桐野夏生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
クラクラする。濃い。パンチ力抜群の498ページ。
村野ミロシリーズ第一弾「顔に降りかかる雨」から読んでるけど、本著が20年ぶり…ミロが還暦…感慨深い。
こんなに悪い人たちいるのかな…いるよね悪い人。
その悪い人たちがホントに活き活きと描かれてる。著者の真骨頂と言えるでしょう。書いてて楽しいんだろな。
本著がミロのシリーズ最終章らしいけど、まだ続きありそう。続けてください。
妄想キャスティング
ミロ 夏川結衣
ハルオ 奥平大兼
ジンホ 佐藤浩市
ジンホはもちろん韓国人俳優がいいんだけど、知らないのよね…
夏川結衣は最近は良妻賢母みたいな役が多いけど、若い頃はけっこうハードボイルドな役演じて -
Posted by ブクログ
なんてハードボイルド! なんて激しい・・・
村野ミロシリーズ3作目
本作は若き頃の村野善三が主人公
高度成長期真っただ中、翌年に東京オリンピックを控えた昭和38年の東京が舞台。
週刊誌の記者をしていた村野は、連続爆弾魔・草加次郎事件を調べるうち女子高生殺人事件に巻き込まれる。
いわゆるトップ屋として走り回るうちに、真相に近づくにつれ自身の身辺も危うく、緊迫していく。
当時のファッションや車に懐かしさを感じる隙もなく、殺人、危ない薬、ヤクザ、妖しいパーティーなど繰り出される展開に圧倒される。
そんな中でも村善の、女性に揺れ動く心情なども折り込まれ大変興味深い。
子ども時代のミロも登場して、楽 -
Posted by ブクログ
虐待と貧困の連鎖から逃れた少年ー
私たちはまだ、彼の苦しみを何も知らない(帯より)
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過去「OUT」「柔らかな頬」「グロテスク」etc…とにかく読み漁った桐野作品。
この作品のあらすじを読み、無性に読みたくなり、久しぶりに手に取りました。
生活する中で身近に感じることはできない、虐待・ネグレクト・貧困テーマという作品ながらも、本当にそのいち家庭の様子を覗いているかのような感覚に陥る桐野さんの圧倒的な筆力✨
果たしてエンディングはどちらに転ぶのか⁈
…そんな思いを抱えながら読み進めた作品。
描かれていないこのストーリーの続き。
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Posted by ブクログ
第一章では息子の視点から謎多き母親を描き、第二章では母親が身を隠しながら生きている理由が語られるというように章毎に物語の視点が変わっていく。
息子とミロの夫との刑務所での面会から因縁のある人物たちの待ち伏せ。
マザコン気味のハルオは自らの出生の秘密を知り、由惟の母親はハルオとの因縁があり、東京の病院経営の鄭はミロとは因縁深い関係であり、ミロの夫の殺人事件など。
因縁が絡んだミロの過去がじわじわと迫り来る緊張感がリアルであり、母親の強さと脆さが交差する心情の変化に説得力がある。
ミロとハルオに迫ってくる過去のしがらみの嫌な感じが、如何にも桐野夏生作品という感じで、逃げ場が無く追い詰められる展開に