感情タグBEST3
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本を読み進めるにつれ、あんなにも嫌悪していた東一だったのに
最後はマヤと同様、なぜか許してしまった。
きっと東一は純粋すぎるほど純粋で、まっすぐな人なんだと思う。
二人が新たに開く新しい村の行く末を見てみたい気がする。
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うむう、やっぱ怖い。恐い。桐野夏生の小説は、なんでこう、こんなに怖いのだろうなあ、、、圧倒的です。原始的、というか、全てが剥き出し、というか、混沌の坩堝、というか、圧倒的なんですよね。なんの呵責も躊躇も容赦も無い、というか。とにかくまあ、怖い。
桐野夏生の小説世界の中に、もし自分が登場人物として存在したのならば、即座にケチョンケチョンに扱われてボロ布のように捨てられて死んでるんちゃうか?という気がします。自分みたいなヌルい甘ちゃんは、この世界では、絶対に生きてかれねえよ、食われる立場だよ、って気がするのですよね。
ただ、そんなおっとろしい世界が、圧倒的に魅力的でもあるんだよなあ、、、そこが、桐野夏生さんの、スッゲエなあ、、、って、尊敬しまくっちゃうところなのです。圧倒的に恐ろしく、それでいて堪らなく魅力的な小説を創り出す人。それが、自分にとっての、桐野夏生という人物の印象です。
この小説、下巻で、スッゲエなあ!って思ったのは、一瞬で時間が飛ぶんですよね。
第2部が始まって、いっきなり物語の主人公が、東一から真矢に変わったのにもビビったんですが、第一章「小さな灰色の蛇」から第二章「あたしは誰でもない」で、いっきなり10年経過するんですよ。月日が。いきなり。なんの説明もなく。面食らった。は?って思った。これまで、長いこと長いこと、上巻ほぼ全部と下巻途中まで、丁寧に丁寧に、唯腕村の現場の変化を、ゆっくりゆっくり書いてて、いきなり10年すっとばす。
なんじゃそら、と。その10年間も、真矢には色んな色んな人生の激動があっただろうに、容赦なく10年すっとばす。スゲえ。桐野さん、思い切り良すぎでしょ。何年も何年もかけて、丹精込めて育てた盆栽を、いっきなり半分切り落とす、くらいなイメージ?を、抱いちゃいました。桐野夏生、恐るべし。なんだかもう、ホンマに凄いと思ったんです。
で、まあ、なんだか得体の知れない色んな怖さは、最後まで解決されないことテンコ盛りのまま、この小説は終わるのですが、ドロドロのおっそろしさを抱えたまま、なんだかやけに爽やかな雰囲気で?終わるところも、やっぱ怖いなあ。桐野夏生という一人の、類い稀なる女傑の、圧倒的な創作意欲。それはもう、でえれえですね。おっかないです。圧倒的に。
そして、魅力的なんだよなあ。いやはや凄い。
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唯腕村の新理事長に就いた東一の独裁政治に、村民の派閥闘争が起こる。村の再興は危険なビジネスを伴う虚業であり、底なし沼のような闇の中に希望の光は灯るのか。破滅か新天地か。衝撃の下巻。
主義を貫くには独裁しかないが、従う人々をまとめるには根回しが必要だ。東一に決定的に欠けているのはその部分。でも挫けない不屈の闘志はカリスマ的要素。こんな厄介な人間は側にいたら、面倒で仕方ない。強烈な印象を残す人物だった。
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閉鎖された場所にいると、こうなるのかなー・・・、わかるような、わからんような。
ただ、非常に興味深く、一気読みではありました。
おススメもしないし、再読もしないだろうけどw
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理想郷を目指す、田舎の寒村「唯腕村」が舞台。そのモットーから想像するイメージとは裏腹の、ドロドロとした狭い人間関係や欲望、さらに村の高齢化や厳しい財政など現実的な問題がてんこ盛り。面白かった!
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いよいよ夷腕村が東一の村になるわけですが。少女時代のマヤが持っていた神秘性は少女が女性になっていくにあたって変容していったわけですが。
マヤと東一(をめぐる、いわゆるこの作品でつよく男性性を強調して描かれている男性)のパワーバランスが変わった時に、小杉に対して考える、以下のようなモノローグがある。
「(うろ覚え)この男を刺した所でぶよぶよとした贅肉に当たるだけで云々〜」
もう本当にうろ覚えなんだけれど、ぼんやりと自分が考えたことのあることと同じで。つまりどれだけ憎しみのように感情の刃を研ぎすませたところで、その受け手というのは贅沢な肉に守られていて、自分の感情の刃はその者の心臓とは言わず肝臓などにさえ傷ひとつ付けられないのだなあと思っていて。贅肉がどろっと出て終了なんだよなと。お金の塊が変化した分厚い肉のかたまりに阻まれちゃうんだよなと。
もしかしたらありきたりの発想かもしれないけれど、自分の考えがこの本を導いてくれたような気がして、奇妙な感動があった。
いつだって桐野さんの本は人間の弱い部分を描いていて、男と女の弱くて愚かでだけれど見つめなければいけない部分を描いていて、この本もやはり読んでよかったなと。何かを諦め何かを守っていくために読んでよかったなと思ったのだった。
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東北の寒村にユートピアと、それに関わる人々の物語である。理想とかけ離れた現実。人間の欲と妥協と、イヤラシイ面ばかりを見せつけられ、辟易する。最後に、理事長を首になり、新しい理想を求めて旅立つ東一の姿は一服の清涼剤である。
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10年後、村の理事長となった東一は危険なビジネスで村に富をもたらす。かたや東一との確執の末、都会の片隅に沈んだマヤ。二人が再会した時、村に本当の終局が訪れる…。むき出しの愛と欲を描いた良作でした!
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最初から結末は予想はしたけど、なんとなく尻つぼみかな。上巻の方が勢いがあったけど、後半はマヤの10年後になってから、あっという間に終わった感じ。
でも、一気に読めたので、面白かったです。
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下巻はマヤの話。唯腕村から脱出し東京に向かうも、10年後、北田の死により再び村を訪れる。
正直、えええええ、これで終わり!?という感じなのだけど、桐野夏生っぽいなあと言われればそれまで。上巻から続くこのモヤモヤ感。長い話の割に結論がない。
はたして唯腕村はユートピアだったのかディストピアだったのか。。何とも夢のない理想郷。現実ってこんなものか。
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理想の農村を作った人の血を引く男と脱北者を援助し行方不明となった母親を持つ娘が主人公の話。全般的に重苦しい雰囲気だが、人生を生き抜く力のようなものを感じる。
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主人公トイチが上下巻通して本当に嫌なやつだったので、もっと制裁されてほしかった。そして謎はすべて回収されずじまいだったので、不満は残る。とりあえず運命に翻弄され、幸せになれる方法がわからないマヤが不憫。
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ラストが、希望の始まりなのか、絶望の始まりなのか.......読む人次第ってところだろうか。私には『歴史は繰り返す』絶望にしか思えん。主人公トイチが上下巻通して本当に嫌なやつだったので、もっと制裁されてほしかった。そして謎はすべて回収されずじまいだったので、不満は残る。とりあえず運命に翻弄され、幸せになれる方法がわからないマヤが不憫。ポリティコンってなんぞや?の疑問は下巻の解説で説明されていて、そこだけはスッキリした。
Posted by ブクログ
桐野夏生っぽい。ただ、主要登場人物に感情移入できぬまま終了(「メタボラ」にはあった愛嬌が決定的に欠けてる)。特筆すべきは、終章の「礼儀正しいオヤジ」の登場だけで、一瞬にして物語のバックボーンを正体不明の不気味なものに変えた力量。この瞬間があっただけで、とりあえず読んだ努力は報われましたね、という作品。