桐野夏生のレビュー一覧

  • 夜の谷を行く

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    読書会のため改めて文庫本を読み直してみたら…
    初読時には創作だと思っていたシチュエーションが丹念な取材、実際の証言に基づいていた事を知り驚愕。満点でも星が足りない‼︎傑作。#八蔵の会

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    2021年07月06日
  • 女神記

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    すごい。息を呑む、とはこのことか。とんでもなく面白い。

    女に生まれ、生きる、その苦しみ。

    「絶対に消えるものか。生きる楽しみを謳歌した者に、黄泉の国に追いやられた者の気持ちなどわかるわけがない。これからも怨んで憎んで殺し尽くすのだ。」(イザナミ、p.258)

    これは男として生まれた者に対する怒りなのかもしれない。

    桐野夏生さんが、『彼女は頭が悪いから』(姫野カオルコ、2020)の選評で、「この国で女に生まれることは、とても憂鬱なことだ。女たちの憂鬱と絶望を、優れたフィクションで明確に表した才能と心意気は賞賛されるべきだ。小説でなければできないことがあるのだ。」と書いていたことを思い出した。

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    2021年06月18日
  • 光源

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    映画制作に関わる人間たちの利害や思わくが激しくぶつかり合いながらも、撮影が進んでいく描写は生々しくも読む者を引っ張っていく。。
    普通の物語ならラストに映画が完成しハッピーエンドとなる所が、何故かふとした食い違いから大破綻を迎えてしまうが、予定調和のラストでは絶対に味わえないこのなんとも言えない不安感こそが、桐野作品の真骨頂なのでは。

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    2021年06月12日
  • 水の眠り 灰の夢

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    まるでチャンドラーを読むかの如き、ハードボイルドなミステリ。とにかく、すべてが格好良い。
    改めて、桐野夏生さんの筆の自在さ、巧みさには圧倒される。こんな作品も書いてしまうのか……本当に凄い。
    昭和38年という時代の明暗に浮き上がる、硬派で、その信念を貫く人間たちの生き様、悲しみ、寂しさ、そして優しさ。こんなふうに生きてみたくなる、憧れを透かしながら読んだ。ハイライトに火を付けて。

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    2021年04月03日
  • 水の眠り 灰の夢

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    ネタバレ

    スピンオフ作品なのを知ったのは読み終えてから。
    ただし、知らなくても読める作品です。

    トップ屋の男が巻き込まれることとなった
    女子高生殺人事件と、
    その時代に日本を混乱に陥れた爆弾魔、草加次郎。

    そこの一部には「触れてはならない」領域も出てきます。
    なぜならば犯罪関与者にいわゆる権力を
    持ったものが出てくるから。

    そして殺人事件にはあるとんでもない秘密が
    絡んでくるから。
    ある種の良くない出来事はその一部で
    本筋に関しては最悪な代物。

    重い内容だけれども
    読みやすかったのはひとえに、著者の文章力なんだろうな。

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    2021年03月31日
  • だから荒野

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    46歳主婦が、自分の誕生日に家族に嫌気がさして、突発的に家出をする。思い立って車で東京から長崎まで!裏切りや出会いがあり、単調な毎日と違う日々。結局は、人間は簡単には変われないけれど、冷め切っていた家族関係はいい方向に向かったんではないか。歯切れよくストレートでとにかく面白い。男の駄目っぷり。読後感も良い。450ページもあっと言う間に読めた。

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    2021年03月21日
  • バラカ 下

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     2016年刊行の長編小説。東日本大震災から5ヶ月後の2011年8月から2015年5月にかけて雑誌連載されている。「読書人」の対談(2010年)の中で本作について、大震災に直面し「小説に書かなければ」との思いで書いたと、作者が語っている。
     物語の最初の方では40歳くらいの独身女性が「男はいらない」が子どもが欲しいと、ドバイのマーケットで1歳半の女の子を買って来るが、ちょうど川上未映子さんの『夏物語』後半を思わせる問題系の話になっている。
     物語に登場する川島なる男性が凄まじく凶悪な人物で、あり得ないような命中率で出会う女性を次々と妊娠させ、不幸を呼び寄せ死へと至らしめる。まったく嫌悪すべき「悪魔」的人物なのだが、物語の中では引き込まれるようなまがまがしい魅力を持っている。一種ドストエフスキー的なイメージである。
     既にここまででじゅうぶん物語を展開できそうな素材配置だが、さらに東北大震災が到来する。小説内では福島の原発が「4基とも爆発」したことになっており、現実よりも放射線の被害は甚大なものになっている。東京にも避難勧告が発出され、大量の人びとは西へと逃れる。首都は大阪に移り、何と2020年には大阪でオリンピックが開催される予定となっている。
     大震災の偶然的な到来により物語の風景は一変し、後半は震災から8年後、つまり2019年の設定であり、本作執筆時よりも未来が描かれている。政府や原発推進派が隠蔽・情報操作により原発事故を「なかったこと」にしようとしており、大半の国民は今や大阪オリンピックに夢中になり放射線や避難者のことなど忘れ去っているあたり、現実の日本と同じである。リアルな現在においても「避難者」は4万人を超えているそうで、この「避難者」の定義はよくわからないものの、我々の生活は彼らを忘却した上での「平時」において成立している。
     本書後半で描かれている「避難者」は「棄民」と呼ばれ、おのずと原発反対派を結集させ、原発推進派とその背後にいる大企業・政府という強力な権力と激しく対立しており、震災後の日本の状況を多少誇張しているものの、基本的にはほとんど同じである。桐野夏生さんは本書において、原発事故後の日本社会の分断と病んだ権力構造を極めて鋭く描出しているのだ。主にジェンダー問題に敏感に反応していた桐野さんは本書と『日没』(2020年)では更に日本社会の今日的状況を大きく捉えて問題化しているようだ。
     ドバイから連れられてきた少女バラカは、震災8年後に10歳となっているが、震災時に被爆して甲状腺癌を患って首に大きな手術婚を持ち、原発事故の「象徴」として原発反対派・推進派の双方に身勝手に利用される。分断され二派にわかれた陣容のやりきれない対立に巻き込まれ翻弄される運命のバラカはただひたすらに生きようとしており、魅力ある主体として造形されている。隠蔽・改ざん・腹黒い工作がはびこる大人たちは、誰が本当の味方なのかわからず、常に絶望的な危機状況だ。
     桐野夏生さんは初期の作品を除いて、あまりディテールを描写しない作家となったが、その分非常にスピーディーに人物たちの関係性とその変容を追って物語はうねりにうねって、その波動を魅力の中心としている。本作はそれが実に豊かに結実していて、読み応えのある小説作品となっており、さらに、日本社会の醜悪な現状を映し出している見事な現代文学たり得ている。
    「ガイジンは出て行け」というレイシストたちも登場している辺り、悲惨な現在の病んだ社会の実相がえぐられているし、こうした「えぐり」が主人公の心をも容赦なく襲う痛苦が、やはり桐野文学の特質を直接的に示しているのである。

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    2021年02月26日
  • だから荒野

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    日常生活で満たされぬ思い、一番理解して欲しい家族に理解されない葛藤などが丁寧な描写で描かれています。

    自分の誕生日に車もろとも家出をする朋美に感情移入しながら最後まで一気に読みました。

    ストーリー的には納得出来ない場面もありましたが(亀田の真意、ころころ変化する息子の言動など) それを持ってしても人間の不可思議な面と捉えたら納得出来る様な気がします。

    「OUT」の様なブラックな内容を読みたい方にはもの足りなさが残るかも知れませんが日常の些細な場面にこそ毒が潜んでいると思うので満足出来る作品でした。

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    2021年01月27日
  • グロテスク 上

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    何回読んでも

    5回目くらいですが、やっぱり何回読んでも面白い。

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    2021年01月25日
  • デンジャラス

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    私の大好きな桐野夏生が、私の大好きな谷崎潤一郎の生涯を描く。これは読んでみなければ。細雪のモデルとなった妻とその姉妹、そして谷崎本人を、まるでNHKの朝ドラのように描く本作。谷崎の残した文章や周囲の人の記憶といった点を、桐野なりのストーリーとして線にしていく。線はフィクションだが、谷崎自身や彼の作品を理解する補助となり、今すぐ彼の作品を再読したくなる欲望に駆られる。作家としての姿勢を谷崎に語らせて、実は桐野そのものを語らせている手法も面白く、桐野、谷崎両者をより深く堪能することができる。とにかく物語が面白く、久々にページを早くめくりたい気分になった。年末年始に楽しい読書ができた。

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    2021年01月01日
  • デンジャラス

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    読みだした途端に感じる不穏な空気に夢中になった。谷崎潤一郎と妻の松子、松子の妹の重子をめぐる関係。あからさまな肉体関係はないようなのだけれど、もっと複雑で不穏で水面下でうごめいているからこそ、妙に生々しく、スリリング。
    そこに松子の連れ子の青一(戸籍上は重子の息子)の嫁の千萬子が現れて、物語はまさにタイトル通りのデンジャラスなすごみを帯びていく。
    千萬子の賢さ、したたかさと若さ。松子と重子の自負と嫉妬。谷崎に迫る老いと焦燥感。
    この絶妙なブレンドをなせるのも桐野さんならではだと思う。
    今度は谷崎の往復書簡集を読んでみたい。

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    2020年12月08日
  • だから荒野

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    ロードムービー好きにはたまらないロード小説。何故か鈴木京香が思い浮かぶと思ったら数年前にドラマ化されていた。夫婦の立場は逆だが、ふらっと長崎までドライブ行ってみたい。

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    2020年11月11日
  • 優しいおとな

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    上流と下流、光と闇、下の世界にはさらに下があってそれぞれの立場で理想を目指す。日本の中でさえも存在する世界の多重性に驚き、恐ろしく思った。経済の困窮、親しい人間の欠如がこんなにも人の精神を歪めることを知った。

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    2020年11月11日
  • 柔らかな頬 上

    購入済み

    一気読み

    ぐいぐい引き込まれました。最初の登場人物を覚えておくことで混乱せずに読み進められます。上下巻揃えて読まれることをお勧めします!

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    2020年10月04日
  • 水の眠り 灰の夢

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    1964年の東京五輪の前年に起きた実際の事件をモチーフにしたフィクション。迷宮入りの事件をよくもこんなに面白い話に仕上げたものです。ラノベファンや当時の状況を知る由もない読者の興味は惹きづらいかもしれませんが、ケータイのない時代の経験者であれば面白く読めるはず。ま、昭和生まれ向きの話ということですね(笑)。私だって経験はしていない時代のことですが、当時のファッションが目に浮かびそう。

    草加次郎による犯行がピタッと止んだことを思えば、本当に犯人は死んだのかもしれない。想像する楽しさを味わえる、圧巻の読み応え。

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    2020年04月05日
  • 水の眠り 灰の夢

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    昔読んだ記憶はあるものの・・
    すっかり忘れていました
    村善、かっこいい!
    ミロシリーズも読み返したいです

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    2020年01月08日
  • バラカ 上

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    桐野夏生『バラカ 上』集英社文庫。

    登場人物の誰もが異常という何とも奇妙な小説。主人公はバラカなのか、沙羅なのか、それとも悪魔の如き川島なのか……現実と虚構の狭間で背中がざわざわするような嫌な味わいのストーリーが展開する。恐ろしいが、読まずにはいられない。

    ブロローグに描かれた東日本大震災による福島原発事故後の被災地。放射能被害警戒区域でボランティアの豊田老人に保護された謎の少女バラカ……次第に明らかになるバラカの出自と数奇な運命……

    果たして下巻では如何なるストーリーが待ち受けているのか。

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    2019年03月07日
  • 柔らかな頬 上

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    ネタバレ

    『ピクニック・アット・ハンギングロック』を読みたいなーなんて思っていたら、「そういえば、『OUT』を読もうとした時、『柔らかな頬』とどっちを読むか迷ったんだけど、あれ、確か失踪モノだったっけ」と思い出したのがきっかけ。

    そんな“代わりに”読んだ本だったんですけど、これ(上巻)はよかった。
    何がいいって、主要登場人物のカスミ、石山、道弘、典子、どれにも共感できちゃったのがよかったんでしょうね。
    ホントそれぞれ、「あー、わかる…」って感じ。

    といっても実際のところ、カスミはわからないんだろうなぁー(ていうか、実際に会ったらお互い大っ嫌い!ってタイプだと思うw)。
    ただ、“ここ(今)ではないどこかへ”という思いや渇望が自分の中にもあるのは間違いないだろう(ていうか、ない人はいないかw)。
    でも、その渇望を衝動として時々抑えられなくなっちゃうとまでなっちゃうとどうなんだろ?
    もちろん、時にはそういう“衝動”がないと、人間、生きていてつまんないでしょうけどね(笑)
    ただ、あそこまで強い思い込みで自分や周囲を追い込んでいっちゃう人って、「破滅型」としか言いようないんじゃないかと。
    ていうか、カスミの場合は自分(や周囲)を破滅させることで新たな“ここ(今)ではないどこか”を得たい、みたいなところがあるのかもしれませんね。
    って、思い出してみると、 (周囲には異常に思えちゃう)思い込みの強さで人間関係や自分をおかしくしちゃう人って、結構普通にいましたね。
    ていうか、自分自身にもあてはまったりして!?w

    “ここ(今)ではないどこかへ”という思いという意味では石山もそうなんでしょう。
    ただ、石山の場合は、そもそも“ここ(今)”に少なくとも表面的には不満はないから。カスミや借金で追われる身になるという具体的な何かがないと、自分がその欲望を持っているということに気がつかなかったのかな?
    そういう意味で、カスミに出遭うことで、彼女(という新しい世界?)に魅かれていく流れなんかはホント見事に描かれていると思います。
    セーターを買って途方に暮れているカスミに出会うシーンとか、日常に疲れたカスミがエレベーターに飛び込んできたシーンとか。
    あぁー、そりゃ落ちるわーって感じ(笑)
    不倫って、要は“道ならぬ恋”じゃないですか(爆)
    恋っていうのは洋の東西を問わず“落ちるもの”なわけで、人間が飛べない以上、そこに恋があったら落ちることしか出来ないんじゃないかと…www
    これは、あくまで日々世の汚濁にまみれているオトナの論理として書きますけどw、例えば会社の同僚等日頃見知っていて、お互い好感をもっている男女(既婚者orどちらかが既婚)がいたとして。例えば、その女性その日常に疲れ切っていて、何かでそれが耐え切れなくなり、何かのハプニングでカスミのように男性に飛び込んできたとして、それを倫理を盾に拒否するのってどうなんだろうとも思うんです。
    確かに男女の関係でいったら不倫であり不義なんだろうけど、男と女ではなく人と人の関係として見たら、相手を拒否しちゃうのは「冷たい」とも言えるわけです。
    いや、別に不倫を肯定しているわけじゃなくってw
    ていうか、何より自らの欲望に安直にのっているだけでは幸せや平穏な暮らしをつかめないというのは、下巻でカスミのお母さんのエピソードとして描かれていますよね。
    とはいえ、現代は情報というやっかいなものがあるがゆえに、カスミのお母さんのようには生きるのは難しいという面もあるわけです。
    他の異性を好きになり、離婚して再婚というのは普通にあることだし。付き合っている異性がいるのに別の異性を好きになることは、もっと普通にあると。
    つまり、それはいつ誰の身にも起こっても不思議ではない事なわけです。
    そういう誰に身にも起こりうる事を杓子定規(小学校の学級委員会的に?)に正解/不正解にしちゃう傾向が現代の生きづらさの原因の一つになっているんじゃないかと思うんだけどなぁー。

    それはともかく、わかるという面で言うと、普通の人にとって一番理解できるのが典子と道弘なんじゃないでしょうか。
    いや、石山も本来は典子や道弘と同ように理解しやすいタイプ、つまり、漠然とだけど幸せの雛型を知っていて、かつその雛型がほぼ同じという意味でカスミよりは典子や道弘の側に属していると思うんです。
    そう考えると、“ケ(日常)”にウンザリして“ハレ(非日常)”を求めて故郷を捨てたカスミの危うさに石山や道弘が魅かれてしまうというのがわかるし。
    逆に、カスミが“ハレ”より“ケ”を好む道弘との生活に次第に疲れていくというのもわかる。
    さらに言えば、石山が安定しきった典子に“女”としての魅力(面白味)を感じなくなってしまうのもわかると。

    …って、桐野夏生が書いたフィクションにわかるもわからないもないんでしょうけどね(笑)
    ただ、この4人の性格や関係性というのは、つくづく「あー、わかる…」と思ってしまうところに迫力を感じちゃうんでしょうね。
    支笏湖のあの雰囲気とか、道弘の印刷会社のある神田界隈とか、典子が石山にお金と時計を渡す高田馬場駅のホーム等々、個人的に馴染み深い舞台が次々と出てくることも含めて、やけに情景がリアルに浮かぶ上巻でした。

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    2019年02月02日
  • 新装版 天使に見捨てられた夜

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    アダルトビデオでレイプされた女性を探すところからスタートするミステリー。
    桐野夏生さんの著作はあまり読んだことが無かったが、限られた文字数で構成も非常に練られている。終盤の謎解きについてもバランスが秀逸であり、テンポ良く読み進められた。どうやらシリーズものの2作目らしく、機会があれば1作目も手に取ってみたい。

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    2018年12月30日
  • 奴隷小説

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    すっと書いてある分、そこらのちょっとしたエログロより大分きつかった。一話につき30ページでこれだけ伝えられる表現力。遙かなる高み。「神様男」が身近には一番辛い、私はこういう人達を知っている。

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    2018年12月24日