桐野夏生のレビュー一覧

  • 夜また夜の深い夜

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    第1部はナポリで母と二人暮らしの国籍を持たない18歳の少女マイコから七海への9通の手紙です。
    七海とは一体誰なのか。そしてこれはどういう話なのかと思いました。
    マイコは母に内緒でMANGA CAFEのシュンの店に毎日、通うようになります。
    しかし、マイコはヤマザキという日本人男性から逃れるため逃げます。
    そして、同じような少女、エリスとアナと知り合い、マイコは男装して、三人で逃避行する生活をはじめます。

    第2部は、七海への手紙のかわりに書いたマイコの手記です。私の奇妙な人生を記録したかったとマイコは語ります。
    七海から初めての返事が届きます。七海も海外に暮らす少女だということが、わかります。
    そして、マイコたち3人は、知り合った少年、カマールの家で暮らし始めます。
    しばらくして、ヤマザキから、マイコの母親の秘密がわかったからMANGA CAFEで会おうと連絡が入ります。シュンとの再会。でももうシュンのことも信用できなくなったマイコ。
    そして、シュンの口からマイコの出生の秘密が明らかになります。
    途中で、「オウム真理教」の名前が登場しますが、作者は、その辺から、このお話を発想したのかが、気になりました。オウム関連書は、以前に何冊かまとめて関係者の手記を読みましたが、マイコのような人物はいなかったと思います。

    でも、何もかもひっくり返した、最後のどんでん返しはよかったです。
    すごく、すっきりしました。

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    2018年10月20日
  • 女性作家が選ぶ太宰治

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    読んだことのある作品もそうでない作品もあったけれど全体を通して楽しかった。
    やっぱり太宰治が好きだなぁと。

    女生徒、恥は読んだことのあった作品。好きな作品は何度読んでも楽しめるし、何度だって読みたくなる。
    そのうちまた読みたい。

    古典風、秋風記。今回初めて読んだ作品の中ではこの2篇が私の中でベスト。2度、3度と読み込んでいきたい。

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    2017年07月13日
  • 水の眠り 灰の夢

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    ネタバレ

    村善の若い頃のお話。ミロシリーズでもわずかながらミロに重要な鍵をさりげなく残して去る彼がすごく気になっていた。この本で見事に村善に陥落した。昭和のいい男だ!

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    2017年06月28日
  • 水の眠り 灰の夢

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    1960年代の物語。
    トップ屋 村野善三は、地下鉄の爆破事件に遭遇。
    その犯人は 草加次郎かもしれなかった。
    村野は、その犯人らしき人物とすれ違って、
    バイタリスの匂いを感じた。
    遠山をトップとして、村野、後藤など 勢いがあった。

    この村野と言うオトコの造形がすばらしくいい。
    実に 芯がある。戦争で 両親と妹を亡くした。
    トップ屋としての矜持があり、
    調査屋として力量を発揮していた。
    草加次郎とは?迷宮入りになった 愉快犯。
    その時代背景が 浮き彫りになっている。
    様々なタイプのオトコたちが いる。
    後藤の雰囲気は スマートで、おしゃれ。
    こだわりをもっていた。
    市川という刑事も堂に入った刑事だ。
    敵に回すと怖い存在であることがよくわかるが
    ちゃんと 村野を認めているのが すばらしい。

    早重という存在が 不安定で、なんとも言えず
    方向性が定まらないのが、この物語をおもしろくしている。
    後藤を思いながらも、村野さえも射程に入れている。

    タキという存在が、村野の立ち場を悪くするが、
    それを受け止めながら 切り抜けていこうとする
    村野の意地が なんとも 頼もしい。
    がんばれ。村善。

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    2018年03月05日
  • 光源

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    ネタバレ

    今まで評価をつけてきたけど、今回が一番難しかった。評価は作品の印象でいつもつけるが、いつも通りの感じで一度4をつけた。しかし、その後の余韻というか、作品のインパクトいうか後からじわじわとくるものがあり、再度評価を考え直し5に評価を変えた。登場人物の視点で書かれた本は数多くあるけど中盤あたりから風向きが変わり、終わりまではあっというまでだった。急に展開が変わると読み手は混乱すると思うが、登場人物の心境についてはそれぞれの事情があることを読み手はちゃんと理解できるように構成されていて、それは序盤までに物語をうまく進めながら各人物の状況、心境について固めているから途中の展開の変化にも納得がいくのだと思う。
    おそらく読み手によって評価はすごく変わる思うが個人的には評価したい作品。

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    2016年06月19日
  • アンボス・ムンドス ふたつの世界

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    桐野夏生氏の短編集。失礼ながら、面白くなさそうと思いながら読み始めたのだが、非常に良かった。
    一言で言うと、「エグい」。桐野氏の他の作品もそうだが、人間の裏の部分、つまり人が隠しておきたい部分が容赦なく抉り出され、「イテテ…もう勘弁して」と思いながら読むのが醍醐味。また、救いのない短編もあるが、なぜか読後感が重くない。
    では人に薦めるかと言うと、万人にというわけにはいかない。好みが分かれるだろう。私にはハマった。

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    2015年10月19日
  • ダーク(上)

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    探偵としてのミロがどんな成長するかと思ったら、成瀬をまさか待っているとは思いもよらず破壊そして崩壊の話しになっていて唖然 下巻が楽しみ

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    2015年03月30日
  • 柔らかな頬 上

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    最初は不倫の話は読みたくないよ気持ち悪いな、くらいに思っていたのに、あれよあれよと急展開

    空想と現実の境界があやふや
    打ちのめされて打ちのめされて、ご都合的な幸運なんて皆無


    心理描写が切なく痛いほどで読む手が止まらない

    桐野さん作品の中でもダントツ好き

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    2015年03月12日
  • ポリティコン 下

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    本を読み進めるにつれ、あんなにも嫌悪していた東一だったのに
    最後はマヤと同様、なぜか許してしまった。
    きっと東一は純粋すぎるほど純粋で、まっすぐな人なんだと思う。
    二人が新たに開く新しい村の行く末を見てみたい気がする。

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    2014年04月05日
  • ポリティコン 上

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    やばいやばい、読み始めたらとまりません。人間の濃厚な欲の部分を書かせたら、本当に桐野夏生は凄いと思う!下巻が楽しみ!!

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    2014年03月10日
  • アンボス・ムンドス ふたつの世界

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    短編とはいえ、どの話も濃厚で露悪的。なかでもミステリー要素を含む「植林」「アンボス・ムンドス」の2編は引き込まれた。「植林」は容姿にコンプレックスを抱えた主人公の悲劇と見せかけて実在のある事件と繋がるという意外性のある内容で、短編には勿体無いと思うほど面白い設定だと思った

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    2013年06月19日
  • 女神記

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    登場人物の分類される重要な立場が女か男かのふたつだと感じた。
    主人公は女という概念がナミマという皮を被っただけであるし、イザナミ、イザナギ、マヒトもまた同じ。
    陰にされた女、陽になった男、
    自分勝手な男、昔のことを忘れる男、突き放され怨む女、昔に戻れればそれでいいはずの女。
    徹底的にイザナギを恨み尽くすイザナミと、マヒトに優しくされたら揺らぎそうなナミマがいるが、ナミマだけが独白の文体があって感情移入しやすいし、多くの女性はイザナミよりナミマ寄りなのでは。
    そのナミマがラストでイザナミに尽くすことを誓ったということは、多くの女性にイザナミと同じく男に屈しないことを奨励している?

    イザナギとイザナミは神だからか言動が明快、絶対的で軸がぶれないが、人間たちは言動がいきあたりばったりで、未来が予測できず、他人の心が読めず(人の心情描写が少ない)、自分の行動原理もわかっていなさそうなのが現実に似ている。
    これから日本は人口が減ると言われているが、物語のラストでイザナギが千五百の産屋を建てなくなるのに、イザナミは千を殺すのをやめないというのはそれになぞらえてあるような。

    古事記での神は人間臭いが、ここでのイザナミは嫉妬、憎悪、怨恨などの感情はあるもののその他の明るい感情が感じられないので人間を超越した存在だと感じる。
    人間になったイザナギを殺してしまうことでイザナミの絶対性が浮き彫りになる。これはなんなんだろう、男が滅びても女は生き続けるということかな?
    この作品は存在も心情も極めて陽に立ち向かう陰としての女寄りにえがかれている。

    陰の世界、陽の世界、それらが混じり会う人間界のみっつが感じられて楽しい。
    "魂"の字を見ただけでなんの違和感もなく、なんとなく脳内に魂の表象が思い浮かぶ。魂の存在を疑っていない人がこの物語の魂の描写を読むとなにか根底にあるものが安心すると思う。

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    2013年05月08日
  • ファイアボール・ブルース

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    再読。
    女子プロレスを舞台にしたミステリー。
    スター級の選手と付き人との関係など女子プロの世界とともに謎解きもきちんとあってとても面白かった。

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    2013年05月05日
  • ファイアボール・ブルース2

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    再読。
    女子プロレスを舞台にした第二弾、短編集。
    ミステリー的要素も入っていて、どれも奥深い。

    最も印象に残っていたのは、主人公 近田と同期の美人レスラー与謝野の話「嫉妬」
    他には、「入門志願」「リングネーム」が面白かった。
    最後の「近田によるあとがき」は泣かせる。

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    2015年09月15日
  • 女神記

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    桐野作品の中でもこれはダントツはまった。ひきこまれた。感動を通り越して、こういう神話を作った?日本人のソウルみたいなものにただただ脱帽という気持ち。

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    2013年01月21日
  • 女神記

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    古事記をモチーフにした「新しい神話」。古事記を知らなくても面白く読める。こういう話、かの時代には本当にあったんじゃないかと思うくらい私にはリアルに感じられた。込められたテーマが沢山ありそうなのも神話的。

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    2012年02月27日
  • アンボス・ムンドス ふたつの世界

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    短篇集でどれをとっても面白い。どの話もいろんな意味で一線を超えちゃった人間が主人公で(この人の小説はみんなそうだ)、著者はその超える瞬間までも容赦なく激写する。『植林』『怪物たちの夜会』『愛ランド』『毒童』、いびつなタイトルのつけ方がまたいい。名は体を表してる。

    いくつかの話のモティーフはその後の長編に活かされている。『ルビー』→『東京島』、『浮島の森』→『In』など。

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    2012年02月02日
  • ダーク(上)

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    ミ、ミロちゃんが壊れていく!!

    なんだかミロの周りって普通の人が居ないな。エヴァンゲリオンに出てくる大人みたい。みんな危なっかしい。

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    2011年03月21日
  • アンボス・ムンドス ふたつの世界

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    一つ一つの物語が個性を持っていて、印象強く本当に面白かった。
    特に『愛ランド』と『浮島の森』は面白い!!!
    東京島のベースとなった本とされている『愛ランド』はエロいけど女の人が本当に隠している本性、本音、願望?みたいなのを言い当てて、登場人物たちだけではない『女』の姿を上手く表現できてた。
    あと『浮島の森』は谷崎潤一郎、佐藤春夫、千代夫人の3人の話をベースに、娘の立場からそれらが語られてて面白い。2人の父親の作家という仕事をクリティカルに分析し、拒否する彼女の姿勢が面白かった。
    他の作品も、人間の深い黒い部分を細かく描いていて、おもしろい!!!おすすめです。

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    2010年10月14日
  • 光源

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    映画を作っていく中で、主演の大物俳優が降板してしまう。
    その裏にはC級の相手女優が思ったより存在感があって現場の雰囲気がその俳優にしてみれば面白くなく・・・ということを軸に展開されてく話。
    これも分かるわーって思う。
    そりゃあるよねー面白くないことも。
    人を妬んだり、自分ばかりしんどいと思ったり。

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    2010年02月04日