芦沢央のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私の父は根っからのホラー好きだ。
私がまだ子供の頃。
夏のテレビ番組は心霊番組が一強だった。
アンビリーバボーで一般者投稿の心霊写真を見る特集をやっていたり、ほんとうにあった怖い話が今よりコンスタンスに放送されていた。
記憶は曖昧だが、嵐の相葉くんが心霊スポットに行く企画をやっていた番組もあった。
そんな番組を酒を煽りながら観ている父は、なぜか楽しそうで内容が進むたびにこういうのだ。
『なんだこれ、インチキか?笑』
父には霊感がなく、見えたりも感じたりもしない。
なのに心霊番組を観るのは、見えないものを『疑う』ことが楽しいからだ。
私はそんな父を見ながら同じように思っていた。
こ -
Posted by ブクログ
ネタバレ定年退職した元刑事の正太郎。日々の暮らしのなかで昔の事件が頭をよぎったり、周囲から集まる様々な相談事をたどる中で、ふと当時とは全く違う真相が見えるー。
物事が暗転する様は、長岡弘樹を思い出すが、決定的に違うのはすでに過去の事件であり、かつ正太郎の推測の域を出ないものであり、どうにもならないこと。また、解決した現代の事件も後味の悪いものが多い。
「祭り」では、松島老人が殺された経緯がみえず、消化不良。徘徊していた松島老人に目撃されて?傷害致死でなく、殺意をもって?何度も読んだけど、はっきりわからず。
ベトナム人が年上を大事にする文化で、自分より後輩でも言うことを聞いてしまう⋯というくだりが、 -
Posted by ブクログ
殺害された塾講師、被疑者であり逃亡中の元教え子、殺人犯を匿う女、捜査を続ける刑事、父から虐待を受ける少年、その事実を知りながら何もできない同級生、などなど、様々な視点が徐々に繋がっていく大作ミステリー。
本作は1996年が舞台となっており、そのころ実際に起こった事件やカルチャーが多数登場する。
とあるきっかけで無気力になってしまった少年(桜介)が、自宅でただただファイナルファンタジー6をプレイするシーンがある。
なんとなくゲームをしているだけのシーンに見えなくもないが、桜介の自宅には当時高価だったSFCもFF6も買ってもらえる経済的余裕があり、当たり屋をして稼がなければならない波留の貧困 -
Posted by ブクログ
ネタバレ将棋を題材にしたミステリ短編集。
将棋界だからこそのミステリ展開だったけど、そこから普遍的な考え方みたいなものが感じられた。『弱い者』、『ミイラ』では対局、詰め将棋の中で感じられる違和感に真剣に向き合って真相に至る。表題の『神の悪手』では、棋譜の通りに打てばアリバイが証明できるという、まさに神が用意したかのような筋書きに逆らって、棋士として無意識に棋譜から逸れる最善手を打ってしまう。なにが正しいのかは分からないが、神が用意した筋書きは人としては悪手を連ねた筋書きで、表題を見事に表しているように思った。
また『恩返し』では、自作の駒が選ばれなかったことが「結果」ではなく、「手段」だと表現されてい -
Posted by ブクログ
1996年、塾経営者が殺害された事件から物語は動き出します。
犯人の足取りが掴めぬまま2年が経過し、事件を追う窓際刑事と相棒、当たり屋をさせられている小学生とその友人、そして犯人を匿う女性。
4人の視点が複雑に絡み合いながら進む展開。
「なぜこの年代という時代設定なのか?」という疑問が浮かびますが、真相が解き明かされるにつれ、むしろこの時代だからこそ描き得た、そして成立した物語なのだと深く納得させられました。
登場人物たちの揺れ動く心理描写が非常に巧みで、それぞれの苦しい選択や行動の理由が理解できてしまいます。
タイトルの「夜の道標」という意味についても、解説にある「何が正解なのか、