桐野夏生のレビュー一覧
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6編の掌編からなる一冊だ。
私はこの物語を読み進むにつれ、寸劇の舞台を観ているような感覚に陥った。
男と女、ここでは夫婦が主に取り上げられているのだが、主人公の視点から生活の一コマを活写し、単純・明快に描かれている。
この一編一編には、物語としての明確な終止符は打たれずに、読者にその後を想像させる仕組みだ。
鈍感な感性の読者(失礼)には「なにこれ⋯?」となり、洞察力・感性に優れた読者にとっては「ブラックな物語」になったり「男としての反省点」を諭されたりと、人それぞれの解釈が生まれる内容となっている。
人の心の摩訶不思議さを、桐野夏生女史は敢えて掌編と云う短さで表現したのではないか。
一見中途半 -
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大好きな桐野夏生さん。
やっぱり面白い。
貧困、孤独、格差
重い‥重すぎる‥なのになんでこんなに
惹きつけられるんだろう。
記憶を失った主人公のギンジと
故郷の宮古島を捨てた昭光が
安住の地を求めて放浪する。
二人の関係は友情?とは言えないものだけど
孤独で極限の状態にいる二人にしかわからない
心の繋がりがあるのだろうな。
主人公の家族が崩壊していくシーンは
辛かった。
例え家族であろうと、人との繋がりは
努力して維持していくものなんだと感じた。
ラストは切なかった。
逃げても逃げても明るい未来なんてないのかもしれない。
解説にある
安っぽい同情など愛ではない、自己責任
誰かの不幸を -
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タワマンママたちのカースト群像劇。
虫唾が走る程吐き気がするような会話が続くが、テンポよく進む会話のためか、徐々に現実味を帯びてきて、気づいたら引き込まれていた。
妻の隠された離婚歴・出産歴を知った夫の気持ちはわからなくもないが、2年以上帰国しないで妻と娘をタワマンに放置するなんてことがあり得るのだろうか。単身赴任先アメリカでの浮気の告白、その晩の仲直り、さすがに現実離れしすぎていると思うが、それもアリと思わせるのは、作者の妙とも言うべきか。
やや強引なエンディングだが、まぁそれもよし。
見栄を張ることの虚しさと、自分を保つことの難しさを考えさせられた。
ハピネスとは何か、難しい問題だ。 -
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主人公の女の子たち(真由、リオナ、ミト)がどうなるのかハラハラしながら一気読み。三人のたどる道はあまりに過酷で、容赦がない。
社会問題としてトー横に集まる若者が度々取り上げられている。ひと昔前の非行少女たちと事情がちがうのは、彼女たち自身には落ち度はほとんどない場合が多いという点かもしれない。背後には貧困があり、子をきちんと養育できない家庭があまりに増えているという厳しい現実がある。
それでも桐野夏生の小説らしく、彼女たちは自らの境遇に抗い、果敢に行動する。両親が突然行方不明になってしまい、何とか自分で生きようとした真由は、バイト先で性被害に遭って深く傷つくが、警察に被害を訴えようとするし -
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桐生夏生ってホラーチックという先入観があるのか、その存在も知ってるし過去に読んだ作品も面白かったしはずれのない作品を書ける人というイメージをもっているにもかかわらずあんまり読んだことがない。久しぶりにたまたま見かけた『バラカ』という小説を読んでみた。
震災で原発事故が起こった日本が舞台になっている。作品自体も2011年夏頃、つまり東日本大震災と福島第一原発の事故から間もないうちに「小説すばる」での連載が始まり2015年まで続いた。だから途中から震災後であり原発事故である世界は、実際の世のなかとはちょっと違う方向に動いている。いや、あえてより悲惨な状況を描いたのだろう。そんななかを数奇な生まれ育 -
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桐生夏生ってホラーチックという先入観があるのか、その存在も知ってるし過去に読んだ作品も面白かったしはずれのない作品を書ける人というイメージをもっているにもかかわらずあんまり読んだことがない。久しぶりにたまたま見かけた『バラカ』という小説を読んでみた。
震災で原発事故が起こった日本が舞台になっている。作品自体も2011年夏頃、つまり東日本大震災と福島第一原発の事故から間もないうちに「小説すばる」での連載が始まり2015年まで続いた。だから途中から震災後であり原発事故である世界は、実際の世のなかとはちょっと違う方向に動いている。いや、あえてより悲惨な状況を描いたのだろう。そんななかを数奇な生まれ育 -
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松任谷由実の曲を元にしたトリビュート小説集
著名な作家さん達による、別角度からの切り口で綴られる物語
歌詞をそのまま物語にしたものではない
むしろ設定のリンクはそんなにないかも
タイトルにインスパイアされた短編という表現の方が近い
収録は6編
あの日にかえりたい/小池真理子
DESTINY/桐野夏生
夕涼み/江國香織
青春のリグレット/綿矢りさ
冬の終り/柚木麻子
春よ、来い/川上弘美
解説:酒井順子
・あの日にかえりたい/小池真理子
いまも私の心は学生時代を過ごしたあの場所にいる
昭和の学生運動が盛んな頃の大学生
男を巡る友人とのちょっとした行き違い
大学生の頃に戻りたい -
Posted by ブクログ
ネタバレユーミンの曲を女性作家さん達がトリビュートし
創作された物語の短編集。
小池真理子「あの日にかえりたい」
まだ共同玄関や共同トイレが一般的だったころに
学生時代を過ごした主人公の郷愁の物語
既に老年に入った主人公が人生を振り返るような
切ない物語。短編の中に人生の流れがつまっていて
さすが小池真理子さんだなと思った。
桐野夏生「DESTINY」
村上春樹が愛読書の争いごとを好まない青年の物語
変わらぬルーティーンの中ではっと目についた
女学生に少し惑わされてしまうけれど、また
普段の日常に戻っていく。何も劇的なことは
ないのだけれどシニカルでとても良かった。
村上春樹とか山田風太郎とか主人公