桐野夏生のレビュー一覧

  • ダークネス

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    ええっ!?ラストの展開、想像もつかなかった。でもどこか納得してる自分もいる。だってミロの今までの生き様を見ていれば、安全な生活に辿り着けるのは無理だろうと思うし。でもだからって、ミロに対して酷すぎないかな。

    色んな男がミロを愛し、そしてミロから去っていった。そのときそのときは楽しめたと思うが、ミロの暮らしはいつも不安定だった。ハルオとの20年間だけが、彼女の安寧の日々だったんだろう。

    ハルオが自分の出生を知ったときにどうなるのかが怖くて、読んでいる間、なかなか緊張した。ハルオのどこか冷酷なところのある性格から、彼がミロとの訣別を選択することも容易に想像できたし。あんなに葛藤してハルオを産ん

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    2025年10月10日
  • ダーク(下)

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    名前を変えて韓国に逃亡したミロの、孤独な闘いが続く。

    前作までは主人公がほのかに思いを寄せていた魅力的な隣人が、これでもかというくらい卑劣になり、義父も落ちぶれて、ミロの周囲の人たちのあまりの変貌に驚く。レイプは唐突だし、ミロを追う狂気の盲人もミザリーのようで、ここまで過激じゃなくても、というのが正直な感想。
    それでも読まずにはいられないのが、桐野夏生の魅力的なのかな。シリーズを立て続けに読んだので、さすがに食傷気味ではあるが。

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    2025年10月07日
  • グロテスク 上

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    あるツイートで腐女子は読むべき課題図書であると書いてあり、いずれ読まなくてはなぁと思いながらも機会がなかったのですがようやく読み始めました。まだ上巻しか読んでないし、元ネタの事件のことも知らないのでどのようなストーリーが展開していくのか楽しみです。

    語り手である「わたし」が、いわゆる信用できない語り手なので、物語のどこまでが真実でどこまでが嘘なのかまったくわからない中での読書はちょっとだけしんどいです。
    しかもこの語り手、底意地の悪さが半端じゃないので、読んでいてすごく嫌な気持ちになります。よくぞここまでひどい性格や思考でいられるな、と思いつつ、ちょっとだけ似ている人を知っていて(学生の頃の

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    2025年10月07日
  • ダーク(上)

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    ミロシリーズ4作目。
    心の支えを失い、義父を見殺しにしてから、主人公ミロは憎悪に巻かれ、転がり落ちていく。

    上巻最終章に登場する韓国の光州事件。
    つい先月、韓国に行く機会があり、事件の中心となった光州に滞在した。事前に事件に関する映画を観たり調べたりして、民衆化を訴える一般市民に、政権を握る軍部が無差別で行った蛮行を知り、たかだか45年前の出来事であることに驚いたばかりだ。
    偶然とはおもしろいもので、つい先日再読したシリーズ第1作には、去年訪れたベルリンが登場している。
    好きなシリーズって、本筋とは関係ないこんな部分でも御縁があるのかしら、とほくそ笑んだ。

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    2025年10月06日
  • 新装版 天使に見捨てられた夜

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    AVに出演後に失踪した女性の捜索を依頼された探偵が、業界の裏側に踏み込むうちに自身も翻弄されていく、ミロシリーズ第2弾。

    単行本として出版されたのは、1994年。今でこそ女性の弱みに付け込んだ悪質な商売は問題視されるようになったが、当時は際どい部分に社会問題として先駆者的に斬り込んだ作品だった。
    再読になるが、ミロシリーズの魅力は、探偵としても女性としても、ミロが完璧ではないところだと思う。むしろ、本能の赴くままに行動し、失敗して迷走してそれでも挫けずに突き進んでいくクールな強さがいい。

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    2025年10月05日
  • 砂に埋もれる犬

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    「正しさを教えることは正義に思えるが、相手の背景を知らない正義は暴力になる」と語る解説者の言葉に納得。家庭の温もりや、そもそも生活することがどういうことなのかも分からずに育った主人公にとって、社会のルールなど言って聞かせても、分からないし、まるで自分が悪いのかと責められているような気持ちになるのだろう。常識的な正論は、時には非情な責め苦になる。口は慎まなければならない時がある。深い小説でした。

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    2025年10月04日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    村野ミロという魅力的なキャラクターを知り手に取った。携帯電話やインターネットは普及していなかった時代のミステリー小説として、当時の東京や世相を懐かしく味わえる。続編も順次読んでたい。

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    2025年10月04日
  • グロテスク 上

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    登場人物それぞれに共感するところがあり、一人の人間のある部分をデフォルメして各人物が出来ているのかなと思いながら面白く読み進めることが出来た。

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    2025年10月01日
  • グロテスク 下

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    ネタバレ

    途中までとても面白く読んでいたが、和恵の日記からタイトル通りのグロテスクな世界に引き込まれそうで怖くなった。
    メンタルが弱っている時は読まない方がいいかも。
    最終的に登場人物が1人に収束していくような。

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    2025年10月01日
  • ダークネス

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    ネタバレ

    前作までの流れを思い出せるかちょっと不安になったけど、読み始めたらすぐに思い出した。
    壮絶なミロの人生。
    登場人物はろくでなしばかりだし、物語自体の異様な雰囲気もそのままで一気読みしてしまった。
    これで完結??
    ミロのこれからがまだまだ気になるけどなあ。

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    2025年09月19日
  • ハピネス

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     簡単にハッピーにはなれない人生をシニカルに描いた私には興味と苦笑と共感を感じられた一冊。タワマンから下界を見下ろす生活は幸せなのか、人より良い暮らしをしているとみえることが承認欲求を満たす手段なのか、一度はそんな罠にハマっていた私がいたなぁと痛い部分も思い出す。。。

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    2025年09月18日
  • 砂に埋もれる犬

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    ネグレクトと虐待で里親に預けられる少年、その母親、後に里親になるコンビニ経営者、3人の視点で物語が進む。
    一つ一つの出来事は決して過剰なものでなく、リアル、とにかくリアル。きっと筆者は詳細な取材を重ねているのだろう。緻密な人物描写、誰もが多面性を持ち、その心情が痛いほど伝わる。物語に引き込まれる。そして誰もが単純には幸せにはならない。虐待、貧困の真実はそうである。でも微かな希望は感じさせる。さすが桐野さん、本領発揮。

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    2025年09月15日
  • ダークネス

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    前作ダークから何年経過したんだろ
    ダークを読んだ時にはミロに共感できないと感じた記憶があるけど、ダークネスは完結編にふさわしく、ミロの気持ちを語ってくれて、なるほどと言う気持ちになりました
    ミロの名前以外はほぼストーリーを忘れていましたが、ハルオに語る過去で前作までの大まかな流れがわかったので、助かりました

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    2025年09月14日
  • ハピネス

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    プチセレブ生活。ママ友は家にあげない、あくまで外面しか見せない。結局みんな苦労してて、嘘と見栄ばっかりで、小さな世界でもがいてる、そういうもの。

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    2025年09月11日
  • 燕は戻ってこない

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    ネタバレ

    いろいろわからなくもないけど、ちょっと複雑すぎて気持ちがついていかない。
    希望金額を全てもらった上に、双子の片割れを連れて逃げるように去るのは如何なるものかと思うが、気持ちはわからなくもない。
    私なら最初から代理母などやらないとは思えど、同じ立場になったらそれが絶対だとは言いきれない。

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    2025年09月10日
  • グロテスク 下

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    ネタバレ

    ニクヨさんの推薦書として読んでみた。

    和恵のパートで胸が痛い。
    鈍感で悪意にも気づかず、
    いつも承認欲求に飢えている女。

    パートの後半で「優しくして」という言葉が胸に刺さる。自分を商品として売っている街娼なのに「買われたい」以上に「認められたい」「愛されたい」「私をみて大丈夫だって言って」「安心させて」という悲痛な声が読み取れて悲しい気持ち半面、分かるなぁーとも思った。

    誰かに承認されて「正常です」と言われたいのに、その言葉を求めるあまり怪物と化していく。。

    承認欲求は恐ろしい。
    綺麗なもの、美味しいもの、素敵なもの、良い経験を積めば積むほどに未来に出会うものと比較して評価する。
    そん

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    2025年09月08日
  • ダークネス

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    これまでの人生を回顧し
    過去の出来事を清算しようとする母。
    これからの人生の岐路に立ち
    己れのルーツを探ろうともがく子。
    終わっていく者と未来へ向かっていく者
    静と動、陰と陽のコントラストが
    際立っていて
    キャラクターが立っているから
    物語の中にすっと入り込めた。
    そして、共にさんざん振り回された。
    この暗闇、絶望の先に射すはずの
    光を見てみたい。

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    2025年09月03日
  • ダークネス

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    えっ? シリーズ最終? ミロの最後の闘い?
    ミロとは、「顔に降りかかる雨」の主人公 村野ミロ
    養父村野善三との出会いや生業などが描かれた、たぶん桐野さんのデビュー作だったはずで、私はこの物語にいたく感動して、桐野さんにファンレターを書き、返事をいただき感激した覚えがあります。今も取ってあると思う。

    ずっと続編を待ち望んでいたが、その後桐野さんは路線を変え、次々と作品を発表する。
    そして今回本書を手に取りびっくり。
    なんとこの前に、シリーズ2作目の本が出ているという。
    何という不覚、でも仕方がない順番が回ってきた本作から読もう。

    二作目から20年が経過しているという設定で、ミロに息子がいたり

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    2025年08月31日
  • ダークネス

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    茨の道を歩き、生死を彷徨った村野ミロが、60歳になり沖縄で育てた息子のハルオも20歳になった。

    医大に通いながら将来は、医師になるのだろうか…と思っていたハルオだが、自分の父を知ることでその根本をも知ろうとして、大学を辞めて東京に出る。
    そこで罠に嵌り地獄を見たハルオ。
    それを知ったミロの最後の復讐は…。

    壮絶な生きざまに疲弊してしまう。
    だが、ハルオが気になり捲る手が止まらない。
    ミロはやっぱりミロだが母親でもあった。






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    2025年08月29日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    女性が主人公のハードボイルド小説。少し異色に感じるが、ヒロインは別れた夫と、その死をひきずる32歳の独身女性であり、並外れた美貌だとか屈強の身体能力を持つ訳でもなく、等身大のごくありふれた人物像だ。
    しかし、ある日、忽然と姿を消した美貌の親友と、彼女と共に消えた大金を巡り、その恋人の男やヤクザに、あらぬ疑いをかけられ追われる羽目になる。ただ追われるだけならよくある話だが、時に監視され、或いはこの追っ手と行動を共にしながら消えた女の行方を追う。
    ヒロインの強い精神力や機転、失踪した親友の見えざる過去や倒錯した性癖、人脈などが明らかになるにつれ、事態は思わぬ結末を目指して疾走していく。
    作者が表現

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    2025年08月21日