桐野夏生のレビュー一覧
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『路上のX』は、トー横キッズの実情を生々しく描いた作品だった。
18歳以下で家庭環境が不安定な場合、本当に居場所を失ってしまうことがあると知り、胸が痛んだ。
そんなときに安心できる別のコミュニティがあればと思うが、日本にはまだその制度が十分に整っていないように感じる。
「買う側」と「買われる側」。
作中に登場する大人たち(主に男性)は、自分の欲望を満たすためなら、無垢な少女たちの感情や希望さえ踏みにじる。その姿はあまりにも幼稚で、醜く見えた。
少女たちはただ、幸せになりたい、衣食住の整った普通の生活を送りたいと願っているだけなのに、社会は彼女たちを「メンヘラ」や「性非行」といった言葉で片 -
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大好きだったミロシリーズの最新刊が出ていると知り、驚きと喜びで本を開いた。
あまりにも長い年月の経過。
前作「ダーク」から23年…ミロも読者の自分もそれだけの時間を重ねて来たことに感慨を覚える。
母親として息子ハルオを育てて来たミロ。
息子が愛おしくてたまらないミロ。
出生の秘密を話せずに苦悩する心情が切ない。
ミロを追いかけるダークな運命から、ハルオを守り抜こうと懸命に生きて来たのに、物語はそれを許さない。
ラスト残り数頁の思わぬ展開は息を呑む。
本当にこれで最後?
違うよね?桐野先生!と叫びたくなる余韻はさすが。
絶対に続編があると信じて。
さて、大好きなミロシリーズ、どこにしまっ -
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ネタバレ和恵が日記をつけていることが上巻で明かされたときから、和恵の日記は視点として出てくるだろうなと思ってたらやっぱり出てきて、しかしその支離滅裂っぷりがあまりに凄すぎて圧倒されてしまった。自分が何を求めているのか、何が辛いのか、悲しいのか、そういうものがわからなくなって、本人は理論的なつもりなのに世間とは明らかにズレはじめてしまっている、これはギャグなのではないか?と疑うくらいの滑稽さ。既視感あるなと思ったら、闇金ウシジマくんに出てくる女性に似てるんだと気づいた。自分は一生懸命なんの問題もなく振る舞っているのに、周りはドン引きして離れていって、それがどうしてかわからないっていう感じ。読んでて本当に
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ええっ!?ラストの展開、想像もつかなかった。でもどこか納得してる自分もいる。だってミロの今までの生き様を見ていれば、安全な生活に辿り着けるのは無理だろうと思うし。でもだからって、ミロに対して酷すぎないかな。
色んな男がミロを愛し、そしてミロから去っていった。そのときそのときは楽しめたと思うが、ミロの暮らしはいつも不安定だった。ハルオとの20年間だけが、彼女の安寧の日々だったんだろう。
ハルオが自分の出生を知ったときにどうなるのかが怖くて、読んでいる間、なかなか緊張した。ハルオのどこか冷酷なところのある性格から、彼がミロとの訣別を選択することも容易に想像できたし。あんなに葛藤してハルオを産ん -
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あるツイートで腐女子は読むべき課題図書であると書いてあり、いずれ読まなくてはなぁと思いながらも機会がなかったのですがようやく読み始めました。まだ上巻しか読んでないし、元ネタの事件のことも知らないのでどのようなストーリーが展開していくのか楽しみです。
語り手である「わたし」が、いわゆる信用できない語り手なので、物語のどこまでが真実でどこまでが嘘なのかまったくわからない中での読書はちょっとだけしんどいです。
しかもこの語り手、底意地の悪さが半端じゃないので、読んでいてすごく嫌な気持ちになります。よくぞここまでひどい性格や思考でいられるな、と思いつつ、ちょっとだけ似ている人を知っていて(学生の頃の -
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ミロシリーズ4作目。
心の支えを失い、義父を見殺しにしてから、主人公ミロは憎悪に巻かれ、転がり落ちていく。
上巻最終章に登場する韓国の光州事件。
つい先月、韓国に行く機会があり、事件の中心となった光州に滞在した。事前に事件に関する映画を観たり調べたりして、民衆化を訴える一般市民に、政権を握る軍部が無差別で行った蛮行を知り、たかだか45年前の出来事であることに驚いたばかりだ。
偶然とはおもしろいもので、つい先日再読したシリーズ第1作には、去年訪れたベルリンが登場している。
好きなシリーズって、本筋とは関係ないこんな部分でも御縁があるのかしら、とほくそ笑んだ。