あらすじ
女にも荒ぶる魂がある、闘いたい本能がある!
女子プロレス界に渦巻く陰謀を描く傑作長篇ミステリー。
「ファイアボール」と呼ばれる女子プロレス界きっての強者・火渡抄子、といまだに一勝もできない付き人の近田は、外国人選手の失踪事件に巻き込まれる。
新人のリンチ事件、事務所の独立問題……トラブル続出の中、後楽園ホールの試合が近づいてくる。
女子プロレス界に渦巻く陰謀と、女の荒ぶる魂を描く長篇ミステリー。
解説・鷺沢萌
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
再読。
女子プロレスを舞台にしたミステリー。
スター級の選手と付き人との関係など女子プロの世界とともに謎解きもきちんとあってとても面白かった。
Posted by ブクログ
女子プロレスが舞台の小説・・いったいどんな内容なんだろう?
そう思ってパラパラとめくったら、それだけでも面白さが伝わってきた。
「ファイアボール」とは女子プロレス界きっての強者・火渡(ひわたし)選手の別名のこと。
そしてこの小説は、火渡の付き人兼女子プロレス選手でもある近田(ちかだ)の目を通して描かれてゆく。
彼女たちが所属するPWPという女子プロ団体は、財政状況も悪く倒産寸前だ。
その中で外人選手の失踪事件や、新人選手へのリンチ事件、事務所の独立問題などが次々と起こりストーリーが盛り上がる。
また、何といっても近田はいまだに一試合も勝つことができないのだ。
女子プロレスって、今は人気があるのかどうかも知らない。
しかしこれまでも「ビューティペア」とか「クラッシュギャルズ」なんてアイドルのようなグループもいた。
また、ダンプ松本とかアジャコングなんて悪役選手もいた。
彼女たちが青春をプロレスにかけ、日々を送っていたのはこんな感じだったのかな・・と想像もしてみた。
大怪我をしても、次の町での興行のためにバスで夜に移動する・・。
お客を呼ぶために、マイクパフォーマンスをしたり、派手な衣装を着てみたり・・。
人気の出てきた選手へのやっかみや、ライバル意識・・・等々。
一人ひとりの選手が何となくイメージでき、非常に面白かった。
そして小説の中で、まるで男性のような強さを誇る火渡は・・・あとがきに書いてあった。
やはり、あの「神取忍選手」がモデルなのだそうだ(笑)
実はこの小説には「ファイアボール・ブルース2」という続編もある。
これはいくつかの短編なのだが、主人公の近田が女子プロレスを引退するまでが描かれている。
ご興味のある方は、あわせてぜひ読んでみて欲しいと思う。
Posted by ブクログ
プロレススポ根モノかと思って読んだらがっつりミステリで先が気になってガンガン読めた。男気のある火渡と女子プロレスの魅力とミステリが上手く融合されてて楽しめた。ラストもスカッ!
Posted by ブクログ
女子プロレスの弱小団体、花形レスラーの火渡抄子、その付き人で、団体最弱の近田
対戦相手に酷似した遺体から不審を抱き、独自に調べてみると・・
雑誌記者・松原、大手団体のスターHIMIKO
Posted by ブクログ
女子プロレスの世界を舞台にしたミステリー。予想を上回る面白さだった。一番の魅力はやはり火渡さんのかっこよさ♡付き人との関係もよかった。女子プロレスには全く興味がなかったが見てみたくなった。技の名前も勉強しておこう 笑。
Posted by ブクログ
著者の描く強い女性は好きだけど、
肉体的にも強い女性はなぜかさほど魅力がなかった。
あとはマニアックすぎる業界だったせいか、
なぜかいまいちな印象。
Posted by ブクログ
途中までは楽しめた。個性豊かで多彩であり良い。負け続けた自分は予想通り、最後で勝った。相手はアロウ。団体の顔であり、また新団体の首謀者でもある。腑に落ちない。また、被害者が外国人レスラーの可能性もある殺人事件の顛末はまた最後の方では偶然が多く、御都合主義と感じた。解説にもあるが、ビックマック3個とポテトLを食べるなんて、体が資本のプロレスラーとして、大丈夫なんだろうか。取材で分かったのだろうか。
Posted by ブクログ
殺人事件もからめてあるが、描かれているのは、主人公が女子プロレスを通して心身共に成長していく姿。女子プロの世界という特殊な舞台を、きっと綿密な取材を経て書かれたのだろうと思われるノンフィクションのような物語。「女にも荒ぶる魂がある。闘いたい本能がある」。いいな、この言葉。女だって、やるときはやるよ!
Posted by ブクログ
殺人事件の犯人さがしというよりは、女子プロとその周辺の
情報が面白さの原因かなと思った
強く頭の良い女子レスラー火渡さんの付き人の視点で進む
試合開始前に敵前逃亡した相手レスラーが
死体になってみつかった(のではないか?)ということで
犯人さがしをしていく
サクっと読めて、重さもあまりない話
Posted by ブクログ
女子プロレスの熱血的な話かと思えばミステリー作品になる展開。
女子プロレスの世界感を良く表した作品でミステリーにする必要はあったかなというのが正直な感想。
桐野さんの初期のころの作品ということもあるのか読んだ後のインパクトが若干弱い気がした。
Posted by ブクログ
女子プロレスへの愛がたっぷりつまった描写。
頻繁に行っているのもあり、後楽園の描写が生々しく楽しい。
著者の心のグロい部分は少なめ、殺人の要素も
レスラーの師弟愛に重きをおくためのように思えた。
女子プロレスも見に行きたい。
Posted by ブクログ
女子プロレス界で起きる派閥抗争や陰謀などを軸に、
外人選手の失踪(殺人?)事件を解明していくミステリー。
主人公・火渡抄子の付き人である近田が語り部となり進んでいくが、
デビュー後1勝もできない弱い近田の成長過程も描かれている。
プロレス好きな私には面白かったが、
正直、桐野夏生のミステリーとしてはインパクトはない。
しかし、20年前の作品だと思えば、アリかな。
作者のあとがきで、
火渡抄子を”神取忍”をイメージして書いた、とあるが、
確かに、20年前の神取サンはカッコ良かったね。(笑)
Posted by ブクログ
女にも荒ぶる魂がある。女子プロセスのスター、火渡抄子。対戦相手の外人レスラーの試合放棄と隠された死の謎を追う。
戦う姿というのは、興業になるくらい、人間にとって昔からの根源的な楽しみなはずなのに、業界としてはちょっと残念な状態、だからこそのミステリー。
Posted by ブクログ
荒ぶる魂( ´ ▽ ` )ノ。
熱血スポーツ物と思って読んでたら、途中からミステリーになった( ´ ▽ ` )ノ。
女子プロ探偵なんて、珍しいにもほどがある( ´ ▽ ` )ノ。
初期作らしく、まだまだ文章が練れてなくて、ところどころ読みづらいけどね( ´ ▽ ` )ノ。
後のアウトやダークなんかの「強い女性」像の原型がここに( ´ ▽ ` )ノ。
ある程度なっつを読み進めた人向きかな?( ´ ▽ ` )ノ。これを最初にすると、その後は勝手が全然違って戸惑うだろうな( ´ ▽ ` )ノ。
1014.10.6
Posted by ブクログ
女子プロレスの小説ってありそうでないと思っていた。
ちゃんとあったんですね。
作者のホームページによると、タイトルの『ファイアボール』は、
薔薇の品種だそうで、DEEP PURPLEの曲とはまったく関係がないみたいです。
作者のHPを見るまでもなく、火渡抄子はやはり神取忍がモデル。
一応、長編ミステリーという扱いらしいが、
わし個人的にはミステリーと呼ぶにはかなり抵抗がある。
なぜなら、殺人事件の犯人があまりにも露骨で無防備でアタマ悪すぎだから。
警察は登場しないが、かなりマヌケである。
女子プロレスラーと編集者が探偵ごっこをしている間に、(この小説の世界に警察が存在するとして)警察はいったい何をしていたのだろう?
正直なところ、殺人事件は要らなかったのでは?
むしろ、名前だけ登場して描写がほとんどない三好、権藤、神林、キメラ、北本といった団体所属選手をもっと書き込んで欲しかった。
団体内の派閥争い、世代抗争などの人間模様をもっと深く追求してくれたら、
よりリアルなプロレス小説となりえたような気がする。
Posted by ブクログ
平成七年に出版された当時は女子プロレスブームだったという。確かに主人公のヒントとなった神取忍や長与千種は知っているが、マイナーなスポーツであることは間違いない。そんな日の当たらない世界を舞台にしたあまり服部夏生らしくない小説。ミステリーとして読むよりスポーツ物としてならいくらかたのしめるか。
Posted by ブクログ
主人公の女子プロレスラーとその付き人の女の子、対照的でよく描けてると思った。主人公の名前、ああ、いま手元に本がないからかけないけど、かっちょいい名前なんである。たぶん芸名だけど。生き方もクール。読み終わって、私も身体鍛えたくなった。で、髪の毛とか超単発にして、筋肉隆々、ブラなしでランニング着るのさ。
ま、内容はどうってことないとは思うけど、ハードボイルド小説であることは間違いない。
Posted by ブクログ
思っていた内容と違った。
あとがきに書いてあった主人公のイメージは、僕の思い描いたイメージとピッタリで嬉しくなる。
女にも荒ぶる魂がある、か。
面白い。
存分に荒ぶられたいものだ。
……かるく昇天してやるぜ。
Posted by ブクログ
なっちゃん!
たぶん誰一人理解できないだろうけど、最初に持った感想がこれ。
訳すと、“何と言う体育会系!高校時代を思い出さなくもないわ!自分じゃなくて、なっちゃんの高校時代だけど!!”
別になっちゃんはプロレスやってたわけじゃないけど、この“体育会系的上下関係”はうちの松蔭高校にはなかったなぁ。
なっつの稲女にあったかも微妙だけど、少なくともうちよりは上下関係に厳しかっただろうなー。
それにしても、中学・高校当時は反吐が出る以上に嫌ってた“実力無視の上下関係”ってのが“懐かしい”なんて思えちゃう自分は、相当歳くって丸くなったんだろうな・・・
思えば高校時代なんて、“来るものしごき、去るもの見下し”って態度だったからなー。
ある意味、記憶の改ざんをしてるのかもしれん・・・やばいやばい。
ま、丸くなった今なら、上下関係バッチコイの日本社会でもやっていける気がする。
なんで自分アメリカにおるんだろ?
Posted by ブクログ
自分が付き人をしているアマレス出身の火渡さんは最強だ。
うちみたいな小さなプロレス団体ではもちろん、
大手の「オール女子」のHIMIKOにだって引けをとらない。
そんな火渡さんが最近気にかけているのは
この前対戦途中で急に帰った外人レスラーのジェーンのことだ。
近くで身元不明の外国人女性の遺体が見つかったけれど
関係あるんじゃないだろうか。
しかしそればかりに気をとられていはいけない。
「オール女子」との試合で自分は勝たなければならないんだ。
まだプロレス初めて1勝もあげてないんだから。
イラスト:鹿爪秀紀 CG:田中和枝 デザイン:多田和博
戦う女の世界です。女子プロって見たことないけど興味わきました。
団体内の人間関係や経営難に加えて事件まで起こって
盛りだくさんだけれどこの長さでよくまとまっていると思います。
強いていれば試合のシーンにもっと迫力が欲しかった。
Posted by ブクログ
ミステリーにしては浅い感じがあるし(失踪問題にもっと裏があるのかと思った)、拍子抜けする感じもあるのだけど、なぜか手放せない一冊。荒ぶりたいわけではない。
Posted by ブクログ
どこまで行ってもゴキゲンに晴れ渡る青空になんて行けないような、どんよりとジメジメした行間の
オーラが好きで桐野夏生を読む。薄い雨雲に覆われて、今にも雨が降り出しそうな空気感。小説の中
での世界感だけではない、それ以前の読者の本を読む環境・心情にミステリー調の風を吹かせてしまう
あたりは、さすが桐野女史である。
今回手にした【ファイアボール・ブルース】は、僕が今までに読んだ【探偵ミロ】シリーズとはちょっと
作風が違う。ミステリーというよりはサスペンスか。小説の舞台は女子プロレス。「ファイアボール」
の異名を持つ女子レスラー・火渡妙子が巻き込まれるというか首を突っ込んでいくトラブルを、火渡の
付き人である近田の語りで展開していくストーリー。
事件の解決や謎の解明がメインというよりも、孤高の天才レスラー火渡妙子の人間性や、火渡に憧れて
女子プロに入ったが未だに一勝もできないでいる付き人の近田の成長物語、女子プロレスという過酷な
世界の光と影を描いたヒューマンドラマでもあると感じた。
著者あとがきでも触れているが、火渡のモデルは神取忍である。モデルと言ってもインスピレーション
を与えられただけの話で、火渡妙子の内面、人間性は作者の創造物であることは間違いない。
桐野氏は語る。
「女にも荒ぶる魂がある。まず、そのことをわかっていただきたい。」と。
そして世間には「ショービジネス」の中でも好奇の目で見られがちな女子プロレスという世界をきっちり
取材し、描くことで、彼女たちのプロ意識や努力、地位や立場、なによりも「格闘家」としての側面を
見事に表現してみせた作品であると思う。
草食系男子などという言葉が流行り、「男気」や「侠気」などという言葉は聞かなくなった。
10年以上も前の作品ではあるが、この作品にはしっかりと女の「侠気」が生きていた。
【ファイアボール・ブルース2】も刊行されているので、ぜひ2も読もうと思っている。
Posted by ブクログ
こんなに要しただろうかと思えるぐらい登場する女子プロレスラー達は、小説なので、皆賢い。その中でも突出して聡明かつ強剛の火渡に心底憧れる、OLから転向した付き人の近田が主人公である。
ミステリーではあるが、プロレス、空手と、肉体で終結させていくので大分さっぱりしている。
「女は黙ってビックマック」 自分が女であれば倍楽しめたろうか。
Posted by ブクログ
桐野夏生は「魂萌え」以外全部読んでいますが、ミロのほのかに黒いシリーズも嫌いじゃないし、他のどす黒いシリーズはもっと嫌いじゃないけど、桐野夏生にしては例外的にポジな作品。なんかね、いいんだよね。これは読まなきゃわかんないね。
もちろん2もどうぞ。