芦沢央のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『夜の道標』は、間違いなく傑作だった。
特筆すべきは、登場人物それぞれの緻密な心の動きだ。あまりに感情移入してしまい、気がつけば「犯人がこのまま逃げおおせてほしい」と願っている自分がいた。
彼女の文体には独特の癖がある。読み進めるうちは「何のことだ?」と戸惑う描写も多いが、後から周到な説明が入ることで、霧が晴れるようにすべてが繋がっていく。その構成の妙こそが、彼女の真骨頂と言えるだろう。
以前読んだ『悪いものが、来ませんように』は、正直言って読んでいて気持ちの良いものではなかったが、今作は素晴らしい。闇を描きながらも、読後に残る静かな震えは別格だ。
-
Posted by ブクログ
殺害された塾講師、被疑者であり逃亡中の元教え子、殺人犯を匿う女、捜査を続ける刑事、父から虐待を受ける少年、その事実を知りながら何もできない同級生、などなど、様々な視点が徐々に繋がっていく大作ミステリー。
本作は1996年が舞台となっており、そのころ実際に起こった事件やカルチャーが多数登場する。
とあるきっかけで無気力になってしまった少年(桜介)が、自宅でただただファイナルファンタジー6をプレイするシーンがある。
なんとなくゲームをしているだけのシーンに見えなくもないが、桜介の自宅には当時高価だったSFCもFF6も買ってもらえる経済的余裕があり、当たり屋をして稼がなければならない波留の貧困 -
Posted by ブクログ
- 脛に傷のある人たちの短編集。「やらかしてしまう」ときの人間心理をよくついている。
- 世の中のニュースでは「なんでこんなバカなことをしてるんだろう」って思うことがよくあるが、そういう人たちもきっときっかけは、ここで書いてあるような些細なことなんだろう。
- それが顕著に表れているのがプールの水を間違えて抜いてしまった小学校教師の話。ごまかそうとごまかそうとするたびにどんどんドツボにハマっていく様が非常に面白い。
- 日常の中にある些細な落とし穴的な部分、ある種の小さな判断ミスによって、滑落していくさまを描いた作品。
- いつ自分がそっち側にいってしまうかわからないという、そんな気持ちで読め -
Posted by ブクログ
芦沢央さん『夜の道標』
------------
1. 背景、テーマ:1996年、「正しさ」が変容する過渡期の闇
物語の舞台は1996年から1998年。
それは現代のような「発達障害」という概念が定着する前夜です。「精薄(精神薄弱)」という言葉がまだ公然と使われ、旧優生保護法の影が色濃く残る時代です。
法律や社会が掲げる「支援」や「善意」が、実は当事者を深く傷つけ、否定するものであったとしたら?
本作は、「良かれと思ってなされたことが、人を死に追いやる」という救いのない逆説をテーマに、時代が生んだ悲劇を浮き彫りにします。
------------
2. 物語の中心人物:交錯する「持 -
Posted by ブクログ
芦沢央先生の作品初なんですが、読み終わった後は凄い、怖い、重い、辛いという言葉が一気に感情と共に押し寄せてきます。
5編の各話全く異なるストーリーで、それほど長くもなくあっという間に読み終えてしまうんですけれど、その一話一話の濃密なお話は、読み手を抗えない欲求の中に即沈ませてしまう没入感があります。
お話も登場人物も違うものでありながら、どれも追い詰められていく人間の心理描写、感情、それらが非常にリアリティで、自分が体験しているわけでもないのにその人物になったような感覚で、怖い辛い嫌だと思いながらも、ページを捲る手が止まりませんでした。
感じる命の危機感、人生の絶望感、心通わせている相手の本心 -
Posted by ブクログ
思わず両腕を撫でさすりたくなる、何とも言えない色々な恐怖を感じる作品。
何もないのに、何もしていないのに、ただ自分は読んだだけなのに。読み手をも巻き込み捉え、逃げを絶たれたような感覚に陥ります。
ただの読者だからってだけで無事に済むと思うな。そう、不気味にこちらを見てニタリと笑われたかのような読後。
いや、怖い。めっちゃ怖い。なんて作品だよっ!となる。良い意味で。
読む手が止まらないのは『許されようとは思いません』と同じ。巻き戻し読み直しをさせられたのも同じ。ゾッとせずにはいられない、終盤にかけての加速する繋がりと恐怖と真相。この話の構築と仕掛け、驚愕と面白さはクセになりそうです。
視覚で見せ -
Posted by ブクログ
はい!芦沢央さん!
タイトルがええ感じ!
短編6つ!
モキュメンタリーみたいな感じになってるのか。小説新潮さんに協力して貰って…
「染み」
占い師怖い!
良く駅ビルとか、道端におられるけど、占って貰った事はない。酔った勢いとかで、占って貰って暴言吐いたりしなあように気をつけよ!
「お祓いを頼む女」
何か怖いとしか思えんけど。
お祓いムリに頼まれて、更に、払祓う義務があるみたいに…
狂ってるとしか思えんけど…
実は…
「妄言」
お隣りの世話好きのおばちゃん。
世話以上に色々介入して来る。
浮気の現場見たとか…
ネタとしては、ちゃんと理由があって怖いけど、近所のおばち