桐野夏生のレビュー一覧
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松任谷由美デビュー50周年を記念して、6人の女性作家さんたちが書き下ろしたユーミン曲がテーマのオリジナル小説集。題名見るだけで惹かれるものがあり、即購入。
収録されている話は以下、
・あの日にかえりたい(小池真理子)
・DESTINY(桐野夏生)
・夕涼み(江國香織)
・青春のリグレット(綿矢りさ)
・冬の終り(柚木麻子)
・春よこい(川上弘美)
いずれの曲も知っていたが、あらためて思ったのは、その曲に対する偶像イメージは『人それぞれ』ということ。特にユーミンなどは僕らの年代は誰もが知っていて、その曲に対する絵が脳裏に自然と浮かぶ。
ただ、それをいざ物語化してみたら、作家が描くストーリーが -
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表題作「もっと悪い妻」をはじめ、計六作の短編を収録。サクッと読み終わるが、それぞれにちょっと毒を感じる桐野スパイスがまぶしてある感じでした。(読者レビューを見る限り、もっと毒が欲しかったという意見が多数です、確かにそうかな)
僕個人の意見ですが、短編集の面白いところは、一冊の本を『ひとつの世界』になぞらえ、短編それぞれの主人公がパラレルに同じ時間にそれぞれの毎日を過ごしていると考えると、まさに世の中ってこんな感じなんだろうなあと、別な楽しみがある。(変でしょうか?)
一つの話の主人公の妻は旦那の行動を訝しみ罠を仕掛け、一つの話の主人公の妻は妥協して結婚をしたことをずっと悔やみ、別の話の主人 -
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桐野夏生『砂に埋もれる犬』朝日文庫。
久し振りの桐野夏生。昨年8月に読んだ『インドラネット』以来であった。
悲惨なまでの虐待と貧困の連鎖と、明確な解の無い結末に読後は陰鬱な気分になった。
明らかに日本は下流社会に成り下がった。非正規労働が当たり前になり、まともな賃金を貰えないままに自らが生きることで精一杯の若者たち。若者たちにとっては、結婚など夢のまた夢。子供を持つなど有り得ないというおかしな社会になってしまった。
9年連続で出生率は低下し、70万人を割るのは時間の問題だ。親の貧困が子供への虐待につながり、さらにはその子供の貧困を生み出すという負の連鎖は続く。
政府が最近打ち出した高 -
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初桐野夏生さん作品。
にんげんはグロテスクな生き物だ、と思う。でもそのグロテスクを裏とすれば、反面美しい表の瞬間だっていくつもあるはず。でもこの小説ではそんな瞬間は一切描かれないので、かなり読むのに困憊した。悪意悪意悪意にまみれながら、それでもこの人たちの結末を知りたいと下巻を読むであろう私もなんだかグロテスクな気がする。
「ミツルはこの学校の中で生まれた突然変異なのです。人並み外れた良心と優しさを持った生物。それはきっと、心の中に人より大きな悪魔がいるからなのです。ミツルの中の悪魔が、良心と優しさを育てたのです。」
「姉は私が化け物だと幼い頃から苛めてきたが、私には美しい外見などどうで -
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ネタバレ話の先が気になり、どんどん読み進めてしまった。真由の気持ちも分からなくもないが、幸恵の気持ちもわかる。高校生の子供が突然1人増える。真由をリオナが見た印象を読むと、こういうタイプの子を歓迎しようとは思わないと思う。全ての原因は両親のせいだと思うが、もっと他に選択肢はあっただろうと登場人物たちへの苛立ちを覚えてしまう部分もあった。ただこれは自分が恵まれた生活を送ってきたから思う感想であって、この世には自分の想像をはるかに超えた苦しい経験をしている人達がいるのだと思うと、とても心にモヤっとしたものが残る。この先真由に少しでも楽しいことや幸せだと感じられる瞬間が訪れて欲しいと思った。
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よくここまで胸糞な人物を、というのとそのクズさ加減に読んで嫌悪を覚えるかもしれない。
人間味っていう甘いも辛いもある味でいうとエグ味。嫉妬という感情から突き動かされるエネルギーは凄まじい。そのエネルギーを仕事に活かしたら、とも思うけどそううまくもいくまい。
これ、程度の差こそあれ、現実に起こっていることなのでは?不倫がーとか、レイプがーとかじゃなくて、形を変えた形でこのやるせなさって日常にひそみ、誰もが皆持ってるものだと思う。それを切り分けて小説という形に落とし込んでエグ味を足して一冊と成す。
この本もおそらく人を選ぶ、人が選ぶのを躊躇う部類だと思う。ただし、本がもたらす人間の在り方につ -
匿名
無料版購入済み燕は何を暗示しているのか?
表紙から分かるように明るい話ではなく、シリアス路線です。
卵子提供はこれからどんどん増えていくでしょうし、
どうなる結末になるのか興味があります。 -
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結局わたしは当事者になるか、そばでリアルに話を聞くかしないと他人の辛さや心の痛みや感じる違和感に共感したり寄り添ったり慮ったりできるような繊細な感覚を持ち合わせてないと痛感させられた。
代理母になるしかないのも田舎から出てきて困窮するしかなかった環境のせい。代理母になる決断も「テルがやるなら」と人まかせ。草桶夫婦のために子を生むことは青沼さんが言った「人助け」なのだと思い込もうとする。あげく無責任なクズ男と流れで寝るなど、ずっと人に聞いてとかその場の勢いでしか考えられてなかったリキが、最後だけはやっと自分の意志を認めて覚悟を決めたように思えた。
興味本位で口出してくるりりこが意外と重要。り -
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『新たにどこかに踏み出すにも、時間と金が必要だった。』
時間と金、時間と金…
センシティブな内容過ぎて、読む人の状況によってそもそも読める読めないがあると思う。
以下、感想。
貧困と性 、金持ちとエゴ
それを結びつける生殖医療ー代理母の話
作中では、子どもを産むということに全能感を感じるという女性の話と、不妊治療に臨む親たちが一番言葉にしにくい感情は不全感なのではというプランテの話が印象に残った。(もちろん、ただの、この本の中の登場人物の考えに過ぎない。人それぞれなのは言うまでもない。)
生殖を担わされる女だから、産む意志の有無に関わらず、産みたくてもできないも、そもそも欲しくないでも