桐野夏生のレビュー一覧

  • 路上のX

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    親が出奔死親戚の家に預けられ、そこで邪魔者扱いされる真由。
    継父からの性的虐待から逃れ、JKビジネスをしながら、客の東大生の家に居候するリオナ。
    付き合っている男が友達を連れて家に入り浸るようになり、シングルマザーの母親が家を出て行ってしまったミト。

    行き場の無い少女達が渋谷で危ない目に遭いながら暮らす日々。

    声を掛けてくる男たちは少女達から搾取する事しか考えていない。

    何が悲しいかって、これは小説の中の話だけではなく、現実にもっと酷いことだってうじゃうじゃあるってことだ。

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    2022年04月08日
  • バラカ 上

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    最初は東北大震災の現場から始まり、どんな展開になるのかと訝る気持ちばかりだったけれど、読み進めるうちに気分が更に重くなる。
    なんて気持ちの悪い男なんだろう…
    途中から気分が重いに加えて気持ち悪くなる。
    後半どうなるのか…

    2022.4.6

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    2022年04月06日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    コロナ後の日本社会はどのように変化してゆくのか。変化した社会にどう生きるか。桐野夏生さんの「不寛容な時代、自由な小説から力を得て欲しい」の言葉に、不安の塊がふうっと軽くなりました。

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    2022年04月04日
  • 玉蘭

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     2001年刊。『柔らかな頬』の2年後で、『グロテスク』の2年前。桐野さんのキャリアの中では比較的初期の作か。
     桐野さんの近年の作品の文体はずいぶんと薄っぺらく人物の風貌や情景はさほど書き込まないまま、スピーディーにプロットを追うようなものが多いようだが、『OUT』(1998)辺りでかなりきめ細やかな文章力を発揮していた。
     本作もそれに近く、特に冒頭は何やら文学的な雰囲気が漂っている。しかし、そんな文章を噛みしめつつ読み進めると、突如強烈な、ショッキングな出来事が起きてビリビリと来た。第1章の主人公有子は上海の学生寮に住む留学生なのだが、同じ留学生の女性が、その寮で数人の日本人男子留学生(

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    2022年03月31日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    第二章 文化芸術の自由は誰のためにあるのか
    から読み始めました

    「芸術」の周辺にいらっしゃる
    人たちの 肌感覚による発言が
    そのままストレートに伝わってきます

    いつの世でも
    どの国でも
    「弾圧」「排除」は
    ピンポイントで行われる

    危うい この国では
    よほど意識しておかなければ
    いつのまにやら 加害者側に取り残されている
    ことになってしまうことが多いように思う

    本書を(肯定的に)読んでいる人たちとは
    どこかで しっかり つながっておきたい

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    2022年03月08日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    この作品に出会えてよかった〜!しかもシリーズものとあって、今後の作品も読むのが楽しみです。
    個人的にとても読みやすいミステリー。難しくないけど、真相には手が届きそうで届かない。読みすめていくごとに、主人公のミロと一緒に一歩ずつ犯人に近づいていく実感がドキドキしてたまらない。主人公もみんなキャラが立っていて面白い。
    元夫との間にあった確執や死の真相に謎が残るな〜と思ってたところに、シリーズ化されていると知って歓喜!早く読みたい〜!

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    2022年03月04日
  • ファイアボール・ブルース

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    プロレススポ根モノかと思って読んだらがっつりミステリで先が気になってガンガン読めた。男気のある火渡と女子プロレスの魅力とミステリが上手く融合されてて楽しめた。ラストもスカッ!

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    2022年02月27日
  • 奴隷小説

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    文庫本になってから読む利点は解説があるから、それがいいのか、邪魔なのか。

    この文庫版の政治学者白井聡の解説は、なるほどなあと思う。桐野夏生さんの作品が現代の(平成の)新しいプロレタリア文学ではないか、というところはおもしろい。

    ここに集められている7短編は、何かに隷属させられて藻掻くか、打ち破れる人間たちだ。現代見聞きするありがちな事情あり、昔の時代にさかのぼったのや、もっとおとぎ話的なのもあるが、それぞれが救われないどうしようもない状態なのは一緒で、作者は怒りに満ちて描いている。

    デストピアの世界といっても、人間たちが構成している世界だから、そこに矛盾が生じるのは当たり前、前向きに、個

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    2022年02月08日
  • 路上のX

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    リアルな展開で続きが気になり、
    一気に読み終えた。個人的に、締めの部分が何となく弱い気もします。描写や時間の流れがリアルで、こういう体験もしている子達もいるってことだなと思いました。

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    2022年01月16日
  • 夜の谷を行く

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    本書のストーリーのベースとなっている事件は、ウィキでは「山岳ベース事件」として扱われている。それを引用する。
    【引用】
    山岳ベース事件とは、1971年から1972年にかけて連合赤軍が群馬の山中に設置したアジト(山岳ベース)で起こした同志に対するリンチ殺人事件。当時の社会に強い衝撃を与え、同じく連合赤軍が起こした、あさま山荘事件とともに新左翼運動が退潮する契機となった。
    【引用終わり】

    事件の首謀者の1人であった永田洋子は裁判で死刑を言い渡される。ただ獄中で病を得て、死刑執行の前に病死する。それは、2011年2月、東北の大震災の直前であった。
    永田が地裁で死刑判決を受けた際の判決文は、下記のよ

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    2022年01月10日
  • 水の眠り 灰の夢

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    実際にあった昭和の未解決事件、草加次郎事件を幹にして構築したミステリー。昭和という土から生え出た虚構の蔓が実在の事件の幹に幾重にも絡まり、見事な物語へと姿を変えている。奥付によると阪神大震災の年に単行本が刊行されたようだが、二度目の東京オリンピックを終えて、一度目の東京オリンピックの頃の物語を読むことができたというのも、なんか良かった気がします。

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    2022年01月02日
  • バラカ 下

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    ドバイのベビースークで売られてしまった日系人の娘バラカ。
    身勝手な大人たちに振り回されていた中
    東日本大震災が起きる。

    原発事故の状況は伏せられ
    大阪オリンピックの準備が進められる中
    反原発を訴える人たちは何者かによって追い詰められる。
    バラカを支えてくれる人達にも次々と災いが訪れる…。

    小説と現実と重なり合うところがあって考えさせられる。
    日本はどこへ向かうのだろうか。

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    2021年12月19日
  • バラカ 上

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    ネタバレ

    日本で起こった大震災と福島第1原発の爆発という現実で起きた出来事が登場することと同じ世界に、ドバイで子供を買うという日本人女性が登場する。

    読んでいる私と同じ世界と、地続きにこのディストピアが続いているように感じる。

    バラカという少女に起こる数奇な運命に心が傷む。豊田おじいさんとどうか幸せになって....!!

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    2021年12月04日
  • 夜の谷を行く

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    独善的な啓子に辟易。あんな親戚がいたらゾッとする。赤軍派のリンチ加害者である啓子は親姉妹に迷惑をかけた、わるかった、と言う思いはあるが革命だの正義だのを盾に心からの贖罪がなくイライラした。途中で最後のオチもよめたけど面白い小説だった、筆力だなぁ

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    2021年11月21日
  • ダーク(下)

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    ネタバレ

    面白かった。ミロは因果なことに周囲を巻き込み壊していく。でも強かで強運だから、これからもきっと生きていけるだろう。

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    2021年11月07日
  • デンジャラス

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    ネタバレ

    桐野さんが好きで、本屋に立ち寄ったら半ば無意識に一冊買う癖がついています。この本も何か月も積読した後ほぼ無意識に読み始めたら、大谷崎の話でした。

    私は桐野さんのグロさも好きですが、大谷崎の耽美沼も好きです。10代の頃細雪を読んでうっとりして、映画も舞台も美しく、大好きです。偉大なる谷崎潤一郎の晩年を、敬愛する桐野さんが描いているなんて、終始わくわくドキドキしながら読破しました。

    読みながら、大谷崎は女が働くこととか嫌っていたこととか、わかってはいたけど私は受け入れられない価値観だとつくづく感じました。姉の夫に喰わせてもらう重子だって、物語の語り手としておもしろく頼りにしながらも、ただの寄生

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    2021年10月25日
  • 錆びる心

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    桐野作品に出てくる登場人物は、安易な感情移入を許さない癖の強さを感じます。6つの短編も語り手の常識や行動の方向は私と異なっていて、予測できない分、おもしろかったです。

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    2021年10月10日
  • 夜また夜の深い夜

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     ちゃんと自分の頭で考えて行動すること、信用できる人かどうかは自分の感覚で判断すること、善か悪かを決める自分の基準を作ること。そしてプライドよりも生き残ることを第一に考えること。
     桐野さんの作品から自分なりにいろんなことを学びました。読むたびに救われる気がします。
     この本はイタリアが舞台です。ギリギリで生き抜く姿は迫力があります。

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    2021年10月06日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    20人によるエッセイ。
    共感できる話が一つや二つはあるのではないでしょうか。
    私は瀬戸内寂聴さんでした。

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    2021年09月27日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    初めて読む方の文章が新鮮で特に印象に残った。山田和樹さん、永井愛さん等。既によく読んでいる方の名前につられて本を手に取り、新しい方のご研究などに興味が広がっていくのがうれしい。
    この本を読んで逆に「自由」という言葉を簡単に定義し使うことが難しくなったが。
    自由を手放したくないし、奪われそうなら戦う!新たな自由をつかみ取りたい!そして次の世代に手渡したい。

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    2021年09月20日