桐野夏生のレビュー一覧

  • グロテスク 上

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    ネタバレ

    実際の事件を題材にした小説とのことで、色眼鏡で読んでしまうのでは.....と自分で自分が心配だったのだが、全くそんなこと気にも止まらないほどおもしろい。
    性を売るユリコ、そのユリコを軽蔑しているようで気にし続ける姉、なぜか売春を得意げに語る和恵、そして優等生のミツル。4人の女達のそれぞれの終着点はどこなのか。

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    2023年07月24日
  • ハピネス

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    ママ友同士のドロドロはさほどでもなく、ママ友関係というよりは夫婦関係、家族関係を描いてる
    なんとなくグループになったママ友同士がお互いに格付けしあって、様子を伺いながら付き合う様子はリアルかも

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    2023年07月14日
  • グロテスク 上

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    ネタバレ

    おもろい!!!!
    これは湊かなえ好きにはたまらんドロドロさ( ̄∇ ̄)
    こーいうのを見てると、男の方が人間関係はやりやすそうって思う笑
    ユリコ以外の全員に共通する感情が、周囲に勝ちたい、負けたくないということ。
    無駄なプライドは身を滅ぼすことが改めて分かる(ᐡ⸝⸝o̴̶̷᷄ ·̫ o̴̶̷̥᷅⸝⸝ᐡ)

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    2023年07月06日
  • バラカ 下

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    ネタバレ

    バラカへの、これでもかという不運な境遇。人の裏切り、今度こそ信じてもいいのか、と疑心暗鬼になる気持ち。
    自分の義父に震災の広告塔とされてしまったり、反対に崇め祭られる対象にされたり。
    本当に信じられるのは、一番最初に見つけてくれた決死隊のおじいちゃん。
    おじいちゃん、死んでなくてよかった。
    『わたしを離さないで』が遺品って、カズオ・イシグロのだと思うけど内容が合いすぎてる。
    毒をもられ話せなくなってしまったけど、バラカと心が通じるから話したいことがわかる、そんな心温まるシーンも少しだけあって。
    そして健太、康太。
    40歳超えて定住するバラカの様子、そして幸せでよかった。
    いつ日本がこの様になっ

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    2023年07月03日
  • バラカ 上

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    ネタバレ

    被災地でボランティアをしていた老人が見つけた少女・バラカ。
    日本からドバイに行った若夫婦の娘がベビースーク(人身売買市場)で売られ、キャリアを積み出産時を逃した沙羅に買われる。また日本に戻る。沙羅に懐かない購入した赤ちゃんに愛情を注げず、また自分が妊娠した為、手放す。
    その直後、悪魔としか思えない男と結婚し、その翌日福島で被災。
    上巻で様々の話が広げられ収集つくのか心配になるが、下巻に続く。
    気分が悪くなる話、登場人物ばかりで、それなのに手が止まらない。

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    2023年07月03日
  • だから荒野

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    家出の途中でさまざまなトラブルにあってハラハラしますし、山岡先生のような本当の荒野に生きる覚悟をした人の言葉にジーンとしたりしました。

    それにしても息子の態度はまだ許せますが、夫の態度にはムカつきますね。桐野さんはこういう絶妙にむかつく男を描くのが上手です。これじゃあ私も家出しちゃうなー

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    2023年06月24日
  • メタボラ

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    面白すぎて700ページ弱イッキに読んだ。
    沖縄貧困について。記憶を取り戻していくシーンは秀逸。ネット集団自殺や工場労働などはあまり知らなかったため勉強になった。考えただけでぞっとする。
    登場人物皆が受動的すぎたり情報欠如故に努力する方向がズレてたり、、、。最後の解説の自己責任という言葉が刺さった。

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    2023年06月14日
  • メタボラ

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    ネタバレ

    自分が20代の時に、この小説に登場する人物達と似たようなことをやっていた。 日雇い労働、季節労働者、バックパッカー、渡り。 楽しいけれど、自由であるけど、地に足がつかず不安定で病む精神。
    立ち寄った、精神科では冷たくあしらわれ。
    いろんな事を思い出した。

    そして、沖縄。 2007年くらいが背景だと、自分が行っていた年代とかぶる。 あの頃、通り過ぎていった皆は元気だろうか。

    今回、大人の沖縄旅行がダメになった。 この本を読んでいる時は、自分の心は沖縄に飛んだ。

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    2023年04月05日
  • メタボラ

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    いやはや、凄かった!
    674ページ!夢中で読みました。
    ギリギリの世界を生きる若者たちの息苦しさと、容赦ない描写と、しばしば危うさを感じ、苦しみも伴いました。(普通にずっと出てくる沖縄の島の方言、正確には分からないまま読んでいたけど、雰囲気で分かるの)

    記憶喪失…って、昔はよくマンガで読んだ気がする。自分が何者なのかさっぱりわからないって、よく考えたら(考えずとも)物凄く恐ろしく怖いことだ。しかも、自分が何者か教えてくれる人が周りに皆無なのだ。何も持たず何も分からず、ただただ生きることだけを考える前半と、あることから記憶が蘇ってくる後半。上手い!
    貧困、格差、ニート、請負労働者、バックパッカ

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    2023年04月01日
  • 優しいおとな

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    凄く悲しくて福祉とは大人とは…と考えさせられるお話でした。
    でもただ悲しいだけでなく、与えられた人生を一生懸命明日に向かって生きようとするその姿に心がぎゅっとなりました。
    もしかしたら、この作品のテーマは現代においての永遠の課題なのかもしれません。

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    2023年02月09日
  • 夜の谷を行く

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    面白く読み応えがあった。最初のチラッと読んだらやめられなくなり一気に読んでしまったほど。
    連合赤軍、ニュースでしか知らなかったし、リンチや特定の中心人物しか知らなかった。だから末端の西田敬子に焦点をあて描いているのは大変興味深かった。
    主人公の西田啓子には1ミリも共感出来ない。共感出来るのは同志だけなんだろうなぁ。
    孤独感に苛まれる西田啓子、ラストは鳥肌ものでした。
    希望が見えた感じがした。

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    2023年02月03日
  • 夜の谷を行く

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    ネタバレ

    思想や情熱を持って何かを変えようとしていたはずなのに、変わらずに命が失われてしまい、それに加担したことを償いきれないからこそ覆い被せて隠して生きていくしかない。その孤独を生きる主人公の奥底に希望があった。そしてその希望は生まれてきた喜びをいう。それが救いになって、終わったことに満たされたから、今まで読んできた山岳ベースに関しての物語のなかで一番好きかもしれない

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    2023年01月15日
  • 夜の谷を行く

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    思い出した。桐野夏生は読み出すと止まらない。

    連合赤軍事件、興味はあるけど敢えて映画や小説に触れようとはしなかった。メンタルがやられそうだから。
    これはそれほど凄惨なシーンがないので読めた。
    が、興味が深まり事件についてもっと知りたくなってしまった。

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    2022年12月11日
  • 柔らかな頬 下

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    ネタバレ

    失踪した娘の行方は解明されない。幾つかの可能性が示唆されるに留まる。発生した事件によって起きなければ変わらなかっただろうそれまでの人生が大きく変わっていく人々の姿を描いた小説。上下併せて1日で読み終えるくらい面白かった。新興宗教教祖の章と石山の漂泊の章はあんなに分量割かなくてもよかったような気もするが。

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    2022年12月04日
  • 柔らかな頬 上

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    ネタバレ

    不倫相手の別荘を自分の家族と共に何食わぬ顔で訪問した主人公が、男のためなら夫も子供も捨てていいと思った翌日、5歳の娘が失踪してしまう。それから4年が経過しても発見されない。当事者たちは行方不明者の家族としてその後の人生を生きているがそうであることに疲弊してもいる。もう娘は帰ってこないと思うのが現実を生きることなのか、娘がいない、そのことが現実なのか。娘の失踪が周囲に波紋のように影響を広げていくさまは読み応えがある。

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    2022年12月04日
  • バラカ 下

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    今、この時代に、読むべき物語、
    って紹介にありました。私もそう思います。桐野作品の中でも、なんだか凄いものを読んじゃった!という気持ちになる、まさに、ディストピア小説です。

子供欲しさにドバイの赤ん坊市場を訪れる日本人女性、酒と暴力に溺れる日系ブラジル人、絶大な人気を誇る破戒的牧師、フクシマの観光地化を目論む若者集団、胡散臭い謎の葬儀屋、そして放射能警戒区域での犬猫保護ボランティアに志願した老人が見つけた、「ばらか」としか言葉を発さない一人の少女……。

    小説内では、震災のため原発4基がすべて爆発した、という設定なので、その後の日本も、今の現実世界とは違う道をたどります。
ありえたかもしれな

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    2022年10月17日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

    購入済み

    豪華なアンソロジー

    まずは参加している作家陣の豪華さです。そして、ユーミンの楽曲のとのコラボということで、面白くないわけがありません。個人的には綿矢りささんの「青春のリグレット」が好きでした。読んだ後で、楽曲を聞きなおしたくなるような一冊でした。

    #泣ける #切ない

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    2022年08月14日
  • 路上のX

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    テレビでこの本が紹介され、あらすじが気になって読んだ。
    最初から最後まで辛い物語だった。
    だけど、現実的にあるような内容で、
    大人たちに利用され搾取される少女たちの姿は、
    行き場のない少女たちが集まり、共感し、
    そこから抜け出したいのに抜け出せないジレンマがあると思った。

    余談だけど、
    近所の兄弟がうちの子と庭で遊んでいた時、
    お昼になって『お母さんがご飯作ってるだろうからご飯食べてからまた遊びにおいで』と言って返したことがある。
    その後は来なかった。
    いつも兄弟一緒だったが、お母さんに好きな人がいて離婚した。
    兄弟は父親に引き取られたが、父親にも好きな人が出来てうまくいかず、兄は高校中退し

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    2022年07月24日
  • デンジャラス

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    「細雪」のモデルとなった谷崎潤一郎の妻、松子とその妹、重子、松子の前の夫との間にできた息子(重子の養子)の嫁・千萬子が小説家谷崎の家庭生活と創造生活を全てを司る様子が、重子の1人語りとてもリアルに表現されていて、これは重子の肉声なんじゃないかとさえ思ってしまった。
    人気作家のわがままに翻弄されているのは結局のところ誰なのかわからない。最後、老い始めた谷崎を平伏させてしまうような重子なのか、それとも実は谷崎が重子に自分を足蹴にするように仕向けているのか。小説が現実を模しているのか、現実が小説を真似ているのか。

    女たちの自分の存在意義を賭けた駆け引きや嫉妬などが繰り広げられるのだが、そこで生まれ

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    2022年07月17日
  • バラカ 上

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    神の恩寵という意味のバラカ。飲んだくれで自己中心的な父親と神にすがる母親に連れられて行ったドバイで母親を失い、人身売買組織に売られ、そこを訪れた日本人の女に買われ、最後は原発事故を起こしたフクシマで行方不明になり、お爺さんに拾われた女の子。日本にたどり着いてからは、周りの人間の自己実現や社会正義の実現のために利用されつつ、自分を見失わずに生き延びた女の子。親代わりになったお爺さんの豊田さんでさえ、バラカに娘のような愛情を抱いていたのか、それとも自分の正義のために彼女を連れていたのか、結局のところはよくわからない。でも、守ってくれる人や見方になってくれる人との途切れ途切れに現れては消えていく儚い

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    2022年07月11日