桐野夏生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ久々の桐野夏生さんで、期待して読んだけど★3つ。
設定はすごく興味深い。主人公のマイコは、物ごころついたときからいろんな国を転々としていて、自分が何者なのかわからない。母は整形手術を繰り返して、こそこそと隠れてくらしている。ときどき男の人が訪ねてくるけど、監視されているのかな。母からは、自分の本当の名前を人に教えてはいけない、友達をつくっちゃいけない、自分たちのことがばれたら一緒にいられなくなるよ、と脅されている。
しかしマイコも徐々に大人になり、そんな檻の中から当然逃げ出したくなる。いろいろあって逃げ出して、自分と同じような境遇の少女たちとサバイバルして暮らすようになる。
ドキドキハラハラの冒険譚だけど、物語が、マイコが誰かに宛てて書いた手紙という形式をとっているのがちょっとつまらないと思った。
主人公の手記とか手紙とか、独白形式の書き方って、単純というか、どうしても不自然。桐野さんならもうちょっとドラマティックな描き方ができたんじゃないのかなぁ。
マイコの仲間になる二人の少女は魅力的で、彼女たちの口から語られる北アフリカの内戦や飢餓、虐殺、難民のたどる道などは、マイコをあくまで「日本の女の子」と捉えるとかなりギャップがあるけれど、そのギャップも面白いと思った。もしかしたら、日本で指名手配されて逃亡中の人が国外で子供を生んだとしたら、マイコのような子供は現実に存在するかもしれない。うん、確かに存在してもおかしくない。日本大使館に行けばいいじゃん、と読みながらずっと思っていたけど、それが結果的に「母を売る」ということになるなら、子供はどうするのが正しいのだろう?難しいな。 -
Posted by ブクログ
桐野夏生さんの作品は何冊か読んでもういいやって思っていたんだけど、恒例の母から買ったし読みって渡されてしぶしぶ読み始めたんだけど、相変わらずこの人の作品に登場する主人公の女性は個性がきつく一種異常な性格であることが多い。多分に漏れずこの作品でも主人公のカスミは該当した。当然その周りに関係する人物環境も只の人では務まらずしっかりと強力な主人公を支えるサブキャラとして据えられている。
今回は文庫本という事で上巻下巻の2冊構成だが全然萎えることなくぐいぐいと物語に引き込まれて桐野さん、面白い作品書いてるじゃないですか!って叫びたくなった。
単なる不倫関係の物語では収まらず長女が忽然と行方不明になる。そしてその周りの人のそれぞれの物語が煩くなく不自然でもなく挿入されて全体を濃厚に作り上げている。前半ややもたつき気味の出だしは相変わらずでとっつきにくいが中盤から一気に引き込まれて、さて後半へ。 -
Posted by ブクログ
直木賞受賞作品。
上巻ではグッと引き込まれたが、下巻に入り失速気味になってしまった。
犯人が誰だとか、娘は生きているのかとか、最後まで明らかにならない。
ただ、人間の持つ欲、本能、業などを露わにしつつ、一人の女性の生き様を追い続けていく。
自分の人生であるからどのように生きてもいい。
世間から批判されようと、誰にも理解されなくてもいい。
「こうしたい」「こうありたい」
しかし、立ち止まった時振り返った時、全てを失っていたら?
何も残っていなかったら?
何の為の時間だったのだろうかと、何をしてきたんだろうかと思ってしまうのかもしれない。
それでもそこからまた始めるしかない。
止める事も始める事もいつでも出来るのだから。 -
購入済み
女性にオススメ
初めてこういった分野に足を
踏み入れてみました。
内容は総じてソフトな印象で
幸いでしたね。ノーマルな志
向の?女性向けの一冊だと思
います。 -
Posted by ブクログ
谷崎潤一郎の「細雪」を久しぶりに読みたくなりました。雪子の結婚が決まったのに下痢が続く、という中途半端な終わりと言えなくもないラストでしたが、まるでその続きを読んでいるような気分になりました。ところどころに桐野調を感じさせながら、結構谷崎潤一郎に寄せている作品だなと思います。あくまでもフィクションという位置付けで読みましたが、実際彼とその周りが物語の通りなら、谷崎も含めみんな生きにくい人生だったんじゃないかなと思います。
あと「細雪」の登場人物である貞之助兄さんがやたら良い人だったのはこういうことかと納得しました。自分がモデルだからなのね。基本的に小説はそこにある物語が全てで、筆者の背景とか人物のモデルとかに興味がないので、「細雪」がどういう経緯で書かれたものか知りませんでした。おかげで新鮮な気持ちで読めて楽しかったです。
三章目のラストでばしっと谷崎に物申した重子さんかっこよかったですね。若い千萬子に溺れるのはまぁいいとして、そこに金をつぎ込んでいく様が本当に見苦しかったのですっきりしました。 -
購入済み
複雑
面白さ、切なさ、悲しさ、怖さ。
共感、理解、納得。またその真逆。
ただただ必死に読んだ。
スッキリは何一つしないけど、やはり納得。
色々なモノに憤りを感じながらも、やっぱり切ない。
そんな複雑な思いになる。