あらすじ
遺された謎が解けたとき、涙があふれだす。
巣鴨の路地裏にたたずむ、遺影専門の写真館《雨利写真館》。先月急逝した祖母が撮影されたときの話を聞くために、黒子ハナは写真館を訪れる。奇妙な遺言状を作っていた祖母の真意を知るための、手がかりを求めてのことだった。カメラマンの雨利や経理の夢子の協力で、ハナは祖母の最期の望みに気づく――。
写真館で働き始めたハナはその後、心にわだかまりを抱えた人たちと出合う。不審な転落事故や、意味不明なメモの残る妊婦の写真。様々な謎と向き合いながら、ハナも自分の人生を見つめ直す。日本推理作家協会賞受賞の名手が紡ぐ、希望と再生のミステリ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読みやすくて楽しめました
湿っぽくなりがちな生前遺影写真から、こんなに優しいお話が生まれるんですね、驚きました
人に歴史あり、ハートフルミステリーでした
Posted by ブクログ
なんとなく文章の雰囲気が違うなあと思ったら、これ十年前の作品なのか。
遺影専門の写真館なんて初めて知った。
あとがきを見たら、実際にそういう専門の写真家さんが居たみたい。
遺された人達がちゃんと前を向くための謎解きは、少し切なくて温かくて、不意に泣きそうになった。
この頃から人間の心に焦点を当てたミステリーを執筆されてたんだなあと。
これからも描き続けて欲しいと思いました。
それにしても、雨利はミステリアスすぎて気になる。
道頓堀はキャラが良い。凄く好ましい。
この二人の背景も読んでみたかったな。
Posted by ブクログ
単行本の刊行は2016年で、
芦沢さんのキャリアでは序盤の作品。
編集部からの要請もあったという
キャラクターの強さに比べて、
そこから得られる成分は控えめ。
解決への道筋もひととおりではなく、
1冊・3エピソードで終わってしまっているのは、
まだ満足感からは遠かった。
まだ続きのエピソードが見たい1冊。
Posted by ブクログ
遺影専門の写真館『雨利写真館』で心にわだかまりを抱えた人たちと出会って様々な謎と向き合い、そして一歩前に踏み出していく希望と再生のミステリー
私は橋川さん家族のお話が特に好きでした。
『「こんな人だったな」-そう故人を偲ぶよすがとなるのが遺影なんですね』という作中の言葉がとても印象に残っています。
写真館の人たちについてもう少し深く知りたくなった!ぜひシリーズ化してほしい!!
読みやすくて心温まるお話しでした!そして、家族との時間を大切にしようと思いました
あとがきには、芦沢さんがこの作品を文庫化するまでのいきさつや思いが書かれていてよかったです。作家さんの作品に対する思いが知れるって嬉しい
Posted by ブクログ
今まで読んできた芦沢さんのものとは少し異なるイメージでしたが、面白く読ませていただきました。
まだ先だと思っていた自分の死を考えさせられるところもあり、悔いの少ない残りの人生を生きたいと強く思いました。
Posted by ブクログ
芦沢さんデビュー2年目のハートウォーミングヒューマンミステリー。イヤミスではなく仄かな希望が見えるのが私の好み。雨利と道頓堀がいいキャラだ。後書きを読み、芦沢さんの作品への真摯な向き合い方を知った。芦沢さんのファンになってしまった。
Posted by ブクログ
【収録作品】プロローグ/一つ目の遺言状/十二年目の遺影/三つ目の遺品/エピローグ/十年目のあとがき
あとがきによると、「題材へのアプローチの仕方が、現在の私の感覚ではどうしても受け入れられなかった」ため、単行本とは構成を大きく変えているとのこと。
主人公の造形があまり好みでないが、物語としては興味深い。これから写真を撮ってもらうときは、遺影に使えるよう意識しようかな。
Posted by ブクログ
祖母が遺影を撮った〈雨利写真館〉で働くことになった黒子ハナ。祖母の遺言状に隠されていた謎、お客様の12年ぶりの家族遺影の撮影での真実、そしてお客様の妊婦の母と共に写された遺影の謎と向き合っていきます。それと共に自分の中のわだかまりを徐々に消化していく物語でした。
装画から勝手にイメージを膨らませていたのとは全然違っていました。まさか謎解きみたいな感じだとは思いませんでした。
雨利写真館で働く人たちは、それぞれ個性が強いのに、それが合わさるといい具合にバランスがとれていました。
ハナのクイズ好きの祖母、遺影をとるために集まった親子と孫、妊婦の母達の写真、どれもが素敵な写真になったことが伝わってきました。一枚の写真がその人を偲ぶ入り口になるんだなあと思いました。
あとがきには、この本が文庫化されるまでに10年かかった訳などが記されていました。
〈目次〉
プロローグ
一つ目の遺言状
十二年目の遺影
三つ目の遺品
エピローグ
十年目のあとがき
Posted by ブクログ
それぞれのキャラに個性があるのに、
活かしきれていない気がするのは自分だけか?
もっと、面白くなりそうだけど、
弾ける寸前で終わってしまった印象
Posted by ブクログ
主人公は祖母の奇妙な遺言状の理由を知るため、生前に遺影を撮影した写真館を訪れ、遺言状の謎を解明する。
そして、写真館を訪れる客たちの人生に触れることで、自身の心のわだかまりに向き合っていくという話
連作短編 三つ収録
巻末に十年目のあとがきとあり
文庫化するのに10年の歳月がある様子
文庫化の際に大幅改稿しているので単行本とは雰囲気が違うのかも
根底にあるテーマは
突然の死によって残ってしまったわだかまりとどう向き合うか
つらい思いを抱えたまま生き続けていかなければならないことにどう向きあうか
無口なカメラマン雨利が、謎解き解明に小さな手掛かりを見逃さすボソッと指摘してくる
影の薄い準主役という立ち位置?
他のふたりのクセが際立ってしまって
主人公も控えめな印象
ミステリ要素も合わさっておもしろかった
Posted by ブクログ
東京巣鴨の裏通りにある遺影専門の写真館「雨利写真館」を舞台に、亡くなった人にまつわる謎わだかまりを解き明かしていくミステリ仕立ての物語。
雨利写真館という割に、店主でカメラマンの雨利の存在感の薄さよ。いや主人公じゃないんかい!ってツッコミを入れたくなるほど。経理の夢子さんの方がよほどキャラが立ってたわ。
そして謎もすぐにピンとくるものばかりで捻りもなく、ハナの成長物語としても中途半端な感じ。
デビュー2年めの作品を文庫化するにあたって大幅改訂したらしいけど、今の芦沢さんの作品のキレを知っている読者からしたら物足りないだろうな〜。
Posted by ブクログ
祖母が残した遺言状をきっかけに遺影写真館で働くことなった主人公が、様々なお客さんからの相談事を通し自分自身を見つめ直すお話。
人間関係のわだかまりは自身だけではどうにもならない時ってあるよなーと思いながら読んでました。
もう少し雨利の人間性やハナと母のその後について、触れてみたいなと思いました。続編出ないかなぁ…
Posted by ブクログ
巣鴨にある遺影専門の写真館 元美容師のハナは祖母が何故母にだけ遺産相続の文言がなかったのか知る為に雨利写真館を訪れる そこで知った真相とは
遺影を撮るその人達の気持ちに寄り添いながらハナも自分の気持ちと少しずつ向き合えるようになっていく
Posted by ブクログ
遺影を専門に撮り続けている写真館「雨利写真館」で繰り広げられる、心が暖まるミステリ短編集。
恋人と仕事を失った元美容師のハナは、先月亡くなった祖母が撮影されたときの話をきくために、雨利写真館に立ち寄った。
奇妙な遺言状を作っていた祖母の真意を知るためのことだった。
その真意とは一体なんだったのか。
様々な理由で遺影を撮る人たちに、寄り添って
紐解くミステリ作品です。
Posted by ブクログ
遺影専門を掲げる写真館。
そこで遺影を撮影した祖母の話を聞こうとハナは訪れる。母に遺産を残さなかった理由を知りたくて話を聞くうちに、祖母らしい茶目っ気のある演出に気づく…
そして、その写真館で働き出したハナ。
母を見殺しにしたかもしれない孫と上手くいかない息子。二人を和解させるために祖父が遺影の家族写真を撮ろうと提案。そして、孫の悲しい体質が判明し、家族は和解した。
最後は、過去の写真を元に父親探しをする事に。
亡くなったのは父かと思いきや、それは悲しい事実があった。
写真の中にある故人の優しさが温かな気持ちにさせてくれる良い話!
Posted by ブクログ
写真館に訪れる人が抱える謎を解いていく、気持ちがほんわかする作品でした。読みやすかったです!
雨利写真館の人たちを、もっと知りたかった。シリーズ化されるのかな?と気になりました。