桐野夏生のレビュー一覧

  • ロンリネス

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     2018年刊。『ハピネス』(2013年)の続編である。
     前作はタワマンに住むプチセレブな女児をもつママ友グループに露呈される階級による軋轢が主題であったが、本作ではそれは影を潜め、恋愛—不倫が主題となっている。
     主人公は同じ有紗で、前作のラストでは夫とよりを戻してハッピーエンドになっていたのに、2年後を描く本作では冒頭から夫婦仲があまり上手くいっておらず、不穏である。
     前作から引き続いて継起している親友・美雨ママのダブル不倫に触発されたこともあって今度は有紗が妻ある男性・高梨と恋愛に落ちる。
     しかしこの高梨なる男性はよく分からない。美雨ママの言うように「女たらし」であって、上手いこと

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    2021年09月20日
  • ロンリネス

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    第一章 賢妻愚妻 第二章 良妻悪妻 第三章 賢母愚母
    第四章 聖母俗母 第五章 愛夫憎夫

    妻も母も夫もいろいろあるのね

    会話しながら相手の心の内を推測するなんて私にはムリ。「じゃあね」と分かれた後で、ホントはこんなつもりだったのではと思いついてありゃりゃと思うのがせきのやま。次に会う時はもう忘れてるのさ

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    2021年09月01日
  • ロンリネス

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    ハピネスが好きで何回も読んでます。主人公の有紗は嫌いだけど。ハピネスは子育て、ロンリネスは不倫がメイン。不倫に嫌悪を抱くけど、少し羨ましくなるような感じになっちゃいます。中途半端で終わったので、次は「エンドレス」かな。。

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    2021年08月31日
  • ロンリネス

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    ネタバレ

    ハピネスの続編。恋愛の良い部分だとか、甘ったるく共感できる部分なんてほとんどなくて、ただ淡々と書かれたそのストーリーが面白い。あまり登場人物の誰かに強く肩入れしていない書き方が、この手のストーリーの重さや苦しさを軽くしてるから、割とあっさり読めた。高梨は危ない臭がすごい…このやり口で一体何人の女を泣かせてきたんだと言いたくなる。一生2人で旅に出るなんて絶対うそ!面倒くさくなった女に距離を持たせる貞の良い常套句で、また新しいところで新しい女をつくるぞこいつは!!と1人悶々としながら読んだ。でもこういう危ない男を求めてしまうのが不倫なんだろうなー。結婚してるから、ただ優しくて誠実でおおらかな人は求

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    2021年08月29日
  • 夜の谷を行く

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    連合赤軍、という名前は勿論聞いたことがあったけれどどんな事件を起こしたのか全く予備知識なく読み始めた。

    読む前から、名前からして危険な思想集団で、どこかオウム真理教と重なるような気がしていた。

    子供の頃、近所の交番で指名手配犯の顔写真を恐る恐る見ていた記憶が蘇る。
    昭和の記憶…。

    過去の事件から逃れることはできない。
    自分一人だけじゃなくて実家の家族は勿論の事、事件後に産まれた姪にまでに影響を与えてしまうという現実。

    犯罪者の暮らしは世間からひっそりと隠れて、息が詰まるような生活だが、ラストに明るい希望が見えた。
    あっと驚かされた。

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    2021年08月22日
  • ロンリネス

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    「ハピネス」の続編ともいえるお話。タワマンで子育てしている有紗。不倫しているママ友がおり、気が付くと自分も不倫をしている。この小説のテーマは「不倫」ではなく、子育て中の男女がしがらみの中でいかに「自分」を失わずに大切に育てていくという話だと思った。なかなか面白かった。

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    2021年08月16日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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     1993年、「江戸川乱歩賞」を受賞した桐野夏生さんのミステリデビュー作。実はこの前に彼女は野原野枝実という名義で少女小説を幾つも書いて出版しているので、これが処女作とは言えない。
     読み始めて、うわっ、これ面白い、すげえ、ヤバい。と焦るほどで、どんどんページをめくっていった。冒頭から実に巧みなストーリーテリング。しかも、女性主人公のミロの微妙な心理などを繊細にリアルに描出しており、さすが桐野さんという感じだ。
     近年の桐野さんの作品は描写の少ないスカスカの文体であることが多く、初期の『OUT』は逆にやや濃密な描写が重苦しい雰囲気を醸し出していたが、この作品の文体は「ちょうどよい」くらいだ。も

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    2021年08月10日
  • だから荒野

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    人が死なない桐野夏生は久しぶりに読んだ。
    旦那がだめなのかと思ったら読み進めていくうちにどっちもどっちっていう家族のお話。
    結局、誰かがいないと家族は成り立たないんだということを実感させられた。確実にいい方向に流れただろう。

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    2021年07月24日
  • 路上のX

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    両親の借金逃れにより叔父の家に預けられたが、そこには居場所がなく渋谷の街に出た真由。
    義父の虐待から逃れ、渋谷で身を売るレオナ。
    言えに居場所がなくなった二人が、渋谷の街で出会い、暴力や少女ゆえの危険などに遭遇する実態を赤裸々に描くドキュメンタリー風な小説。
    彼女たちの境遇に胸を打たれながら読み続け、その生々しさに、著者の取材力を感じる。底辺で足掻く女性を描いた『OUT』に繋がる作品。

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    2021年07月23日
  • 柔らかな頬 下

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    下巻の追い上げ力が半端ない!
    別荘へ家族で出かけ、その同じ屋根の下で密会とかもう情熱で周りが見えなくなった男女のパワーは圧倒的で、そして脆い。
    ようやく冒頭の少女が行方不明の事件が発生し、崩壊劇が始まると、ここへもう一人強力な人物が登場する。死をまじかに迎えた元刑事とかもうドラマすぎて、しかもここからは2度、3度と現実を帯びた夢が始まり、え?そんな事実が!?って思ったらそれは夢で現実かは定かではない、しかもそれが全然間違ってるとも思えないといった感じで読み手をぐるぐるかき混ぜてくれる。やるやん、桐野さん!ってちょっと見る目が変わった。
    一体少女の行方はどうなったのか?ずーっと気になりその顛末は

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    2021年06月11日
  • だから荒野

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    ネタバレ

    淡々としてたけど面白かった!
    コンドーム入りのポーチを女の人がわざわざ送ったのは笑った(笑)でもなんでなんだろう

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    2021年04月29日
  • 夜の谷を行く

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    ネタバレ

    山岳ベース事件を元に、その後ひっそりと暮らす主人公のはなし
    事件のせいで疎遠になった妹とのやりとり、
    とてもリアルで、私は主人公の身勝手さを
    感じた。妹もイヤな言い方をするんだけれど、
    その気持ちの方が普通というか。

    事件の関係者と40年ぶりに連絡を取りはじめる
    気持ちの動き、普段の生活の中にある疑心暗鬼、
    事件を思い出したく無い気持ちと懐かしむ気持ち、
    主人公の感情が伝わる。

    実際に起きた事件が元になっているけれど
    ラストは小説らしい驚きでよかった

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    2021年04月19日
  • デンジャラス

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    谷崎潤一郎の生涯と女性について、谷崎潤一郎を殺した女性の一人称で描かれていた。
    主に4人の女性が登場したが、それぞれが彼を中心に生きていて、翻弄されていてでも結局誰を中心に回っていたのかわからないような不思議な気持ちになった

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    2021年03月13日
  • 緑の毒

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    内容がすごく不愉快で、個人的にはこういうストーリーがとっても好きです!
    なので、桐野夏生さんの小説は好きです。
    犯罪者側・被害者側の心理をそれぞれしっかり描いているので、違和感なく読みすすめることができますね。
    登場人物たちの内面は、すごくドロドロしているはずだけど、彼ら自身が、それを表顕するのがすごく下手で、間違っていたり、拙かったり、、そういう部分がうまく描きだされています。
    終盤がかなり焦った感じですが、これはストーリーがあせているのではなく、主人公の心理的焦りが影響しているのでしょうね。
    楽しめました^^

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    2021年03月02日
  • 緑の毒

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    開業医妻も医者で総合病院に勤務川辺は子供もいない自分は上から下までブランドずくめで水曜日の夜は奥さんが同僚の玉木先生と浮気その穴埋めをするためレイプ魔になり自分のストレス解消をする

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    2021年02月22日
  • 奴隷小説

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    大好きな作家様の短編集。
    そんじょそこらの胸糞を遥かに凌駕する素晴らしい胸糞で、むしろ清々しいくらい。
    どの話も救いはないが、どれもこれも嘘八百のファンタジーとも思えないのが心にキます。

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    2021年02月20日
  • 夜また夜の深い夜

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    桐野夏生さんの小説は突き抜けているから好きだ。欲を言えば最近は少し勢いがないか。

    今はイタリアのナポリのスラムで生活しているマイコは、母親とアジアやヨーロッパのスラム街を転々と移り住み、教育も受けられず、友達も持ってはいけない、母親には秘密がある、という中で成長した。「日本人の娘」らしいと思うのに、国籍もIDもないマイコは淋しい根無し草か?
    あるきっかけからマンガカフェを経営する日本人に出会い、カフェで日本のマンガに魅せられ耽読する。自意識の発見、家出、友人、事件展開、変化していくマイコ。桐野さんのスピード感ある筆は、しだいにマイコはどこの誰でもないと粋がっているデラシネではない、解き放たれ

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    2021年02月19日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    うーん、先に「ローズガーデン」読んでしまったのがいけないかな。

    ミロさんのキャラクターを知っていて、最初から好もしく読み進み期待を裏切られなかったのですが、ここではミロさんに過去があるからこそ、そこはかとない陰影がでてすごみがあるように思うのです。

    やはり作品が書かれた順に読むべきだったとの思いです。

    ところで私の早とちり「村野ミロさん」を「野村ミロさん」と思い込んでた。「ローズガーデン」の感想日記にそうなってる。よくこういうことある、なんか掛け違って思い込むのよね。
    あえて直さないこっぱ恥ずかしい日記はここにあります。

    解説にもあって思い出したけど、サラ・バレツキー著「V・I・ウォ

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    2021年02月15日
  • デンジャラス

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     谷崎の三番目の妻・松子の妹である重子が語り手となって進む。『春琴抄』や『盲目物語』に影響を与えた妻の松子、『細雪』の雪子のモデルとなった重子、そして『鍵』や『瘋癲老人日記』を創作するきっかけとなった谷崎の息子の妻・千萬子。作家谷崎と三人の女の関係はただの家族、親戚とは言い難く濃密で、かといって簡単な愛憎劇でもない複雑さ。
     文豪谷崎にモデルにされる、谷崎へインスピレーションを与えることのできるということの誇りと優越感。また自分の生活、周りのもの全てを芸の肥やしにして芸術に昇華させる作家の業の深さ。そうした凄みに迫った一作だった。

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    2021年02月13日
  • 奴隷小説

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    「雀」「泥」「神様男」「REAL」「ただセックスがしたいだけ」 「告白」「山羊の目は空を青く映すか」
    これら7編が収録されています。

    どの短編も日常と掛け離れた一種独特の世界が描かれていて桐野さんらしい「毒」が溢れた作品でした。

    現代を描いた「神様男」その他、場所や時代背景は異なるけれど皆、何かに囚われている奴隷状態と言えます。

    読後感は決して良くはないけれど、読んでいる間どこか別世界に入り込んだ様な錯覚に陥ります。

    不気味で暗鬱な作品だけれど桐野さんの「毒」は癖になります。

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    2021年01月31日