桐野夏生のレビュー一覧
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ネタバレうむう、やっぱ怖い。恐い。桐野夏生の小説は、なんでこう、こんなに怖いのだろうなあ、、、圧倒的です。原始的、というか、全てが剥き出し、というか、混沌の坩堝、というか、圧倒的なんですよね。なんの呵責も躊躇も容赦も無い、というか。とにかくまあ、怖い。
桐野夏生の小説世界の中に、もし自分が登場人物として存在したのならば、即座にケチョンケチョンに扱われてボロ布のように捨てられて死んでるんちゃうか?という気がします。自分みたいなヌルい甘ちゃんは、この世界では、絶対に生きてかれねえよ、食われる立場だよ、って気がするのですよね。
ただ、そんなおっとろしい世界が、圧倒的に魅力的でもあるんだよなあ、、、そこが -
Posted by ブクログ
ネタバレ怖いよなあ、、、桐野夏生の小説は、もう、なんというか、怖いです。そして、凄い。
女性作家で、絶対に勝てねえなこの人には、その存在感と圧倒的な強さに、いっつもコテンパンに打ちのめされるな、と思うのは、桐野夏生と髙村薫ですね。もう、圧倒的に、強い・怖い・逞しい、って感じがします。
桐野さんの小説の持つ、なんというか、圧倒的な強さと禍々しさ。まがまがしい、って、これ、全然正しい使い方ではないと思うのですが、バチバチに褒め言葉です。本当に、禍々しい。そして、惚れ惚れするほどに、強い。おっとろしいです、ホンマ。
何故にこれほどに、人間という存在の、黒さ、というか、小悪党さ、って言うか、狡さや邪悪さ -
Posted by ブクログ
ネタバレ(上下巻の感想)
面倒な田舎に嫌気がさして、実家を捨てるカスミ。
「夢」<「食べていくため」の仕事。
「普通でいい人」との職場結婚。
夫とは違う魅力を持ったクライアントとのW不倫。
「子どもや家庭を捨ててもいい」とお互いに思うくらいに周りが見えなくなっている2人。
それに気付いているお互いの家族。
そんなタイミングで失踪してしまうカスミの長女。
罪悪感におそわれ、狂ったように探し続けるカスミ。
長女のことしか見えていない母を傍観する次女。
離婚。
死を目前とした元刑事との長女捜索。
家族との再会。
死。
至る場面でカスミはどうしようもない人間だなって思ったけど、
その素質は誰にでもあるよう -
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ネタバレ(上下巻共通)
世評ほどの大絶賛はできませんが、直木賞受賞作だけあって面白かったです。文体もストーリーも重厚な、さすがと言うべき骨太の作品でした。
ただ、主人公・カスミの性的な魅力が話を動かすキーになっているのですが、その魅力が設定倒れというか、説得力を欠いていたように感じられたのは残念です。それが話の流れに若干の強引さを生じさせていた面も否めず。
内海の登場シーンでも「おいおいこいつと主人公が男女の関係に…なんて安い展開にはしてくれるなよ」と思っていたのに割とあっさり現実になってしまいました。
謎解きでなくヒューマンドラマに重きを置いた展開は見事だったのですが、それがやりたかったならあの