桐野夏生のレビュー一覧

  • バラカ 下

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    下巻。震災後の世界。原子力発電所への津波により東日本が避難区域になる。バラカは、それから8年経って10歳になる。

    狡猾な大人たち。でも、それは等身大の自分自身だったりする。誰が味方で誰が敵か。子どもであることの無力さと純粋さ。川島のバラカに対する異常さと執念。
    震災は生きている限りは過去でもあり、現在でもあり、未来でもある。分断されていく社会。あまりにも狂った世界(主に川島の行動)なんで、ハッピーエンドや幸せの尺度がきちんと計れない印象でした。

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    2019年03月13日
  • バラカ 下

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    ちょうど8年目、このタイミングで読むのはなかなか感慨深いが、読み進むにつれて「で、何と闘ってる訳?」ってなツッコミが止まらず、ネット上で目にする脳内仮想敵にキーキー言ってるひとびとを思い出したりするのであまり快い読書体験には至らなかった。そもそも著者の芸風は胸糞表現であるのは承知だとしても。

    日系ブラジル氏の隣家描写あたりは「うわーーーーッ!繋来たあああ!」と期待が高まったものの、実はピークはそこで以降急激に失速する点も惜しまれる。結局、下巻は雰囲気だけで押し切った塩梅。カタルシスなし。エピローグもなんだか。好きな作家だけに残念。

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    2019年03月12日
  • バラカ 上

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    上巻。バカラと呼ばれる女の子を巡って翻弄されるふたりの女性。そのふたりの女性を食い物にする男。3.11前と地震発生直後の世界を描く。

    川島の異常な行動が不気味さを醸し出したり、ふたりの女性の子どもが欲しいという執着心。震災の描写も詳細であったり、震災を経験したひとには辛いものがあるかもしれません。

    ひとはひとりでは生きていけないのだなと、思わずにはいられません。

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    2019年03月10日
  • 柔らかな頬 下

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    ネタバレ

    上巻(前半)のリアルさの迫力がすごかっただけに、下巻(後半)の何を描きたかったのか全然わからないところがとにかく残念。
    ていうか、スティーヴィー・レイ・ヴォーン。後半は全然出てこないじゃん(笑)

    思うに、下巻(後半)は著者の趣味が出すぎかなぁーとw
    特に石山の変容と内海の人物造形は、変な言い方だけど著者丸出しって感じで。
    あぁこういう人なんだなーと、正直鼻白んだ。
    ミステリー小説的結末はないとわかって読んだので、そこに不満はないし。また、ストーリー的にもよかったと思う。
    カスミのお母さんの意外な幸せという、(カスミへの)ちょっとしたしっぺ返し的展開も妙に小気味いい(人生における失敗を耐えるこ

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    2019年02月02日
  • ポリティコン 下

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    ラストが、希望の始まりなのか、絶望の始まりなのか.......読む人次第ってところだろうか。私には『歴史は繰り返す』絶望にしか思えん。主人公トイチが上下巻通して本当に嫌なやつだったので、もっと制裁されてほしかった。そして謎はすべて回収されずじまいだったので、不満は残る。とりあえず運命に翻弄され、幸せになれる方法がわからないマヤが不憫。ポリティコンってなんぞや?の疑問は下巻の解説で説明されていて、そこだけはスッキリした。

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    2018年12月29日
  • ポリティコン 上

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    ポリティコンってなんぞや??山形に『理想郷』ユートピアとして建設された唯腕村。村人たちは超高齢化し、若者は創設者の孫のトイチのみ。このトイチ、器が小さいくせにプライドが高く、超利己的で言動も思考もブレブレで、欲望や野望は凄いが人望がない...と悪口が止まらないヒドイ主人公。狭い社会の鬱屈した人間関係や、嫌なやつを書かせたら上手な桐野さんらしい作品だな~と思う。作品タイプ的には『東京島』?とりあえず、タイトルといい、雰囲気といい、ちょっとまだ掴めない話。美少女マヤがトイチの毒牙にかからないよう祈る。下巻へ~

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    2018年12月29日
  • 柔らかな頬 上

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    個人的には下巻の方が好きかなと思いました。なんでしょう、物語の間延び感が否めない。。それも最初はミステリー性を期待して読み始めた自分がいけないのですがね。桐野さんの人間の内面に滾る欲望をリアルに描いているのが味わえる作品だと思います。

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    2018年12月22日
  • ダーク(下)

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    村野ミロシリーズ完結編
    「40歳になったら死のうと思っている」
    愛する人の獄中自殺を知ったミロは、今まで生きてきた世界と訣別、周囲の人間を破滅させていく。

    あまりの展開、圧倒的な負のエネルギー。
    著者は全てを壊したかったのだろうか。

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    2018年12月17日
  • 水の眠り 灰の夢

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    カオスなエネルギーに溢れた高度経済成長期が舞台。雑誌制作のアウトソーシングを請け負うチームが、闇社会の思惑をつかみ、巻き込まれながらも追っていくストーリー。
    骨太で人物描写も素晴らしく、当たり。特に思い入れも無く、本書の背景も知らずに手に取ったが、どうやら、シリーズものの番外編らしい。他も読んでみよう。楽しみが増えた(^-^)

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    2018年10月22日
  • 奴隷小説

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    古今東西に存在して滅する事のない、人間社会の抑圧と奴隷状態。さまざまな囚われの姿を容赦なく描いた7つの異色短編集。
    人間とは「差別」をする生き物である。自分と他人との優劣をつけることにより、己の立ち位置を見つける。どの作品も無国籍的で哲学的だが、分かりやすいのが「神様男」。売れない地下アイドルの世界が舞台だが、キモオタ男の発する言葉が、真実を突きながらも空々しい。

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    2018年08月31日
  • 錆びる心

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    私は桐野さんが好きです。
    好きな小説家は?と聞かれたら、桐野さんと答えます。

    でも、正直、この短編集は面白くなかったと思います・・・。
    解説で、ある文芸評論家が、「本書で桐野夏生が短編作家としても松本清張に匹敵する~」と書いていますが、そんなことないんじゃないかな。桐野さんはやっぱ長編なんじゃないかな、僭越ながら。

    それでも、絶賛離活中の私としては、表題作とか気になりました。
    主人公は、夫の心に自分の何かを印象的に、しかもくっきりと傷つける形で残そうとしていたというのは、夫に不満を抱えるママ友からたまに聞く話ではありますが、私にはそういう気持ちはありません。
    夫の心に私の何かを残したいとは

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    2018年08月19日
  • 緑の毒

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    昏睡強姦魔という重い題材ながら、妙にテンポ良く進む物語にどこか軽薄な印象も受けつつ読み進めた。もっとヒリつくような重苦しさを期待していたので拍子抜け感は否めないが、登場人物ひとりひとりに込められた鋭い視点に圧迫感を覚える。強姦魔の川辺にしても、卑劣で邪悪な印象より矮小で哀れな印象しか残らなかったのは正に意図通りなのかも。川辺の歪んだ自尊心の為に傷つけられた女性たちが反旗を翻す様を通して【女性の自立】を描いた作品という印象も受けた。川辺の妻や文庫化に辺り付け加えられたエピローグが特にその印象を強くしている。

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    2018年06月20日
  • 水の眠り 灰の夢

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    私立探偵村野ミロシリーズは未読だが、そのスピンオフである本作はそれを知らずとも楽しめた。五輪開催を目前に控えた高度成長期の東京を舞台に連続爆弾魔と女子高生殺人を週刊誌記者が追いかけるという設定だけでも充分面白いはずなのに、主人公の村善をはじめとした魅力的な登場人物たちが物語を大いに盛り上げてくれる。各局記者同士の戦友と呼ぶに相応しい絆が事件の真相を炙り出す様に胸が踊り、女性たちはそんな男共を翻弄しつつも翻弄され彩りを添える。熱気と共に加速し続ける昭和という時代の光と陰を描いた骨太で煙草の煙が香る物語だ。

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    2018年06月20日
  • 柔らかな頬 上

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    別荘でいなくなった娘を探し続ける母親。高校卒業して家出したその母親。その浮気相手、末期がんに侵されながら一緒に娘を探すのを手伝う元刑事。それぞれが自分の過去の行き方を思い返しながら、もがき苦しみながら生きていく。誰にもあること?特別なこと?どちらか良く分からない。

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    2018年04月08日
  • 奴隷小説

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    一読後、うーむと頭を抱えてしまいました。
    不条理な環境に置かれた主人公をどこか突き放した視点から描くいつもの桐野さんらしい筆致は楽しめたのですが、多くの作品が長編のプロローグのように思え、この続きを読みたいという欲求不満ともやもや感が残ってしまったからです。
    シンプルといえば確かにそうなのかもしれませんが、桐野さんレベルの書き手だったらもっともっと掘り下げた部分までじっくり描いて欲しかったなあと感じました。

    収録された7作の中で一番読みやすくて面白かったのは、やっぱり「神様男」でした。
    現代の地下アイドルを取り巻く歪な構造が悪意とユーモアを交えて描かれていますが、この作品だけが現代日本を舞台

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    2018年03月31日
  • アンボス・ムンドス ふたつの世界

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    2話目のルビーは結局住処のためには身体を差し出さなければならない。悲しく思う。

    怪物達の夜会/田口家はどうなってるんだ。怪物達という題名が妙にしっくりくる。

    愛ランド/オバハン達の果てしない性欲……
    代表作は本当に小学生だよね?っていう怖さよ。恐ろしい。

    パッとキレよく終わる話もあれば、え?というまだ続きあるのでは?という話もあってどれも刺激的で飽きずに楽しく読めた。

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    2018年02月09日
  • 優しいおとな

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    福祉システムが破綻した近未来の日本を舞台に、ホームレスの若者・イオンが探し求める希望を描く衝撃の長編。
    作品の発表時がリーマンショック直後ということで、若者の貧困や派遣切りなどが社会問題になっていた。暗い世相を反映して物語も陰鬱で、かつ高揚感もない。桐野作品の中ではあまり記憶に残らない作品。

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    2018年01月16日
  • ダーク(下)

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    下を読み始める前に皆さんのレビューでチラッと見えたのが、ダークは『ミロシリーズ』と呼ばれるもののひとつと知り、読後にこの話だけでは知り得なかった部分があったなぁと。

    久恵はどんどん大胆で図々しい性格になったな。
    ミロは上の時と比べて多少なりとも性格が軟化した気もするが、好きになれないのは相変わらず。
    鄭とは中途半端な終わり方の印象。
    ジンホが唯一、一途で可愛げがあったからジンホといる時のミロは切なかった。

    桐野さんのもっとえぐい性格描写が見たかったな。

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    2017年12月17日
  • ダーク(上)

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    桐野さんの作品に出てくる個性あふれる登場人物。
    村善さんを愛する久恵がいい。
    ミロは底知れぬ怖さがある。成瀬とはどんな関係だったのか。
    さて、ここで張られた伏線が下ではいかようになるのか楽しみ。

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    2017年12月16日
  • 奴隷小説

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    桐野夏生『奴隷小説』文春文庫。

    帯には『様々な囚われの姿を容赦なく描いた7つの異色短編』とある。確かに変わった設定の、イヤな後味を残す短編ばかりが収められている。が、最初の2編はまあまあ面白かったが、3編以降は次第に尻窄みといった感がある。

    『雀』。恐ろしく、おぞましい物語。どういう設定なのか解らぬままにストーリーは展開し、この物語の全貌を知るとき、何とも言えぬ不快感に襲われる。他人に決められた好きでもない男との結婚は女性にとって、さぞや苦痛なのだろう。

    『泥』。突然、囚われの身になった女子高生たち。これも気持ちの良い物語ではない。泥の下には…

    他に『神様男』、『REAL』、『ただセッ

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    2017年12月08日