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桐野夏生が描く韓国芸能界と「墜ちる男」
32歳で遅咲きのデビューを果たし、人気俳優として活躍するパク・テミンは、
「終わった男」ことニック・ナダンについて語り始めた。
10代の頃、ともに過ごしたヴァージニア州・アナンデールでの日々。
しかし道は分かれ、ナダンは驚くべき速さで成功を収め、
これまた驚くべき速さで凋落していった。
世界を股にかけるK-POPグループの一員であるという酩酊と、祖国からの追放。
挫折と成功、ふたりの男の運命が交錯する。
韓国芸能界を舞台、圧倒的彩度の独白、桐野文学の極北がここに。
“ナダンの話に興味を持つ人は、そう多くはないはずだ。
「ナダン? あのナダン? 彼は終わったよ」。
誰もがそう言うからだ。
彼はあっという間にアイドルとして頂点を極め、
俳優としても才能を認められた。
だが、十五年後には、何もかも失っていた。
これは、ナダンが驚くべき速さで成功を収め、
これまた驚くべき速さで凋落していった物語でもある。”
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Posted by ブクログ
主人公視点でナダンの栄光と凋落を語っている。主人公と両者の間にどうにも距離があるな、と感じたがそれも当然、彼らは途中からは実際の交流は無い。同じ世界で生きるようになった以降も、連絡は取れず取らず、あくまでいち視聴者のように憶測で失望したり嫉妬したり。不倫騒動の友人との関係との対比が鮮明だ。友人になれたであろうナダンと、どこで道を違えたのか?同じ世界で揉まれながら、何を望み、何に疲れたから分岐してしまったのか?最終盤のナダンとのシーンはどこか現実感がなく、お互いここまで来てしまった状態での邂逅はもはや彼らの関係を動かし得なかった。だからこそナダンの「あなたのファンです」の言葉が今さらながら肌に沁みる。
Posted by ブクログ
桐野さんはもしかしたらさいとうたかおプロダクションみたいにいろんな人に書かせているんじゃないかと思うくらい、また違う印象を受けました。今回は東山彰良さんを思わせましたね。
ちょうどワールドカップで韓国が敗戦して、監督がひどくなじられているいるニュースを見たこともあって、韓国では我が国以上に誹謗中傷が過激なんだなあと改めて思いました。自殺する芸能人も多いですしね。徴兵制もいろいろと問題の種になっているんですね。
ナダンが愛おしいです。この「眠れぬ・・・」の詞がまたいいですね。完成されていないのがまた絶妙。
なぜ舞台を韓国にしたのか、そこらへんを聞いてみたいです・
Posted by ブクログ
韓国芸能界の光と影を描く。
男性アイドルの頂点を極め
その後、全てを失い転落していくナダン。
アメリカ・アナンデールへ留学し
行先を模索し、やがて成功を収めるテミン。
2人は経済危機を回避するため訪れたアメリカで出会った。
韓国のドラマが好きなので
登場人物が辿る人生を興味深く読んだ。
やはり、桐野夏生さんも韓国ドラマを観ているそうだ。
詳しいはずだと納得。
インタビューで
「人が黒くなる過程を見るのが大好き」と話す。
もっと黒くドロドロとしたストーリー展開なら
桐野夏生ファンで、韓国芸能を知らない読者も
存分に楽しめたのではないだろうか。
SNSに流れてくる韓国芸能の苛烈さ。
それを少しは知っている者として
本書は桐野さんの韓国への愛が詰まった作品だと感じた。
Posted by ブクログ
IMF危機のあおりで一家離散となり、アメリカに逃れアルバイトで暮らしている中学生のナダン。
金も後ろ盾もないがその恵まれた容姿と歌声で、いつしかスターにと夢見ている。
街角で歌っているナダンを偶然見かけ、心惹かれるテミンは、会社を経営する父を持ち、恵まれた境遇であるが、そんな父が嫌で、韓国が嫌で、勉強が嫌で親せきを頼りアメリカで暮らしている。
そんな二人が努力やチャンスにより、韓国で芸能生活を送るようになる。
が良いことは続かず・・・
兵役や高学歴社会、SNSの怖さなど韓国独特の風潮を交えながら、ひとりの人間の儚い人生が語られる。
何かを訴えかけるような桐野作品にしては、考えさせられる作品になっています。
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