桐野夏生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
韓国アイドルの成功から没落まで、俳優のテミンが語る調子で書かれていた。
言っちゃ悪いが、どこにでもありそうな話と言うか、特に驚くこともなく、淡々と読み終えてしまった感じ。
テミンからしたら、自分が「絶対才能がある」と思っていた少年が成功して落ちていくのは辛かっただろう。でも世間はそんなこと知らない。ナダンがどういう人柄で、どんな背景があるのかなんて興味がなく、ナダンの外面的な部分だけで十分なのだ。そう私は思っていたんだけど、ナダンが事件を起こしたときの世間の反応を見るに、外見が良くても私生活が乱れていたら人気は地に堕ちるらしい。意外と世間は、アイドルの中身の方(しかも悪い面のみ)にも興味があるんだなと思った。
身近に感じていた人が、そんなことするはずないと思うような事件を起こしたら、どうするだろうか。
どれだけ身近かにもよるけれど、真実を知りたいと思うだろうな。結局、人と人の付き合いって、当人同士が相手をどう思うかが重要で、そこに周囲の評価は必要ないんだと思う。 -
Posted by ブクログ
韓国芸能界を舞台に、アイドルとして頂点を極めた男の転落劇。
IMF危機を背景に、親に金の力でアメリカに留学した裕福な家庭の息子テミンと、貧困のため新天地アメリカに移住したナダン。圧倒的な格差社会、学歴社会、兵役のもたらすもの…。韓国で二人がたどったその後と、その過程で失ったものがテミンの独白という形で描かれる。
事務所の妨害、失敗を許さずとことん叩く社会、そして永久追放。上り詰めれば上り詰めただけ、堕ちたときの絶望は深い。自殺が多い韓国芸能界の闇を垣間見るような物語は息が詰まるような読書。
ナダンが自殺しなかったことだけが唯一の救いだった。彼がかつて望んだ普通の生活ができているといいなと思った。
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Posted by ブクログ
谷崎潤一郎の三番目の妻・松子の妹である田邊重子が語る、谷崎家、田邊家の裏事情。松子、重子姉妹は『細雪』の登場人物のモデルになっている。さらに、田邊家の嫁である千萬子を加えた三人の女性が、時期を変えながら谷崎の創作意欲を刺激し続けてきた。
誰が今、谷崎の関心の対象にあるのかということについて、立場の争いや嫉妬のような感情が裏に潜んでいる。
インタビュー形式のように見える箇所もあるが、いつ、誰に向かって語っているのかははっきりしない。
同じようなことを何度も語ったり、時期が行ったり来たりするあたりは、「作家が構成を練って書き上げた作品」ではなく「一般人が人前でしゃべっている内容」という感じがよく出ている。という意味でよく練られた作品だと思う。
実は谷崎潤一郎の小説は読んだことない(「陰翳礼讃」は読んだ)のだが、まずは「細雪」から読んでみたくなった。
谷崎と重子の関係について、公になった創作物やエッセイなどは存在しないらしく、この作品はもちろんフィクションである。ただ、ほぼ実名の人物を用い、闇に包まれた部分を創作で埋めるという手法は、果たしてありなのだろうか。
そう言ってしまえば、司馬遼太郎の歴史小説なども同じことになってしまう。しかし、この作品については時代が近すぎるだけに、少し引っかかるものがあった。
また、『デンジャラス』というタイトルについても今ひとつ腑に落ちない。解説によれば、「谷崎研究において誰も踏み込もうとしないデンジャラスな部分」を指しているらしい。つまり、内容がデンジャラスなのではなく、この作品を書く行為自体がデンジャラスということなのか。 -
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随分と昔に読んだ作品の再読。
ミロの父、善三が調査員になる前の話。
読んだはずなのに、何一つ覚えてない。
しかも、昔はハードボイルド系は一気に読むタイプだったのに、読むのに時間もかかる。
これが歳を取ることなのか…
物語の序盤は爆弾事件の犯人・草加次郎の話がメイン。
しかし、善三が甥を葉山のパーティから連れ出すことで、話の流れが一気に変わる。
未成年による売春。その延長線上の殺人。
善三の周りが目まぐるしく動き過ぎて、もう脳がついていかない。
草加次郎の事件の落とし所は、少し腑に落ちないが、やっぱりこの昭和の時代のハードボイルドは読み応えがある。
コンプライアンスも関係なく、自由な時代だったんだなぁ、と実感する。
幼きミロと善三との出会いも注目! -
Posted by ブクログ
代理母は海外で行われるケースしか知らなかった。
そこでは、遺伝子上の親と代理母との交流は一切なく、代理母も出産直後から子どもと引き離されるというもので、かなりビジネス色の強いものという印象だっただけに、今作品は代理母とそのクライアントの夫婦との直接的なやり取りがすごく生々しく描かれているのが面白かった。
とにかく自分の遺伝子を残すことにこだわり、子どもの意志よりも一流のバレエダンサーに育て上げることを第一に考えている夫に生理的な気持ち悪さが止まらなかった。
でも終盤はそんな自分のエゴを自覚していたし、とある懸念へも覚悟を決めているところが見えたのが救い。
りりこのあけすけな態度は読んでいて爽快だった。
なんの責任もないから思ったことをズバズバ言うし、お金もあるから自分のプライドを保ったままでいられる。
代理母の賛否に関しても、私はりりこの意見に同意。
私自身が妊娠期間中ずっと体調悪かったのと、出産は安産だったけど普通にめちゃくちゃ痛かったので、こんな思いはお金と引き換えに他人に頼めるものじゃないなと思っている。
これがビジネスになる世の中は嫌だなぁ。