芦沢央のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高校の転落する女生徒のモノローグ的な所から始まる不穏な空気をまとった小説。
冒頭から、萩原朔太郎の『自殺の恐ろしさ』を思い出す。
「自殺に就いて考へるのは、死の刹那の苦痛でなくして、死の決行された瞬時に於ける、取り返しのつかない悔恨である」
この女生徒の死は転落死なのか自殺なのかと、失意のどん底にいる父親は苦悩する。妻が命と引き換えにこの世に遺した娘。その娘の死。
原因を探るうちに父は娘の遺した日記に辿り着く。そこに記されていた事実…。
複数の人物の視点から描かれる構成で、日記の内容が明らかになる前から、娘の死はいじめによるものだったことが分かってくる。
真相を知りたい父親と、それを隠したい娘の友人。将来芸能の仕事に就きたいと日ごろから意識している、圧倒的美をもって生まれた娘の友人。ロックされたパソコンに遺された日記を巡り、父と娘の友人が接触する。
この攻防がスリリングに描かれていてぐいぐいと読み進める。復讐は何も生まない、という言葉は何の意味もなくて、その思いが生きる原動力になっていく父親。
どうしてこうなっちゃったの、と思いつつ、未来の自分の為に経歴に傷を残さない事を第一に行動する娘の友人。
息を飲む展開と、どこにもいけない閉塞感。そこから展開される怒涛の後半。
全てが最悪の方向に進んでしまう悲しい運命。
作中、闘魚・ベタの描写が印象的に登場する。瓶で飼育される姿をなんだかよく見るこの魚の生活空間が、色んな閉塞感を感じさせる一冊。