桐野夏生のレビュー一覧

  • 優しいおとな

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    近未来の小説なので挿画・挿絵にスカイエマさんを選択されたであろう事は想像しましたが、今までの作品とはあまりにも違うので驚きでした。

    内容は近未来の渋谷でしたたかに生き抜くホームレスの少年・イオンを中心に物語は展開して行きます。

    地下のシーンが多いので脳内映像だけで息苦しくなる様な展開です。

    それでも文章も丁寧で想定もわかりやすいので飽きる事無く読み進める事が出来ました。

    本著は好き嫌いに分かれるかと思いますが桐野さんの新たな一面を発見出来る作品となっています。

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    2021年01月25日
  • 柔らかな頬 下

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    子供の誘拐事件。この小説はミステリーと言えばそうであるが、救いのない、出口の見えない暗闇を彷徨い続けるかのような展開。
    誘拐された子供を探し続ける母親、自分の死期を自覚しつつ一緒に探す元刑事。
    決して読後感いいものでないが、この心理描写は見事であり、最後まで引き込まれた。

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    2021年01月14日
  • 柔らかな頬 上

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    直木賞受賞作。暗い過去をもち、浮気をしているとき、娘が行方不明になり、罪悪感をもちかながら、娘を探し続けるカスミ。
    元刑事で余命宣告されている内海と娘を探しはじめる。
    引き込まれる展開。面白い。

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    2021年01月13日
  • 奴隷小説

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     2006年から2014年に書かれた作品を集め、2017年に単行本化された短編小説集。
    「奴隷小説」というタイトルが不思議と全編に結び付いている。特に巻頭の「雀」「泥」や最後の「山羊の目は空を青く映すか」は奴隷化された存在をめぐる寓話的な物語だ。
     この社会にあって、女性や経済的弱者は奴隷として扱われているようなものであり、それに対する怒りや悲哀を、桐野夏生さんは常々意識しているのだろう。
     個々の短編小説は、一般的な短編小説作法の基準から言うとやはり「オチがない」「唐突に中途半端に終わる」感じがあって、型にはまった書法を嫌う桐野さんが短編を書くとこうなってしまうのかな、と思う。少ない紙数では

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    2020年12月25日
  • 優しいおとな

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     2010年単行本化、桐野夏生さんの長編小説。
     今回は、面白く通読できるものの、桐野さんの作品としては幾らか物足りないものを感じた。たぶんその理由は次のような点だ。

    (1)主人公はじめ主な人物は少年であり、いつもの「女性の視点」がほぼ無かった。
    (2)小説ならではの心理描写はさほど優れず、プロットと行動・会話ばかりが浮上して、ジュブナイル風の平易な物語となっていた。
    (3)社会システムや理不尽な「周囲の人びと」への怒りがあまり表面化されないのが、いつもの桐野作品と異なり、苦痛が控えめだった。
    (4)桐野作品がしばしば体現する小説的形式の破綻が無く、「ふつう」に感じられてしまった。

     20

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    2020年12月20日
  • 奴隷小説

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    『奴隷』ばかりの短編集。

    最初の方は、分かりやすく女性が奴隷、という環境。
    閉鎖的な村、攫われた女子高生。
    夢のために、と頑張る子供の母親の話もありましたが
    妹の言葉が、もっともです。
    そこまで金をつぎ込ませるという事は
    そこまでせねばならない素材というのもあるし
    いつまでも頼ればいい、というぬるま湯現象も。

    奴隷、といわれて想像するものが出た、と思ったら
    次は人生だったり、女性相手に、であったり。
    ひたすらに、がむしゃらに。
    そのために頑張る奴隷、でした。

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    2020年11月17日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    謎解き、人間関係、苦悩、愛憎のバランスが良い作品。
    ドイツのネオナチまで手を伸ばして謎に絡めているが、綿密な下調べがされており、トンデモ感なく読めた。
    ドラマチックかつ、キャラの立つ登場人物たちがいるので、映像化されたときの情景を思い浮かべることができた。
    頭をからっぽにして、楽しめる作品。

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    2020年11月03日
  • 奴隷小説

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    久し振りの桐野作品! タイトル通りの社会構造を浮き彫りにする短編7編。「雀」「泥」「告白」「山羊の目は空を青く映すか」あたりがお気に入り。特に「雀」の世界観は、理不尽で重層的な支配構造を描いており、気持ち悪くなりながらも頁を捲る手が止まらなかった。

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    2020年10月01日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    1993年度の江戸川乱歩賞受賞作。もう23年も前。探偵の娘のミロが友人の失踪をその友人の恋人と共に行方を追うのだが、その2人が惹かれ合ったのには少し嫌な気分にさせられた。後半部分はなかなか面白かったので、この次のシリーズも読んでみようと思う。

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    2020年08月26日
  • 緑の毒

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    金と権利という自由を手に入れても尚満ち足りない気持ちを埋めるための行動は酷い。被害者を軽んじる、従業員や患者への上から目線は、医者という職業が悪い方向へ育ててしまったのかも。

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    2020年08月16日
  • バラカ 下

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    ネタバレ

    上巻が終わって、止まらず下巻に行ったのに、
    急に時間軸が変わってて、ちょっと拍子抜けした。

    でも、バラカの不幸はどこまでも続く。
    読んでるうちに、
    あー!そいつも悪いヤツか…となっていくので
    誰が出てきても、
    そいつもダメなんじゃないの!!
    イヤイヤ、ソイツ信じちゃダメだろ!と、
    そういう意味でハラハラしてた。

    でも、最後イマイチ、伏線回収については消化不良感あり。
    あんなに丁寧に描いてきたのに、結局父娘は再会しなかったかんかーい!と思った。

    まぁ。
    最後は、やっと穏やかな日常を取り戻せたようで良かった。
    でも、戸籍とかないのにどーしたんだろうねー。

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    2020年07月26日
  • 緑の毒

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    開業医の川辺は、勤務医の内科医である妻に嫉妬心を抱いていた。
    患者からも院内からも人気があり、同じ病院の医者と不倫関係にある妻に。
    川辺は、鬱憤に耐えきれず、犯罪を重ねてしまう。それは、連続レイプ。

    川辺、そのクリニックで働く看護師、川辺の妻カオル、川辺に苦しめられた被害者の女性達、川辺の同期。様々な目線を通して、一連の事件が追われていく。

    夢中になって読んでしまった。

    この物語の特徴は、ヒーロー的存在の探偵役を立てていないことだ。

    川辺なる「犯人」を追うべく、様々な登場人物たちが、少しずつヒントを探り出してかき集めていく。その過程に惹きつけられる。

    また、特

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    2020年07月26日
  • 水の眠り 灰の夢

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    以前、ミステリをむさぼるように読んでいた時期に買った一冊。久しぶりに引っ張り出して読んでみた。桐野夏生は他にも何冊か読んでいて、この本よりもOUTの方が(その特異性ゆえに)印象に残っていたが、実際に起こった未解決事件を題材にしつつも、独自の人物像を作り上げ、ストーリーが作られていくプロセスには、共通する人間観察力みたいなものを感じた。一つの事象や言葉などから妄想を広げて、自分だけのキャラクターを作っていく作業って、きっと面白いだろうなぁと思う。

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    2020年07月18日
  • バラカ 下

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    ネタバレ


    面白かったのは間違いない。読み始めたら止まらなくなり、「バラカ」という1人の少女の数奇な人生を、並走するように猛スピードで読みきった。

    だが。ちょっと風呂敷広げ過ぎと言うか情報量多過ぎと言うか……。

    上巻では、キャリアと財力を手にした四十路過ぎの独身キャリアウーマン2人が、それに飽き足らずドバイの人身売買組織から幼女を購入。その前に現れた元カレの悪魔のような策略により二人の運命が狂いだす。こういう女のルサンチマンを書かせるとホント筆者は上手くて、こっちはその醜悪さに閉口しつつも目が離せなくなる。

    並行して綴られるのは出稼ぎで来日した日系ブラジル人の一家の日常だ。やがて失踪した妻と子を探

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    2020年07月12日
  • ポリティコン 下

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    ネタバレ

    理想の農村を作った人の血を引く男と脱北者を援助し行方不明となった母親を持つ娘が主人公の話。全般的に重苦しい雰囲気だが、人生を生き抜く力のようなものを感じる。

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    2020年06月15日
  • 緑の毒

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    ネタバレ

    その昔、僕の友人がですね、桐野夏生の「メタボラ」を評して「ポップにグロい」と言っていたのですが、あの表現、まさに言い得て妙だなあ~、と思って、今頃感心しております。そうなんですよね。桐野作品、まさに、ポップにグロい。「ああ、これが現実社会なのか、、、そうなのか、、、」と突きつけられる容赦のなさ。その消費文化っぷり、そのグロさっぷり。あの表現、うん。まさに、桐野作品の真理を突いている気がする、と、この「緑の毒」を読んで、至極納得した次第です。

    この作品、なかなか興味深いのは、連載時は、角川書店の雑誌「野生時代」に2003~2011年もの長期間にわたって、断続的に連載していたものなんですって。あ

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    2020年03月27日
  • 夜の谷を行く

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    81年生まれの私はこの事件を当然リアルタイムでは知らないし、付け焼き刃の知識で本書の持つ重みを体感出来たとは到底思わない。しかしながら、今作に登場する連合赤軍側の主要人物たちの罪の意識がやたらと希薄に映ってしまうのは、彼らにとってあの動乱はいくら時が経とうと【犯罪】ではなく【聖戦】のままだからなのだろうか。熱病の様な狂乱の渦中、起きてしまった出来事に誰もが納得する答えなど存在しない様に、私たちは他者の心の奥底を知り得る術を持ち合わせてはいない。作中の東日本震災はあくまで味付け程度の扱いで少しモヤモヤする。

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    2021年01月13日
  • ダーク(上)

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    ミロシリーズの最終章らしいが、最終章から読んでしまった。
    シリーズを順に読んでいたら、登場人物の性格がもっと分かって面白かったと思う。
    あらすじにある通り、成瀬の獄中自殺から始まる話だが、成瀬との関係(ざっくりと本書に説明はあった)が曖昧だったため、ミロの人生にこんなにも大きく影響を与える意味が分からなかった。
    話自体面白かったが、シリーズから順に読めば良かったと後悔が残った。

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    2020年02月24日
  • だから荒野

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    ネタバレ

    この題名は、非常にカッチョええと思うのですが、若干「なんじゃこら?」と思う個所もある。謎の「だから」始まりと、謎の体言止め「荒野」終わり。「だから荒野」って、どーゆーことよ?
    「(~は、~である。)だから荒野(とは~)」だったら、分かる気はする。
    「かくかくしかじかの理由があった。)だから荒野(でホニャララした。)」だったら、分かる気はする。
    でも、問答無用の「だから荒野」だからって何?なんでいきなり「だから」ってなるの?謎です。謎なのです。

    で、読み終わったら、そのタイトルの意味せんとす、意図せんとすところ、わかるんかな?と思って読んだのですが、すみません。わかりませんでした。でも、好きな

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    2020年02月20日
  • 女神記

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    文章が美しいため一気に読んだけども、なぜ、これを今書かねばならんのかよくわからず、しばし読後に頭をひねってしまいました。

    古事記の今語りとしても、これを今書かねばならんテーマ性ってなんだろう?
    でも、よく考えてみれば、私が頭が悪いせいかもしれないけど、桐生様の作品には、
    よくわからないものが多いかもしれません。

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    2020年02月09日