あらすじ
荒ぶる魂を持つ女たちの強さと弱さ、そして優しさ。
己の限界を感じた時、彼女が選んだ道とは?
女子プロレス界きっての強者・火渡抄子。人は彼女を「ファイアボール」と呼ぶ。
火渡に憧れ入門し、付き人になった近田だが、仲の良かった同期・与謝野の活躍を前に、自分の限界が頭にかすめる。
そんな折、火渡が付き人を替えると言い出した。 近田は自分にどうケジメをつけるのか。
女の荒ぶる魂を描いたシリーズの完結篇となる連作短編集。
※この電子書籍は2001年8月刊行の文春文庫を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
再読。
女子プロレスを舞台にした第二弾、短編集。
ミステリー的要素も入っていて、どれも奥深い。
最も印象に残っていたのは、主人公 近田と同期の美人レスラー与謝野の話「嫉妬」
他には、「入門志願」「リングネーム」が面白かった。
最後の「近田によるあとがき」は泣かせる。
Posted by ブクログ
前作のファイアボール・ブルースは長編ミステリーだったが今作は打って変わって連作短編集だった。(ちなみにはじめは1巻の続き物と思っていたがすべて読み終わってから違うことに気づいた。)女子プロレスの世界感や登場人物の心情、苦悩などの表現は巧みなので個人的には一作目よりも読みごたえはあると思う。
Posted by ブクログ
連続短編集。
プロレスの世界そのものに物語がフォーカスされているので、
1作目よりもこちらの方が断然よい。
前作では火渡抄子の活躍や生き様に重きが置かれていて彼女が主人公の扱いであったが、
本作では物語の語り手である近田が中心となって各物語が展開していく。
近田と同期の与謝野、レフリーのミッキー、ヒールの北本など、
前作ではあまり登場の機会がなかった団体内の人物がより深く描かれていて期待通り。
「プロレスが恐くなった」と言い残し、
長期欠場の末、昨年いっぱいでJWP女子プロレスを退団した大木アスカと、
近田の揺れ動いていく心境がダブって仕方がなかった。
もちろんこれは個人的な一方的思い込みなのだけれど。
Posted by ブクログ
前作に続いてこの二作目も面白かった!個性的なレスラー達、荒れる試合、乱闘…読んでいて純粋に楽しい。加えてこの作品では、近田の視点で女子プロレスラーならではの悩みや葛藤なども書かれていて、華やかな世界の裏のシビアな現実がよくわかる。それにしても火渡さんはカッコイイ&「アマデウスさゆり」というリングネームがツボにはまって困る 笑。
Posted by ブクログ
桐野で初めて泣いた。簡単にいえば、権田が団体を去るのは青春の終焉だからだ。青春が終わったらやっぱ切ないし私は泣いちゃうね!凡庸でひたむきな権田が自分のすべてだったプロレス、そして火渡との決別を決めるという大きな諦めと少しの安堵、そして田舎へ帰って今度は平凡な女になる、という!絵にかいたような青春の終わり!泣ける!と思ったのは自分とダブっただけだった!!
Posted by ブクログ
女子プロレスを題材とした2作目。先の見えない不安感や、祭りのあとの空虚感、女同士の日常のささいな情の駆け引きなど本当にこの作家さんは細やかな感情を拾いあげるのが巧い。
Posted by ブクログ
1を読んだ人は読まないと損するほど完成度の高い連作短編集だが、前作の事件はなかったことになっている様子。ラストは1ほどスカッとしなかったけど、女子プロレスの世界に浸れた一冊。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
女子プロレス界きっての強者・火渡抄子。人は彼女を「ファイアボール」と呼ぶ。火渡に憧れ入門し、付き人になった近田。仲の良かった同期・与謝野の活躍を前に、自分の限界が頭をかすめる。そんな折、火渡が付き人を替えると言い出した。近田は、自分にどうケジメをつけるのか。女の荒ぶる魂を描いたシリーズ完結篇となる連作短篇集。
Posted by ブクログ
前作を読んだので、続けて読んでみた
・短編集で、前作よりも時間軸は前の話
・最後の最後に、前作の後日譚がみられるが
うまく整合していない?のかなと思った。
ただ結果は予想外の方向で。
・エピソードとしては、最初の新入門レスラーの話と
最後の付き人の彼女は、普通の人だったという2つが
意外性のある終わりかたで、印象に残った
・前作と同じく、ものすごい熱中するわけではないが
スラスラ読めて楽しめる
Posted by ブクログ
先日読んだ「ファイアボール・ブルース」の続編。
前作と違うのは、連作短編集だったこと。
内容も、ミステリー要素がなくなり、
レスラーとは言え女だけの世界の嫉妬や恐れなど、
メンタル部分が深く描かれていた。
連作1の「入門志願」は二人の新人の正体など尻つぼみで、
その後の展開がどうなったのかイライラしたが、
その他は概ね面白かった。
特に、スター火渡の付き人である近田による”あとがき”が良かった。
前作レビューで、作者は神取忍を火渡のイメージで描いたと書いたが、
私的イメージは、北斗晶だなぁ~。(笑)
Posted by ブクログ
前作の設定を引き継いだ短編集。
だが、それぞれの話が繋がっており、
チャプター毎にオチをつけた長編、といったところか。
ひたすら火渡さんがかっこいいばかりだ。
オトコの臭いを感じさせないオンナの物語。
私も与謝野にどつかれたいものである。
……かるく昇天してやるぜ。
Posted by ブクログ
火渡さん(モデルは女子プロ神取忍)、女が惚れる女っす。主人公で付き人の近田気分で堪能。
見た目が良い与謝野が出世していくのは嫉妬した。
書き下ろしのあとがきがいいな。近田は親近感わくなあ。
Posted by ブクログ
一日で読んでしまいました。連作短編という形で飽きが来ず、かつ続きが気になる気になる…ので。
正直、私には縁も縁もない女子プロレスのお話だったのだけど、まあ勝負の世界というのはどこも大変なんだねえ、と改めて。勝負師とは正反対な生き方をしている自分には、語り部の近田ちゃんに一番共感できました。
Posted by ブクログ
プロレスを舞台にした人間模様が描かれた続編。こちらは短編になってた。2の方はミステリー的な要素はなく、主人公近田、同期の与謝野、絶対的な存在感の火渡などを中心とした人間模様と揺れ動く心を描いてある。プロレスのことはあまり知らなかったが、やはりシビアな世界の中で生きていくことがどんなに大変か、ヒシヒシと伝わってきた。生き方に正解はないと思うが、、、火渡の生き方もかっこいいし、近田の人生の判断も間違ってないのかもしれない。小説としては「近田のあとがき」でうまくまとめられているし、全体を通して読みやすかった。
Posted by ブクログ
「ファイアボール・ブルース」と「ファイアボール・ブルース2」。PWPという、架空の女子プロレス団体を舞台にした小説である。「ブルース」の方は、PWPの看板女子レスラーである、火渡抄子を主人公としたミステリー仕立ての中篇。「2」の方は、火渡の付人の近田を主人公にした、連作の短編集。「ブルース」も「2」も、付人の近田の語りという形で小説は書かれている。題名のファイアボールは、火渡のニックネームである。私としては、近田が自分の才能に限界を感じて、プロレスから引退する、「2」の方が好きだ。年末くらいから、桐野夏生の本をかなり集中的に読んでいる。もともと、「魂萌え」とか「グロテスク」や「out」等の、比較的最近の作品、ベストセラーになった作品等には目を通していたのだが、年末に村野ミロシリーズを読み始めてから、かなりの数の作品に目を通した。その結果、桐野夏生に対する印象が、ずいぶんと(良い方向に)変わった。この人の小説世界は、すごく多彩だ。一言で、どんなジャンルの作家、ということは出来ない。シリーズを別にすれば、作品毎に味わいが違う、というか、同じシリーズの中でも、この「ファイアボール」のように、作品の形態や主人公を変えたり、あるいは、村野ミロシリーズでは、なんだか、作中の登場人物の性格まで、最終作では変わってしまったような、そんな変わり方をしている。チャレンジングな作家、という印象を、たくさんの作品を読んだ結果、得た。未読の作品も、まだあるので、しばらくは続けて読んでみるつもりである。