桐野夏生のレビュー一覧
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ネタバレ本当の意味で弾けてしまうとは…。
お金の魔力って本当に怖い。煌びやかで派手な遊び、美味しい食べ物、持ち上げてくる周囲の大人、見たことのない世界はそりゃあ楽しい。望月と佳那が根性出して頑張っていたのは虚構じゃないし、若くして死んでしまったのはやるせなかった。清廉潔白ではないけれど、あんな最期を迎える程のことをしたのかな、と思ってしまうよ。分相応ってなんか嫌な言葉でもある。須藤とか山鼻みたいな傲慢な奴が生き残るのかあ。時代に乗って駆け上がりすぎた分、お金=それ以外は無価値、という単純な価値観に浸かりすぎて、思考停止してしまって、札束に酔っていた。
水矢子に関しては、可哀想としか…最後に求めていた佳 -
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バブルと金融業界、未知の世界。自分が生きる福岡と地続きのはずなのに最早ファンタジーである。
望月が動き始めてからが面白いが、思考行動すべてが場当たり的でハラハラする。「マジか望月…」と心の中で3回は呟いた。博打が当たり続ける望月くん。誠実さが欠片もないので友達にしたくないタイプだが、成り上がって他を見下してやる、という人間臭い欲望を純粋に追い求める姿はなんか羨ましい。緩やかな諦観がずっと流れている現代を生きていると、良くも悪くも熱量がある人間って眩しい。
稼いだ奴がエライんじゃひれ伏せ!という価値観はシンプルで楽だけど、そこから落ちてしまった時、絶望するのか、笑い飛ばせるのか。でもこんな時代 -
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悪い妻
「子供が生まれてからは、文字通り戦争のような日々を送っているのに、評判だけは反比例してさがってゆく」子育てを経験して、このことがとてもよくわかる気がした。旦那の仲間から悪く言われ、「悪い妻」に仕立てあげられてしまっていて、気の毒。最後が、中途半端な気がしたのが残念。続きがあればいいのにと思った。
残念
こちらも、続きがあればいいのに、と思った。
オールドボーイズ
亡くなった旦那の上司の奥様が亡くなられ、それについての書いた本を読んで、思い遣りや感慨にふれ、自分は冷たかったと思った亜美。そこからの最後の一文「気に入ってくださった方は、下記に三千円を振込願います」が、最高のオチだと思い -
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個人的趣向が合うのか、現代にざっくり包丁を入れる桐野さんの計算が至高なのか、一気読みした。
面白い?いやいや、残酷、乾いている、現代「昭和から平成、して令和への変遷」の空気を計算しつくしている文体。
無駄がなく、だれること皆無。
6編の夫婦、取り巻く男女の友達、同僚は個人的に「悪い」とはとは思えない。
それどころか、「いい妻」って何?と自問した。
男が望む?社会が望む?会社組織が望む?島国日本が粛々と培ってきた江戸、明治、大正、昭和の重箱にでも入ったような空気を後生大事にしてきた御仁には、ひゃぁ~~と気も狂わんばかりだろうな。
時代は変わる、社会は変わる、「古き」はよきものとは限らない。 -
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6編の掌編からなる一冊だ。
私はこの物語を読み進むにつれ、寸劇の舞台を観ているような感覚に陥った。
男と女、ここでは夫婦が主に取り上げられているのだが、主人公の視点から生活の一コマを活写し、単純・明快に描かれている。
この一編一編には、物語としての明確な終止符は打たれずに、読者にその後を想像させる仕組みだ。
鈍感な感性の読者(失礼)には「なにこれ⋯?」となり、洞察力・感性に優れた読者にとっては「ブラックな物語」になったり「男としての反省点」を諭されたりと、人それぞれの解釈が生まれる内容となっている。
人の心の摩訶不思議さを、桐野夏生女史は敢えて掌編と云う短さで表現したのではないか。
一見中途半 -
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大好きな桐野夏生さん。
やっぱり面白い。
貧困、孤独、格差
重い‥重すぎる‥なのになんでこんなに
惹きつけられるんだろう。
記憶を失った主人公のギンジと
故郷の宮古島を捨てた昭光が
安住の地を求めて放浪する。
二人の関係は友情?とは言えないものだけど
孤独で極限の状態にいる二人にしかわからない
心の繋がりがあるのだろうな。
主人公の家族が崩壊していくシーンは
辛かった。
例え家族であろうと、人との繋がりは
努力して維持していくものなんだと感じた。
ラストは切なかった。
逃げても逃げても明るい未来なんてないのかもしれない。
解説にある
安っぽい同情など愛ではない、自己責任
誰かの不幸を -
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タワマンママたちのカースト群像劇。
虫唾が走る程吐き気がするような会話が続くが、テンポよく進む会話のためか、徐々に現実味を帯びてきて、気づいたら引き込まれていた。
妻の隠された離婚歴・出産歴を知った夫の気持ちはわからなくもないが、2年以上帰国しないで妻と娘をタワマンに放置するなんてことがあり得るのだろうか。単身赴任先アメリカでの浮気の告白、その晩の仲直り、さすがに現実離れしすぎていると思うが、それもアリと思わせるのは、作者の妙とも言うべきか。
やや強引なエンディングだが、まぁそれもよし。
見栄を張ることの虚しさと、自分を保つことの難しさを考えさせられた。
ハピネスとは何か、難しい問題だ。 -
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主人公の女の子たち(真由、リオナ、ミト)がどうなるのかハラハラしながら一気読み。三人のたどる道はあまりに過酷で、容赦がない。
社会問題としてトー横に集まる若者が度々取り上げられている。ひと昔前の非行少女たちと事情がちがうのは、彼女たち自身には落ち度はほとんどない場合が多いという点かもしれない。背後には貧困があり、子をきちんと養育できない家庭があまりに増えているという厳しい現実がある。
それでも桐野夏生の小説らしく、彼女たちは自らの境遇に抗い、果敢に行動する。両親が突然行方不明になってしまい、何とか自分で生きようとした真由は、バイト先で性被害に遭って深く傷つくが、警察に被害を訴えようとするし -
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桐生夏生ってホラーチックという先入観があるのか、その存在も知ってるし過去に読んだ作品も面白かったしはずれのない作品を書ける人というイメージをもっているにもかかわらずあんまり読んだことがない。久しぶりにたまたま見かけた『バラカ』という小説を読んでみた。
震災で原発事故が起こった日本が舞台になっている。作品自体も2011年夏頃、つまり東日本大震災と福島第一原発の事故から間もないうちに「小説すばる」での連載が始まり2015年まで続いた。だから途中から震災後であり原発事故である世界は、実際の世のなかとはちょっと違う方向に動いている。いや、あえてより悲惨な状況を描いたのだろう。そんななかを数奇な生まれ育 -
Posted by ブクログ
桐生夏生ってホラーチックという先入観があるのか、その存在も知ってるし過去に読んだ作品も面白かったしはずれのない作品を書ける人というイメージをもっているにもかかわらずあんまり読んだことがない。久しぶりにたまたま見かけた『バラカ』という小説を読んでみた。
震災で原発事故が起こった日本が舞台になっている。作品自体も2011年夏頃、つまり東日本大震災と福島第一原発の事故から間もないうちに「小説すばる」での連載が始まり2015年まで続いた。だから途中から震災後であり原発事故である世界は、実際の世のなかとはちょっと違う方向に動いている。いや、あえてより悲惨な状況を描いたのだろう。そんななかを数奇な生まれ育