桐野夏生のレビュー一覧
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ネタバレ頼りない主人公が危ない旅に巻き込まれていく様子がとてもハラハラさせられて一気に読んだ。理解できそうに思えてやっぱり全然共感できない主人公の考え方。
ダメ人間だった主人公も旅で色んなことを経験してラスト親友に会う頃にはしっかりした人間になって感動の展開かと思いきや、やっぱり相手の言動にすぐ流されて自暴自棄なまま変わってなかったのか…それとも親友の思いを汲んであげたということなのか。空知は“お前が次のソルになれ”とか言ってたけど重要人物の空知消えたら主人公殺されないのか?
主人公はカンボジアのばあちゃんとか空知のことばかり気にかけて本当に心配してくれている日本の母親には金を無心するだけでろくに連絡 -
Posted by ブクログ
テレビで、ピンクのヘルメットを被った派手なグループが家や会社に押しかけシュプレヒコールをあげているシーンをはっきり覚えている。何事かと思っていると”中ピ連”を名乗り代表者らしき女性は榎美沙子さんとかいう名前だった。”中ピ連”とは中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合と説明していた。当時、その露悪的で挑戦的な光景に度肝を抜かれやり過ぎじゃないのと眺めていた。ウーマンリブに共鳴しながらも、あれじゃあ却って偏見を買うばかりで、むしろやらない方が益しというものと否定的だった私。
本書はその当人・榎美沙子さんがモデルとなった塙玲衣子の名で登場している。ネット検索と並行しながら本作を読み終えた。 -
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ネタバレ桐野夏生さんの本は大好きで全部追いかけて読んでいるが内容を忘れてしまっていた。でもこの話は上位に入るくらい好きな話だったのを思い出した。
細切れに読んでもすぐにちょっと前が思い出せる感じ、食事中も続きが気になって、誰もいないお昼についに読みながらご飯を食べる始末。それくらいやめられなかった。
AVの作品は生まれてこの方見たことがない。でもどんなものかはもちろん知っているけれど笑笑
いろんなジャンルがあるのもなんとなくわかるけれど、本当にレイプがあったのかなかったのか、それは見極め難しいんだろうな、と思う。最初から演技としてと演者に伝えているより、知らない方がリアリティを追求できるのか。
何にせ -
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ネタバレ松任谷由実デビュー50周年記念オリジナル小集。全作書き下ろし。ユーミンの名曲タイトルから6人の女性作家が新たに奏でる小説のハーモニー。令和4年7月1日発行。
小池真理子 「あの日にかえりたい」(1975年)
桐野夏生 「DESTINY」(1979年)
江國香織 「夕涼み」(1982年)
綿矢りさ 「青春のリグレット」(1985年)
柚木麻子 「冬の終り」(1992年)
川上弘美 「春よ、来い」(1994年)
ユーミン世代ではないので、リアルに記憶にあるのは「春よ、来い」くらい。といっても、歌詞なんて気にしてなかった年頃だったので、いまいちよく分かっていない。本当は、曲を聞いて、歌詞を読んで -
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ネタバレ中ピ連の代表の女性を下敷きにしたフィクション。
新聞で中ピ連の話を読んで気になっていたところ、母がこの本を読んでいたので借りた。
ルポ形式で語り口調なので読みやすく、それぞれに感情移入しやすい。さらに取材者が女性という設定で描かれているので、女性のほうが自身の思いや背景を素直に語っているような印象を受けた。もちろん全員が「信頼できない語り手」として話が進行するため、各人の口から語られる「塙玲衣子」の姿は断片的かつ主観的ではっきりと像を結ばない。
ある女性の証言から始まる。私としてはそのエピソードは痛快で当然だと思えた。しかし中盤で男性や被害者が語る塙像は憎しみの対象となり、それもまたもっと -
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ネタバレああいましたねえ。まだ子供だったから、ピルがどういうものかわかっていなかったです。なんか女性が騒いでいるなあぐらいしか思っていませんでした。
中ピ蓮をモデルにした活動家の主催者のその後を追う記者が、関係者のインタビューを続けていくという流れです。たしかに彼女は早すぎたのかもしれません。今でも男性優位の社会です。自分らの子供の世代にはやっと実現していくのでしょうか。
日本会議とかさまざまな右翼団体が勢力を伸ばしているような気がする今、改めて考えてみる必要がある問題ですね。
展開としてはちょっと物足りなかったな。なんせ本人がどこに行ったか分からないのですから、想像したフィクションになって