桐野夏生のレビュー一覧

  • 緑の毒

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    ネタバレ

    その昔、僕の友人がですね、桐野夏生の「メタボラ」を評して「ポップにグロい」と言っていたのですが、あの表現、まさに言い得て妙だなあ~、と思って、今頃感心しております。そうなんですよね。桐野作品、まさに、ポップにグロい。「ああ、これが現実社会なのか、、、そうなのか、、、」と突きつけられる容赦のなさ。その消費文化っぷり、そのグロさっぷり。あの表現、うん。まさに、桐野作品の真理を突いている気がする、と、この「緑の毒」を読んで、至極納得した次第です。

    この作品、なかなか興味深いのは、連載時は、角川書店の雑誌「野生時代」に2003~2011年もの長期間にわたって、断続的に連載していたものなんですって。あ

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    2020年03月27日
  • 夜の谷を行く

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    81年生まれの私はこの事件を当然リアルタイムでは知らないし、付け焼き刃の知識で本書の持つ重みを体感出来たとは到底思わない。しかしながら、今作に登場する連合赤軍側の主要人物たちの罪の意識がやたらと希薄に映ってしまうのは、彼らにとってあの動乱はいくら時が経とうと【犯罪】ではなく【聖戦】のままだからなのだろうか。熱病の様な狂乱の渦中、起きてしまった出来事に誰もが納得する答えなど存在しない様に、私たちは他者の心の奥底を知り得る術を持ち合わせてはいない。作中の東日本震災はあくまで味付け程度の扱いで少しモヤモヤする。

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    2020年03月26日
  • ダーク(上)

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    ミロシリーズの最終章らしいが、最終章から読んでしまった。
    シリーズを順に読んでいたら、登場人物の性格がもっと分かって面白かったと思う。
    あらすじにある通り、成瀬の獄中自殺から始まる話だが、成瀬との関係(ざっくりと本書に説明はあった)が曖昧だったため、ミロの人生にこんなにも大きく影響を与える意味が分からなかった。
    話自体面白かったが、シリーズから順に読めば良かったと後悔が残った。

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    2020年02月24日
  • だから荒野

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    ネタバレ

    この題名は、非常にカッチョええと思うのですが、若干「なんじゃこら?」と思う個所もある。謎の「だから」始まりと、謎の体言止め「荒野」終わり。「だから荒野」って、どーゆーことよ?
    「(~は、~である。)だから荒野(とは~)」だったら、分かる気はする。
    「かくかくしかじかの理由があった。)だから荒野(でホニャララした。)」だったら、分かる気はする。
    でも、問答無用の「だから荒野」だからって何?なんでいきなり「だから」ってなるの?謎です。謎なのです。

    で、読み終わったら、そのタイトルの意味せんとす、意図せんとすところ、わかるんかな?と思って読んだのですが、すみません。わかりませんでした。でも、好きな

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    2020年02月20日
  • 女神記

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    文章が美しいため一気に読んだけども、なぜ、これを今書かねばならんのかよくわからず、しばし読後に頭をひねってしまいました。

    古事記の今語りとしても、これを今書かねばならんテーマ性ってなんだろう?
    でも、よく考えてみれば、私が頭が悪いせいかもしれないけど、桐生様の作品には、
    よくわからないものが多いかもしれません。

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    2020年02月09日
  • 女性作家が選ぶ太宰治

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    ネタバレ

    「女生徒」や「恥」は好き。
    自分のことを綴った話はいかにも太宰らしい。度々出てくる弟くんが、このあと若くして亡くなってしまうんだなあと思うと辛い。

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    2020年02月02日
  • 夜また夜の深い夜

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    ナポリのスラム街に住むマイコは、国籍もIDもなく、父の名前もルーツもわからない。彼女に起こるアイデンティティ探しの日々を描く現代サバイバル小説。
    個人を管理したい国家と、己とは何者かを知りたい個人。目的は一緒なのに相反する関係である。世界で日本で一体彼女のような存在はどのくらいいるのだろうか。

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    2020年01月22日
  • TOP SECRET-トップシークレット-

    購入済み

    昔からこの方の絵は大好きです。今ではちょっと古臭く感じる方もいるかもしれませんが、とても綺麗に描き込まれていて素敵です。この短編集は以前どこかで見たことのあるものもありましたが、久しぶりに森園みるくさんの作品を見れてよかったです。

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    2020年01月09日
  • 柔らかな頬 下

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    ネタバレ

    まだかまだか、と読んでいったが
    結局最後まで犯人分からず!有香見つからず!!
    犯人か?!と思いきや内海やカスミの夢だったり…
    でもハラハラ楽しく読めた。
    最後は行方不明の有香からの主観。

    ずーっと同じこと(捜索)をし続けたカスミ、
    でも周りはそれぞれ事件にケリを付けて我が人生を歩んでいく。
    そんな簡単にケリなんて付けれない。

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    2019年11月18日
  • 柔らかな頬 上

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    最近、似たニュースがあったから、読んでみたくなった本。
    こちらの本ではまだ事件の結果は分からず。
    行方不明の子の母親、探してくれる余命僅かの元刑事、昔の不倫相手、のお話。

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    2019年11月17日
  • 光源

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    内容(「BOOK」データベースより)
    誰よりも強く光りたい。元アイドルの佐和が自分を主張し始めた途端、撮影現場は大混乱。苦り切る人気俳優、怒る監督、傷付く女プロデューサー、佐和に惹かれるカメラマン。金、名声、意地、義理、そして裏切り。我執を競い合って破綻に向かう、世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX物語。直木賞受賞後第一作。

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    2019年11月05日
  • 錆びる心

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    内容(「BOOK」データベースより)
    十年間堪え忍んだ夫との生活を捨て家政婦になった主婦。囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。表題作ほか、劇作家にファンレターを送り続ける生物教師の“恋”を描いた「虫卵の配列」、荒廃した庭に異常に魅かれる男を主人公にした「月下の楽園」など全六篇。魂の渇きと孤独を鋭く抉り出した短篇集。

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    2019年11月05日
  • ファイアボール・ブルース2

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    内容(「BOOK」データベースより)
    女子プロレス界きっての強者・火渡抄子。人は彼女を「ファイアボール」と呼ぶ。火渡に憧れ入門し、付き人になった近田。仲の良かった同期・与謝野の活躍を前に、自分の限界が頭をかすめる。そんな折、火渡が付き人を替えると言い出した。近田は、自分にどうケジメをつけるのか。女の荒ぶる魂を描いたシリーズ完結篇となる連作短篇集。

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    2019年11月05日
  • 柔らかな頬 上

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    ミステリーってあまり読んだことがなかった。
    これは読みやすいミステリーだと思う。

    展開や心の動きを追う面白さとしては
    おすすめ。

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    2019年10月11日
  • ファイアボール・ブルース

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    ネタバレ

    途中までは楽しめた。個性豊かで多彩であり良い。負け続けた自分は予想通り、最後で勝った。相手はアロウ。団体の顔であり、また新団体の首謀者でもある。腑に落ちない。また、被害者が外国人レスラーの可能性もある殺人事件の顛末はまた最後の方では偶然が多く、御都合主義と感じた。解説にもあるが、ビックマック3個とポテトLを食べるなんて、体が資本のプロレスラーとして、大丈夫なんだろうか。取材で分かったのだろうか。

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    2019年09月13日
  • ポリティコン 下

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    主人公トイチが上下巻通して本当に嫌なやつだったので、もっと制裁されてほしかった。そして謎はすべて回収されずじまいだったので、不満は残る。とりあえず運命に翻弄され、幸せになれる方法がわからないマヤが不憫。

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    2019年09月08日
  • 白蛇教異端審問

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    数日前には「この強い女性の言葉は今読めない」と感じた文章だったが、今は読み易い。
    何度か引用している、大江さんのいうところの「読書のタイミング」が、まさしく今だったようだ。

    コラムの中に、お母様を亡くした時のことが書かれており、それも今ドンピシャだと感じる。
    その文章に触発されて数日前「なにをみてもなにかをおもいだす」という文章を書いたけれど、それはまだ公開していない(ちなみにこの言葉は、横田創の『亡霊カフェ』という文章の一文で、そこでの表記は「何を見ても何かを思い出す」だが、音として想起したので、ひらがなになっている)。
    読めばしゃべりたく(書きたく)なり、書きながら続きが読みたい文章。

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    2019年09月01日
  • 奴隷小説

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    穏やかではないタイトルですが、短編集なのでさらっと読めます。個人的には「泥」と「山羊の目は空を青く映すか」が好きです。どちらも奴隷生活が終わる予感で締められているからかな。もっとも解放されるだけであって、ハッピーエンドというわけではないですが、そのあたりはやはり桐野作品です。
    何度でも読みたくなるかと問われれば頷けない短編集ではありました。特に印象的なフレーズも場面もなく、それでもちょっと空いた時間に読むのにちょうどいい長さと重さです。

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    2019年08月27日
  • バラカ 下

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    フィクションなのだけれども、一歩間違えればこうなっていたかも知れないと思わせられるディストピア作品。
    上巻では赤ん坊だったバラカは小学生へ。
    小学生になったバラカも苦難の連続。

    義父の川島の目的が最後までよく分からず、ひたすら気持ち悪い存在のままラストへ。

    最後はなー、ちょっと急ぎ足すぎて、そこだけが残念。
    しかし久し振りの桐野作品、面白かったです。

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    2019年08月19日
  • バラカ 上

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    久々の桐野作品。

    10代後半でかなりハマって読み漁っていたのだけれど、
    ここ何年かはだいぶご無沙汰で、桐野作品の毒がどう変化しているのかと楽しみに手に取った。

    ディストピア小説という事だけれど、東日本大震災など
    実際に起きた事が入り交じっておりドキリとする。
    登場人物は実在していたら、どの人も好きになれないな、という感じの人ばかりで、流石というか何というか。

    原発事故が起こり、放射能危険区域で発見された1人の少女バラカ。
    下巻で彼女がどう描かれているか。楽しみ。

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    2019年08月11日