桐野夏生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とっくに完結したと思っていた村野ミロシリーズの新刊が出たので、20年以上ぶりに1作目を再読。
1993年の作品ながら、全然色褪せない。
ジェンダーの考え方とかは今の時代とは随分変わったけど、もともとその辺に受容的な作風なので、全く気にならないほど。
親友・燿子が1億円を持って消えたことから始まる。
ミロは燿子を匿ってると疑われ、自分の疑惑を晴らす為に、燿子を探し始める。
その過程で、次々と明らかになる真実が奥深い。
特にネオナチの抗争の話は、この時代ならではなのではないだろうか。
今はドイツの分裂など、過去の過去の話。
93年だったら、まだベルリンの壁の崩壊から4年。
ベルリンの危うい状況に燿 -
Posted by ブクログ
ネタバレ生まれた場所で人の地位や運命が決まる事の残酷さを、チャンの過去を通して理解した。
和恵の悲惨な歩みも怪物のような見た目も衝撃を受けた。
"わたし"は後に盲目の美しいユリコの息子、百合雄と暮らし始めるがお金が底を付き2人で娼婦を始めてすぐに、百合雄ばかりが客を取れるようになる。人からの評価や見え方を気にして頑張ったり身の振り方を考えても、思うように評価されなければ捻じ曲がっていく価値観と存在意義。
グロテスク(上下)を読んで自分を大切に生きていく事の難しさを感じた。
わからなかったのは、なぜチャンはユリコの殺害は認めて、和恵の殺害は認めなかったのか。それとなぜ"わた -
Posted by ブクログ
OUTを読んで以来の桐野夏生ファンで、大概の本は読んでいる。
ミロシリーズも以前全て読んだと記憶しているが、年月を経て、内容をかなり忘れてしまっていたのが残念だった。
前作のダークも読んだと思っていたが、記憶が曖昧。
時間があれば再度読み返してみたい。
今作のミロは60才になっていて、ミロに復讐しようとしている追っ手から逃げるために、息子のハルオと息を潜めて沖縄で暮らしている。
逃亡生活も20年となり、二十歳になったハルオの行動から、ミロとハルオは再び追っ手から追われることになる。
終始ハラハラドキドキしながら読み進めた。
次のミロはいくつになるのか分からないが、続編を予感させるラストだった。