あらすじ
公園でホームレスの女性が殺害された。
犯人も殺された理由も不明。
殺害現場近くのカフェでバイトをしているセキグチユウコは、
仕事も人生もうまくいかなかった被害女性に「縁」を感じ、
導かれるように彼女の過去へ踏み込んでいく。
おひとりさま、毒親、貧困、時代ガチャ。
#さっちゃんはあなただったかもしれない
#さっちゃんはわたしだったかもしれない
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読みやすい文体で、あっという間に引き込まれて気づけば読み終わっていた。
時代・家庭に呪われて生きていると感じる気持ちは、わからなくはない一方で、そうなりたくない・そうやって自分を呪うように生きたくはない、みたいな、共感と嫌悪感が入り混じった気持ちになる。そんな感情を掻き立てる登場人物が次から次に現れて、自分と重ねてしまって、だんだん真相に迫る面白さもあって…。
でも終わってみれば、自分も「#公賀さんは私かもしれない」とか言って人の死を自分の慰めに使ってる人と変わらず、全然真相に近付いてなかったんじゃないか、というような気持ちにもなる。
いやおもしろかった。
Posted by ブクログ
1回目はよく理解できず、2回目にやっとそういうことか!と腑に落ちた。最後は意外な展開で面白かった。
泡と氷の時代、、経験してないと泡に憧れるが、それぞれの時代で、個人がどう生きるかがやっばり大事なんじゃないかな、、(そうであってほしいという願いも含)
Posted by ブクログ
氷河期世代とバブル世代の見えない確執。
40〜50代の心臓を直に握りつぶしてくるような感覚。
きっと当て嵌まる登場人物がいる。
私は思い切り氷河期世代なので、セキグチさんの気持ちにハマってしてしまった。
親ガチャ、競争社会、セクハラパワハラ、えとせとら。
私もさっちゃんになってたかもしれない。
もしくは… #さっちゃんはあなただったかもしれない
Posted by ブクログ
真梨先生の真骨頂でしょうか。
ジリジリとした、他人から向けられる嫌味が含まれたような、
殺された「さっちゃん」の印象が、真梨先生らしくてとても好き。
そして、「さっちゃん」といい、「Nさん」といい
他人による、他人のフィルターを通して伝えられた印象と、
マスコミによるドラマティックに作られた印象が交錯することで、
死んだ本人のアイデンティティが壊されていく感覚が
何とも気味が悪い描写。
「死人に口なし」とはこのことか。
Posted by ブクログ
表紙はなんだか意味深だ。
公園でホームレスの女性(さっちゃん)が謎の死を遂げる。彼女がなぜ死んだのか興味を持った祐子という女性が、さっちゃんのこれまでの人生をなぞり、関係者の話から事件の核心に迫っていく。最後は真梨幸子さんらしい、あるどんでん返しがあり『え?どういうこと』となる。…真梨幸子さんって、『さちこ』と書いて『ゆきこ』って読むんだね…←これがヒント。
第三者の証言から人物像を浮き彫りにしていく手法は、以前読んだ山田宗樹の『嫌われ松子の一生』を彷彿する感じだった。
またこの小説は、過去に実際にあったホームレス女性が渋谷のバス停で撲殺された凄惨な事件がモチーフになっている。ある事件を知り、もしかしたらとその事件の裏にある小説のヒントが浮かんだのだろう…
しかしながら、相変わらず『どんより感』たっぷりのイヤミス小説で、読後感はよくない。
Posted by ブクログ
イヤミスと言えば真梨幸子!
だけど今回の作品はイヤミス感がまだ軽い感じがした。
さっちゃんが殺されて、犯人を探しているのに重くなく軽いタッチでストーリーが進んでいくし、出てくる人物のキャラが全員個性的!笑
犯人が分かってからも、その後のストーリーがあって結局何なんだ?と知りたくなりページを捲る手が止まらなかった。
お腹いっぱいといった感じ。
ただ生きていて、どこでどう人生が転落してしまうのかというとこは誰しもにあり他人事ではない。
私的には面白かった!
Posted by ブクログ
最後に犯人はわかるけど、
もはやソレがメインではない感じがした。
公園でボームレスが殺害された。公賀沙知、57歳、独身。
関口祐子がバイトするカフェによく来ていた。殺された日にも来てた。関口は泡沫ブロガー、いつものようにパソコン叩いていたら「!」のキーが取れた。テレビボードを動かして探したら、そこに何故か公賀沙知の名前が!
調べてみるとどうやらボームレスのまえはここに住んでいたらしい。コロナ禍やらなんやらで、派遣の仕事はきれ、カフェのシフトも減り、ヒマになって調べていく。その結果をブログにかくと、なんとバズった。
沙知は大手広告代理店の派遣の仕事をしていたが、引き抜き?で小さな広告代理店の正社員となった。がそこが倒産。
「リゾートで楽しく稼ごう」の広告で熱海に行き、イベントコンパニオン兼売春婦として働かされる。そこが摘発されて、東京に戻るも,すぐに熱海の温泉の仲居(売春婦も)になり、男ができて一緒に東北へ。そこで子どもを産んで、出産。
コンパニオン仲間だった香川に勧誘されて怪しい宗教に入信し、子どもはあずけて、また東京に出てきたらしい。
板野光昭は元新聞記者。43才休職中。押し付けられた保護猫にチップが入ってて、前の飼い主のデータを消してもらうために調べてみた、すると、公賀沙知を殺した男、西岡政夫だった。
公賀沙知が殺された公園近くのマンションの掃除をしていた。
周りの証言では西岡は人を殺すような人間ではないという。保護猫をあずかったりして、優しい人だった。だが、西岡は自分が缶詰入りの袋で殴ってしまったと自首し、その後留置所で自殺してしまった。だからこの事件は被疑者死亡という形で終わった。
ほんとに、そう?
公賀の生きてきた人生が、関口祐子のブログによってバズったのは、
一本間違ったら、自分も彼女のようになったかもしれないから。#さっちゃんはあなただったかもしれない というタグでSNSで話題となった。
このお話のキモになるのは、もちろん犯人は結局だれなん?ってこともだけど
バブル期、就職氷河期の人たちが,あれからどう生きてきたのかってところがある。なんなら私も就職氷河期でして(年がバレる)、こわーって思ったよね。ある意味、おそるおそる生きてきた感すらある。
おそるおそるのおかげでか、公賀沙知や、関口祐子や、板野光昭のように食うに困ることはなかったのだけど(旦那に感謝)、なんか明日は我が身だったなとか、やっぱのこハッシュタグの
#さっちゃんはあなただったかもしれない
に共感してSNSのいいねをめちゃ押してたかも。
犯人はめちゃ意外な人です。目的も?そして、描かれてない結末も。
あと、
さっちゃんって・・・・?
Posted by ブクログ
バブル世代と氷河期世代。
生きる時代によって、人生は狂わされるのだろうか?
私はゆとり世代に生まれたが、時代によって「これだから」と決めつけられることはよくある。
そういった決めつけは、誰しも経験があるのだろう。
場面によって主人公が代わり、女性ホームレス殺人事件への関心が変わる。
皆何かの縁によって、被害者と被疑者に人生が吸い寄せられていく。
同じ時代に生きたからといって、自分の人生もこうだったかもしれないと深掘りしてしまうのはどうも恐ろしく感じた。
バブル世代を羨ましく思い過ぎている点も。
事件の人物の人生を深掘りして、真相を暴いていく様はとても面白かったが、ラストはなんだかもやっとしてしまった。
オカルトなのか?深すぎる縁なのか?
せめて、タイトルに関連付けたラストにして欲しかった。
Posted by ブクログ
明日は我が身の転落人生にはなりたくない。
私はいわゆる脱ゆとり世代なので氷河期世代とバブル世代がメインになる人物たちの時代背景は想像でしかないですが、安泰だと思われた大企業に勤めていても人生なにが起こるか分からない、転落人生になるかもしれない。
それぞれの人物の人生が濃すぎてその部分が面白かったです。
逆にそれぞれが濃すぎて、本題のさっちゃんはなぜ死んだのかが後半まで忘れていました。あ、そういえばあの人はどうなるんだっけ、この人は何だったっけと終盤で引き戻されました。
ホントの終盤はすごいおおまかに回収されて、伏線といえば伏線で、こいつ何者だ?ってのが出てきたりしましたがもう少し広げてもらっても個人的には良かったかなーと思います。
Posted by ブクログ
公園でホームレスの女性が殺された。なぜ彼女は殺されたのか?犯人は誰?成功しているかに見えた人生を送っていた彼女がなぜホームレスとなってしまったのか?を、いろいろな語り部を通して描いたお話。ところどころに「バブル期世代」や「氷河期世代」という言葉が出てきて、世代による運命の格差のようなことも言われている。
しかし大手に就職したら安泰という時代でもなく、いろいろなことの責任を運命のせいにするだけでは何も解決しないと思った。
Posted by ブクログ
登場人物多くそれぞれの生い立ちがとにかく濃い…結局生きているだけで波乱万丈ということか。少しのきっかけであっという間に転落する人生。イヤミス度は低め。もう少し毒気がほしかった。
Posted by ブクログ
公園でホームレスの女性が殺害された。
その女性の名前は公賀沙知。
さっちゃんを伯母に持つ小説家。
公賀沙知の死を調べ始める関口祐子。
色んな人が絡み合い、真実が語られていく。
#さっちゃんはあなただったかもしれない
おひとりさま、毒親、貧困、時代ガチャ。
まさにそれを題材とした物語。
Posted by ブクログ
さっちゃんが何故死んだのか、遠回りして遠回りして、最後たたみかけるように答えが溢れ出す。
答えが知りたくて読み進める感覚ではなく、途中いちいち入り込むストーリーがあり、飽きる事なく遠回りができる作品だった。
Posted by ブクログ
さっちゃんはあなただったかもしれないというテーマで書かれたとても読んでいて苦しい作品だった。最後に明かされた真実にえっ?そうだったんですねという感じで終わってしまった……。
Posted by ブクログ
先が気になって一息に読んだけどなんか、週刊誌読んだ気分になった。参考文献は3冊。そのなかに中村淳彦の名があってなんか、わかる気がした。性産業に従事する貧困女性へのゲスな好奇心みたいなのをこの本読んで感じたので。
ただ読み終えた後なんかいろいろ考えてしまう。なかなか面白かった。