桐野夏生のレビュー一覧

  • ポリティコン 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    うむう、やっぱ怖い。恐い。桐野夏生の小説は、なんでこう、こんなに怖いのだろうなあ、、、圧倒的です。原始的、というか、全てが剥き出し、というか、混沌の坩堝、というか、圧倒的なんですよね。なんの呵責も躊躇も容赦も無い、というか。とにかくまあ、怖い。

    桐野夏生の小説世界の中に、もし自分が登場人物として存在したのならば、即座にケチョンケチョンに扱われてボロ布のように捨てられて死んでるんちゃうか?という気がします。自分みたいなヌルい甘ちゃんは、この世界では、絶対に生きてかれねえよ、食われる立場だよ、って気がするのですよね。

    ただ、そんなおっとろしい世界が、圧倒的に魅力的でもあるんだよなあ、、、そこが

    0
    2018年02月21日
  • ポリティコン 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    怖いよなあ、、、桐野夏生の小説は、もう、なんというか、怖いです。そして、凄い。

    女性作家で、絶対に勝てねえなこの人には、その存在感と圧倒的な強さに、いっつもコテンパンに打ちのめされるな、と思うのは、桐野夏生と髙村薫ですね。もう、圧倒的に、強い・怖い・逞しい、って感じがします。

    桐野さんの小説の持つ、なんというか、圧倒的な強さと禍々しさ。まがまがしい、って、これ、全然正しい使い方ではないと思うのですが、バチバチに褒め言葉です。本当に、禍々しい。そして、惚れ惚れするほどに、強い。おっとろしいです、ホンマ。

    何故にこれほどに、人間という存在の、黒さ、というか、小悪党さ、って言うか、狡さや邪悪さ

    0
    2018年06月11日
  • 女性作家が選ぶ太宰治

    Posted by ブクログ

    未読既読入り交じっていたけれど、男性作家が選ぶ作品とはやはり色が違って面白い。くすっと笑ってしまえるあたり、やはり太宰の魅力。

    1
    2018年02月11日
  • 奴隷小説

    Posted by ブクログ

    短編集ですが、楽しめました。
    設定が現代なのに、理不尽に人が連れ去られて殺されたりの話があったりして。
    非現実的ながらも「理不尽」「差別意識」などを考えさせられる斬新な内容です。

    0
    2018年02月04日
  • 夜また夜の深い夜

    Posted by ブクログ

    一瞬だけ立ち寄ったことがあるナポリを思い出す。行動範囲は観光バスの車体の幅だけ。街路にゴミが舞い、街全体が灰色、犯罪をすぐそばに感じる異様さだった。
    そんなナポリにたどり着いた、死のとなりで毎日を生きる彼女たちを取り巻くミステリー小説。読み進めるのをためらうような、世界のどこかにある残虐さや哀しみも、それを共有することで深まる友情で救われる。

    #夜また夜の深い夜 #桐野夏生 #最後の数行息が止まる

    0
    2018年01月26日
  • 緑の毒

    Posted by ブクログ

    水曜日のレイプ魔の内面と被害者女性の心痛と復讐を描く衝撃作。
    邪な心というのは、いつ生まれてくるのだろうか。若くして開業医という成功者でありながら、嫉妬やストレスそして欲望に堕ちて、最も卑劣な犯罪に走る男。加害者にも被害者にも肩入れすることなく、ドキュメントタッチに顛末を描くことで、人間の悪意が毒物のように読書脳を犯していく。この語り口は怖い、そして巧い。

    0
    2017年11月21日
  • 優しいおとな

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    わたしは?どっちつかずなおとな。
    貧困、逃避、自棄、愛着、無関心、優しいおとな、優しくないおとな、どっちつかずなおとな、登場人物に大人は少ないけど多分みんな優しいおとな。
    最後の救いがあって助かった。

    0
    2018年01月22日
  • 柔らかな頬 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    (上下巻の感想)

    面倒な田舎に嫌気がさして、実家を捨てるカスミ。
    「夢」<「食べていくため」の仕事。
    「普通でいい人」との職場結婚。
    夫とは違う魅力を持ったクライアントとのW不倫。
    「子どもや家庭を捨ててもいい」とお互いに思うくらいに周りが見えなくなっている2人。
    それに気付いているお互いの家族。
    そんなタイミングで失踪してしまうカスミの長女。
    罪悪感におそわれ、狂ったように探し続けるカスミ。
    長女のことしか見えていない母を傍観する次女。
    離婚。
    死を目前とした元刑事との長女捜索。
    家族との再会。
    死。

    至る場面でカスミはどうしようもない人間だなって思ったけど、
    その素質は誰にでもあるよう

    0
    2017年09月19日
  • アンボス・ムンドス ふたつの世界

    Posted by ブクログ

    何もかもどうでもいい平日のど真ん中に銀座の片隅にある天井からドデカいシャンデリアのぶら下がるようなオシャンティなラウンジバーで毒薬の注がれたショットを7発嗜むような作品です。エッジィでどこかエレガントで彼女の作品は期待を裏切りませんね。

    0
    2017年05月07日
  • 柔らかな頬 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    (上下巻共通)
    世評ほどの大絶賛はできませんが、直木賞受賞作だけあって面白かったです。文体もストーリーも重厚な、さすがと言うべき骨太の作品でした。

    ただ、主人公・カスミの性的な魅力が話を動かすキーになっているのですが、その魅力が設定倒れというか、説得力を欠いていたように感じられたのは残念です。それが話の流れに若干の強引さを生じさせていた面も否めず。
    内海の登場シーンでも「おいおいこいつと主人公が男女の関係に…なんて安い展開にはしてくれるなよ」と思っていたのに割とあっさり現実になってしまいました。

    謎解きでなくヒューマンドラマに重きを置いた展開は見事だったのですが、それがやりたかったならあの

    0
    2017年02月27日
  • 緑の毒

    Posted by ブクログ

    誰かにフォーカスしてもうちょい掘り下げていただけたらなぁと。
    川辺の闇も深いようで浅い感じで、なんとなく尻すぼみ感が。
    んうー

    0
    2016年12月19日
  • ポリティコン 下

    Posted by ブクログ

    唯腕村の新理事長に就いた東一の独裁政治に、村民の派閥闘争が起こる。村の再興は危険なビジネスを伴う虚業であり、底なし沼のような闇の中に希望の光は灯るのか。破滅か新天地か。衝撃の下巻。
    主義を貫くには独裁しかないが、従う人々をまとめるには根回しが必要だ。東一に決定的に欠けているのはその部分。でも挫けない不屈の闘志はカリスマ的要素。こんな厄介な人間は側にいたら、面倒で仕方ない。強烈な印象を残す人物だった。

    0
    2016年12月04日
  • 優しいおとな

    Posted by ブクログ

    コミューンとか、共同平等とか、桐野作品らしい。本当の悪人が出ないのとかも
    (私がどんくさいから気付かないだけかもだけど)。みんなピュア。
    最後の最後に、イオンがやっと自由になれてよかった。救われない感じもするけど、
    これはこれでいい。
    メタボラと同じような、登場人物と疾走した連帯感と喪失が嬉しかった。

    0
    2016年12月02日
  • ポリティコン 上

    Posted by ブクログ

    理想郷の実現を目指し、東北に建設された唯腕村。若者は村を離れ高齢化と資金不足で、ユートピアの成れの果てに堕ちていく村に、新住民が入村して起こる愛憎劇。
    村の唯一の若者で新理事長となる高浪東一。創始者である祖父や理念を継ぐ父とは異なり、ただ権力と欲望を求める姿が某国を思わせる。思想や哲学では飯も食えず平和も保つことはできない。東一が進む道は、カリスマ的独裁者か三代目のなんとかか。薄幸の美少女・真矢はどうなるのか。下巻も楽しみである。

    0
    2016年12月01日
  • ファイアボール・ブルース

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    女子プロレスの弱小団体、花形レスラーの火渡抄子、その付き人で、団体最弱の近田
    対戦相手に酷似した遺体から不審を抱き、独自に調べてみると・・
    雑誌記者・松原、大手団体のスターHIMIKO

    0
    2016年10月03日
  • 柔らかな頬 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    3.8
    高校卒業を機に、故郷・北海道と両親を捨て東京に出てきたカスミ、就職先の経営者・森脇道弘と結婚し二児を授かるが、
    仕事の受注先のデザイナー・石山と不倫の仲になる。石山は二人の逢瀬の為に別荘を購入するが、そこは奇しくもカスミの故郷の隣の村だった。二家族での休暇という大胆な計画を実行し禁断の夜を過ごすが、翌朝、カスミの長女・有香が忽然と姿を消す
    狂ったように有香を探すカスミ、大きく歯車が狂い出し、人も環境も全てのものが変化して行く。

    0
    2016年09月28日
  • ファイアボール・ブルース2

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前作のファイアボール・ブルースは長編ミステリーだったが今作は打って変わって連作短編集だった。(ちなみにはじめは1巻の続き物と思っていたがすべて読み終わってから違うことに気づいた。)女子プロレスの世界感や登場人物の心情、苦悩などの表現は巧みなので個人的には一作目よりも読みごたえはあると思う。

    0
    2016年05月02日
  • 光源

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    映画制作のスタッフ、俳優それぞれの思惑、実際こんな感じなんだろうなと思わせる、ドキュメンタリーのようにも感じる雰囲気。

    一気読みできたのは、それぞれが野心と思いやりとの間で葛藤している姿がよかったからか。

    0
    2015年12月07日
  • 柔らかな頬 上

    Posted by ブクログ

    故郷の北海道を捨てたカスミは、夫の友人で不倫相手の石山に北海道に別荘を買うと告げられる。
    そして、互いの家族が集まり別荘で過ごすことになるが、そこでカスミの娘が行方不明になる。
    数奇な運命。
    そこから、何もかもが崩れ出す。

    2015.11.27

    0
    2015年11月27日
  • 錆びる心

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    短編集。作品に共通するのが作品の中での輪廻というか因果応報のような流れがあって思わずなるほどと感心してしまうオチがある。それが作品一つ一つに魅力を作り出していると思う。

    0
    2015年09月27日