桐野夏生のレビュー一覧

  • 新装版 顔に降りかかる雨

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     新作「ダークネス」を契機に、ミロシリーズを読み返すべく、10年以上ぶりに本作を手にした。加齢によるボケのため、ストーリーをほぼ覚えておらず、新鮮な気持ちで読めたのは却ってラッキーだった。主人公ミロにしろ、それを描く作者にしろ、一筋縄では行かない、したたかな女性である。続けて第二弾に臨みたい。

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    2025年11月21日
  • ダークネス

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    クラクラする。濃い。パンチ力抜群の498ページ。
    村野ミロシリーズ第一弾「顔に降りかかる雨」から読んでるけど、本著が20年ぶり…ミロが還暦…感慨深い。
    こんなに悪い人たちいるのかな…いるよね悪い人。
    その悪い人たちがホントに活き活きと描かれてる。著者の真骨頂と言えるでしょう。書いてて楽しいんだろな。
    本著がミロのシリーズ最終章らしいけど、まだ続きありそう。続けてください。

    妄想キャスティング
    ミロ  夏川結衣
    ハルオ 奥平大兼
    ジンホ 佐藤浩市

    ジンホはもちろん韓国人俳優がいいんだけど、知らないのよね…
    夏川結衣は最近は良妻賢母みたいな役が多いけど、若い頃はけっこうハードボイルドな役演じて

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    2025年11月16日
  • デンジャラス

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    あっという間に読み終えました。
    谷崎潤一郎、こういう人だったのかも。倒錯しまくってて、これぞ文豪だと感動。

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    2025年11月16日
  • ダークネス

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    作品名のとおり、人間の闇がとことん描かれた作品
    こういう救いのない小説が、人間の愚かさを表してて凄く面白いと感じる
    そんな自分が1番愚かなのかも知れない
    望まれずに生まれた息子、親の借金に泣く娘、欲望や復讐だけで生きている邪悪な人家達、そこに最も闇を抱えた主人公が絡み合う
    決して自分が味わうことのない世界だが、本質的な人間性はさほど変わらないのかもしれない
    もし続編が出るならぜひまた味わいたい世界だ

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    2025年11月07日
  • ダークネス

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    「ミロ」シリーズ最終話と銘打たれているが、あるいは続編もと期待したい。ストーリーと、それを追う文章の疾走感がすごい。シリーズ第一話からまた読み返してみたい。

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    2025年10月28日
  • 水の眠り 灰の夢

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    なんてハードボイルド!  なんて激しい・・・
    村野ミロシリーズ3作目
    本作は若き頃の村野善三が主人公
    高度成長期真っただ中、翌年に東京オリンピックを控えた昭和38年の東京が舞台。
    週刊誌の記者をしていた村野は、連続爆弾魔・草加次郎事件を調べるうち女子高生殺人事件に巻き込まれる。
    いわゆるトップ屋として走り回るうちに、真相に近づくにつれ自身の身辺も危うく、緊迫していく。

    当時のファッションや車に懐かしさを感じる隙もなく、殺人、危ない薬、ヤクザ、妖しいパーティーなど繰り出される展開に圧倒される。
    そんな中でも村善の、女性に揺れ動く心情なども折り込まれ大変興味深い。
    子ども時代のミロも登場して、楽

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    2025年10月25日
  • ダークネス

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    平穏な生活を望むも、ミロの過去がそれを阻む。良い子に成長したハルオの裏では、ミロの宿敵、久恵らの宿怨が未だ燻り続けていた…ミロの心の葛藤を見事に活写。長年身を隠し、闘い続けたミロに残されたものとは、一体何だったのだろう。フィクションとはいえ、老いをリアルに考えさせられた。

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    2025年10月21日
  • 真珠とダイヤモンド 下

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    下巻も一気読みのスピードが落ちず、私も望月や佳那のように、得体の知れない強力な力に引き寄せられている感じがした。

    思い描いていた未来、幸せな日々…。それはどこまで続く?結末は「やっぱりね」と思えるものなんだけど、「まさかそこまで…」というかなんというか。
    ただ、望月にも佳那にも水矢子にも感情移入や同情はなくて、その読後感が不思議だなって思った。ずっと傍観者として人の不幸を望みながら楽しんでいたのかもしれない。だからペースを落とさず読めたのかな。

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    2025年10月14日
  • 真珠とダイヤモンド 上

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    面白い!かなり分厚い単行本なのに一気に読んでしまう。そんな力を持っている本に出会えると嬉しくなる。
    上巻はトントン拍子で良い方向へと進んでいく。でも、いろんな出来事の端々に「いやまてよ、危ないんじゃない?」っていう不安も感じられて、それが一気読みのペースを上げる。

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    2025年10月14日
  • 砂に埋もれる犬

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    ゴヤの「黒い絵」のタイトルを思わせる小説。
    こういうことって現実に起こっているのだろうけれど、こうやって小説になると、より一層現実感が強くなる。

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    2025年10月07日
  • 砂に埋もれる犬

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    序盤から重苦しく嫌な予感しかしないのに、結局一気に読んでしまった。『つみびと』の子どもたちはお母さんを好きなまま飢えて死んでしまったけれど、本作の子どもたちとどちらが幸せだったのだろう。

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    2025年10月04日
  • 柔らかな頬 下

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    ネタバレ

    全く予備知識なしに読みました。失踪した娘をどう探すかというわかりやすいカタルシスをイメージしていたので、読み終わった直後は「え?」となりました。解説を読みこの本のテーマを初めて認識し腑に落ちました。この本のテーマは「人は取り返しのつかない喪失をどう抱えて生きるか」ということで、カスミや内海や石山などの登場人物がどうしようもない現実に対してどう生きるかを読者は突きつけられます。現実にはどうにもならないこともあると思います。この本はこれを読んだ読者にとても深い示唆を与えてくれる素晴らしい作品だと思います。

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    2025年09月23日
  • オパールの炎

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    日本でピルが解禁された1999年の約30年も前からピル解禁を訴えていた女性。当時その女性と関わりのあった人物達の話から少しずつ浮き彫りになっていく彼女の姿。彼女の人生を多角的に捉えることで物事の表と裏を明らかにしていく。
    女性の強さと弱さを同時に見ることができた。

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    2025年09月21日
  • 砂に埋もれる犬

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    虐待と貧困の連鎖から逃れた少年ー
    私たちはまだ、彼の苦しみを何も知らない(帯より)


    *:.。o○o。.:*。o○o。.:*。o○o。.:*


    過去「OUT」「柔らかな頬」「グロテスク」etc…とにかく読み漁った桐野作品。
    この作品のあらすじを読み、無性に読みたくなり、久しぶりに手に取りました。

    生活する中で身近に感じることはできない、虐待・ネグレクト・貧困テーマという作品ながらも、本当にそのいち家庭の様子を覗いているかのような感覚に陥る桐野さんの圧倒的な筆力✨

    果たしてエンディングはどちらに転ぶのか⁈
    …そんな思いを抱えながら読み進めた作品。

    描かれていないこのストーリーの続き。

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    2025年09月10日
  • ダークネス

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    第一章では息子の視点から謎多き母親を描き、第二章では母親が身を隠しながら生きている理由が語られるというように章毎に物語の視点が変わっていく。
    息子とミロの夫との刑務所での面会から因縁のある人物たちの待ち伏せ。
    マザコン気味のハルオは自らの出生の秘密を知り、由惟の母親はハルオとの因縁があり、東京の病院経営の鄭はミロとは因縁深い関係であり、ミロの夫の殺人事件など。
    因縁が絡んだミロの過去がじわじわと迫り来る緊張感がリアルであり、母親の強さと脆さが交差する心情の変化に説得力がある。
    ミロとハルオに迫ってくる過去のしがらみの嫌な感じが、如何にも桐野夏生作品という感じで、逃げ場が無く追い詰められる展開に

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    2025年09月06日
  • 緑の毒

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    ネタバレ

    バレないと思ってやってしまった罪。
    しかし色々な繋がりの中から、犯人が浮かび上がり、追い詰めていくところは、
    (追い詰められていくところ)どんどん読み進めてしまいました。
    色々な登場人物がつながっていく様子がとても面白かったです。

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    2025年08月21日
  • ダークネス

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    まさか20年以上経って続編が出るなんて思ってなかった村野ミロシリーズ。
    邪悪で暴力が溢れてた濃ゆいハードボイルドの前作『ダーク』から時は流れた。
    ミロが産んだ息子ハルオは20歳になり、医学部の学生だ。
    若いイケメン男子のハルオが爽やかでミロの癒しだなって思ってたら、ミロの過去のしがらみに囚われてダークサイドに引き摺り込まれてしまう。

    ドキドキしながら一気読みした。
    60歳のミロの闘いを堪能した。

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    2025年08月21日
  • 燕は戻ってこない

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    桐野さんワールド全開。
    えぐられるけど、えぐられる覚悟で読むことをおすすめします。たまたま電車で隣り合った人がこういう人生を生きている可能性があるから

    コンビニのコーヒーとスタバの違いが、胸に刺さっていて、この小説を読んだ後はテイクアウトされた(した)コーヒーを見ると一瞬体が止まります。
    やはり、非正規雇用を恣意的に拡充してきた社会の失敗だったのだろうか。

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    2025年08月11日
  • オパールの炎

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    ここには女性の孤独な
    素顔が描かれています。

    ふわっと香るサボンの
    霧のなか、

    鏡越しにほどいた髪の
    隙間から、

    そっとのぞき見る名も
    なき私がそこにいます。

    著者の紡ぐ女性たちは
    いつも崖の先に立って
    います。

    風に髪を煽られ足元の
    岩に爪を立てています。

    この、ヒリヒリとした
    剥き出しの痛みが好き
    です。

    読みながら自分の内に
    ある幾つもの顔と向き
    合いました。

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    2025年07月19日
  • 燕は戻ってこない

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    面白くて一気読み。桐野夏生はやっぱり推し。『柔らかな頬』以来の一気読み。最後のラストは予想外で衝撃だった。主人公に完全に共感はしなくとも最後までどこか主人公の味方だった自分がいた。桐野夏生の書く「女」が本当にリアルで恐ろしくて好き。

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    2025年06月05日