あらすじ
こんな奴ら見たことない!
監督、カメラマン、プロデューサー、俳優が各々の思惑と事情を抱えてぶつけ合う光の乱反射。
誰よりも強く光りたい。
元アイドルの佐和が自分を主張し始めた途端、撮影現場は大混乱。
苦り切る人気俳優、怒る監督、傷付く女性プロデューサー、佐和に惹かれるカメラマン。
金、名声、意地、義理、そして裏切り。
我執を競い合って破綻へ向かう、世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX物語。
解説・佐々木敦
※この電子書籍は2000年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
結構節操ねぇぜ、この作品。
なので読書の際はホントーにお気をつけあれ。
なけなしの金で撮影というところで
まあアカンフラグはたっているわけですよ。
そして関わる人物も節操なしというか
なーんの摂生も効かないの。
だけれどもなんだかんだで一人を除けば
まっとうに活躍はできてるの。
思わぬ救いの手が入ったりね。
でも一人、あいつぁだめだよ。
身勝手極まりない作品。
不条理嫌いは読んじゃあだめだ。
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映画制作に関わる人間たちの利害や思わくが激しくぶつかり合いながらも、撮影が進んでいく描写は生々しくも読む者を引っ張っていく。。
普通の物語ならラストに映画が完成しハッピーエンドとなる所が、何故かふとした食い違いから大破綻を迎えてしまうが、予定調和のラストでは絶対に味わえないこのなんとも言えない不安感こそが、桐野作品の真骨頂なのでは。
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今まで評価をつけてきたけど、今回が一番難しかった。評価は作品の印象でいつもつけるが、いつも通りの感じで一度4をつけた。しかし、その後の余韻というか、作品のインパクトいうか後からじわじわとくるものがあり、再度評価を考え直し5に評価を変えた。登場人物の視点で書かれた本は数多くあるけど中盤あたりから風向きが変わり、終わりまではあっというまでだった。急に展開が変わると読み手は混乱すると思うが、登場人物の心境についてはそれぞれの事情があることを読み手はちゃんと理解できるように構成されていて、それは序盤までに物語をうまく進めながら各人物の状況、心境について固めているから途中の展開の変化にも納得がいくのだと思う。
おそらく読み手によって評価はすごく変わる思うが個人的には評価したい作品。
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映画を作っていく中で、主演の大物俳優が降板してしまう。
その裏にはC級の相手女優が思ったより存在感があって現場の雰囲気がその俳優にしてみれば面白くなく・・・ということを軸に展開されてく話。
これも分かるわーって思う。
そりゃあるよねー面白くないことも。
人を妬んだり、自分ばかりしんどいと思ったり。
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一本の映画制作に関わるプロデューサー、新人監督、ベテランカメラマン、大物俳優、アイドル女優たちが、自分を輝かせようとぶつかり合うお話。
ハッピーエンドでないことがわかるので、ずーっとハラハラしながら読んでました。
“世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX物語”
本当にそれだわ…
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低予算映画をめぐりプロデューサー、監督、撮影監督、役者、スタッフの思惑が絡み合い、予想しなかった結末へ向かう。あの結末なのに、なぜカタルシスを覚えるんだろう。
一人一人の行動、感情を納得させるのもすごく、勢いがあって一気に読みきった。
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映画制作のスタッフ、俳優それぞれの思惑、実際こんな感じなんだろうなと思わせる、ドキュメンタリーのようにも感じる雰囲気。
一気読みできたのは、それぞれが野心と思いやりとの間で葛藤している姿がよかったからか。
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低予算映画にかける職人たちの、汗と涙の物語......が崩壊していくお話( ´ ▽ ` )ノ。
解説にある通り、さっぱり先が読めない( ´ ▽ ` )ノ。
予定調和に飽きた口には最高( ´ ▽ ` )ノ。
深作欣二?大島渚?木村大作?......その他諸々、モデルのあるようなないようなキャラの渦の中に、しれっとビル・ジグムンド(作中ではスィグムンド)なんて実在の名カメラマンが出てきたり( ´ ▽ ` )ノ。未知との遭遇を撮影した人だよ( ´ ▽ ` )ノ。
映画は夢( ´ ▽ ` )ノ。情感が剥き出しでとりとめがない( ´ ▽ ` )ノ。それを丸ごと再現したかのような小説( ´ ▽ ` )ノ。
難を挙げれば「ポートレート24」か? どこどう転んでも、面白い映画にはなりそうもない......
Posted by ブクログ
一つの映画を作り上げていく中での人間関係の話。
プロデューサー、監督、カメラマン、俳優、それぞれの思惑が錯綜して面白い。
半身不随になった元大監督の夫とか、プロデューサーが自分の生活を崖っぷちにまで追いやって作ろうとした映画の頓挫とか、ところどころダークな桐野夏生ワールドが堪らない。
最初は、興味のない分野だったこともあってつまんないかもって思ったけど一気に読んじゃいました!
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桐野さんの作品に出てくる女の人は大好き。今回は映画プロデューサーが主人公で、金策に奔走するところやハッタリをかましたり駆け引きをしてピンチを切り抜けるところ、などのシーンについ前のめりになって応援したくなるストーリー。だけど、登場人物がことごとく、恋愛によるつまんないミスをしでかしそうになります。仕事関係者と恋愛をするのは絶対にいかん!と痛感するお話でございました。。。
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星3か4か迷った。納得いかない終わり方というか、まだまだ物語が続いていきそうな終わり方で、こういうのは好きじゃないけど、桐野夏生なら許せるというか。映画製作にまつわるそれぞれの思い。熱いような、暗いような。人の気持ちがそんなにころころ変わるか、とも思うけど、変わるよな、とも思う。みんなすごくとがっている。ある意味、真剣。皆映画や自分自身に取りつかれているのだ。
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最後に撮り直されたタイトルが、眼差し。 第一章に関係有り?とみて振り返ったが思い当たらず。
二度裏切られた有村が荒れる所をみたかった。モヤモヤ感が残るわ。
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面白かった。
撮影現場における、各セクションの心理描写がリアルで引き込まれる。
ただ……MA-1って言いすぎじゃね?
という点と、『光源』というタイトルに疑問が残る。
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だれもが、自分の影に怯えて生きている。自分に支えられて生きている。自分は結局、自分と付き合い続けなければいけないし、身の回りにあるものはすべて自分の選んだものだ。望んだものにしろ、生まれつき持っていたものにしろ、自分の行動で変化させてきたものだ。
主な登場人物。カメラマン、映画監督、プロデューサー、俳優。なぜかすべてに自分自身を見つけてしまう。若さゆえの奢りと理想、経験を重ねたからこそ捨てられないプライド、私生活への憤怒が生む仕事への熱と執着、過去の自分を捨てるために何でもしてみせるという覚悟、流されて一夜を共にする一時の愛、それで崩れる関係性、スキルが生むこだわりと美学、よいと考えつつも状況に勝てない諦念。桐野夏生にしてはめずらしく、特別にねじれた人間を書いているわけではない。こんなにもリアルなのに、どうして読んだこともない作品に仕上がっているのか、それがいちばん不思議だ。
結論はない。救いもとくにない。途切れるようにして最後のページはやってくる。でも、絶望はない。ただ生き続ける、行き続けなければいけない登場人物たちを見て思う。どんなにがんばっても、もうどうにもならない流れのなかで生きなければいけないこともある。投げ捨てようとも、振り切ろうとも、自分が自分である限り、自由も不自由もおなじぐらい抱えていく。光源はどこかと考えている。生きるとは、そういうものなのだと改めて感じさせられた。
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10/14 夢中で読んだ。このところの桐野夏生にはやられっぱなし。これも小説の形態としては珍しいなあと思った。それぞれの視点の突き放し方とか。ラストとか。映画の照明っておもしろいと以前から思っていたので興味深く最後まで読んだ。
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かなり面白い。一気に読んだ。主要登場人物は、監督の薮内三蔵、カメラマンの有村、プロデューサーの玉置優子、主演男優の高見、女優の井上佐和など。彼らが、ひとつの映画をつくるために終結するが、個人の色々な思惑や確執が重なり、うまくいかず、破綻してしまう。文庫版の作品紹介では、逆プロジェクトX物語という紹介もされていた。ひとりひとりのキャラクター設定が、なかなか秀逸だと思うし、それらのキャラクターの思惑、キャラクター間の関係なども、とてもよく書けていると思う。書けそうで、なかなか書けない小説のように思えた。それにしても、桐野夏生は、とても色々なタイプの小説を書く人だな、と思う。「一作一作に変化を持たせ、自己模倣に陥ることなく、失敗を恐れず、荒々しくなっていこう、と考えています。要はパワーです」という本人の言葉が、以前に読んだ本に紹介されていたが、まさにそのような感じ。才能もあるのだろうけど、本人のそういう意図が、桐野夏生の多彩な作品をつくっているのだろう。
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桐野さんの作品は好きなほうですが、この作品は読みやすいのですが・・・最後まで読むと分かるのですが、なぜここで終わるのかな??と謎でした。でも、このなんともいえない不安感を求めて書いた作品なのかもしれないです。
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内容(「BOOK」データベースより)
誰よりも強く光りたい。元アイドルの佐和が自分を主張し始めた途端、撮影現場は大混乱。苦り切る人気俳優、怒る監督、傷付く女プロデューサー、佐和に惹かれるカメラマン。金、名声、意地、義理、そして裏切り。我執を競い合って破綻に向かう、世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX物語。直木賞受賞後第一作。
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誰もが当人にしかわからない事情を抱えている。
そして、誰もが自分にしか通用しない正義を信じている。
物語に登場する人物は、何があっても最終的に悪いのは他人だと思っている。
自分にも悪いところはあっただろう、でも、それ以上に悪いのは他の人間だと・・・。
吐き気がするほどの身勝手さが、服を着て話し、偉そうに自分の正義を押し通す。
映画に魅入られ、映画・・・映像と関わることを職業として選んだ人々。
でも、本当に好きなのは映画ではなく、自分自身。
名声や人気が何よりも大切で、欲しいものだのだ。
実力以上に自分を評価し、周囲が認めてくれないと腹を立てる。
監督としての実績もなく、力量も未知数なのに、我を押し通そうとする三蔵。
映画製作は道楽ではない。
それなりに経費もかかれば、大勢の人たちがかかわる力の結晶のようなものだ。
だが、三蔵にはそれがわからない。
考えようともしない。
ただ、その場での自分のプライドを保つことだけに振り回される。
高見は、自分の限界を知っているがゆえに才能の片鱗を見つけると潰しにかかる。
「俺以上に目立つな」と。
もっとも好きになれなかったキャラクターは高見だった。
破滅への一歩を踏み出した高見だが、何となく先は見えているような気がする。
実際にずっと傍にいるようになったら、一緒にいることが日常になったら、きっと高見はエリを捨てて日本に戻り俳優を続けようとするに違いない。
映画とはいったい誰のものだろう?
監督のものか?
それとも俳優のものか?
脚本家のものなのか?
有村は映画は監督のものだ・・・という。
けれど、最終的には資金を調達したプロデューサーのものだ、ともいう。
何かを作り上げる現場には、きっといろいろな人間ドラマがあるのだろう。
舞台裏を見ているようで、どことなく落ち着かない気持ちになった物語だった。
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思ったよりもつまらないと途中までは思っていた。後半、後半になってからのひきずりこまれるパワーはメタボラと同じ。一種のロードノベルだったと思う。疾走感のある読後が思った以上に心地よい。
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先が全く読めないようにも思えるが、読み終えると何となく全体調和の中で着地すべきところに着地した感じがする。既視感のような。人間社会をずっと遠くから観察するとこんな風景が見えるんじゃないかな、みたいな。心理描写はいいので、読んでいて飽きはしない。
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なんか、最初から最後まで痛い感じの小説だった。映画作りのためにみんなで力を合わせて頑張ろう!っていう話にはもちろんならず(桐野さんだから当然)、登場人物みんな自分の思惑に心を奪われ、映画製作は完成どころか途中でバラバラになる。その瓦解の有り様が読んでて虚しくなるような・・・読み終わって深いため息が出た。
元アイドルの女優志望の佐和も、プロデューサー優子も、野心の塊みたいにギラギラしてるのに、男どもはその欲望に知らぬ間にからめとられて、なんだか人生が自分の思わぬ方向にいっちゃっうのである。結局は、有名俳優の高見は、女々しくも愛に生きる決意をするわけだが、その選択も実際は女に後押しされてのことで、あんまり主体性がない。失いたくないからそっちを選ぶ、ってことで。
登場人物それぞれの心理描写の説明がまどろっこしかったが、まあ面白く読めました。
Posted by ブクログ
映画プロデューサー、カメラマン、監督の3人が主役かと思いきや、それだけではなかった。。。
いい意味で期待を裏切られ続けるはなし。
一番損したのは高見なんじゃないか。
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いったいどれくらいの時間をかけて読んだのか計算してみると、三週間もかかっていた。なんというか先の読めない展開に、血の通った登場人物が配置されていて、おもしろい。だけど、一気に読み切れるような突発的な興奮はなかった。だが、映画に関する損得勘定は秀逸。
Posted by ブクログ
「世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX物語」という惹句ゆえ手をつけずにいたのだが良い意味で裏切られた。「リアルであればあるほど本物から離れることもあり得る。離れるからといって力を減じるのではなく、逆に力を持つ場合もある」「リアルな虚構」。「リアリズムと力めば力むほど、本質から遠ざかるような気がしてならない」(p.202)。
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自分に全く関心のない世界の話だったから、充分楽しんで読むことはできなかったけど
やはり桐野夏生は実力のある作家だと思った。
映画製作の場面ではこんな人間模様があるのかということ、興味深かった。
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おもしろかった。おもしろかったけれど終始イライラさせられる、という話。リアルなのかどうかは知らないが、みんな身勝手に自分だけを考えていく様はおもしろい。身勝手すぎてイライラするけど、きっとこういうところが自分にもあって誰かにもある。でもすっきり丸く収まらない話はなんとなく微妙なので3つ。
Posted by ブクログ
展開とキャラクターは率直言って面白い思う。映画に携わる話ですが、専門的な用語や裏話的なところも丁寧な説明があるのでわかりやすいし、何か一緒に映画製作をしているような感じさえしてくる。映画監督の三蔵さんは考えが若すぎてちょっと同意できませんが、他の有村さん、玉ちゃん、高見さんに井上さんの気持ちはよくわかりました。 ラストはハッピーエンドともいえず、きれいさっぱり解決するという類のものでもないので、読む人によっては結局何が言いたいの?と思うかもしれないが、私は前述したキャラクターそれぞれの個性が出た上で話の世界に入り込めておもしろかったのでそれでいいと思います。