桐野夏生のレビュー一覧

  • 真珠とダイヤモンド 下

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    プロローグとエピローグで見える景色がだいぶ違う。こうなりますか。
    表題のダイヤモンドの意味が中盤で見えてきて、終盤になって真珠の意味が回収される。
    スピード感があって乱高下する物語の展開は、金に踊りバブルに踊った儚い時代の移り変わりのようで、上下巻600ページがあっという間でした。

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    2025年08月10日
  • 真珠とダイヤモンド 上

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    昭和バブル期の証券会社を舞台にした物語。
    パワハラセクハラ当たり前、コンプラなんて意識無し、生々しくギラギラした時代が最近まであったんだなと思う。
    学歴の無い男は手段を選ばず出世を目指し、外見だけで判断される美しい女は実力で男に認められようとし、何も無い女は大卒の肩書きを欲しがる。
    成り上がる物語の前編なのか、転落劇の序章なのか、まだ分からないけどリズムの良さでスイスイと読みました。後編が楽しみ。

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    2025年08月10日
  • ダーク(下)

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    ぶっとんでるなー。
    続きが気になってしょうがない!
    上までは今までのミロと違ってて、あれ?ってなってた。が、面白かった。
    みんな熱が漲っている感じ。
    単行本はなんであんな高いのかな
    ダークネス、早く読みたい。
    ミロシリーズ一気読みしました。まさかこんなハマるとは。

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    2025年08月04日
  • 夜の谷を行く

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    去年、反日武装戦線の元メンバーで、本名は桐島聡だと名乗ったあと病死した男のことを思い出しながら読んだ。
    この小説の啓子は桐島と違って、捕まったあと服役し、ひっそりと生活していた。
    それは、ずっと逃げ回る日陰の身か、元犯罪者として、家族からもそのことを周りに知られないよう生きていくことを暗に強いられる身か、の違い。
    親族の結婚にまで過去の犯罪は影を落とす。

    桐島も啓子も、若気の至りなんて軽い言葉では片付けられないが、死ぬまで引きずる十字架はなんて重いのだろう。
    実在の人物の桐島聡や永田洋子。彼らも、こんなことになるなんてと暴走しすぎてしまったことを、最期には後悔しながら亡くなったと思いたい。

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    2025年07月25日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

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    ユーミンデビュー50年を記念して、6人の作家による短編書き下ろし。ユーミンの曲名と歌詞からイメージした短編はそれぞれ作者の個性が出てます

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    2025年07月21日
  • 砂に埋もれる犬

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    こういうネグレクトは実際に存在するんだらうな。自分の周りでは全く見られないのでどうしてもフィクション感があるけど。もうホントに負の連鎖。少しでも良くなるかな、と思っても、闇は深い… どうしたらいいのかわからない!本人も、里親の二人も。現実はやはりどうしようもないのか…

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    2025年07月20日
  • 砂に埋もれる犬

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    ネタバレ

    優真の境遇に同情し、味方でいたいと思って読んでいたのだけど、彼の行動がどんどん危うくなっていく描写は、リアルすぎて共感もできず、もう優真が分からなくなっていた。
    でも最後、洋子に泣きながら抱きしめられた時、優真も自然と涙が出て、やはりずっと親に抱きしめて欲しかったのではと思った。

    ここから目加田夫婦と一緒に不器用でも生きていく道を見つけられたら。

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    2025年07月17日
  • インドラネット

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    ついつい小説を読む時、主人公はまともな人間であると読み進めてしまいがちだ。でも、こいつはグズである。金をもらって海外に行く約束なのになかなか行かない。暴力的だとかサイコパスだとかではなく、同じ世界にいそうなグズだからヤキモキする。

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    2025年07月17日
  • 真珠とダイヤモンド 下

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    サクサク読めるストーリー。結末はほぼ予想していた通りだった。バブルに乗っかって、バブルに沈んだ。自分も当時はその勢いと共に調子に乗っていたなあ。その時はバブルとは思わなかった。ただ、イイ事は多少味わったが、酷いことには全くならなかった。

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    2025年07月15日
  • 燕は戻ってこない

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    代理母出産を題材に、女性の貧困、性差別を描いたお話し。NHKのTVドラマで見た知人から、スゴく面白かったから是非見てみてって言われて、探してみたけどネットでも見当たらず、小説を読みました。TVドラマと小説では、エンディングが違うみたいだけど、桐野夏生さんが伝えたかったのは小説の方と、勝手に納得しました。

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    2025年07月03日
  • グロテスク 下

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    和恵さんが堕ちていくのが怖かったです。
    自分も、同じような感情を持ったことがあるのを思い出しました。

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    2025年06月25日
  • オパールの炎

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    なんの予備知識もなく読み始めて、あ、これって、榎なんとかって人と似てるなと思ったら、彼女をモデルにした小説だった。子供すぎて、ピンクのヘルメットと、中ピ連のピは「避妊薬ピルのピなんだ」と、どこまでわかっていたのかわからないが、記憶にあった。
    宗教や政治に進出とかは全く覚えていないが、テレビ等で派手に取り上げられていたのだろう。
    全体的に、早すぎた人は潰されてしまうというのはよくあることなのだろう。男の恨みを買い過ぎると潰されてしまうということも。
    いくら調べても消息がなかなか辿れなかったということだけがはっきりして、それも良かったと思う。
    「悪女について」(読んだことはないのだが)方式の構成も

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    2025年06月22日
  • グロテスク 上

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    語り手「わたし」の観察眼は鋭い。
    でも、性格悪いんじゃないかな(苦笑)
    さすが、桐野夏生先生。
    下巻が楽しみ。

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    2025年06月18日
  • 夜の谷を行く

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    閉鎖的かつ観念的な組織が、国家でいう「死刑」を行うときや、その「死刑」行為を正当化する時には、その組織独自の言語・概念を適用します。

    連合赤軍なら「総括」
    オウム真理教なら「ポア」
    ナチスドイツなら「最終的解決」

    どれもその殺人行為には「浄化」の意味合いが込められていますが欺瞞的です。また、その観念のよりどころは、ある個人を中心に数年で急激に累積してきた恣意的な組織文化に依存しています。

    「革命」は多かれ少なかれ「暴力」に帰結していくことがあります。ただ「暴力」をその組織の目的にしているのではないため、矛盾が生じてしまい、その行為を正当化するためにどうしても欺瞞的になっていきます。

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    2025年06月14日
  • グロテスク 下

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    ネタバレ

    上巻は「わたし」と一緒に和恵をいじめて楽しみ、下巻は和恵に盛大に共感して落ち込んだ。

    日本で努力信仰の世界で生きることを許されていた和恵の姿が、自分に被る。老いる身体を受け入れず、鏡の中の幻影に縋り、いつしか怪物になっていく過程を楽しみすらしていた和恵が。
    彼女の自己認識のズレが、私の持つ自己認識のズレとオーバーラップする。和恵は上方にズレ、私は下方にズレているという違いはあれど、ほんとうの自分の姿と、ほんとうの周囲の視線や評価を受け入れない限り、ひとに幸福は訪れないんじゃないだろうか。

    あと、チャンがシンプルにこわい。人間の作りが違いすぎる。心の底から分かり合えない、関わってはいけない人

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    2025年06月08日
  • 路上のX

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    いたたまれない。
    ただただ大人って………ってなる。
    汚い大人。
    いい人間っているんだろうか。
    主人公や友達、幸せになってほしい。
    秀斗に関しては、心情がわからなかった。
    なんで庇ったんだろう。

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    2025年06月05日
  • グロテスク 下

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    後書き通り、「わたし」「和恵」のような一面が自分にもあると感じ、目を背けたいような、苦しい感覚がずっと続く。救いがない、ただ、落ちるだけ

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    2025年06月05日
  • 砂に埋もれる犬

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    登場人物の心理や行動の描写がリアルで、かつ児童虐待・ネグレストという社会問題がテーマになっているので物語に引き込まれた。
    特に思春期の男子の心理描写はとてもリアルに感じられ、後半の優真がどんどん危うくなっていく展開にハラハラさせられた。
    救いのあるラストを望みながら読み進めたが、わずかな光が見えた程度で唐突に終わってしまった感じだった。やはりフィクションといえど安易にハッピーエンドにできないくらい虐待を受けて育った子どもの傷は深く、この社会問題が重いテーマなのだろう。

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    2025年06月04日
  • オパールの炎

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    ネタバレ

    事実っぽく感じさせられる。
    それはともかくとして、私の親も同世代・同階層だが、理想に走って他人を傷つけることに容赦はないけど、受け身に立ったら思考原理がガラリと変わるのはどういったことなのか。
    そういう時代は、通過しなければならなかったものなのか

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    2025年06月01日
  • グロテスク 下

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    世間の正義、他人の目を気にして生きること、それに囚われすぎる人達、全く囚われない人、すべての人の生き様を抜かりなく伝えつつ、それが世間で社会だってサクッと結論付け。面白かった。

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    2025年05月26日