桐野夏生のレビュー一覧
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一つ一つの物語が個性を持っていて、印象強く本当に面白かった。
特に『愛ランド』と『浮島の森』は面白い!!!
東京島のベースとなった本とされている『愛ランド』はエロいけど女の人が本当に隠している本性、本音、願望?みたいなのを言い当てて、登場人物たちだけではない『女』の姿を上手く表現できてた。
あと『浮島の森』は谷崎潤一郎、佐藤春夫、千代夫人の3人の話をベースに、娘の立場からそれらが語られてて面白い。2人の父親の作家という仕事をクリティカルに分析し、拒否する彼女の姿勢が面白かった。
他の作品も、人間の深い黒い部分を細かく描いていて、おもしろい!!!おすすめです。 -
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女子プロレスが舞台の小説・・いったいどんな内容なんだろう?
そう思ってパラパラとめくったら、それだけでも面白さが伝わってきた。
「ファイアボール」とは女子プロレス界きっての強者・火渡(ひわたし)選手の別名のこと。
そしてこの小説は、火渡の付き人兼女子プロレス選手でもある近田(ちかだ)の目を通して描かれてゆく。
彼女たちが所属するPWPという女子プロ団体は、財政状況も悪く倒産寸前だ。
その中で外人選手の失踪事件や、新人選手へのリンチ事件、事務所の独立問題などが次々と起こりストーリーが盛り上がる。
また、何といっても近田はいまだに一試合も勝つことができないのだ。
女子プロ -
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私はこの小説を読み、“こんな現実が本当に起こり得るのか”と衝撃を受けた。
亜紀のように母親としての役割を放棄し、息子より同棲相手に媚びる生き方は、あまりにも残酷だ。優真が店長に引き取られたことは、不幸中の幸いであり、唯一の救いであったように思う。
一方で、洋子の温かさは純粋で、読む側にも深く沁みた。しかし、彼女の花梨に対する執着は危うさをはらんでいた。優真の覗き見や窃盗のような行動は、虐待や愛着形成の欠如によって生まれる“心の穴”が原因であり、社会不適応や危険な衝動として表れる。その姿は哀れでもあり、恐ろしくもあった。
ただ私は、もしこの話が現実であれば、優真はもう少し里親に心を開く余地 -
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まさかラストにこんな展開が待っていっとは!
ミロの息子のハルオに瀕死の状態にさせた盲目の久恵と刺し違える覚悟で乗り込んだとこに昔の仲間、友部が現れ久恵を(今は妻)刺殺するとは!
20年の刑期を終えてジンボとも結局別れ、ジンボは韓国に帰り、車椅子で坂道から転げ落ちて死亡。(これ殺されたんだとね、息子もグル?)
紗奈のお陰で死なず(ハルオが)にすんだと感謝してるみたいだけど、ハニートラップで近づいて部屋にあった通帳ごと2千万も盗まれたのは紗奈の裏切りのせいだよね。
医学部もたいがくしてしまったハルオは紗奈と那覇でミロのお店”ダーク”で働くのかしら。
大学の同級生の由惟が姪でその美貌の母親とは異母姉 -
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『路上のX』は、トー横キッズの実情を生々しく描いた作品だった。
18歳以下で家庭環境が不安定な場合、本当に居場所を失ってしまうことがあると知り、胸が痛んだ。
そんなときに安心できる別のコミュニティがあればと思うが、日本にはまだその制度が十分に整っていないように感じる。
「買う側」と「買われる側」。
作中に登場する大人たち(主に男性)は、自分の欲望を満たすためなら、無垢な少女たちの感情や希望さえ踏みにじる。その姿はあまりにも幼稚で、醜く見えた。
少女たちはただ、幸せになりたい、衣食住の整った普通の生活を送りたいと願っているだけなのに、社会は彼女たちを「メンヘラ」や「性非行」といった言葉で片 -
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大好きだったミロシリーズの最新刊が出ていると知り、驚きと喜びで本を開いた。
あまりにも長い年月の経過。
前作「ダーク」から23年…ミロも読者の自分もそれだけの時間を重ねて来たことに感慨を覚える。
母親として息子ハルオを育てて来たミロ。
息子が愛おしくてたまらないミロ。
出生の秘密を話せずに苦悩する心情が切ない。
ミロを追いかけるダークな運命から、ハルオを守り抜こうと懸命に生きて来たのに、物語はそれを許さない。
ラスト残り数頁の思わぬ展開は息を呑む。
本当にこれで最後?
違うよね?桐野先生!と叫びたくなる余韻はさすが。
絶対に続編があると信じて。
さて、大好きなミロシリーズ、どこにしまっ -
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ネタバレ和恵が日記をつけていることが上巻で明かされたときから、和恵の日記は視点として出てくるだろうなと思ってたらやっぱり出てきて、しかしその支離滅裂っぷりがあまりに凄すぎて圧倒されてしまった。自分が何を求めているのか、何が辛いのか、悲しいのか、そういうものがわからなくなって、本人は理論的なつもりなのに世間とは明らかにズレはじめてしまっている、これはギャグなのではないか?と疑うくらいの滑稽さ。既視感あるなと思ったら、闇金ウシジマくんに出てくる女性に似てるんだと気づいた。自分は一生懸命なんの問題もなく振る舞っているのに、周りはドン引きして離れていって、それがどうしてかわからないっていう感じ。読んでて本当に