芦沢央のレビュー一覧
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ネタバレ星4.7
むかし、フジテレビでやっていたホラーオムニバスドラマ「トリハダ」
これが大好きで、毎回録画して観ていて、そこから派生した「ドクロゲキ」というオムニバスドラマがあって、それを思い出した。
個人的に、読後感がその感じ。
派手な事件や事故やトリックは無いし、凶悪な悪者が登場するわけではない。
ただ、悪意は存在するし、人は死ぬ。
その悪意もそうだし、そこに追い詰められる心理も、ごく身近に起こりうる範囲の話だということが素晴らしくイヤな気持ちにさせてくれる。
かつて「M-1グランプリ」で、かまいたちのお二人が披露した傑作漫才「ポイントカード」
この審査で松本人志さんが言っていた「寄り添っ -
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ネタバレ著者は学生時代の友人から、怪現象に悩む友人について相談を受ける。その現象の核心と思われるとある“占い師”について情報を集めるため、この話を怪談として掲載する。すると、新たな怪異が舞い込む。次々に集まった怪異を単行本としてまとめようとする中、別々の怪異の繋がりに気づいてしまう。
【感 想】
個別の怪談として誌面に掲載された話が、次へ次へと繋がっていくことで、読みながら、「本当だったら…」とワクワクさせられるフェイク・ドキュメンタリーだった。
小野不由美さんの『残穢』や、背筋さんの『近畿地方のある場所について』も好きだった。このフィクションと現実の境界が曖昧になって、物語に引き込まれる感覚 -
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面白かった。
が、人によって評価が大きく分かれる作品だと思われる。
将棋がテーマの小説であるが、実際の勝負の描写は少なく、胸のすくような逆転劇が描かれることはない。将棋(或いは奨励会)に翻弄される若者たちの内省が作品の主であり、看板に偽りありと感じる読者も一定数いるであろう。また、登場人物たちの抱える痛みはこちらにもダイレクトに伝わり、辛い読書になる人もいると思われる。
だが、筆者の確かな筆致による精緻な感情描写は、間違いなくお勧めできるものなので、そういった作品が好きな方は、是非将棋モノの看板を外して読んでみてほしい。スカッとはしないが、深く心に刻まれる小説だと思う。 -
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ネタバレ汚れた手をそこで拭かない の作者だった。面白かった記憶があって、悪いものが、来ませんように も最高に良かった。
ここまでミステリーだと思わず、"まさに騙される快感"を味わえた。
まさか自分が騙されていると思わないのと、ゆっくり考える間も惜しむほどストーリーが面白くて次へ進んでしまうからあれよあれよとどんでん返しが繰り返されて読みながら顔がすごかったと思う(笑)驚きと混乱と戻って読み返して感嘆するの繰り返し(笑)
最後、実はこれが真実でした〜ちゃんちゃん。ってミステリーの綺麗な形で終わらず、なんかいい話風になっていたのも個人的にかなり良いポイントだった! -
Posted by ブクログ
本書は、元刑事が身近な事件や相談事に関わっていく物語である。よくある警察OBが現役警察の事件にオブザーバー的に関与する設定ではなく、あくまで捜査権限を失った立場から、身近な事件の真相解明に挑む姿が描かれている。
事件の真相にたどり着くまでには、主人公が過去に担当した事件を振り返り、そこからヒントを得ながら、過去と現在の事件の真相に気づいていく。
明らかになる真実は、身近な人を不幸にし、「知らなければよかった」とさえ思わせるものだ。
物語に登場する「嘘」は、誰かを守るためのものでもありながら、結果的に人を傷つけていく。その「嘘」を見抜いたとしても、誰も救われない現実が残る。
読後、私は身近な人の