桐野夏生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの著者に対する私のイメージは『OUT』に尽きます。TVドラマ版も食らいつくように観ていたことを思い出す。久しぶりに彼女の著作を読むとやっぱり「女」。基本的に『OUT』の女たちと変わらないようにも思うけど、著者も読者の私も歳を取り、もっと淡々とというのか、冷ややかになっているような気がします。悟ったということでしょうか(笑)。
個人的に可笑しかったのは『残念』に出てきたアーロン・テイラー=ジョンソンのくだり。美形の彼は19歳のときに主演作のメガホンを取った23歳上の監督と結婚していますからね。ロックオンされてしもたんやなぁと当時監督のことを同じ女性としてちょっと怖く思ったものです。
ま、私も女なので、本作に出てくるようなオッサンの妄想は打ち砕いてやってOK!と思います(笑)。 -
Posted by ブクログ
『(…)家族愛は美しいものと美化されてますけど、愛ばかりじゃない。実は闇がたくさんあります。でも、そういう闇は、家族という単位の中で、隠されてしまうんですよ。だから割を食うのは、弱い立場の子供ばかりです』
虐待をする親の無責任さ、そしてなぜか被害者面する様子。される子供の無念さと、「生きるため」を免罪符にした身勝手さ。(仕方の無いことではあるが)
すべて事細かに書かれていて驚いた。
また、優真が中学一年生になったあたりで「女なのに自分の思い通りにならないなんて」と考えるシーンがある。これにはスゴく恐怖を覚えた。
幼少期から、父という男が、母という女を従えてきたのをずっと見てきたから、こんな価値観が生まれたんだと思う。
また、「○○さえなければ」「○○さえあったら自分は」などと、"あくまでも自分は悪くない"という被害者的な考え方が多かった。
そりゃあ、環境や出自など自分ではどうしようもない要因を周りが指摘するなんて卑劣極まりない。もちろん、周りの助けも大切であるが、結局は本人次第なのかな、とも思う。(良い家庭環境で育った私が言っていいことではないと思うが…)
「ヒポクラテスの試練(中山七里)」より、作中に
"教育と就職と収入。この三つが常に相関し合い、人の運命を決めてしまうのはどこの国でも同じだ。だが中にはキャシーのように、境遇に抗い自分の望む場所を獲得する者もいる。"
という言葉がある。この文を読んだ時私は、環境がどうであれ這い上がれるヤツもいるし、もちろんそうでないヤツも居ると改めて感じた。
でも、自分が優真と同じ環境に生まれ育っていたら、どうだったろう。
自分がこのような考えにたどり着いたのも、本のお陰である。金がないと本も買えない、自由を許されないからそもそも読めない、そもそも飢えてどうしようもない…そんな状況で私は、同じことが言えるんだろうか…。
明確なオチや結末というより、読者に一生続く問いを投げかけるような小説だった。 -
Posted by ブクログ
韓国のアイドル歌手として成功した青年(ナダン)の絶頂期から転落まで光と影?を描いた小説。
タイトルはナダンがまだデビュー前に書いた詩の一節。
日本と違って韓国は一度罪を犯すと二度と復帰できず転落の一途を辿るらしい。
ナダンは兵役中に性加害の罪で告発される。だけどそれは、嵌められたってことで勝訴するんだけど、結局国を追われることのになる悲しい顛末を、デビュー前に知り合った裕福な環境で育って今は役者として認められているテミンによって語られていく手法。
著者の小説としてはちょっと物足りなく感じたのは私だけだろうか。
最初は魅力的に感じたナダンの末路が納得いかない、
でも、それこそが韓国の現実社会ということなのだろう。