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充たされぬ魂の行き先は、破滅か、新天地か?
芸術家たちの理想郷「唯腕村」を舞台に繰り広げられる、絶望郷のごとき愛憎劇!
唯腕村理事長の息子、高浪東一は、父の死をきっかけに、村の理事長となる。女を強烈に求め、利益を増やすことに執着する東一は、危険なビジネスに手を染め、マヤとも愛人契約を結ぶ。だが、心の渇きは癒されず、あるまじき手段で関係を断ち切ってしまう。十年の後、都会の片隅に沈んだマヤは、憎むべき東一の成功を知る。再会した二人を待ち受けるのは、破滅か、それとも――。性愛の暗部を容赦なく抉った衝撃作!
解説・原武史
※この電子書籍は2011年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版(下)を底本としています。
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Posted by ブクログ
いよいよ夷腕村が東一の村になるわけですが。少女時代のマヤが持っていた神秘性は少女が女性になっていくにあたって変容していったわけですが。
マヤと東一(をめぐる、いわゆるこの作品でつよく男性性を強調して描かれている男性)のパワーバランスが変わった時に、小杉に対して考える、以下のようなモノローグがある。
「(うろ覚え)この男を刺した所でぶよぶよとした贅肉に当たるだけで云々〜」
もう本当にうろ覚えなんだけれど、ぼんやりと自分が考えたことのあることと同じで。つまりどれだけ憎しみのように感情の刃を研ぎすませたところで、その受け手というのは贅沢な肉に守られていて、自分の感情の刃はその者の心臓とは言わず肝臓などにさえ傷ひとつ付けられないのだなあと思っていて。贅肉がどろっと出て終了なんだよなと。お金の塊が変化した分厚い肉のかたまりに阻まれちゃうんだよなと。
もしかしたらありきたりの発想かもしれないけれど、自分の考えがこの本を導いてくれたような気がして、奇妙な感動があった。
いつだって桐野さんの本は人間の弱い部分を描いていて、男と女の弱くて愚かでだけれど見つめなければいけない部分を描いていて、この本もやはり読んでよかったなと。何かを諦め何かを守っていくために読んでよかったなと思ったのだった。
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