真梨幸子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2012.11.17.sat
【経緯】
帯に、「私が死んだ時、『代表作』と呼ばれるのはこの小説であってほしい。」とあったので。
【感想】
メインキャラクターが複数人いて一人称と三人称が交錯するという珍しい文体でありながら、それが物語を形作るのにとても心地よくページをめくらせる真梨さんの手腕にまた驚かされた。ほんとうまいわこの人。
ただ、「イヤミス」がうりの真梨さんにそれを期待して読む人にとっては、いつもより毒気が薄いので物足りないのかもしれない。
わたしは「勢いのある物語力をもつ作家さん」として好きなので問題ないです。
真梨さんのだす本だす本のキャラクターたちって愛すべき要素よりも理解したくない生理的に嫌な要素がかってしまうから、そういうキャラクターが無残に殺されても同情できなかったり読後もやっとして終わることが多いんだけど、今回はキャラクターすべてに愛嬌と応援したくなるところがあって、終わり方も「肩の力が抜けた」で読者も肩の力が抜けて読み終えたんじゃないかと思う。
【真梨さんらしいって思う引用】
それでも、三十五にもなってこんな有様なのが時には憂鬱だ。だから、絵との悪縁がときどきいやになる。リシュパンがどこかでこんなことを言っていた。『芸術は真の愛情を失わせる』まったくその通りにちがいはないが、その反対に、ほんとの愛情は芸術をきらうのだ。(弟テオドルに宛てたゴッホの書簡より)_P4
いつの世もどんなときでも、恨まれるほうには自覚はないものだ。が、うらむほうには、確固たる理由があるのだ。それが、傍からみたらどんな些細なことであったとしても、一度生えてしまった恨みは、そう簡単には駆除できるものではない。それどころか、抜いても抜いても次の朝には青々と茂る夏の雑草のように、生命力絶倫なのだ。_P96
女性にとって、男性の肩書・経歴・職業・収入は最重要項目なのだ。これを無視して、”愛”という一時のまやかしの感情で相手を全肯定してしまう女性の方が要注意なのだ。誰かが言っていた。金のために結婚することはよくないが、金がないのに結婚するのは愚かなことだ…と。_P256
恋愛モードから結婚モードに切り替わった途端、女性は障害飛越競技に出走している馬と化す。とにかく”結婚”というゴール目指して、華麗なる技で目の前にある障害物をはらりはらりとクリアしていくのである_P262 -
Posted by ブクログ
「私が小説家になるなら、『殺人鬼フジコの衝動』みたいな本かな」という好きな女の子の言葉を聞いて、思わず買いました。
恵まれない幼少期を過ごしてきた藤子が、「殺人鬼フジコ」へと変化していく過程を描いた本なのですけれども、なんとも結構、「小学校での友人間トラブル」「好きな男を親友に取られた」「つきまとう週刊誌記者」など、ベタな暗い過去から殺人に至るエピソードが、ただただ羅列されているような印象でした。
殺人の動機も浅く、殺人方法も特異なものではなく(謎に怪力で絞め殺せるフジコ)、ただのサイコパス物語という感じに終着してしまった。
『リカ』のようにサイコパスから追われる側の視点でもないため、ハラハラすることもなく、淡々と嫌なことが起こり、それを殺人で解決していく。繰り返しになりますが、物語というより「点の羅列」のように感じました。
――と、最後の最後まで思っていたのですけれども。
最後の章を読むと、気づけば一番最初のページに戻ってきていて、それまでバラバラに見えていた点と点が結ばれ、ひとつの円になっておりました。
この物語のテーマを「血の繋がり」として捉え直してみると、途端に見え方が変わってくるのですね。
それにしても、あの女の子はなぜ、殺人鬼フジコの衝動みたいな作品を書こうと思ったのでしょうか! -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作と合わせて完結した感があります。
結果的に間を空けずに読んで正解でした。
前作の補完的なストーリーと合わせて、下田健太のストーリーが進行していきます。
後者は明らかに「北九州監禁殺人事件」をかなり近いかたちでモチーフにしているようです。
ただ、この2つのストーリーは決して有機的に繋がってるようには感じませんが、前作の謎が解明するのでちょっとしたカタルシスはありました。
健太がどのようにしてフジコにインスパイアされたのかは、見えてきていませんし、個人的に健太&茂子はもっとスカッとKILLしてもらわなければこちらの溜飲は下がりません。
それくらい彼らは胸糞悪いです。