桐野夏生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ええっ!?ラストの展開、想像もつかなかった。でもどこか納得してる自分もいる。だってミロの今までの生き様を見ていれば、安全な生活に辿り着けるのは無理だろうと思うし。でもだからって、ミロに対して酷すぎないかな。
色んな男がミロを愛し、そしてミロから去っていった。そのときそのときは楽しめたと思うが、ミロの暮らしはいつも不安定だった。ハルオとの20年間だけが、彼女の安寧の日々だったんだろう。
ハルオが自分の出生を知ったときにどうなるのかが怖くて、読んでいる間、なかなか緊張した。ハルオのどこか冷酷なところのある性格から、彼がミロとの訣別を選択することも容易に想像できたし。あんなに葛藤してハルオを産ん -
Posted by ブクログ
あるツイートで腐女子は読むべき課題図書であると書いてあり、いずれ読まなくてはなぁと思いながらも機会がなかったのですがようやく読み始めました。まだ上巻しか読んでないし、元ネタの事件のことも知らないのでどのようなストーリーが展開していくのか楽しみです。
語り手である「わたし」が、いわゆる信用できない語り手なので、物語のどこまでが真実でどこまでが嘘なのかまったくわからない中での読書はちょっとだけしんどいです。
しかもこの語り手、底意地の悪さが半端じゃないので、読んでいてすごく嫌な気持ちになります。よくぞここまでひどい性格や思考でいられるな、と思いつつ、ちょっとだけ似ている人を知っていて(学生の頃の -
Posted by ブクログ
ミロシリーズ4作目。
心の支えを失い、義父を見殺しにしてから、主人公ミロは憎悪に巻かれ、転がり落ちていく。
上巻最終章に登場する韓国の光州事件。
つい先月、韓国に行く機会があり、事件の中心となった光州に滞在した。事前に事件に関する映画を観たり調べたりして、民衆化を訴える一般市民に、政権を握る軍部が無差別で行った蛮行を知り、たかだか45年前の出来事であることに驚いたばかりだ。
偶然とはおもしろいもので、つい先日再読したシリーズ第1作には、去年訪れたベルリンが登場している。
好きなシリーズって、本筋とは関係ないこんな部分でも御縁があるのかしら、とほくそ笑んだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレニクヨさんの推薦書として読んでみた。
和恵のパートで胸が痛い。
鈍感で悪意にも気づかず、
いつも承認欲求に飢えている女。
パートの後半で「優しくして」という言葉が胸に刺さる。自分を商品として売っている街娼なのに「買われたい」以上に「認められたい」「愛されたい」「私をみて大丈夫だって言って」「安心させて」という悲痛な声が読み取れて悲しい気持ち半面、分かるなぁーとも思った。
誰かに承認されて「正常です」と言われたいのに、その言葉を求めるあまり怪物と化していく。。
承認欲求は恐ろしい。
綺麗なもの、美味しいもの、素敵なもの、良い経験を積めば積むほどに未来に出会うものと比較して評価する。
そん -
Posted by ブクログ
えっ? シリーズ最終? ミロの最後の闘い?
ミロとは、「顔に降りかかる雨」の主人公 村野ミロ
養父村野善三との出会いや生業などが描かれた、たぶん桐野さんのデビュー作だったはずで、私はこの物語にいたく感動して、桐野さんにファンレターを書き、返事をいただき感激した覚えがあります。今も取ってあると思う。
ずっと続編を待ち望んでいたが、その後桐野さんは路線を変え、次々と作品を発表する。
そして今回本書を手に取りびっくり。
なんとこの前に、シリーズ2作目の本が出ているという。
何という不覚、でも仕方がない順番が回ってきた本作から読もう。
二作目から20年が経過しているという設定で、ミロに息子がいたり -
Posted by ブクログ
女性が主人公のハードボイルド小説。少し異色に感じるが、ヒロインは別れた夫と、その死をひきずる32歳の独身女性であり、並外れた美貌だとか屈強の身体能力を持つ訳でもなく、等身大のごくありふれた人物像だ。
しかし、ある日、忽然と姿を消した美貌の親友と、彼女と共に消えた大金を巡り、その恋人の男やヤクザに、あらぬ疑いをかけられ追われる羽目になる。ただ追われるだけならよくある話だが、時に監視され、或いはこの追っ手と行動を共にしながら消えた女の行方を追う。
ヒロインの強い精神力や機転、失踪した親友の見えざる過去や倒錯した性癖、人脈などが明らかになるにつれ、事態は思わぬ結末を目指して疾走していく。
作者が表現