桐野夏生のレビュー一覧

  • バラカ 下

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    背景は東日本大震災の直前と震災、震災後6年経って(まさに今、2019年)、そしてもっと未来、先取りの物語です。
    作者が執筆したのは東日本大震災の直後です。あの頃は世の中も文学もどうなるのかという衝撃でした。
    過ぎてみればそこで世界が止まるわけでもでもなかったのですけど。

    この「バラカ」というヒロインが日系ブラジル人の少女の成長物語のストーリーは、現実よりも福島の放射能被害が広範囲に深刻になっていて、というデストピアの世界。「えっ!そんなぁ~」と思いますが「もしかしてほんとうはそうなのでは」と思わせられてしまう怖さもあります。

    日系人の両親が日本に働きに来て貧困に陥り、他の国に脱出するもうま

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    2019年08月15日
  • バラカ 上

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    リアルとデストピアのない交ぜの小説だ。あの東日本大震災を題材に・・・と思って読むと肩すかしのような、だからこそ、そこはかとなく怖いのだけど。桐野さんは相変わらず筆運びが勇敢で、叙情に流されないところがいい。ハンサムウーマンたるゆえん。さて、結末があるかどうか。

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    2019年08月03日
  • バラカ 下

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    ネタバレ

    うーん読むのがつらい話だった。上巻はバラカがちっちゃいのに境遇が大変で辛かったけど、下巻は成長してて自分の立場が分かってる上で巻き込まれてるからこれも辛かった。
    エピローグは、こーやって大人になったんやなあと救いがあるラストだからこっちは安心するけど、読んでしまえば、なくてもよかったかもしれんと思ってしまった。何も見えない先に向かって歩みだそうとするバラカ、みたいなラストなら不安なまま終わってそれはそれでよかったかも、と思ったけど辛いもんなー。
    震災後のディストピアものはボラード病を読んでるけど、表現している世界観は同じ感じだと思う。

    面白かったからこの人の他の作品も読みたいわい。

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    2019年08月02日
  • だから荒野

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    46歳の誕生日に、夫と息子たちと訣別の旅にでた主婦・朋美。家族という荒野を生きる孤独と希望を描く長編ロードノベル。
    登場人物全員の能天気さが、どうしても嫌悪感しか抱かない。でも、それが桐野夏生さんの持ち味である。家族を荒野に例える巧さ、そして自分の家は沃野であってほしいという希望。反面教師として森村家をずっと見てました。

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    2019年06月30日
  • 夜また夜の深い夜

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    友達に本当の名前を教えることも禁止されて生きてきたマイコ。
    そんな母は、家を空ける度に顔を変えて帰ってくる。
    住むところはアジアやヨーロッパから、今はナポリのスラムに住んでいる。
    今までだって貧しい暮らしばかりで、学校もろくに行かせてもらえなかった。
    それでも母を信じながらも、難民キャンプで育ったという、雑誌で知った七海という女性宛に本名で手紙を書き始める。
    そして、隠し事の多い母に嫌気が差して、とうとう家出をする。
    そこで国を出てきた二人の女性と暮らし始める。
    彼女たちはマイコよりももっと厳しい年月を過ごしてきた。
    そんな彼女たちとの生活が始まるが、母の本当の姿にも近付いてくる。
    本当の自分

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    2019年06月21日
  • バラカ 下

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    もう、訳わからないけどスピード感はあった気がする。

    次から次へと起こる試練。

    あっちもこっちも何処もかしこも試練、試練、試練。
    何でこんなに不幸が続くのさ、、、と嫌になる。


    決してオールクリアなハッピーエンドではないけれど、何とか消化出来た。

    上巻より下巻の評価が低いのは、この苦しさからくるものなのかな、、、

    川島の最後がどうも腑に落ちない。
    ギッタンギッタンのメッタメッタに打ちのめしてやりたい(*`へ´*)

    バラカがここまで追い詰められないといけない理由もイマイチわからなかった。。。(^◇^;)

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    2019年05月05日
  • バラカ 上

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    スピード感が速い。久々一気に読んだ小説。

    まだ上巻の為、何がどうなっているのか?これからどうなるのか?全く予測不可能。


    出版社に勤める沙羅は独身のまま40歳を超え、子供を望むようになっていた。友人の優子にドバイで養子を購入出来るとの情報をもらい、優子と共にドバイを訪ね、バラカという少女を幼女にし、日本に連れ帰る。


    日本に住む日系ブラジル人のパウロとロザにはミカという幼い娘がいた。
    酒に飲まれるパウロ。
    「精霊の声」教会にのめり込むロザ。
    このままでは駄目になると、ドバイに家族で移住するが、パウロは厳しい暑さに身体を壊し、ドバイで働けなくなり、単身ドイツに渡る。
    ロザはナニーの仕事が気

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    2019年05月04日
  • バラカ 上

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    久々電車乗り過ごすレベルに面白い本読んだ。なんていうかわかんないけどこういうジャンル好き。人間の醜い部分を普通のことのように書いてる小説が好き。

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    2019年04月26日
  • バラカ 下

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    生き抜いているバラカ。彼女を本当に愛しく思っていたのは助けてくれたお爺さん達だけだったのかもしれない。
    原発に反対の勢力と賛成の勢力の影でのぶつかり合いが哀しい。そこまでやるか?と思う時と、そこまでやるかもしれない…と思う時があって苦しくなる。
    命を脅かされることなく穏やかに暮らしたいのは誰にも共通することだろうに。

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    2019年04月08日
  • バラカ 上

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    プロローグは放射線被害警戒区域でバラカが見つかったこと。
    生みの母と父、育てようとした母とその夫。二組の男女を中心にとその周りの人たちの生活と想い。馴染める物があり、馴染めない物もある。それぞれの個性が波打ってくる。

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    2019年04月08日
  • 夜また夜の深い夜

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    舞子の生活には緊張感もあるが不思議とワクワクさせられた。
    一定の場所にはとどまらず、ヒラヒラヒラヒラ彷徨う舞子。その様に生活せざるを得なくさせるような親は罪深い。
    逞しく生まれ変わった舞子の冒険は続いていく。

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    2019年04月01日
  • バラカ 上

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    ひとびとの欲望を露悪的に描きつつ、ぐいぐい読ませる力は流石。失敗のサイクル、か。身につまされるのう。

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    2019年03月12日
  • バラカ 下

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    桐野夏生『バラカ 下』集英社文庫。

    東日本大震災から8年後、様変わりした日本。成長したバラカは岩手県の県北に暮らす。苛酷な運命に翻弄されるバラカの周りでは次々と人が死んでいく……

    原発推進派も反対派もハッキリとは描かれず、上巻の面白さは半減。バラカを廻る悲惨な出来事ばかりが際立つイヤな感じの小説だった。

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    2019年03月10日
  • 奴隷小説

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    肉体的あるいは精神的に隷属状態に置かれた人々を描いた短篇集。

    とにかくぞくぞくしました。
    面白いと言うのは不謹慎かもしれないけど、こんな気持ちにさせてくれる桐野夏生という作家はやっぱり稀有な存在だと思います。

    さまざまな時代や設定の中で、奴隷として抑圧状態に置かれた人やその周囲の人を描いていますが、自分の抑圧状態に無自覚な人もいれば、脱出しようと戦おうという人もいます。

    暴力によって肉体的・直接的に支配される女性を描いた話はとんでもなく苛烈で、過去だけではなく現在でもこのような扱いを受ける女性がいるのだろうと想像するのもおぞましく、反吐が出そうになりました。

    精神的に搾取され続ける女性

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    2025年02月24日
  • 優しいおとな

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    貧富の差が拡大して荒廃した日本。ホームレス、地下世界…テーマは重い。
    親を知らないイオンの目からその世界を見る。
    次々に展開する話に引き込まれた。

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    2019年02月17日
  • 柔らかな頬 上

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    ネタバレ

    あらすじも何も頭に入れないまま読んだので
    行間に漂う仄暗い感覚と不倫劇から始まり
    娘が行方不明になるという展開に目が離せなくなりました。

    両親や周りの人の取り乱し方や諦め方、諦められなさ、接し方
    テレビに出たときの世間の反応、善意の第三者や悪意の人の意見に
    振り回される様子など、どれもリアルに感じます。

    カスミは良いお母さんではないかもしれませんし、
    愛情なのか執着なのかもわからなくなりますが
    人間は一辺倒ではなく、一面だけで善悪を語れないという
    一例であるとも言えます。

    感情移入はできないものの、今いる場所から逃げたくて
    その道を相手に見つける気持ちはわかる気がします。
    その人といると

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    2019年02月20日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    たまたま古本屋さんでゲットした『天使に見捨てられた夜』を読んだのですが
    これは続編だと知って、シリーズ物で1作目の本書を読みました。

    江戸川乱歩賞受賞作なのですね。面白かったです。

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    2018年12月24日
  • エロスの記憶 文藝春秋「オール讀物」官能的コレクション2014

    購入済み

    粒揃いの作品集です。小池真理子さんの作品を目当てに買いましたが、各先生の作品それぞれ格調の高いエロスで楽しめました。このお値段でこの内容はお得です。

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    2020年05月05日
  • 柔らかな頬 上

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    この物語は、『好きじゃないけど、面白い』という、何とも複雑な気持ちにさせられる本。ストーリーは、主人公カスミがW不倫の最中、娘が失踪してしまい、娘探しの旅に出る....という。それだけ切り取れば「自業自得の最悪やん」となってしまうのだが、カスミにははそれほど嫌悪感を感じなかった。なぜなら、彼女は常に安穏の地なく、彷徨える宿命を背負った女であるというのがまざまざと伝わってきたから。という気持ちを抱えたまま下巻へ~

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    2018年10月01日
  • 新装版 天使に見捨てられた夜

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    ネタバレ

    村野シリーズの第二作目、文書は前作より多少読みやすくなる。構成は非常によくできている、言い方を変えれば、完成度が高いこと。ストーリーは主人公の行動を追って単線的に展開するので、非常にわかりやすい。ただ、犯人牧子の心をもっと掘り下げてほしい。じゃないと、最後に来た彼女が自殺するシーンには、些か安っぽく感じる。

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    2018年08月08日