真梨幸子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
真梨幸子『向こう側の、ヨーコ』光文社文庫。
1974年生まれの二人の陽子。どちらがどちらで、何がどうだかと読み進むうちに混乱してしまう。パラレルワールド小説なのだろうか。
なるほど、こういう仕掛けの嫌ミスだったか。まさかの犯人、まさかの展開。かなり混み入った複雑怪奇なストーリーと赤裸々な40代女性の魂の声と欲望。恐ろしいが、意外にあっさりしたテイストだった。
A面の陽子は恋愛小説家として成功し、独身貴族を謳歌する日々を過ごしていた。B面の陽子は夫と息子と共に暮らす贅沢とは無縁の慎ましい日々を過ごしていた。A面の陽子とB面の陽子、どちらが夢なのか。それとも……
本体価格720円
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Posted by ブクログ
真梨幸子さんの「ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで」を読む。
イヤミスの女王と呼ばれているらしいですね。イヤミス?何?と思いましたが、なるほど、読んだ後にイヤな後味が残るミステリーね。
8話のストーリーが、小さなカケラが後々繋がっていて、最初は楽しそうな話だったのに最後はザワザワした気持ちで終わりました。
なるほどー。イヤミスね。
真梨幸子さんって知らなかったのですが、NHKの「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」に真梨幸子とマリモとモナミで出演されていて、その独特なキャラクターに興味を持ったのですが、彼女がマリモとモナミについて書き下ろした短編と -
購入済み
前作とは種類の違う不穏な物語
形式上『殺人鬼フジコの衝動』の続編だが「前作を上巻とした下巻」「前作で完成していると考える人にとってはスピンオフ」の様な作品。前作と同じようなものを期待して読むと肩透かしを食らうが、私自身は面白かったと思う。
前作の殺人鬼視点とはうってかわって、今作では事件を追う記者側からの視点になる。記者たちはフジコの養母下田茂子にフジコの事件とはまた別の事件についてインタビューを試みようとする。しかし、どうにも上手くいかない。その段階では記者たちにとって、下田茂子はただの事件関係者であって、警戒すべき対象ではない。そのため、何も疑うことなく普通に接して、結果的に翻弄されてしまう。しかし、読者の私