桐野夏生のレビュー一覧
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谷崎潤一郎の半フィクションバイオグラフィ、という宣伝が目に入ったので読んでみた。私も例にもれず、10代の頃に谷崎・三島の耽美沼にハマったので、それこそ作品はもちろんありとあらゆる書簡集やら論文やらを読み漁った。若かりし頃のあの滾るものを思い出した。本作、非常に真面目に史実と史実の間を”ええ感じ”に盛ってあり、読みやすくわかりやすい。ただ、わかりやすすぎて、すこし寂しさが募る。寂の文字が大谷崎にはよく似合うのでそれはそれでええかとも思う。自分の中で構築している谷崎及び家族像とは少々違うところも目立つが、ギャップも面白く感じた。
視点人物はマスターピース『細雪』の雪子のモデルになった重子。細雪の -
Posted by ブクログ
背景は東日本大震災の直前と震災、震災後6年経って(まさに今、2019年)、そしてもっと未来、先取りの物語です。
作者が執筆したのは東日本大震災の直後です。あの頃は世の中も文学もどうなるのかという衝撃でした。
過ぎてみればそこで世界が止まるわけでもでもなかったのですけど。
この「バラカ」というヒロインが日系ブラジル人の少女の成長物語のストーリーは、現実よりも福島の放射能被害が広範囲に深刻になっていて、というデストピアの世界。「えっ!そんなぁ~」と思いますが「もしかしてほんとうはそうなのでは」と思わせられてしまう怖さもあります。
日系人の両親が日本に働きに来て貧困に陥り、他の国に脱出するもうま -
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ネタバレうーん読むのがつらい話だった。上巻はバラカがちっちゃいのに境遇が大変で辛かったけど、下巻は成長してて自分の立場が分かってる上で巻き込まれてるからこれも辛かった。
エピローグは、こーやって大人になったんやなあと救いがあるラストだからこっちは安心するけど、読んでしまえば、なくてもよかったかもしれんと思ってしまった。何も見えない先に向かって歩みだそうとするバラカ、みたいなラストなら不安なまま終わってそれはそれでよかったかも、と思ったけど辛いもんなー。
震災後のディストピアものはボラード病を読んでるけど、表現している世界観は同じ感じだと思う。
面白かったからこの人の他の作品も読みたいわい。