桐野夏生のレビュー一覧
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ネタバレケチンボのにこにしては、珍しい正規購入本。だって、上巻の帯ウラで
「桐野夏生が描く当世地獄絵図(めぐり)」などと煽られたら、ねぇ。
上巻の表紙は小島佳那。1986年入社の証券会社のフロントレディ。いわゆるバブルでアゲアゲだった時代の話です。萬三証券という中堅どころの証券会社の福岡支店を舞台に、佳那、水矢子、望月という3人の若者を軸に物語はすすみます。佳那は短大卒、望月は大卒男子、水矢子は高卒。貧しい家庭の出身の彼らは、当時のバブルの勢いを得て、自分の力だけで生きるための資力を得ようとするのですが、果たして。
当時の証券業界のデタラメっぷりが、垣間見えます。ネットなんて、影も形もなく、どぶ板 -
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バブル期の証券会社で働く3人の男女を中心としたストーリー。
3人の視点で語られていきます。
80年代の半ばとあって、男尊女卑がひどく、男女で職種の区別がはっきりとあり、この30年ほどでかなり変わったんだな〜と思います(証券会社の実態はわからないので、少なからずまだこういう風潮が残っているのかもしれませんが)。
このあとバブルが崩壊するのを知っているだけに、投資に熱狂する日本の雰囲気に危うさを感じてドキドキします。
証券会社の社員をはじめ、酒と女に溺れる怠惰な医者や正体の知れないヤクザなど、バブルの崩壊でどうなってしまうのか、ページをめくる手が止まりません。
上下巻に分かれていますが、文字は大 -
Posted by ブクログ
母にオススメされて。
タワマンママ友界隈に限らず、狭い世界では人は人を蹴落として上に上がり続けるしかない。誰も信じられないまま仮面を被り続けて、ふと気づいた時に虚しくなる。本当はもっと世界は広くて、背伸びせずに生きても意外と大丈夫なようにできている。そこで、じゃあ何故自分はこんなに苦しい思いをしているのだろう?と自分を責めてしまいがちだけれど。
世間というものは、自分と重ねすぎてはいけない。言ってしまえば人間もただの動物の一種にすぎないのだから、"絶対にこうでなければならない"なんていう決まりはない。大人だって子供と地続きなのだから、時には失敗することや、人目を気にせず -
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ネタバレバラカへの、これでもかという不運な境遇。人の裏切り、今度こそ信じてもいいのか、と疑心暗鬼になる気持ち。
自分の義父に震災の広告塔とされてしまったり、反対に崇め祭られる対象にされたり。
本当に信じられるのは、一番最初に見つけてくれた決死隊のおじいちゃん。
おじいちゃん、死んでなくてよかった。
『わたしを離さないで』が遺品って、カズオ・イシグロのだと思うけど内容が合いすぎてる。
毒をもられ話せなくなってしまったけど、バラカと心が通じるから話したいことがわかる、そんな心温まるシーンも少しだけあって。
そして健太、康太。
40歳超えて定住するバラカの様子、そして幸せでよかった。
いつ日本がこの様になっ -
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いやはや、凄かった!
674ページ!夢中で読みました。
ギリギリの世界を生きる若者たちの息苦しさと、容赦ない描写と、しばしば危うさを感じ、苦しみも伴いました。(普通にずっと出てくる沖縄の島の方言、正確には分からないまま読んでいたけど、雰囲気で分かるの)
記憶喪失…って、昔はよくマンガで読んだ気がする。自分が何者なのかさっぱりわからないって、よく考えたら(考えずとも)物凄く恐ろしく怖いことだ。しかも、自分が何者か教えてくれる人が周りに皆無なのだ。何も持たず何も分からず、ただただ生きることだけを考える前半と、あることから記憶が蘇ってくる後半。上手い!
貧困、格差、ニート、請負労働者、バックパッカ