あらすじ
夢を叶え孤独に壊れ続ける芝と、夢を諦めて社会的には成功した大島。夢に青春を食われた二人の、身をよじるほどの嫉妬、羨望、そして侮蔑――暗い激情の奔流に飲み込まれる著者の最高傑作!
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Posted by ブクログ
将棋はわからないが、将棋界のあまりにも厳しい世界を垣間見た気がする。
主人公のプロ棋士の芝と、棋士になることをあきらめ弁護士になった大島と、二人の目線で書かれている。
棋士の収入を、色々検索してみると、
藤井壮太さんで、2億円越え。
Ⅽ級クラスで月15万円ほど。
一人前のプロ棋士は、
幼いころより、将棋に向かい合い、プロになることを夢見て、奨励会にはいれたとしても、年間5人に一人。
大島が弁護した依頼者の話しは、一番胸を打った。
子供の望む未来の為、親が必死でサポートしようとする、現代の子育て中の親たちも多分同じように無理をしている人は多いと思う。
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奨励会の話は聞いたことがあったので、その目線で苦悩を読めたのが良かった。強者がいて、自分の位置を突きつけられ、上を見る理由が問われているプロ棋士の視点も新しかった。自分は電車の男だったな、と思った。早指しなら深刻でなくても、正解が分からないことの思考の鈍化は、はまると抜けだせない気がした。
Posted by ブクログ
続けていたら、やめていたら。今の選択を肯定できるだけの強さも自信も無いけど、選んだ選択肢を信じて進み続けるしかない。道が別れようが同じだろうが、結局戦う時はひとり。でも最後の台詞好きだなあ、二人とも将棋を続けていたら出なかった言葉な気がする。
Posted by ブクログ
面白かった!『3月のライオン』とはまた違った種類の苦しみと狂気。文章自体がうねる化け物みたいでゾクゾクした。
表紙や帯のエンタメ感が強いが、中身は着実に一手一手を重ねて狂っていく感じだった。
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思ってた内容とは違ったけど、おもしろかった!!将棋界にこうゆう人たちほんとに居るやろうなぁと思うと入りやすかったし興味深かった。
芦沢央さんの人間性描いた作品、すきやなぁ。
Posted by ブクログ
芦沢央さん、今までとちょっと違った作風な気がしました。
この小説を読んで、まず思ったのが「才能の大きさ」についてです。
狭い世界では才能がある立場にいても、才能が厳選された集団の中で、その才能が必ずしも開花するとは限らないんですよね。
現実的には、道半ばで諦める人の方が多そうです。
将棋の小説はいくつか読んできましたが、読むたびに、とにかく厳しい世界だと感じます。
しかも、かなり若いうちからその道一本の人生を歩まなければ、上には行けない世界。
若くして職業を一本に絞らなくてはならないリスクは、もはや博打そのものです。
この小説に登場するメインキャラクターは、“芝”と“大島”の二人です。
芝は、将棋の世界で生き残りをかけ続けている人間。
一方の大島は、将棋を諦め、東大へ進み、弁護士という別の道を選んだ人間です。
正直、芝の考えていることはよくわからない。笑
でも、勝てないことの苦しさは分かる気がしました。
ライバルの謙吾がのし上がっていく中で、自分は連敗。
負けるたびに、自分の進退についても考えてしまう。
才能があるから棋士になれた。
でも、その才能がどれほど大きいものなのかは分からない。
実際に闘い続けてみないと、自分の才能の大きさなんて分からないんですよね。
才能はある。
けれど、その才能は小さい。
それを自覚して、棋士への道を諦めたのが大島です。
将棋の世界しか知らない。
将棋のことしか知らない。
そんな若者が奨励会を辞める覚悟とは、想像もつきません。
将棋の世界では、もしかしたら弱者なのかもしれない。
けれど、そんな大島を賢いと思ってしまうのは私だけでしょうか。
人生のやり直しがきくタイミングで、大事なものを諦め、別の道に勝負をかける。
大なり小なり、そうやって折り合いを付けながら生きている人がほとんどだと思うのです。
つくづく思います。
こういう崖っぷちに立たされた人間の物語と、何かを諦めた人間の物語は、最高に面白い、と。
Posted by ブクログ
普段家族が将棋をABEMAやNHKで見ているので、多少の馴染みはある。
棋士の頭の中は本当に未知の世界。芝の章は文章にも癖があって読みにくいけど、これが自分には理解できない棋士の頭の中なのかなぁと思いながら読んだ。
AIの導入で、棋士がミスするのを楽しむエンタメになった…… 的な文(うろ覚え)を読んだ時、終盤で大逆転する盤面は確かにおもしろくはあるなぁ…… と棋士の気持ちも考えずに思っていた。将棋を楽しむにハードルを下げてくれたAIは偉大だけど、弊害もあるのかもしれない。
大島の章の、芝との差を感じてしまうところや、奨励会の厳しさ、辞めることへの葛藤が苦しくて、フィクションだけど、かなり取材をしているようなので、こういう悩める棋士がいるのだろうな、と、これまでとは違う視点で将棋を見るようになった。
評価があまり高くないけど、自分は楽しめた。
Posted by ブクログ
出た当初にサイン本で購入したのに、読み終わる喪失感が嫌で、半年以上読まずに取っておいた本を一気読み。
将棋界のことをこれだけ文学として昇華して書けるのはスゴイなあと感嘆。けど純文学体で書くことは読者側にとっての必然性がない気も(でも芝の心中の表現はこのほうがいいのかもだし)。
生粋の将棋ファンとしては、棋士や観戦記者の方以外でこれだけ将棋界や棋士のことを描ける作家に感謝。(『神の悪手』はオールタイムベスト級に好き)
なお、奨励会に興味ある人は、大崎善生『将棋の子』と合わせて読むのがオススメ。
Posted by ブクログ
芝の思考が高尚すぎて感情移入できず
他の方にもあるよう凡人の大島の方がわかりやすいし、芝の場面も理解できるようになる
2人の主人公から見え方が変わるのが面白かった。
Posted by ブクログ
芦沢さんの作品が好きで、読みはじめたものの、将棋がわからなすぎて挫折しそうになった。芝くんの話は特に将棋がわからない私には、読みにくかった。後半の大島くんの話になって少しずつ芦沢さんの伝えてくるものに触れられた気がした。
Posted by ブクログ
芦沢央さんらしい、人の心の嫌な部分を鋭く描いた作品でした。
何気ない言葉や態度の裏にある嫉妬や優越感がリアルで、読んでいてゾッとします。
誰かを見下したつもりが、自分も同じように見られているかもしれないと思い、考えさせられました。
Posted by ブクログ
将棋の世界を通して、挫折、苦悩や岐路での迷いが濃密に描かれていました。そのことで苦しむ登場人物たちの心情を読むほどに、自分の10代20代の行き方が思い出されてきました。果たして自分は自分で考えて選択できているのか?真剣に選択してきたのか?
悩める登場人物の姿や生き方から前を向こう!というより自分の生き方はどうなのか突きつけられるような感覚です。
題名も自分に向けられてるのかも‥?明日からの生き方が変わりそうです。
Posted by ブクログ
将棋のプロ棋士を目指した二人の物語。一人はプロになれたけど成績は低迷で同期とは差がつくばかりで、もう一人はプロになる前に見切りを付け弁護士になる。プロになった彼は諦めるタイミングがわからず苦悩し、弁護士になった彼はプロになれなかった苦悩をそれぞれ書き分けられている。一つの物事に対し本気で取り組んだからこそ、それぞれの立場で描かれる建前を無くした本音の部分では、正しくお前レベルの話をしていないという強烈な思いがあるんだなと。
人生を賭けて取り組んだ経験が無い身からしたら二人とも尊敬に値します。
Posted by ブクログ
芦沢央はイヤミスのイメージが強くて一冊しか読んだことなかったけど、これは将棋の棋士の話との前情報で手に取った。将棋については全く詳しくないけど、読みやすく、さくさく読めた。才能のあるなしだとか年齢制限だとかドラマチックな要素てんこ盛りだから、小説にしたくなるのはよく分かる。
人生って選択の連続で選ばなかった分岐の先には何があったんだろうとは誰もが考えるところだけど、選んだ結果については自分で引き受けるしかない。
大島くんがまっとうでいいやつだ。
Posted by ブクログ
なかなかしんどい本だった。
棋士を目指し、奨励会で競い合った二人。
棋士となれはしたが、
くすぶり、迷い、先が見えない芝。
辞める決断をでき、
進学し弁護士になった大島。
双方の視点で描かれる棋士の世界。
進むも地獄、退くも地獄…
なのかもしれない。
とにかく、読んでいて苦しい。
自分の才能の限界を知る自虐も、
仲間の勝利などを認められない醜さも
なにもかも
一人称として描かれる。
好きで始めた生き方でも
一握りしか生き残れない世界は
こんなにも厳しいのか。
緊張感が続く中、
ラストの一言でぐっときた。
Posted by ブクログ
観る将なので芦沢央さんは将棋好きとして知っていて、将棋ものは読んだことがありまた。
タイトルが印象的で手に取ったこちら、普通のミステリーかと思ったら将棋もので、どうも読んだことあるなと思ったら、『もの語る一手』に収録されてたものでした。
うだつの上がらないプロ棋士と奨励会退会者が出てくる話。
終盤まではうーん、前読んだ時はもっと面白いと思った気がするけどなーと思ってましたが、最後なんか涙が出そうでした。
ただ、将棋や奨励会に思い入れがない人だとピンとこないかも。
Posted by ブクログ
棋士になることに縋りついた男と、諦めて別の道に進んだ男のそれぞれの視点から語られる群像劇
互いに隠した思いがそれぞれのパートを読み進めることで明らかなるがスッキリはしない
将棋界って頭脳スポーツと言われるだけあり過酷すぎる
Posted by ブクログ
なんとなくミステリーかなと思って手にとったらガチ将棋の小説だった。棋士というひと握りの才能しかなれない世界で、その世界で、もがいている主人公とその世界をやめ、それを正当化するためにがむしゃらに弁護士になった友人の話。
結局、棋士になれずに一般人になるとなったら職歴もバイト経験もないヤバい奴が生まれてしまうというのはエグすぎる。
心の闇もしっかり描かれていて良かった。
Posted by ブクログ
プロ棋士を続ける芝、プロ棋士を諦めた大島、それぞれの章で内側を語っていく作品。
芝の章につては私レベルではわからない話でした。理解されず、そして孤独。おそらく、勝負師、何らかのプロの世界で戦っている人にしかわからない感情なのかもしれません。
大島の賞はどうしてプロへの道を諦めたのか、その後どのように人生を歩み、また将棋と芝と関わっていくのかという心の動きがわかりやすかった。
大島の心の動きをもっと読みたかったな、という物足りなさが残りました。
Posted by ブクログ
2026.05.13
好きな作家さんなので迷わず手に取ったものの、前半は将棋に疎いせいかあまりピンとこず、状況やシーンが急に変わったりするので何度も読み返した。
後半は打って変わってあっという間に読み終えた。
前半はいうならば芦沢さんっぽくなく、後半の大島編は、これこれ!私の好きな芦沢さん!という感じ。大島編にはエンタメ要素があるのでメリハリもあってよかったのかも。
表紙は芝なのか大島なのか。少しでも動いたら刺さりそうな棘のある鎖にがんじがらめにされているところを見ると、奨励会のやめ時がわからず、ずるずると目の前のタスクを淡々とこなすだけになっている、身動きの取れない、とらない、芝なのかなあと思う。
最近将棋にまつわる他の小説(盤上の向日葵)を読んだところだったので単純に比較してしまった。
芦沢央さんの本はいつも文庫化したら買うが、こちらは再読はしないかも。好き嫌いが分かれる作品だなと感じた。
Posted by ブクログ
芦沢さんの本好きなので、表紙とタイトルに「えっ…でも、新境地なのかな?」と、ドキドキしながら読み始めた。
タイトルや挑戦的なデザインの表紙からは想像もできない、
将棋のプロ棋士と、奨励会を二段退会して東大予備試弁護士とキャリアを積んだ2人の男のお話。
友情物語と言えるだろうか。
二人とも、お互いに本当のことを言わずに嘯きながら付き合いを続けている。
心の中では、互いに相手に「こいつに言ってもどうせわからない」と思ってる。
まぁ、大人になると友達との付き合いもそんなものだよね。
だから、うまく付き合える範囲で付き合う。なんでも一緒のにこいち青春みたいなのは、まぁなくなる。
それぞれの人生と生活があるから。
大島がプロになれなかったからこそ続いている友情…という、このお話の根幹が歪なものでもある。
私がこの本で唯一感動したのは、芝が、棋士を職業ではなく状態だと思っているというところだ。
これは、すごくしっくりきた。
子どものときから将棋をさしてるだけ。
やってることは変わらない、プロであるか、アマであるか、それは職業ではなく状態にすぎないとは、うまいこと言うなと。さすが芦沢さんだと唸った。
もしや芦沢さんご自身も、小説家は職業ではなく状態だと思うことがあるのだろうか。
プロ棋士と弁護士というのは、並べてしまうと、どうしたって弁護士の話は見劣ってしまう。
芦沢さんが書きたかったのは破産手続きじゃなくて、破産者の息子の方なんだろうけど、
山形の破産事件を東京の弁護士に頼むというのも含めて、こじつけのような、無理に水流を作ったように感じてしまった。
芦沢さんの本が本当に好きだったから、なんだろ、無理してるんじゃないかと思ってしまったりして。
芦沢さんの好きな将棋の話で、新境地開いてくれたら嬉しいけど。
芝の章は、最後いきなり生まれ出る悩みのオマージュみたいで、痛々しさを感じてしまった。
読んでてモヤモヤが残る感じだった。