真梨幸子のレビュー一覧

  • さっちゃんは、なぜ死んだのか?

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    バブル世代と氷河期世代。
    生きる時代によって、人生は狂わされるのだろうか?
    私はゆとり世代に生まれたが、時代によって「これだから」と決めつけられることはよくある。
    そういった決めつけは、誰しも経験があるのだろう。

    場面によって主人公が代わり、女性ホームレス殺人事件への関心が変わる。
    皆何かの縁によって、被害者と被疑者に人生が吸い寄せられていく。
    同じ時代に生きたからといって、自分の人生もこうだったかもしれないと深掘りしてしまうのはどうも恐ろしく感じた。
    バブル世代を羨ましく思い過ぎている点も。

    事件の人物の人生を深掘りして、真相を暴いていく様はとても面白かったが、ラストはなんだかもやっとし

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    2025年07月04日
  • フジコの十ヶ条

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    殺人鬼フジコの衝動の続編です。前作の衝撃がすごかったので、今回はそれほどでもなかったような感じですが、不気味な感じは今回の方があったかもしれません。
    もう一度、前作を再読してみたいです。

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    2025年07月03日
  • 新しい法律ができた

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    「新しい法律ができた。」という一文から始まる短編小説が25編載っています。
    25人の書き手が、もしこんな新しい法律ができたら、という視点でお話を綴ります。

     「新しい法律」ができた理由がそれぞれ興味深いです。
    例えば、
    ・金子玲介さん「ルパちゃん」では、「少子化対策」のために「子どもがわりに人口知能を搭載したぬいぐるみを所持することを禁止する法律」ができます。
    ・日野瑛太郎さん「推し活制限法」では、「推し活にハマり過ぎて身を持ち崩す人が出た」ために「推し活への課金上限を制定する法律」ができます。
    (わたしが、ぜひ読んでみたいと思っていた、くどうれいんさんの場合は、)
    ・くどうれいんさん「ショ

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    2025年06月28日
  • インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実

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    前作「殺人鬼フジコの衝動」が個人的に微妙だったせいか続編の方が面白かった。

    作者ははじめからシリーズ物のつもりで構成を練ったのだろうが、前作からよくここまで話を膨らませたなぁと感心した。大抵薄っぺらくなってつまらなくなるのに、前作よりさらに狂気を孕んでいた気がする。


    前作、茂子がやたら口にしていた「あなたのお母さんみたいにはなってはダメ」と、フジコの「私はお母さんみたいにならない!」というあの印象的なセリフも実は…

    下田健太の学生時代のエピソードは嘘みたいだが、似たような話を聞いたことがあるので、人はきっかけと役割があれば割と簡単に化ける事ができるのかもしれない。

    前作から間が空いて

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    2025年06月27日
  • 教祖の作りかた

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    安定の読み応え。

    独特の真梨幸子さん節に言葉のチョイス、
    人間の腹の中と狂った欲望をあけすけに
    暴き尽くす毒っぷりは今回も圧巻。

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    2025年06月25日
  • 教祖の作りかた

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    毎度毎度の真梨幸子ワールド!
    今回は人間相関も分かりやすいと思って終盤まで読み進めたけど…。
    終盤から結局どんでん返し的になり、時系列が頭の中がめちゃくちゃになり…笑
    すんなりはいかないのが真梨幸子作品とわかって読んでますが、今回も結局前のページに戻って進んでの行ったり来たりでした。

    少し時間置いて再読かな…笑

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    2025年06月19日
  • 新しい法律ができた

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    新しい法律ができた、から始まる物語を色んな書き手が描く1冊。

    新しい法律ができているわけだから、世界設定がSFっぽかったりディストピア感を感じるものがあったりして、楽しく読めた。
    その他にも、ぞっとする物語、切なくなる物語、短い中でミステリーのような作りになっている物語…
    叙述トリックが含まれているものや、ばかばかしいと思ってしまうような内容の法律が大真面目に取り扱われる物語など、本当に色んな味がする1冊。

    なかでも殺人を罰する法律が"新しい"法律として制定される「もう、ディストピア」が特に良かった。
    有り得ないはずの世界に説得力があって冷たい汗をかく。


    「ルパちゃ

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    2025年06月19日
  • 新しい法律ができた

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    「新しい法律ができた。」で始まるショートショート集。全部で25作。一行目は全員一緒というシリーズの五作目です。作家によって同じ言葉から広がるイメージが様々で、おもしろかったです。

    金子玲介「ルパちゃん」、矢野帰子「日本国民に英語の勉強を義務づけへ」、くどうれいん「ショートケーキの夜」、五十嵐律人「革命夜話」が私のお気に入りです。特に「革命夜話」の最後の一文には、重みを感じました。

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    2025年06月14日
  • ウバステ

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    タイトルだけを見ると、よくある、おひとり様の
    老後のあるある話だと思っていた。
    女同士の毒のある会話から始まり、実の弟との相続の壮絶バトルやら、人がどんどんイヤな亡くなり方をするやらで、話についていくのが精一杯。
    後半はこれまた、怒涛の展開となる。
    主人公は、自分が脳梗塞で倒れ、意識朦朧としているうちに、弟に、有料老人ホーム「ユートピア逗子」の別館(別名ウバステ)の劣悪な環境の場所に入れられていたことを、成年後見人制度を契約する際にお世話になった弁護士の先生から知る。結果、
    主人公は、遺言書のおかげでいろいろと助かる事になり、巻末にある「おひとり様終活ノート」が、
    なぜついているのか、ここで納

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    2025年06月11日
  • Jミステリー2024~SPRING~

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    アンソロジーなので、どうしても好きな作品も嫌いな作品も出てしまうが、全体的には面白い!
    『心のお話』は、姫川さんの独り言(思ってること)がなんとも言えない面白さ。
    こういうアンソロジーで読んでみたい作家さんの作品を開拓していくのもアリだとおもいます。

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    2025年06月10日
  • 孤虫症

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    感染の広がり方も、体内に虫がいる描写も、人間関係も。この小説は気持ち悪さで出来ている。読んでて嫌になり、気持ち悪くなる生々しくて不快なストーリー。でもやめられない。頭がおかしくなりそうになりながらも、読み終えることができた。

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    2025年06月07日
  • カウントダウン

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    久々に、読みたいやつに当たりました。
    ジェットコースターのような展開。生きる気力と勢いにあふれた狂った主人公。
    到底現実世界にはいないし(いても本当にやばいやつ)、全く共感できない。なのになぜか嫌いになれない。
    目まぐるしい転落だったのに、視点を変えれば全然違う出来事になる。
    ワールド全開だった。

    薬王寺さんって「ゆりかごから墓場まで」にも出てたっけ??こっちも読み返したいなと思ったり。

    この一つ前に読んだ真梨幸子さんの内容が私的にはうーんだったので、これ!ってやつに出会えて嬉しい

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    2025年06月07日
  • 孤虫症

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    解説が実に皮肉で面白かった。
    勿論本編あってこそだが、本編をより面白くさせる、短い文章で殴りつけてくるような、力のある解説だった。

    寄生虫など造詣が浅いが、気味の悪さは抜群だった。
    タイトルにもなっている"孤虫症"がフィクションかと思いきや実在するものだとネタばらしする解説がなんとも後味が悪く、とても良かった。
    相変わらず、真梨さんの人間誰しもが持つ歪さの描写力は舌を巻く。
    ある意味寄生虫よりも、人間の内面の方が気味が悪いように思う。
    これがデビュー作とは流石である。

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    2025年06月01日
  • インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実

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    ネタバレ

    前作のインパクトには敵わないものの、かつてフジコが身を寄せていた下田一家でここまで話を膨らませるとは。北九州連続監禁殺人事件をモチーフとした団地でのリンチ殺人事件。序盤から茂子の洗脳が始まってるんじゃないかという不穏な雰囲気は良い。Q教団の組織力も怖い。

    でも目立つのは健太の異常性。みっちゃんも里佳子も奴の人形になりかけていた。高峰美也子が死んでなかったのは衝撃。そういう生かし方もあったか。
    Q教団が存在する限りこのような惨劇は繰り返されるのだろうか。

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    2025年05月29日
  • ウバステ

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    ネタバレ

    頭がごちゃごちゃになるくらい複雑なんだけど、読みやすくてなるほどね!って感じ。年寄りの思考回路ってこんな感じなのかな??
    あぁ、、、いつかはくるけど考えておかなきゃ。どう死にたいか

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    2025年05月29日
  • ウバステ

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    ちょっと雑だけど、
    読んでて不安になった。
    まだ40代だし、夫もいるし、
    子供はいないけど仲の良い妹たちもいるし、
    だけど怖い。

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    2025年05月29日
  • さっちゃんは、なぜ死んだのか?

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    明日は我が身の転落人生にはなりたくない。
    私はいわゆる脱ゆとり世代なので氷河期世代とバブル世代がメインになる人物たちの時代背景は想像でしかないですが、安泰だと思われた大企業に勤めていても人生なにが起こるか分からない、転落人生になるかもしれない。
    それぞれの人物の人生が濃すぎてその部分が面白かったです。
    逆にそれぞれが濃すぎて、本題のさっちゃんはなぜ死んだのかが後半まで忘れていました。あ、そういえばあの人はどうなるんだっけ、この人は何だったっけと終盤で引き戻されました。
    ホントの終盤はすごいおおまかに回収されて、伏線といえば伏線で、こいつ何者だ?ってのが出てきたりしましたがもう少し広げてもらって

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    2025年05月28日
  • 6月31日の同窓会

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    お嬢様学校をテーマにした本。存在しない6月31日の同窓会の案内状が届く恐怖。次々と卒業生が亡くなっていく。最後の最後で犯人が分かる。

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    2025年05月27日
  • ふたり狂い

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    時系列を把握していないと頭の中がぐちゃぐちゃになる物語だった。
    誰が嘘をついていて、誰が真実を話しているのか。
    いや、本人に"嘘をついている"という自覚がないのであれば、それはもはや"真実"になり得るのか。
    接点のない他人に知らず知らずのうちに執着される恐怖というものは、とても悍ましいものである。
    「自分は他人にとって特別だ」「自分は他人に認められている」
    そんな、昨今若者の中でも問題にもなりつつある、自己肯定感が心地良く感じることは厄介で、人間なら誰でも持ちうる性質だろう。
    他人なんていなくても、のびのびと気楽に生きていける世の中になれば、毎日目を覆い

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    2025年05月24日
  • 教祖の作りかた

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    ネタバレ

    去年の今頃、新刊案内として出ていて気になった『教祖の作りかた』(真梨幸子)。

    5日間かかってようやく読めた…!!!

    あらすじ読まずしてタイトルで選んだ結果…

    ありそうで怖〜いゆっくりジワジワ来る感じ、まるで夏の湿気が喉元に居座っているようだった…。

    「表紙のイラストかわいいのに」と思っていたけど、奇妙さで言えば納得です…!

    途中時系列がに違和感を感じると思いつつ話を読み進めたら合っていたので、

    そこは「自然な感じに流されんかった!!!」とスカッとしました。

    そして…

    最近知人と「推し」についての話をしたり(男女問わず低音ハスキーボイスはかっこいい)、本でお金のロンダリング(浄化

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    2025年05月23日