桐野夏生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
桐野夏生『もっと悪い妻』文春文庫。
僅か140ページ程で6編収録の短編集。
現代日本の様々な市井の人びとの日常を切り取ったような短編ばかりが並ぶ。歪な関係の夫婦、独り身となった男性や女性。事情や状況は様々あれど、しっかり生きていることだけが人生の証なのかも知れない。
『悪い妻』。キラキラネームの娘と暮らす、脆くて危うい若い夫婦の日常を描いた短編。いつ破綻してもおかしくないようなイマドキの若い夫婦の生活。家事と育児に一切関わらないアマチュアロックバンドに熱中する牛丼屋のバイトの夫に不満を募らせる千夏はついつい娘のドレミに当たっていた。
『武蔵野線』。中年男の悲哀をこれでもかと描いたよう -
Posted by ブクログ
「夢と現の“あわい”を行ったり来たり」
最終盤、“幻の”谷崎潤一郎のひと言。
“あわい”という言葉、この春から何かと目に付き、いちいちハッとしてしまう。
ぼくが大好きな上白石萌歌さん。クリエイティブコンソーシアム“adieu”の最新EP『adieu5』を語る際のキーワードのひとつが“あわい”だった。
adieuが語った“あわい”についての、僕の意識がそうさせるのか、“あわい”の文字を目にした背景のことごとくに、adieuや萌歌さんの“影”を感じていた。いちいち数えることも億劫なくらいに、僕の目の前に現れては積み重なってゆく“あわい”の文字。
2027年1月放送予定のNHKドラマ『デンジャラス』 -
Posted by ブクログ
ネタバレ16歳の真由は突然両親が家を売り、叔父家族のもとに預けられてしまう。食事も居場所も満足に与えられず、家出をして渋谷へ。サバを読んだ自称高校生ミックに騙されそうになり、バイト先のラーメン屋(ゲン兵衛)ではレイプされた。1つ年上のリオナと出会い、リオナの友人ミトと3人で、秀斗というリオナのJKビジネスの客のマンションで、秀斗を監禁しながら暮らす。真由はゲン兵衛のことを警察に話しに行ったことから両親の居場所がわかり、母が店の人と子どもを作って父がその相手を刺したとわかった。真由はショックを受け、警察を逃げ出したリオナに連絡をし、すぐ返事が来て安心するところで物語が終わる。
登場人物のほとんどの人が -
Posted by ブクログ
桐野さんはもしかしたらさいとうたかおプロダクションみたいにいろんな人に書かせているんじゃないかと思うくらい、また違う印象を受けました。今回は東山彰良さんを思わせましたね。
ちょうどワールドカップで韓国が敗戦して、監督がひどくなじられているいるニュースを見たこともあって、韓国では我が国以上に誹謗中傷が過激なんだなあと改めて思いました。自殺する芸能人も多いですしね。徴兵制もいろいろと問題の種になっているんですね。
ナダンが愛おしいです。この「眠れぬ・・・」の詞がまたいいですね。完成されていないのがまた絶妙。
なぜ舞台を韓国にしたのか、そこらへんを聞いてみたいです・ -
Posted by ブクログ
ネタバレ成功と転落を味わったナダンの人生を、テミンという男の目を通して見せてもらった感じ。
デビューを夢見る少年の頃のナダンは、純粋で、未来しかなくて、ただ眩しかった。
成功を掴んで次々と問題を起こすナダンを見ていると、そんなはずない、あのナダンがそんなことするはずない、と受け入れ難く感じてしまったけれど、それはテミンの目を通しているからそう感じたのかもしれない。自業自得とはいえナダンを哀れに思ったけれど、芸能界ではよくある話で。私たちからすれば次々と流れていくニュースのひとつでしかない。ただ、芸能人だってひとりの人間なんだと思えて、アイドルを見る時にかけられるフィルターが効果をなくしてしまった感じが -
Posted by ブクログ
4篇の短編からなる構成だ。
表題作の「ローズガーデン」だけは亡き夫の博夫が語る内容となっているが、後の3篇は村野ミロ探偵の視点で綴られている。
⚫︎「ローズガーデン」
年上の女とはたくさん遊んでいるという自負があった博夫は、同い年の女子高生は子ども過ぎて付き合ってられないと思っていた。
ところが博夫と同じように高校を欠席ばかりしている村野ミロという少女に会い、ミロの落ち着き払った目に惹かれ、やがて心身共にミロに溺れる。
ミロも博夫に好意を抱くのだが、博夫の嫉妬心を煽るためなのかどうか、義父と性的関係にあることを平然と告白する。
⚫︎「漂う魂」
ミロが住んでいる歌舞伎町のマンションに、幽霊が -
Posted by ブクログ
韓国芸能界の光と影を描く。
男性アイドルの頂点を極め
その後、全てを失い転落していくナダン。
アメリカ・アナンデールへ留学し
行先を模索し、やがて成功を収めるテミン。
2人は経済危機を回避するため訪れたアメリカで出会った。
韓国のドラマが好きなので
登場人物が辿る人生を興味深く読んだ。
やはり、桐野夏生さんも韓国ドラマを観ているそうだ。
詳しいはずだと納得。
インタビューで
「人が黒くなる過程を見るのが大好き」と話す。
もっと黒くドロドロとしたストーリー展開なら
桐野夏生ファンで、韓国芸能を知らない読者も
存分に楽しめたのではないだろうか。
SNSに流れてくる韓国芸能の苛烈さ。
それを -
Posted by ブクログ
IMF危機のあおりで一家離散となり、アメリカに逃れアルバイトで暮らしている中学生のナダン。
金も後ろ盾もないがその恵まれた容姿と歌声で、いつしかスターにと夢見ている。
街角で歌っているナダンを偶然見かけ、心惹かれるテミンは、会社を経営する父を持ち、恵まれた境遇であるが、そんな父が嫌で、韓国が嫌で、勉強が嫌で親せきを頼りアメリカで暮らしている。
そんな二人が努力やチャンスにより、韓国で芸能生活を送るようになる。
が良いことは続かず・・・
兵役や高学歴社会、SNSの怖さなど韓国独特の風潮を交えながら、ひとりの人間の儚い人生が語られる。
何かを訴えかけるような桐野作品にしては、考えさせられる作品