桐野夏生のレビュー一覧

  • 柔らかな頬 下

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    ネタバレ

    失踪した娘の行方は解明されない。幾つかの可能性が示唆されるに留まる。発生した事件によって起きなければ変わらなかっただろうそれまでの人生が大きく変わっていく人々の姿を描いた小説。上下併せて1日で読み終えるくらい面白かった。新興宗教教祖の章と石山の漂泊の章はあんなに分量割かなくてもよかったような気もするが。

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    2022年12月04日
  • 柔らかな頬 上

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    ネタバレ

    不倫相手の別荘を自分の家族と共に何食わぬ顔で訪問した主人公が、男のためなら夫も子供も捨てていいと思った翌日、5歳の娘が失踪してしまう。それから4年が経過しても発見されない。当事者たちは行方不明者の家族としてその後の人生を生きているがそうであることに疲弊してもいる。もう娘は帰ってこないと思うのが現実を生きることなのか、娘がいない、そのことが現実なのか。娘の失踪が周囲に波紋のように影響を広げていくさまは読み応えがある。

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    2022年12月04日
  • バラカ 下

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    今、この時代に、読むべき物語、
    って紹介にありました。私もそう思います。桐野作品の中でも、なんだか凄いものを読んじゃった!という気持ちになる、まさに、ディストピア小説です。

子供欲しさにドバイの赤ん坊市場を訪れる日本人女性、酒と暴力に溺れる日系ブラジル人、絶大な人気を誇る破戒的牧師、フクシマの観光地化を目論む若者集団、胡散臭い謎の葬儀屋、そして放射能警戒区域での犬猫保護ボランティアに志願した老人が見つけた、「ばらか」としか言葉を発さない一人の少女……。

    小説内では、震災のため原発4基がすべて爆発した、という設定なので、その後の日本も、今の現実世界とは違う道をたどります。
ありえたかもしれな

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    2022年10月17日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

    購入済み

    豪華なアンソロジー

    まずは参加している作家陣の豪華さです。そして、ユーミンの楽曲のとのコラボということで、面白くないわけがありません。個人的には綿矢りささんの「青春のリグレット」が好きでした。読んだ後で、楽曲を聞きなおしたくなるような一冊でした。

    #泣ける #切ない

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    2022年08月14日
  • 路上のX

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    テレビでこの本が紹介され、あらすじが気になって読んだ。
    最初から最後まで辛い物語だった。
    だけど、現実的にあるような内容で、
    大人たちに利用され搾取される少女たちの姿は、
    行き場のない少女たちが集まり、共感し、
    そこから抜け出したいのに抜け出せないジレンマがあると思った。

    余談だけど、
    近所の兄弟がうちの子と庭で遊んでいた時、
    お昼になって『お母さんがご飯作ってるだろうからご飯食べてからまた遊びにおいで』と言って返したことがある。
    その後は来なかった。
    いつも兄弟一緒だったが、お母さんに好きな人がいて離婚した。
    兄弟は父親に引き取られたが、父親にも好きな人が出来てうまくいかず、兄は高校中退し

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    2022年07月24日
  • デンジャラス

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    「細雪」のモデルとなった谷崎潤一郎の妻、松子とその妹、重子、松子の前の夫との間にできた息子(重子の養子)の嫁・千萬子が小説家谷崎の家庭生活と創造生活を全てを司る様子が、重子の1人語りとてもリアルに表現されていて、これは重子の肉声なんじゃないかとさえ思ってしまった。
    人気作家のわがままに翻弄されているのは結局のところ誰なのかわからない。最後、老い始めた谷崎を平伏させてしまうような重子なのか、それとも実は谷崎が重子に自分を足蹴にするように仕向けているのか。小説が現実を模しているのか、現実が小説を真似ているのか。

    女たちの自分の存在意義を賭けた駆け引きや嫉妬などが繰り広げられるのだが、そこで生まれ

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    2022年07月17日
  • バラカ 上

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    神の恩寵という意味のバラカ。飲んだくれで自己中心的な父親と神にすがる母親に連れられて行ったドバイで母親を失い、人身売買組織に売られ、そこを訪れた日本人の女に買われ、最後は原発事故を起こしたフクシマで行方不明になり、お爺さんに拾われた女の子。日本にたどり着いてからは、周りの人間の自己実現や社会正義の実現のために利用されつつ、自分を見失わずに生き延びた女の子。親代わりになったお爺さんの豊田さんでさえ、バラカに娘のような愛情を抱いていたのか、それとも自分の正義のために彼女を連れていたのか、結局のところはよくわからない。でも、守ってくれる人や見方になってくれる人との途切れ途切れに現れては消えていく儚い

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    2022年07月11日
  • 夜の谷を行く

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    1971年頃は、大学のバリケードの撤去が始まり、学生たちの全共闘運動も一段落といった風潮だった。
    その後、際立った活動をした一つが連合赤軍だった。
    山岳ベースで武闘闘争のために訓練を行っていたグループの集団リンチ事件が明るみとなり、凄惨な状況は社会を騒がした。
    その後、官憲から逃走したグループは、あさま山荘に籠って銃撃事件を引き起こす。
    そして、これらの事件解決後、日本の過激派と呼ばれる極左運動は完全に地下に潜ることになり、日常社会は穏やかになったとの印象が私には遺っている。
    社会問題に対してデモ闘争を繰り返しても、鉄壁の官憲の壁は崩すことができず、国会では強行採決が繰り返されていた時代だ。

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    2022年07月08日
  • 路上のX

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    桐野夏生の作品は久しぶりに読んだ。高校生が主人公のものは確かもう一つあったと思うんだが、これは家に帰れない(というか家庭がない)女の子たちが生き延びるために必死に戦う話。女の子たちの生き様にハラハラして、とにかく危ない目に合わずに最後まで小説終わりますようにと願いながら読んだ。フィクションとはわかっていても、主人公が心に残って生き続ける感覚があって、そこが桐野夏生の物語の美しさなのかなと思う。

    桐野夏生の描く女はいろいろだけど、だいたい出てくるのがハードボイルドな生き様の女。人を頼れない、いろいろあるから頼りたくない、孤独だけどそれを受け入れて生きていく。それしかできないし、それが自分だから

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    2022年06月05日
  • だから荒野

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    久しぶりの桐野作品。一気読み。存分に楽しめた。
    桐野作品によく出てくる夫婦間のゴタゴタや、ダメ男には毎回頭が下がります。

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    2022年05月12日
  • キアラ 1巻

    無料版購入済み

    かなり昔のレディースコミック

    話がしっさりしてるし

    デザイナーのカインとアーベルが

    彫刻みたいな美しさがゾクゾクしました

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    2022年05月02日
  • 柔らかな頬 上

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    15回目ぐらいの再読をしました。この世のあらゆる小説のなかで、もっとも好きな小説です。先を知っていても、素晴らしかった。

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    2022年04月12日
  • 女神記

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    読みおわった日付:2022.3.22
~本の内容に関すること~
■本の要点
男とは、女とは。

    それぞれを陥れることなく、男女の違う側面を美しい文章で、個人の話として語られる。
    愛する男に殺された、黄泉の世界の女の気持ち。
    神と人の違い。
    
■感想、意見
    古代の神々が出てくるものの、美しい口語でお話しされるので、読みやすく面白かった。
    イザナミ様の胸の内は、人である私には理解しきれないと思うと、それも含めて孤高で悲しく畏怖の念を抱く。
    ナミマの無念や解明欲は、理解できる。
    女神と人の差を、それぞれの感情を表現して伝えているのは、新鮮で面白かった。
    そうだよね、まあわかる、なるほど、と女性とい

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    2022年03月23日
  • 新装版 天使に見捨てられた夜

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    やっぱりだいすき!ミロシリーズ!
    物語が進んでいくテンポがとても好み。主人公のミロの目線で、いろんな事象のちょっとした違和感とか着眼できるストーリーの組み立て方もほんとうに素晴らしい。親切なんだけど、絶妙に読者(少なくともわたしには)には謎解きしきれないから、クライマックスには毎度驚かされる。
    1stシリーズの「顔に降りかかる雨」の時からだけど、登場人物の服装や身だしなみに言及することが多くて、その人となりを想像するのに有効だと思うし、時間の経過とかも感じられるからすごく効果的だと思う。そして個人的にファッションに興味あるから嬉しい。笑 著者もそうなのかな?
    欲を言えば最後、トモさんにもう一度

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    2022年03月04日
  • 路上のX

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    ネタバレ

    仁藤夢乃さんが解説だったので購入。
    彼女がなぜあそこまで過激な発言・思想をするのかがわかった。
    フェミニズムに敏感な人は批判されやすいけど、敏感になる理由があったんだな、と気づいた。
    多分、当たり前にこういうことが起きていて、弱者は搾取されるしかない。
    弱者に厳しい世の中を少しでも就労という形で支援できたらいいな、、、

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    2022年01月29日
  • 光源

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    ネタバレ

    結構節操ねぇぜ、この作品。
    なので読書の際はホントーにお気をつけあれ。

    なけなしの金で撮影というところで
    まあアカンフラグはたっているわけですよ。
    そして関わる人物も節操なしというか
    なーんの摂生も効かないの。

    だけれどもなんだかんだで一人を除けば
    まっとうに活躍はできてるの。
    思わぬ救いの手が入ったりね。
    でも一人、あいつぁだめだよ。

    身勝手極まりない作品。
    不条理嫌いは読んじゃあだめだ。

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    2022年01月04日
  • 優しいおとな

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    貧困化が進み、福祉が機能しなくなった日本(東京)での話。
    一見、ファンタジーのような、近未来のような、今の私達には関係ない世界の話のように感じるけど、実はもうあと一歩でこの世界なんじゃないか?自分達が知らないだけで今実際に起こっていることなんじゃないか?と考えさせられる。
    桐野夏生さんの作品ってそういう話が多い気がするなー。
    ハウスの人や闇人達の平等に対する考え方も、なるほどなー、一理あるよなーと思う部分もあり。
    今日本は、着実にこの状態に向かっているのではないかと怖くなる!
    すごく面白くて、読む手を止められなかった!!

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    2021年12月11日
  • 錆びる心

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    「OUT」以来の久しぶりの桐野夏生さん。

    短編6篇の登場人物がそれぞれ心の内で悩んだり怒ったり決意したり、その決意が鈍ったり…その辺にいる人間らしくて、各々の話にどっぷりハマりこんで読めた。
    特にジェイソンが気に入った。ジェイソンに変貌した自分を知るにつれ落ち込む主人公。ラスト、妻さえいてくれたらと開き直ったのに、やっぱりジェイソンは妻に対してもジェイソンだった。けど、お酒の失敗でなくても時に誰かのジェイソンに誰でもなり得てしまうんではないだろうか?私だけが知らないだけで…。

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    2021年11月29日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    忖度か、同調圧力か、権力の逸脱か。最近、表現の自由が失われつつある風潮がある。26人の研究者、作家、芸術家、ジャーナリストが自由について考察し、声をあげる。

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    2021年11月03日
  • 夜また夜の深い夜

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    面白いとかつまらないとかそういうありきたりな感想ではまとめられない作品。
    残るのは『なんじゃこら〰』って言う心のモヤモヤ、ポッカリとした虚無感みたいなものだけですね。
    衝撃作といえば★5ですが、もう一度読み返したいかといえばもう読みたくないので、★1とも言える作品。
    桐野作品の中ではやや異質だが、特殊な設定の状況に置かれた人間が発揮するたくましさの描き方は、少し『東京島』を彷彿させるところがあった。

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    2021年10月16日