あらすじ
AVでレイプされ、失踪した一色リナの捜索依頼を受けた村野ミロは、行方を追ううちに業界の暗部に足を踏み入れた。女性依頼人が殺害され、自身に危険が及ぶ中、ようやくつかんだリナ出生の秘密が、事件を急展開させる。乱歩賞受賞直後に刊行された圧巻の社会派ミステリー。「ミロシリーズ」第2弾!
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Posted by ブクログ
やっぱりだいすき!ミロシリーズ!
物語が進んでいくテンポがとても好み。主人公のミロの目線で、いろんな事象のちょっとした違和感とか着眼できるストーリーの組み立て方もほんとうに素晴らしい。親切なんだけど、絶妙に読者(少なくともわたしには)には謎解きしきれないから、クライマックスには毎度驚かされる。
1stシリーズの「顔に降りかかる雨」の時からだけど、登場人物の服装や身だしなみに言及することが多くて、その人となりを想像するのに有効だと思うし、時間の経過とかも感じられるからすごく効果的だと思う。そして個人的にファッションに興味あるから嬉しい。笑 著者もそうなのかな?
欲を言えば最後、トモさんにもう一度出てきてミロに寄り添う描写があって欲しかったけど、そうしなかったのも著者の意図があるんだろうな。
次のシリーズも積読になっているので、早く読みたてうずうずしてます。
個人的に、新装版の解説をされているのが柚木麻子さんなのもうれしかった。
Posted by ブクログ
アダルトビデオでレイプされた女性を探すところからスタートするミステリー。
桐野夏生さんの著作はあまり読んだことが無かったが、限られた文字数で構成も非常に練られている。終盤の謎解きについてもバランスが秀逸であり、テンポ良く読み進められた。どうやらシリーズものの2作目らしく、機会があれば1作目も手に取ってみたい。
Posted by ブクログ
AVに出演後に失踪した女性の捜索を依頼された探偵が、業界の裏側に踏み込むうちに自身も翻弄されていく、ミロシリーズ第2弾。
単行本として出版されたのは、1994年。今でこそ女性の弱みに付け込んだ悪質な商売は問題視されるようになったが、当時は際どい部分に社会問題として先駆者的に斬り込んだ作品だった。
再読になるが、ミロシリーズの魅力は、探偵としても女性としても、ミロが完璧ではないところだと思う。むしろ、本能の赴くままに行動し、失敗して迷走してそれでも挫けずに突き進んでいくクールな強さがいい。
Posted by ブクログ
桐野夏生さんの本は大好きで全部追いかけて読んでいるが内容を忘れてしまっていた。でもこの話は上位に入るくらい好きな話だったのを思い出した。
細切れに読んでもすぐにちょっと前が思い出せる感じ、食事中も続きが気になって、誰もいないお昼についに読みながらご飯を食べる始末。それくらいやめられなかった。
AVの作品は生まれてこの方見たことがない。でもどんなものかはもちろん知っているけれど笑笑
いろんなジャンルがあるのもなんとなくわかるけれど、本当にレイプがあったのかなかったのか、それは見極め難しいんだろうな、と思う。最初から演技としてと演者に伝えているより、知らない方がリアリティを追求できるのか。
何にせよ、18歳以上で見ることができてしまうものは現実とは別にして考えてほしいと女性の立場からは思う。不思議なことに禁止されたシュチュエーションのものがとても多く、さらにそれが多いと言うことは人気があると言うことか。私としては胸糞。
ミロはこの二作、めんどくさくなりそうな人と関係を持ってしまうが、それも癖なんじゃないかなと思った。学生の時もいた、人の彼氏ばっかりとる人。
そう言う癖なんだと思ってみてた。
ミロのシリーズ全部読んだはずだけど、次も読んでみる。
Posted by ブクログ
1994年刊。『顔に降りかかる雨』(1993)に続く、桐野夏生さん初期の女探偵ミロ・シリーズの2作目に当たる。
やはり、面白かった。やはり現代のエンタメ系文学は非常にスイスイ読めるし、物語の展開にはまって先へ先へと駆り立てられる。
本作でミロは、むしろ敵側と思われるようなダ男性に性的に惹き付けられて寝てしまい、それが原因となって失敗を招くなど、「アラアラ」と悔しくなるような弱さを露呈しており、それもあって、非常にリアルでなまなましい女性像を確立している。
ミロが探し求める女性リナも、極めて不幸な幼少期を送って情緒面で発達障害的になってしまった人間として、後半リアルに描き出される。
その一方で、矢代のような男性は奇妙にデフォルメされ、リアルさを欠いているように見える。桐野さんはリアルな男性心理を書けないわけではないので、どうやら、女性にとって強い性的対象となった男性は、その欲望のためにファンタジックな、戯画化されたイメージになってしまうようなのだ。この点、我々男性も性的対象として女性を見ると妙に都合良く戯画化して捉えようとしてしまうことと同じなのかもしれない。欲望の地平に開かれる<神話>的シンボル化、ということなのだろうか。
全体に面白く読めて満足感を得られる小説だった。このシリーズはこの後短編集が1冊あって、その後最後の作品である長編『ダーク』が来るようだが、どうもこの最終巻は、読者にとってショッキングなまでにミロが変転してしまうらしく、読むのがちょっと怖いような、楽しみなような気がしている。
Posted by ブクログ
失敗した!
またシリーズ物を途中から読んでしまった。
シリーズ物は刊行分をとりあえず全部読む、という縛りを課していたのだけど、さすがに一向に減らない読みたい本リストの残を考えると、もう、おすすめされた一冊だけでいいかなという気がしてきていたこの頃。
でも、主人公・村野ミロの壮絶そうな過去が気になるので、やっぱり全部読むとするか。
失踪したAV女優を捜すという依頼のため、最初の方がちょっとエグくて読み通せるか不安だったけど、意外と読みやすく思えたのは作者の力量なのだろうと思う。
女流ハードボイルドと言えば、若竹七海の葉村晶シリーズがあるが、痛い目に遭ったり怖い思いをしても、葉村晶よりも生々しい。
そして、最後まで事件の落としどころがわからなかったので、気持ちを切らすことなく読み終えることができた。
思いのほか前向きな着地でびっくりしましたが。
ただし、犯人に対する村野ミロの態度は、コナンくんに叱られると思う。
Posted by ブクログ
村野シリーズの第二作目、文書は前作より多少読みやすくなる。構成は非常によくできている、言い方を変えれば、完成度が高いこと。ストーリーは主人公の行動を追って単線的に展開するので、非常にわかりやすい。ただ、犯人牧子の心をもっと掘り下げてほしい。じゃないと、最後に来た彼女が自殺するシーンには、些か安っぽく感じる。
Posted by ブクログ
駆け出しの探偵ミロに魅力を感じず、そそられない設定に引っ掛かりながらも読む手が止まらない。後半、真相が明らかになる場面は圧巻。何度も頁を戻りながら読み進めていた苦労を完全に振り払ってくれる納得の結末。
Posted by ブクログ
桐生さん代表作 村野ミロ探偵シリーズ2作目。初々しいという表現は当たらず、骨組み、展開、人物像とキャラの割り当て、全て及第点,どっしりとした だが読み易いミステリー・・と呼ぶのかな。
風俗嬢、AVの関係する調査を依頼されたミロ。文字通り身体を張った全力での調査に駆け回る。後半、は自殺・殺人も。風俗~キャバクラは既に古株、性感マッサージ、ソープ、エステチックサロンすらもその類。一回身を沈めたら 泥沼から這い出る事が難しいのは昔の赤線、遊女のそれを思い出させる。
友・恋人?それ以上・それ未満のトモさんの存在が温かい。
サイドストーリーにホストクラブの三沢などがぞろぞろ出てくるけれど殆ど「小顔、サラサラ長髪、細見、滑らかな皮膚」で逆に笑える。それと小物で登場する自動車、いずれ劣らぬカーマニアチック
この頃の桐生さん、女性の描き方はほぼ完成形ながら、男性がややステロタイプ・・進化系を見ているだけに、ダークを再読したくなる。