桐野夏生のレビュー一覧
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ネタバレ「好事、魔多し」との言葉があるが、恐らく調子のいい時には、やっかみから横やりが入るだけではなく、危機管理能力が薄れるのではないか。目の前の状況にのめり込み過ぎると、この人と関わると、これ以上進むと、危ないという勘が働かなくなってしまうのだろう。
その点、水矢子は冷静だった。けれども幸せにはならなかった。母親の借金という不遇もあったが、あえて幸せになろうとはしなかったようにみえる。佳那を差し置いて、自分だけが幸せになることはできないと思ったのではないか。水矢子はバブルには溺れなかったが、酒に溺れた。身を持ち崩す原因が、象徴的だと感じた。 -
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日本では女性の体を男社会が支配していた時代が長く、欧米に比べてフェミニズムの運動が弱かった。女性が自分の体をコントロールする権利、望まない妊娠を防ぐのは個人の権利という思想は今では当然と思うが、これを読んで古い体制の社会が徹底的に女性の独立を阻み、制度を遅らせてきたことがわかる。アメリカと比べると実に39年も遅れている。
塙さんのように体制や社会と闘う勇気を持った人たちがいたから、今に至るまで少しずつ色々な制度や価値観が変わってきたのだろう。キング牧師やミルクを思い出した。が英雄になれた人たちの一方で、抹殺されてしまったかもしれないが、確かに自由を勝ち取るために戦ってきた人々に思いを馳せた。 -
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ネタバレ偶然桐野さんのペンクラブ会長の就任会見を動画で見て、桐野さんはしばらく読んでなかったと思ってこの本を引っ張り出した。書棚の整理中に見つけていたので再読。期待通り面白かった。
短編が六編だが、とに角最初の「虫卵の配列」という題名にインパクトがある。
昆虫は可愛らしいものも多いが、きれいな葉っぱをふと裏返してみて、並んだ卵はさすがに気持ちが悪いこれOUT。
☆虫卵の配列
教師向けの雑誌を作っている私は、中学の生物教師をしている瑞恵と偶然出あった。会いたいと思っていたので嬉しかった。教師を辞めて今は介護施設で働いているという。私は付き合っていた画家に失恋をした話をした。意外なことにおとなしいイメー -
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ネタバレ桐野夏生さんの本は読みやすくて、読み始めると止まらない。
ママ友同士のドロドロについては、皆様お疲れ様ですという気持ち。これを楽しく読んでしまう私の中にも(認めたくないが)マウント心があるのかもしれないな、と思った。
そんなことより、最後の結末は納得できなかった。
夫の俊平に対して「貴方もだいぶ身勝手すぎないか?」と思う。
経産婦であったことを隠されていたショックはあったかもしれない。
しかし妻が経産婦だったことがそんなに許せないことなのか?ただ前夫との間に子を産んだだけで、何も悪いことをしていない。
一方で、離婚を妻に受け入れてもらえなかったからとアメリカで愛人を作るのはどうなのか。俊介 -
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ネタバレなかなかきついテーマ。
ひとり子どもを育てている身として読むと
どうしても現実寄りの視点で見てしまった。
出産なんて予定外のオンパレードだし、
感情も身体も、契約書どおりになんて動かない。
それを商売として成立させようとすること自体、
やっぱり相当無理があるよなーと思う。
グレーゾーンだらけで、
契約違反かどうかなんて簡単に線も引けない。
リキの冷静さが、この物語のスパイスだった。
感情的になりすぎず、突き放しすぎもしない、
ちょうどいい温度感。
周りが激しいぶん、結果的に一番現実を見ている視点だった気がする。
主観がリキだから、自然とリキ寄りで読んだ。
最後に一人だけ連れていく展開は -
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解説にて、プチセレブな30代女性をターゲットにしたファッション誌「VERY」にて連載されていたことが尚更皮肉的である(入園式や卒園式の服、ママ友との食事会用の服、幼稚園の性格別ファッションなど)。
導入から、保育園じゃなく幼稚園でなければ絶対駄目という思想が主人公・有紗にはあり、仲良しのママ友ともタワマン購入者か賃貸かで薄ら差別を感じるなど、めんどくさい人間関係でありがちな話である。
タワマン外に住みながらもママ友リーダー・いぶママに気に入られて仲間に入っている美雨ママは、タワマンで子育てというのもいかがなものか、などと疑問を時折口にしており、有紗よりは視野が広いが、いぶパパとの関係など、正 -
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10余年前に発表された本作。華やかな学歴や経歴を手に入れ、周囲から羨望されるような「いい暮らし」を送りながらも、胸の内から消えることの無い強い虚無感や劣等感を描いた「タワマン文学」の元祖と言うべき作品でした。
階層、眺望、分譲、賃貸。あらゆる要素で住民の階級差を可視化するタワーマンションは、住民の虚栄心を満たす一方で、大変差別的な一面を持つ。いぶママを頂点とするBWT組のヒエラルキーと外様組の美雨ママ、その境界で漂う有紗の描写が印象的でした。
人よりちょっといい暮らしをしたい。人より少しだけ上でいたい。わずかな優越性を求める気分が、些細な差異を過剰に気にする心性と、他者に対する差別心を生む