芦沢央のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ母親になる苦しさと、母親になれない苦しさの両方が描かれていて、重たかった。自分が将来どうなるかは分からないけど、母親になったらきっとたくさん悩んだり苦しんだりするんだろうなと思う。子どもはかわいいと思うけど、子どもをかわいいと思うのが当然とされている世間の空気は良くないんだろうな。その考えが母親になった人たちを追い詰めることがありそう。子育てをしていたら、かわいいと思えない瞬間だって普通にあるだろうし。
奈津子が娘をかばって殺人犯として捕まったのは、自分が母親から受けた精神的な虐待への復讐という側面もあったのかなと思った。あなたの育て方が悪かったから殺人を起こした、と母親に突きつけて復讐したかったのかも…?同時に、娘を無罪にすることで、自分自身が母親として間違っていなかったことを証明したかったのかなとも思う。
重たい話だけど、叙述トリックも秀逸でおもろい。 -
Posted by ブクログ
最初、何の繋がりもなかった3組(桜介&波留、豊子、平良)がどう関わってくるんだろう?ってところから、読み進めるにつれてどんどん関わり合ってくるのが面白かった。
物語の終盤とかで突然タイトルが出てくるとテンション上がるな
信じていいものがわからない中で唯一の、夜の道標、だったんだね、やっぱり何事も背景を知ってしまうと一概に判断できなくなってしまうね
ただ、特に平良周り、不要な描写も多かったような...?いつか関係するのかと思ったらしなくて若干拍子抜けしている
─────────────────
大人になって、一人でいることの気楽さにも関係が終わるときのあっけなさにも慣れて、若い頃よりもずっと図々しく他人と向き合えるようになったはずだった。(p.128)
その都度、正しいと思える道を選んできたつもりでいた。だけど本当は、自分は何も選ばなかったのかもしれない。
だから結局、三十一年間生きてきて、この手には何も残っていない。
一からやり直すには遅すぎて、余生と考えるには早すぎた。(p.219) -
Posted by ブクログ
芦沢央さん著書の『火のないところに煙は』
【あらすじ】
怪談を書くことになった「私」のもとに集まる、身近な人々が体験した不可解な出来事。全5編の怪談モキュメンタリー作品。最後の「禁忌」で、これまでの怪談が思わぬ形で一本の線へと結びついていく。
【感想】
感情を過度に煽らない淡々とした語り口が、怪異をかえって現実のものとして感じさせる。文章も非常に読みやすく、怪談の語りと作者の視点を織り交ぜた世界観に入り込める。
短編集として読み進める中では、怪談特有の「なぜその怪異が起きたのか」という原因や背景がすべて明かされるわけではなく、「結局、あれは何だったのだろう」と引っかかる余白を残しながらも一編ごとの起承転結はしっかりしておりその時点で満足度が高いのだが、最後の章でそれまでの出来事が一つの線として結びついた瞬間、これまでの怪談にミステリー要素が強くなり何度も読み返したい構成で面白い。
今作が芦沢央さんの作品を初めて読んだ一冊だったが、「モキュメンタリーホラー×ミステリー」の構成がとにかく入り込みやすく、個人的にはかなり好みの作品だった。
怪異・人怖・不穏さなど様々な怖さを感じる作品としておすすめしたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ全体的に一部が繋がっている部分もあって
感動しながら楽しめた。
いつもの芦沢さんとはちょっと雰囲気が違っていて
イヤミス風?だと思っていたら
ほっこり感動系のお話が多くて、それもよかった。
1 届かない招待状
最初イヤミス的な雰囲気だと思って身構えていたら
何となくもしかしてこうなのかな?と思ったことが
合ってた。
親友だからこそ言えなかったんだろうな、と
苦しくなりつつも
優しい気持ちになる終わり方でよかった。
2 帰らない理由
帰りたくない理由がお互い違うのに
お互いが不安になって帰らないのがおもしろい。
たしかに見られたくない趣味とかあったら
そうなるかも⋯。
この時は嘘ついてしまうけれど
答えない子どもでこの時の男の子が成長して
良いパパになってるのが見られてうれしい。
最後、本当のこと伝えられてよかった。
3 答えない子ども
ママ友と最後打ち解けられたのがよかった。
子供のことになると神経質になりすぎてしまうのは
子どもにとってそれが期待と感じてしまって
期待に答えなきゃ、となってしまうのが辛い。
私も気をつけなきゃと思わせられた。
4 願わない少女
一番驚きがあったお話。
友情の移り変わりに苦しくなる、、
学生時代って仲良くなる人が変わったりとか
そういうのあったよなぁ。
最後の場面で仕掛けが施されていたことに気づく。
辛くはあったけど好きな話だった。
5 正しくない言葉
わだかまりが勘違いでよかった。
昔からの習慣ってなかなか終わらせるのは難しいし
時代的に⋯というところもわかる。
周りを気にして、その人のためにしてあげてるんだという
意識が強すぎて、本当に思っていることを言えないって
私もあるかもしれないと感じて、自分自身を振り返る。
そして大人になった時にこうやって楽しめる人に
なれたらと思う。
今が一番楽しいよ、幸せだよって
言える人生がいいなって思う。
私自身も今が大変ながらも楽しいと思えるし
学生の頃の私に将来こうなってるよと
伝えられたらいいなと思う。 -
Posted by ブクログ
2024.4.26
★3.8
大学時代、新婦とは一番の親友だった。けれど恵には招待状が届いていない。たった六人しかいない同じグループの女子の中で,どうして私だけ。呼ばれてもいない結婚式に向かう恵の運命、そして新婦の真意とは。進学、就職、結婚、出産、女性はライフステージが変わることで付き合う相手も変わる。「密が明かされたとき、人間の素顔が浮かび上がる。傑作ミステリ短編集。
短編のミステリ初めて読んだ!面白かった!
それぞれ独立したお話かと思ったら、少し繋がっていてそれがわかるのも面白かった。
女の友情は脆く続かないなんてイメージがあるけどそれを逆手にとったお話で思いやりに溢れていた。
今だけでも、これまでもこれからも。
#さとの本棚 -
Posted by ブクログ
ネタバレ芦沢さんの作品を読むのは、2作目です.
この連作短編集は、作者本人が出版社の依頼で怪異小説を書いて、その連載のためにエピソードを募集し、取材して書いているというプロットで書かれていることもあり,非常にリアリティーを感じさせる作りになっています。
しかし、怪異をどう理解するかということを様々な形で考察してくところも興味深いものでした。
1話目からどんどん引き込まれて、一気読みしてしまったのは、ある意味怪異に引き寄せられたのかもと思わされるほど怖い話です。
しかしながら本当に怖いのは、ヒトなのかもしれないと気付かされます。
中々凝った作りと確かな文章力で力のある作家さんなのだと思いました。
-
Posted by ブクログ
米澤先生の「満願」を思い起こす珠玉の短編集。日常系ミステリーの最高峰。もはやホラー?最初は些細な出来事だったのにちょっとした出来心から思いもよらぬ顛末に。
古くは「嫌われ松子の一生」でしょうか。主人公が転落していく物語は。そこまで壮大ではないですが各編の主人公は日常の中で悪いほうに悪いほうに選択して少しずつ追い詰められていきます。
この描写が見事で心臓バクバクが止まりません。なぜこうしなかったの!?と心の中で叫びつつ、ああ自分もきっと選択してしまうだろうという諦観。
ひとつひとつが長編を読んだかのような満足感が得られます。一緒に絶望してみませんか。