桐野夏生のレビュー一覧

  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
    ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。

    例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。

    詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対

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    2022年08月01日
  • グロテスク 上

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    【2022年34冊目】
    初っ端から主人公である語り部の"わたし"の癖の強さに慄くんですけど、どんどんと本当に狂っているのは誰か?みたいな流れになってきて最終的には全員が全員狂っているのだろう、みたいなところで上巻が終わります。否、ある側面から見たある人はまともなのかもしれないし、まともとは何か、といった話であるのかもしれません。どうしてこのタイトルなのか、物語の行き着く先はどこなのか、下巻を読むのが楽しみです。

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    2022年07月27日
  • 優しいおとな

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    福祉システムが崩壊した近未来の東京で生きる身寄りのない少年イオンの物語。東京は中流や金持ちが住む世界と、そこからはみ出したまま一生を終えるホームレスの人々が住む世界に分かれており、さらにその地下に陽の目を避けて生きる地下住民たちの世界がある。ホームレスは毎日がサバイバルで、女子供はかたまって派閥のようにして身を守りながら生きている。少年は守られたい気持ちと自由になりたい気持ちの両方を持ち、生き延びつつ成長もしているという、危ういながら伸びやかな存在として描かれている。最期の最後で両親を思う気持ちが切なく、人はみな、愛を注がれて育ちたいものなんだなと思った。いくつになっても、「優しいおとな」を求

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    2022年07月11日
  • デンジャラス

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    谷崎潤一郎を細雪の雪子の視点で書いたフィクション。
    細雪を読んでいないと何の話しかはわからない
    だろうと思う
    フィクションとは言っても概ね事実に近いのか
    実在する人物を描いているので
    なるほどデンジャラスなのだな
    不可触の領域に踏み込んでいる

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    2022年06月16日
  • 夜の谷を行く

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    テーマは暗くて陰湿だが、小説ベースで書かれているのでサクサク読めてしまう。怖いもの見たさ知りたさで、子供の頃テレビで観た浅間山荘事件の映像と重なりあい好奇心が止まらない。ああいった学生運動した人って今でも極身近にいるんだろうなぁと考えると何とも複雑な気分。

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    2022年06月12日
  • 新装版 天使に見捨てられた夜

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     1994年刊。『顔に降りかかる雨』(1993)に続く、桐野夏生さん初期の女探偵ミロ・シリーズの2作目に当たる。
     やはり、面白かった。やはり現代のエンタメ系文学は非常にスイスイ読めるし、物語の展開にはまって先へ先へと駆り立てられる。
     本作でミロは、むしろ敵側と思われるようなダ男性に性的に惹き付けられて寝てしまい、それが原因となって失敗を招くなど、「アラアラ」と悔しくなるような弱さを露呈しており、それもあって、非常にリアルでなまなましい女性像を確立している。
     ミロが探し求める女性リナも、極めて不幸な幼少期を送って情緒面で発達障害的になってしまった人間として、後半リアルに描き出される。
     そ

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    2022年06月11日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    「知る」ことで「知らない」では感じられなかった物事が立体的に色彩を持って立ち上がってくる。
    ニュースを見て感想を抱くだけといった姿勢では流れに逆らうことはできないが、思考し行動することは人を新たな場所へ連れて行ってくれる。
    本書では各分野の著名人が各々の視点から考えを述べており、他人の視点、思考、背景等を感じながら読み進められるという点で対話的な(厳密には違うが)一冊になっている。
    自由を重んじる立場の方々の考えに多く触れることができて心地良さすら覚えるが、逆に反論する立場の人の意見にも触れたい気持ちになった。

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    2022年06月01日
  • ロンリネス

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    高級タワマンに暮らすママ友たちの人間模様を描いた『ハピネス』の続編。

    前作で主人公・有紗の夫が出張先のアメリカで女子大生と不倫したという告白を聞いた一件を経て、今作では有紗自身がタワマンの一階下の住人(『ハピネス』にも登場した高梨という男)と怪しい関係に、そしてやっぱりというか、親友の美雨ママは別のママ友の夫と相変わらず不倫&修羅場継続中という、何だかドロドロとした展開のお話である。

    『ハピネス』ではタワマン住民内にある格差みたいなところがテーマとして前面に出ていたと記憶しているけど、今回はお受験に関する話は出てくるものの、プライベートな不倫ネタがメインとなっており、やや俗っぽくなった印象

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    2022年05月29日
  • 水の眠り 灰の夢

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    読みやすかった。トップ屋と呼ばれる週刊紙のライターが事件に巻き込まれる話。昭和30年代の時代背景もよく描かれている。

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    2022年05月20日
  • 路上のX

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    1度読み始めると続きがめちゃくちゃ気になって、気が付いたら読み終わってた

    10代でこんな壮絶な経験してんのやばくない…?って思ったけど、描写がリアルすぎて現実味がある
    誰を信じて頼ったらいいのかわからない子も、苦い経験から強かに生きる子もその日を必死に生きてる

    若いから、女子だから、って理由で価値があるなんて思ったり思わせたりしちゃ駄目だよなぁ

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    2022年05月17日
  • バラカ 下

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    東日本大震災、赤ちゃん売買、それらに関わる人達の繋がりと邪悪な心。
    一人の幼い少女が立ち向かうにはあまりに強大で恐ろしいものがある。
    読んでいるこちら側が恐怖で叫びそうになる。

    2022.4.9

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    2022年04月09日
  • 路上のX

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    親が出奔死親戚の家に預けられ、そこで邪魔者扱いされる真由。
    継父からの性的虐待から逃れ、JKビジネスをしながら、客の東大生の家に居候するリオナ。
    付き合っている男が友達を連れて家に入り浸るようになり、シングルマザーの母親が家を出て行ってしまったミト。

    行き場の無い少女達が渋谷で危ない目に遭いながら暮らす日々。

    声を掛けてくる男たちは少女達から搾取する事しか考えていない。

    何が悲しいかって、これは小説の中の話だけではなく、現実にもっと酷いことだってうじゃうじゃあるってことだ。

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    2022年04月08日
  • バラカ 上

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    最初は東北大震災の現場から始まり、どんな展開になるのかと訝る気持ちばかりだったけれど、読み進めるうちに気分が更に重くなる。
    なんて気持ちの悪い男なんだろう…
    途中から気分が重いに加えて気持ち悪くなる。
    後半どうなるのか…

    2022.4.6

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    2022年04月06日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    コロナ後の日本社会はどのように変化してゆくのか。変化した社会にどう生きるか。桐野夏生さんの「不寛容な時代、自由な小説から力を得て欲しい」の言葉に、不安の塊がふうっと軽くなりました。

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    2022年04月04日
  • 玉蘭

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     2001年刊。『柔らかな頬』の2年後で、『グロテスク』の2年前。桐野さんのキャリアの中では比較的初期の作か。
     桐野さんの近年の作品の文体はずいぶんと薄っぺらく人物の風貌や情景はさほど書き込まないまま、スピーディーにプロットを追うようなものが多いようだが、『OUT』(1998)辺りでかなりきめ細やかな文章力を発揮していた。
     本作もそれに近く、特に冒頭は何やら文学的な雰囲気が漂っている。しかし、そんな文章を噛みしめつつ読み進めると、突如強烈な、ショッキングな出来事が起きてビリビリと来た。第1章の主人公有子は上海の学生寮に住む留学生なのだが、同じ留学生の女性が、その寮で数人の日本人男子留学生(

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    2022年03月31日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    第二章 文化芸術の自由は誰のためにあるのか
    から読み始めました

    「芸術」の周辺にいらっしゃる
    人たちの 肌感覚による発言が
    そのままストレートに伝わってきます

    いつの世でも
    どの国でも
    「弾圧」「排除」は
    ピンポイントで行われる

    危うい この国では
    よほど意識しておかなければ
    いつのまにやら 加害者側に取り残されている
    ことになってしまうことが多いように思う

    本書を(肯定的に)読んでいる人たちとは
    どこかで しっかり つながっておきたい

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    2022年03月08日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    この作品に出会えてよかった〜!しかもシリーズものとあって、今後の作品も読むのが楽しみです。
    個人的にとても読みやすいミステリー。難しくないけど、真相には手が届きそうで届かない。読みすめていくごとに、主人公のミロと一緒に一歩ずつ犯人に近づいていく実感がドキドキしてたまらない。主人公もみんなキャラが立っていて面白い。
    元夫との間にあった確執や死の真相に謎が残るな〜と思ってたところに、シリーズ化されていると知って歓喜!早く読みたい〜!

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    2022年03月04日
  • ファイアボール・ブルース

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    プロレススポ根モノかと思って読んだらがっつりミステリで先が気になってガンガン読めた。男気のある火渡と女子プロレスの魅力とミステリが上手く融合されてて楽しめた。ラストもスカッ!

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    2022年02月27日
  • 奴隷小説

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    文庫本になってから読む利点は解説があるから、それがいいのか、邪魔なのか。

    この文庫版の政治学者白井聡の解説は、なるほどなあと思う。桐野夏生さんの作品が現代の(平成の)新しいプロレタリア文学ではないか、というところはおもしろい。

    ここに集められている7短編は、何かに隷属させられて藻掻くか、打ち破れる人間たちだ。現代見聞きするありがちな事情あり、昔の時代にさかのぼったのや、もっとおとぎ話的なのもあるが、それぞれが救われないどうしようもない状態なのは一緒で、作者は怒りに満ちて描いている。

    デストピアの世界といっても、人間たちが構成している世界だから、そこに矛盾が生じるのは当たり前、前向きに、個

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    2022年02月08日
  • 路上のX

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    リアルな展開で続きが気になり、
    一気に読み終えた。個人的に、締めの部分が何となく弱い気もします。描写や時間の流れがリアルで、こういう体験もしている子達もいるってことだなと思いました。

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    2022年01月16日