまう。怖くなってそのまま部屋を立ち去ってしまった啓一。翌日、リーグ開始時間になっても現れない村尾。そして村尾が教えた手の通りに進める啓一。棋譜の通り寸分違わず進んでいく対局。この対局をアリバイに変えるアイデアが浮かび、すがるように棋譜通りに打つ啓一。神が味方している、と思うほどに…
人間の「自分だけが助かれば」という浅はかな願いに、読んでいて胸が締め付けられるような気がした。そして最後。村尾の作った棋譜ではなく、自分の読んだ手を打つ啓一。果たして勝負はどうなったのか…
村尾はどうなったのかも含めて、結末を想像して悶絶する自分がいた。
5話目の恩返しは、将棋の駒を作る駒師の話。タイトル棋将戦で戦うのは、国芳棋将と弟子の生田。使う駒を選ぶ前検分で、兼春の作った駒と師匠の駒が出され、ここでも師弟戦に。一度は兼春の駒が選ばれながら、「もう一度選びたい」と言われ最終的に選ばれたのは師匠の駒であった。一度選ばれ歓喜しながら、最終的に落とされた兼春は、駒を作ることができなくなってしまう。駒師の話は、前に読んだ「盤上の向日葵」でも出てきたが、将棋の駒を作る駒師の凄さがよくわかる話であった。
他の2編も複雑でよくできた話で、全部が良かった。本当に全て長編で読んでみたい作品だった。

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2025年12月01日

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芦沢央さんの短編集。この本の短編は、全て将棋をテーマに扱っています。”将棋の短編でミステリーが成立するのか?”と思いましたが、読んでみたら見事に著者の作り出す世界にハマってしまいました。

アマチュア大会優勝者の小学生がプロ棋士とのイベント対局であと一手での詰みをことごとく外す手を選択する。優勝するほどの棋力がありながら、なぜそのような指し手を選択していたのか。読み間違いではなく”対局を敢えて終了させない”ための選択の裏側には盤面以外での悲しい戦いが絡んでいた…「弱い者」

三段リーグ最終戦前日に訪問してきた友人棋士。ところが、ふとした不注意と悪い偶然から主人公である棋士は、彼の死に関わってしまう。訪問時に彼から示された対局の展開を予測した棋譜通りに対局を進めれば、自らのアリバイが成立する。プロ棋士へ最後のチャンスである対局において、アリバイを成立させる保身と、棋士として自らの判断で指し手を選択する矜持のはざまの葛藤の末に主人公が選択した手は…「神の悪手」

他短編3編とも、将棋の知識が無くても十分楽しめる内容でした。芦沢央さんにちょっとハマっていますが、本書も期待を裏切らない完成度でした。

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2025年09月11日

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宮崎空港で購入。全編将棋に絡むミステリー。将棋を知らなくても楽しめる。個人的には一遍目の細い腕が好き。

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2025年07月30日

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将棋を題材とした短編集。
将棋を知らない方でも楽しめる作品だと思います。

悪手というのは文字通り、失敗な悪い手という事。

どれも、なぜその悪手を指してしまった(指された)のか、ホワイダニット(Why done IT)を求める短編。

勝たない為に指す悪手、自分の未来に繋がると信じて指してしまった悪手、自分の世界と実世界の乖離があったために指してしまった悪手、そしてなぜ悪手を指してしまうのか指したらどう自分と折り合いをつけるのか、指した当人にとっては良手でも他人には悪手に見えたり様々。
将棋ミステリーとして、どれも面白かった。
奨励会の辛さとか詰将棋とか、将棋を知っているとなお面白く読めたかとは思う。
それでも、万人におすすできる作品でした。

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2025年04月23日

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将棋をテーマにした短編5編。どれもが違った角度から将棋を扱っていて、さすがの芦沢央。とくに「ミイラ」は将棋のルールと少年の境遇を見事にシンクロさせていて衝撃的だった。相変わらず面白い。

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2025年04月11日

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将棋を題材にした5つの短編集。
さまざまな境遇の登場人物が、それぞれ人間が持ちうる葛藤などの複雑な感情を将棋というテーマを通して表現している作品。



よく将棋のテーマでここまで多様な人間模様を表現できるなと驚かされた。謝辞のところでいろいろと取材をしてそうだったから、たくさん情報を集めて試行錯誤をしたんだなと感じた。将棋の世界が持つヒリヒリ感を感じながら、でもどの登場人物もちがうヒリヒリ感や葛藤が伺える素晴らしい作品。

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2025年03月12日

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小説に限らず、将棋を題材にした作品に触れるのは初めてだと思うんだけど、こんなにも色々な面において豊かな作品が出来上がるんだということに驚いた。

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2025年01月13日

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ネタバレ

将棋はまったくわかりませんが、それにまつわる人々の心情が、痛いほど伝わってきました。自分自身がその場面に出くわした時のように、一番辛い未来はどんなものなかの、何通りもの先を想像して、不安が押し寄せる。といった感じの繰り返しで、疲れました(笑)

将棋がわかるともっと面白いんでしょうか。将棋が楽しめる能力が欲しかったです。

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2024年11月10日

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将棋、もしくはその周辺のミステリ。
タイトル作も面白いが、個人的には「恩返し」が面白かった。将棋の駒を彫る職人の話。

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2024年08月05日

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将棋のいろはだけでも知ってたらもっとのめりこめたかも
小説家って、物語を作るプロだけど
題材によってその分野のプロに並ぶほどの知識量を仕入れてて
それだけ時間と労力のかかったものを600円くらいで気軽に読めてしまうの
申し訳ない気もするけどだいぶありがたいなというメタ感想

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2024年06月30日

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将棋の事は全く分からない僕ですが、”このどんでん返しが切なすぎる!!”の帯に惹かれ読んだ一冊。

僕は常日頃、言葉とは何と不完全なコミュニケーションスキルなんだ!と感じていて、だからこそアートというものが人の心を打ち、そしてそれは言葉では言い表せられない何かを感じる事が出来るからだと思っているのですが、この5篇からなる将棋の物語はその9x9マスの上で繰り広げられるゲームに関わる人達それぞれの思いや葛藤、そして何に向き合い何と戦っているのか、実に面白い5篇でした。
そして読み終えてその何かが分かった時感じるのは”切なすぎるどんでん返し”などでは無く、言葉では言い表せられない”何か”だと思いました。
この作者の他の本も読んでみたいと思いました。

そして、もう少しだけ将棋の事を知りたいと思っています。

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2024年06月28日

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第34回将棋ペンクラブ大賞
「文芸部門」優秀賞受賞作

芦沢央さん読み残し作品制覇中
将棋界、棋士を題材とした短編5編
どの作品も独特な将棋界の魅力があふれ、それに加えてミステリーを詰めていく
惜しいかな、私が将棋をほぼ知らない…

「弱い者」で、避難所の将棋大会で出会う才能と将棋界の男性主体性まで読ませて
「神の悪手」で、三段リーグの厳しさと そこから発生する事件のアリバイに棋譜を使い
「ミイラ」で、フェアリー詰将棋と特殊な状況で幼児期を過ごした少年の過去を追い
「盤上の糸」で、事故で記憶障害を持ちながら棋士となった男のタイトル戦
「恩返し」で、駒師の仕事に対する姿勢とタイトル戦で弟子にタイトルを奪われるベテラン棋士の交錯する気持ち

提示される棋譜や詰将棋を理解できれば、それらとミステリーの重なりにより楽しめたのではと思うのです
将棋を多少でも嗜む方は、ぜひどうぞ

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2024年06月27日

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明日、藤井NHK杯王者vs羽生九段があります
で再読
去年も同対戦ありましたが、千日手による再戦という震えるような展開で。
もう少年ジャンプかよと突っ込みたくなる、僕のようなへぼ趣味打ちにすら刺さる泥酔対局でした

将棋の知識がなくてもさらりと読めてしまう将棋がテーマの5篇、短編集

卓上遊戯の読み物としては圧倒的に僕は宮内悠介の「盤上の夜」を推したいのですが。
この神の悪手は将棋という遊戯に入り込んでいるわけではなく、将棋を通して思考回路やゲーム性をあくまでライトに物語表現として使用しています
雑誌等読むに芦沢さんもそこそこ打てるようなのですが踏み込まない

そこがダメな人もいると思うのですが、僕は実に芦沢さんらしく好印象です
最初に「弱い者」という作品を配置してることもそんな配慮と思う
勝ち負けの競技ゆえ両方必ず生まれるゲームですが、主人公が被災地で復興支援として子供達と将棋を指します
この導入から実に「人間味」のある話に展開しタイトルに集結させる
これをいい話だな、と思う人もいるだろうし
卓上遊戯の必要すらないのではと思う僕もいるし

でも、他の作品と同じく一貫して人間を描くために土台を見つけてる作家なんだと思う
もう少し踏み外し(分かりづらくし)てと感じちゃうの僕はやっぱり所謂変な物語のが好きなのだろう

これも充分楽しみましたけどね

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2025年10月25日

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将棋を題材とした短編ミステリー5作。奨励会や指導対局、駒師といった様々な切り口から物語が綴られており、著者の将棋愛及び造詣の深さが窺い知れた。

特異な出来事に対する、登場人物の感情の機微が細やかに表現されており、完成度の高さを感じる。

私のお気に入りは表題作の「神の悪手」である。奨励会でもがき苦しむ主人公の屈折した感情描写が白眉であった。棋譜をミステリーと絡める独創的な構築も高評価である。

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2025年09月08日

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それぞれ将棋を題材とした五篇から成るノンシリーズ短編集。表題作「神の悪手」はプロ棋士昇格をなかなか果たせない主人公が対局前日に誤って殺人を犯してしまう。対局中にアリバイ工作が可能となる"一手"を見出だし… 対局しながらアリバイ工作するというアイデアが光る。惜しむらくはもう少し紙幅を割いて主人公自身のドラマを追いたかった。通常とは異なる変則ルールの詰将棋(「フェアリー詰将棋」というものがあることを初めて知った!)をミステリに落とし込んだ「ミイラ」も印象的。

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2025年07月25日

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ネタバレ

おすすめのミステリとあったので読んでみた。そうしたらどうやら将棋がメインの話らしく、内容の良し悪しはともかくびっくりした。将棋はちょっと嗜んだくらいで、棋譜も基本的なルールもそこまで分からないものの、物語自体はとても良質な短編集だった。個人的にひとつめとよっつめのお話が好き。ただこれをミステリとして扱うにはちょっと違うかなあということで星は低めにさせてもらった。ミステリではなく最初から将棋ものと書いていてくれたら評価は違ったかも。

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2025年07月18日

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将棋の話とは知らずに読み始めた。

どの話も最後どうなったのかは明確に示されないため、もう少し先を知りたかったというのが本音。
将棋の基本的なルールも知らないが、知らなくても読みやすく読むことができた。

最後の駒師の話がおもしろかった。

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2025年07月12日

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将棋にまつわるミステリーかと思いきや結構がっつり将棋の短編集でした。将棋のルールがわからないと面白さ半減かも。
最初の『弱き者』が好きでした。

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2025年05月25日

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短編集。読み始めて知ったんだけど、どれも将棋が題材になったお話だった。小説は内容をできるだけ何も知らない状態で読みたくて、普段から裏表紙のあらすじとか帯の宣伝文句もなるべく目を背けてるんだよね(笑)。帯に羽生善治さんの名前があるのが目に入って、不思議には思っていた!

将棋のことはほぼ何もわからないので、楽しめるかなーと少し不安になりつつ読み進めた。

局面についての描写や、駒がこう動いたらこうなってしまうというような部分は、案の定、ちっともわからないので読み流した感じ。それでもストーリーはちゃんと把握できたし、将棋に関わる人々の情熱と将棋の奥深さを少しだけ垣間見ることができた気がした。意外な展開もあって楽しめた。

「恩返し」が一番好き。「ミイラ」、「弱い者」も好きだな。

読後、帯を眺めていたら、『初回限定! カバー裏スペシャル掌編』と書かれているのを見つけた。うわーと思って開いたら、スピンオフ掌編が内側に。これは嬉しいサプライズ。本編登場人物のその後の姿がうかがえて、とても良かった。

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2025年01月12日

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どんでん返しを期待してしまったがために、やや消化不良感があった、、。
将棋のルールを知っていたら、もっと深読みしたり感じ取れる面白味があったのだろうと思うと残念に思うけど、いい大人になっても「大人になったら良さが分かるかもしれないもの」がまだ有ることを嬉しく思ったりもしている。

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2024年10月21日

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将棋を知らなくても、ストーリー自体が面白いので問題なく楽しめた。
一番自分の感情が揺さぶられたのは『弱い者』で、一番楽しめたのは駒師に焦点を当てた『恩返し』かな。
正直、駒の動きはあまり想像できなかった。
それでも、対局場面は息を詰めて読んでしまうし、棋士の思考の深さには感嘆させられた。

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2024年08月19日

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ネタバレ

ずっと信じてきたものを周囲のすべての人間から否定され、一から新しい常識を植え付けられる。何が正解なのかが、まったくわからない世界。
怖っ。

考えて考えて、もうこれ以上は考えられないというほど深く考えた上で手を選ぶのに、指した瞬間に間違えたとわかる。
これは分かる。悪手ってこういうことなんだろう。

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2024年08月10日

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悪手は握手のこと?など全く見当違いなことを思いながら読書開始。全編将棋のお話でした。
将棋は全く知らないので、わからないところが多かったものの、それでも登場人物の心理描写に心臓をキュッとさせられました。
将棋の駒を作る仕事なんて考えたこともなかった。

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2024年08月10日

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前情報を入れずに読んだら、全部将棋の話で(°▽°)??てなるとこも。よくわからない(私が悪い)ながらも芦沢節はしっかり。表題作は「汚れた手をそこで拭かない」の中にあっても違和感ないね。ルールとか将棋界のあれこれとか知っていたらもっともっと楽しめたんだろうな〜。作者の将棋愛を感じました。

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2024年08月08日

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帯に書かれていた「この大どんでん返しがすごい!!」の文字に、長編小説の壮大な世界観を期待してしまった。
よく見てない自分が悪いけど、読みおわってから短編集だと気がつくという間抜け具合、、情けない


逆にいつ最初のエピソードに登場した被災した少女が出てくるのかワクワクしながら最後まで読み切れたのは良かったかも。

長編だと思い込んでいたら、短編集だったというどんでん返しだと解釈して情けない気持ちを納得させました。


以下、ネタバレ含みます。


本作は、非常に繊細に計算され尽くした一冊だ。
被災した棋力の高い少女とプロ棋士の出会い、奨励会員の葛藤、天才棋士と熟練棋士の対決、将棋雑誌の編集者と詰将棋に救いを求める少年、将棋の駒を彫る駒士と孤高の棋士などのエピソードによって、将棋が繋げる人の世界をあらゆる角度で切り取っていく。

将棋という競技のシンプルなルールの特性上、必要な情報は全て81マスの上に開示されている。
対局者も観戦者も全ての人が盤上の全ての情報にアクセスできる。

それでいて、数手先の景色を見るためには、無数の選択肢に無数の選択肢を掛け合わせた天文学的な可能性を検討する必要がある。

そうした検討の先に最後に棋士が委ねるのは直感で、

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2024年07月27日

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