桐野夏生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ最悪だし身勝手過ぎる結末だったけどどこか爽快感もあってなんだか読み終わったあとスカッとしてました。
まず登場人物がみんな身勝手で最高です。
特に主人公のリキが後先何も考えずただ今自分がこう感じたからこう!って行動してるんだけど、その分ちゃんと後でものすごい後悔してて、その起伏が見てて面白い。
「お前もうちょっと考えろ〜〜」って思うんですが、それもまたおかしくて良い。
他の登場人物も程よく身勝手で特にりりこが、全く関係ない部外者なのにしゃしゃり出てきて引っ掻き回してくるから良かったです。
代理出産という中々結論も出しづらい重いテーマなのに皮肉な感じがちょっと笑える。
様々な立場の人の言い分があり、主人公のお腹の子が成長し変わっていく中で周囲の人々も変化していく。その複雑に変わっていく人間模様が分かりやすく淡々と描かれている。
最後の終わり方も、子供のこと何も考えてなくて「身勝手だし最悪だな」とか思いながら、でも主人公にとってはこれがささやかな復讐で未来への希望となっていて明るくなっているのも良いなと思いました。
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Posted by ブクログ
萬三証券福岡支店で大口顧客を掴み、本社国際部へ栄転した望月。そんな望月と結婚し、念願の上京を果たした佳那。が、家庭よりも仕事を優先する望月に不満を募らせ、自らも浪費と遊びにのめり込んでいく…
一方、お金をため、大学受験をしたものの、志望校には合格できず、女子大に進学した水矢子は、周りとのギャップ、アパートでの人間関係に悩み、占い師・南郷のもとに転がり込む…
バブル景気に翻弄させられた望月と佳那。
バブル時代にはこんなことは当たり前だったのかもしれない…
もっと顧みることができれば。
もっと謙虚であれば。
なんとかならなかったんだろうか…
望月も佳那も彼らを嗜める人がいなかったんだな。
そんな人がいれば…
まわりには甘い汁を吸いたい人間しかいなかったと。
望月がそんな付き合いしかしなかったから、身から出た錆ではあるが。
せめて佳那だけでも…
水矢子は堅実でしっかりと生き、ダイヤモンドのように輝き、最後に…と思ったが…
まったく輝くこともなかったなんて…
母親の借金に足を引っ張られるなんて…
水矢子には幸せになって欲しかった。
死んだ母親にずっと苦しまされるなんて…
不憫でならない。
思っていたよりも、あっさりしたものだった。
佳那や水矢子がもっとのし上がるのかと思っていたが…
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Posted by ブクログ
バブルが崩壊したとき、まだほんの子どもだったのでバブル時代の熱狂は全く知らないのですが、今作を読むとすごい時代だったんだなぁ…と改めて思います。
今作は、バブル期の証券会社を舞台にして、水矢子、佳那、望月という二人の女性と一人の男性の3人の半生を描いた作品です。
とにかくバブルの狂乱ぶりが恐ろしい…!バブル時代の証券会社はルールも罰則もなくてやりたい放題なのだ…他人や親族名義で勝手に株を買ったり…こんなの許されるの?と思うくらい滅茶苦茶で。その中で男たちは大きなお金を動かして得意になっているのだが、女性たちは女というだけで差別されて仕事をするだけでも苦労する上に、仕事が上手くいっても枕をしていると陰口を叩かれるのだ。
福岡で成功して東京に移り住んだ望月と佳那は次第に生活が派手で豪奢になっていき、最後破滅してしまう。
私はとにかく望月という男が苦手で…口八丁手八丁で上手いことを言って客に金融商品や株を売りつけるけれど、取引額が低い客は損しようが全く気にかけず、とにかく大物に取り入るためには何でもするみたいな性格で。
佳那が望月と結婚せず、水矢子と二人でずっと仲良く暮らしていっていればこんな悲劇は起こらなかったのに…と思ってしまいます。
読後、心がずーんと重くなりました。 -
Posted by ブクログ
1986年4月、萬三証券福岡支店に入社した小島佳那と伊東水矢子。ともに経済的に恵まれない環境から抜け出そうとしていた。フロントレディとして、稼ぎたい佳那、お金を貯め、東京へ出て、大学で勉強したい水矢子。
そして、熊本の名もない私立大学から萬三証券に入社し、自分を見下した人たちを見返し、のし上がろうとする営業マン・望月。
世の中に生まれつつあるバブル景気に3人が呑み込まれていく…
バブル景気前夜の証券業界。
この頃はなんでもありだったんだなと。
バブル世代としては懐かしい。
恩恵はほとんど与らなかったが…
ただ望月の使えるものは何でも使う、佳那や水矢子の話を勝手にしてしまう…というやり方は受け入れらるない…
これから、佳那や水矢子が望月に翻弄されていくのかと思うと…
もっと大きな騙し合いがあるのかと思ったが、案外すんなりと。
バブル崩壊でどうなっていくのだろうが⁇
下巻でエスカレートするのだろうか⁇
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Posted by ブクログ
ネタバレ「好事、魔多し」との言葉があるが、恐らく調子のいい時には、やっかみから横やりが入るだけではなく、危機管理能力が薄れるのではないか。目の前の状況にのめり込み過ぎると、この人と関わると、これ以上進むと、危ないという勘が働かなくなってしまうのだろう。
その点、水矢子は冷静だった。けれども幸せにはならなかった。母親の借金という不遇もあったが、あえて幸せになろうとはしなかったようにみえる。佳那を差し置いて、自分だけが幸せになることはできないと思ったのではないか。水矢子はバブルには溺れなかったが、酒に溺れた。身を持ち崩す原因が、象徴的だと感じた。 -
Posted by ブクログ
日本では女性の体を男社会が支配していた時代が長く、欧米に比べてフェミニズムの運動が弱かった。女性が自分の体をコントロールする権利、望まない妊娠を防ぐのは個人の権利という思想は今では当然と思うが、これを読んで古い体制の社会が徹底的に女性の独立を阻み、制度を遅らせてきたことがわかる。アメリカと比べると実に39年も遅れている。
塙さんのように体制や社会と闘う勇気を持った人たちがいたから、今に至るまで少しずつ色々な制度や価値観が変わってきたのだろう。キング牧師やミルクを思い出した。が英雄になれた人たちの一方で、抹殺されてしまったかもしれないが、確かに自由を勝ち取るために戦ってきた人々に思いを馳せた。