桐野夏生のレビュー一覧
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桐野夏生の白蛇教異端審問を読みました。桐野夏生のエッセイ・日記・短編集でした。あとがきで東野圭吾が「このエッセイは彼女の口から吐かれた怒りの炎なのだ」と書いているように、桐野夏生の歯に衣着せない意見がこれでもか、と書かれていました。女性の視点から感情的で理論的な、そして結構過激な論説が展開されています。(と、書いたとたんに女性の視点とは何か、定義してから論説しろ、といわれてしまいそうですが。)このエッセイ集で主張されている意見は、私が日頃感じているものも多く、応援したくなります。表題作の白蛇教異端審問は、直木賞を受賞したときに、匿名の評論家からあしざまに批判されたことに対して、反論したエッセイ
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かなり面白い。一気に読んだ。主要登場人物は、監督の薮内三蔵、カメラマンの有村、プロデューサーの玉置優子、主演男優の高見、女優の井上佐和など。彼らが、ひとつの映画をつくるために終結するが、個人の色々な思惑や確執が重なり、うまくいかず、破綻してしまう。文庫版の作品紹介では、逆プロジェクトX物語という紹介もされていた。ひとりひとりのキャラクター設定が、なかなか秀逸だと思うし、それらのキャラクターの思惑、キャラクター間の関係なども、とてもよく書けていると思う。書けそうで、なかなか書けない小説のように思えた。それにしても、桐野夏生は、とても色々なタイプの小説を書く人だな、と思う。「一作一作に変化を持たせ
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ダーク、Dark。村野ミロシリーズは、この本以降書かれていないと思うので、いちおう、シリーズでは最新刊。村野善三が全くしまらない方法で死に、トモさんは人間が変わったように卑しくなってしまい、鄭はかなりヤキの回った老人になっていて、成瀬は獄中で自殺をしていて、それを知ったミロはきれてしまい、周囲にトラブルをまき散らし始めると共に自分自身も泥沼のようなトラブルに落ち込んでしまう。小説は、そのように始まり、村野ミロシリーズになじんでいた人は、当然私も含め、これまでのシリーズ中での人物設定や人間関係が全く異なるものになってしまっていることに気がつき、とまどってしまう。とまどってしまいはするが、でも、こ
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ネタバレ「好事、魔多し」との言葉があるが、恐らく調子のいい時には、やっかみから横やりが入るだけではなく、危機管理能力が薄れるのではないか。目の前の状況にのめり込み過ぎると、この人と関わると、これ以上進むと、危ないという勘が働かなくなってしまうのだろう。
その点、水矢子は冷静だった。けれども幸せにはならなかった。母親の借金という不遇もあったが、あえて幸せになろうとはしなかったようにみえる。佳那を差し置いて、自分だけが幸せになることはできないと思ったのではないか。水矢子はバブルには溺れなかったが、酒に溺れた。身を持ち崩す原因が、象徴的だと感じた。 -
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日本では女性の体を男社会が支配していた時代が長く、欧米に比べてフェミニズムの運動が弱かった。女性が自分の体をコントロールする権利、望まない妊娠を防ぐのは個人の権利という思想は今では当然と思うが、これを読んで古い体制の社会が徹底的に女性の独立を阻み、制度を遅らせてきたことがわかる。アメリカと比べると実に39年も遅れている。
塙さんのように体制や社会と闘う勇気を持った人たちがいたから、今に至るまで少しずつ色々な制度や価値観が変わってきたのだろう。キング牧師やミルクを思い出した。が英雄になれた人たちの一方で、抹殺されてしまったかもしれないが、確かに自由を勝ち取るために戦ってきた人々に思いを馳せた。