桐野夏生のレビュー一覧

  • 砂に埋もれる犬

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    桐野夏生『砂に埋もれる犬』朝日文庫。

    久し振りの桐野夏生。昨年8月に読んだ『インドラネット』以来であった。

    悲惨なまでの虐待と貧困の連鎖と、明確な解の無い結末に読後は陰鬱な気分になった。

    明らかに日本は下流社会に成り下がった。非正規労働が当たり前になり、まともな賃金を貰えないままに自らが生きることで精一杯の若者たち。若者たちにとっては、結婚など夢のまた夢。子供を持つなど有り得ないというおかしな社会になってしまった。

    9年連続で出生率は低下し、70万人を割るのは時間の問題だ。親の貧困が子供への虐待につながり、さらにはその子供の貧困を生み出すという負の連鎖は続く。

    政府が最近打ち出した高

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    2025年03月02日
  • グロテスク 上

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    初桐野夏生さん作品。
    にんげんはグロテスクな生き物だ、と思う。でもそのグロテスクを裏とすれば、反面美しい表の瞬間だっていくつもあるはず。でもこの小説ではそんな瞬間は一切描かれないので、かなり読むのに困憊した。悪意悪意悪意にまみれながら、それでもこの人たちの結末を知りたいと下巻を読むであろう私もなんだかグロテスクな気がする。


    「ミツルはこの学校の中で生まれた突然変異なのです。人並み外れた良心と優しさを持った生物。それはきっと、心の中に人より大きな悪魔がいるからなのです。ミツルの中の悪魔が、良心と優しさを育てたのです。」

    「姉は私が化け物だと幼い頃から苛めてきたが、私には美しい外見などどうで

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    2025年03月01日
  • 燕は戻ってこない

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    ネタバレ

    代理母に子どもを産ませる人のエゴには常々腹立たしく感じていたので、共感しまくり。
    エージェントの青沼の不全感の話が腑に落ちた。
    前半のリキやテルの貧窮描写はリアルで、代理母を選択してしまう気持ちもわからなくはないと思えたが、りりこの家での暮らしは浮世離れし過ぎで、リキに都合が良過ぎてて冷める。
    テルもソム太の子ども産んで幸せになれるのかな。

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    2025年02月14日
  • 路上のX

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    ネタバレ

    話の先が気になり、どんどん読み進めてしまった。真由の気持ちも分からなくもないが、幸恵の気持ちもわかる。高校生の子供が突然1人増える。真由をリオナが見た印象を読むと、こういうタイプの子を歓迎しようとは思わないと思う。全ての原因は両親のせいだと思うが、もっと他に選択肢はあっただろうと登場人物たちへの苛立ちを覚えてしまう部分もあった。ただこれは自分が恵まれた生活を送ってきたから思う感想であって、この世には自分の想像をはるかに超えた苦しい経験をしている人達がいるのだと思うと、とても心にモヤっとしたものが残る。この先真由に少しでも楽しいことや幸せだと感じられる瞬間が訪れて欲しいと思った。

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    2025年02月07日
  • メタボラ

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    ネタバレ

    長かったけど、最後まで興味を引かれ読んで良かったと思える小説でした。自分も主人公とは似たような家庭環境だったり、世代も近いし共感出来ることが沢山あったので読んでいて凄くリアルで、主人公と一緒に苦しみながら読んでました。とても切ないお話ですが、そういうところも含めて好きな作品です。

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    2025年02月06日
  • 緑の毒

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    よくここまで胸糞な人物を、というのとそのクズさ加減に読んで嫌悪を覚えるかもしれない。

    人間味っていう甘いも辛いもある味でいうとエグ味。嫉妬という感情から突き動かされるエネルギーは凄まじい。そのエネルギーを仕事に活かしたら、とも思うけどそううまくもいくまい。

    これ、程度の差こそあれ、現実に起こっていることなのでは?不倫がーとか、レイプがーとかじゃなくて、形を変えた形でこのやるせなさって日常にひそみ、誰もが皆持ってるものだと思う。それを切り分けて小説という形に落とし込んでエグ味を足して一冊と成す。

    この本もおそらく人を選ぶ、人が選ぶのを躊躇う部類だと思う。ただし、本がもたらす人間の在り方につ

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    2025年02月06日
  • 燕は戻ってこない 単行本版 1

    匿名

    無料版購入済み

    燕は何を暗示しているのか?

    表紙から分かるように明るい話ではなく、シリアス路線です。
    卵子提供はこれからどんどん増えていくでしょうし、
    どうなる結末になるのか興味があります。

    #深い

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    2025年02月05日
  • 燕は戻ってこない

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    結局わたしは当事者になるか、そばでリアルに話を聞くかしないと他人の辛さや心の痛みや感じる違和感に共感したり寄り添ったり慮ったりできるような繊細な感覚を持ち合わせてないと痛感させられた。

    代理母になるしかないのも田舎から出てきて困窮するしかなかった環境のせい。代理母になる決断も「テルがやるなら」と人まかせ。草桶夫婦のために子を生むことは青沼さんが言った「人助け」なのだと思い込もうとする。あげく無責任なクズ男と流れで寝るなど、ずっと人に聞いてとかその場の勢いでしか考えられてなかったリキが、最後だけはやっと自分の意志を認めて覚悟を決めたように思えた。

    興味本位で口出してくるりりこが意外と重要。り

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    2025年02月02日
  • 真珠とダイヤモンド 下

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    上下、一気に読みました
    バブル、泡はやっぱり消えるのね
    金は人を変える。貧しかった佳那が、桁も考えずに平気で大金を使う。姉を売った男との結婚が間違いだった?
    結果、死!怖い!

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    2025年01月30日
  • 真珠とダイヤモンド 下

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    お金に気持ちも身体も絡め取られ
    身動きが取れなくなるまで気が付かない。

    なんて愚かな・・・。
    と、今ならわかる。
    渦中にいれば冷静ではいられないのだろう。
    狂った世の中に翻弄され人生をダメにした人たち。
    自業自得というには気の毒すぎる。
    彼らを救うことはできなかったのか。
    その頃を知っているだけに切ない。

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    2025年01月29日
  • 真珠とダイヤモンド 上

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    1986年春。
    伊東水矢子(みやこ)と小島佳那は
    萬三証券株式会社・福岡支店の同期。
    硬派な佳那と、事務職の水矢子は
    フロントレディから一線を画され
    自然と2人でいることが多くなった。

    バブル絶頂期。
    2人のこの先はどうなるのか。
    読み始めたら止まらない。
    下巻へ。

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    2025年01月29日
  • 燕は戻ってこない

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    『新たにどこかに踏み出すにも、時間と金が必要だった。』
    時間と金、時間と金…

    センシティブな内容過ぎて、読む人の状況によってそもそも読める読めないがあると思う。

    以下、感想。

    貧困と性 、金持ちとエゴ
    それを結びつける生殖医療ー代理母の話

    作中では、子どもを産むということに全能感を感じるという女性の話と、不妊治療に臨む親たちが一番言葉にしにくい感情は不全感なのではというプランテの話が印象に残った。(もちろん、ただの、この本の中の登場人物の考えに過ぎない。人それぞれなのは言うまでもない。)
    生殖を担わされる女だから、産む意志の有無に関わらず、産みたくてもできないも、そもそも欲しくないでも

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    2025年01月25日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    最後までわからなかった
    耀子さん本人はほとんど出てこないのに彼女を中心として話が進んでいくのがとても面白かった
    そして話の最初から最後で彼女に対する印象が大きく変わった
    最後の一文まで見逃せなかった

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    2025年01月20日
  • グロテスク 上

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    まだ上しか読んでいませんのでなんとも言えませんが
    何か瞬発的におおきな驚きや、面白い!と感じる部分はありません。
    ジトジトした描かれていることの面白みはとても感じます。

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    2025年01月19日
  • 真珠とダイヤモンド 下

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    上巻と下巻ついに読み終わりました。
    下巻は一気読みに近く、最後のほうで結末が見えてきて、ちょっとさみしい気持ちになりました。
    バブルの泡と一緒に弾けてしまった人生を駆け抜けた若者たち。
    誰もが憧れる暮らしを手に入れると同時に失っていく大事な物。
    真珠とダイヤモンドの比喩が自分が思っていたものと違って意外だったかな
    面白い作品でした。

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    2025年01月16日
  • インドラネット

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    ネタバレ

    頼りない主人公が危ない旅に巻き込まれていく様子がとてもハラハラさせられて一気に読んだ。理解できそうに思えてやっぱり全然共感できない主人公の考え方。
    ダメ人間だった主人公も旅で色んなことを経験してラスト親友に会う頃にはしっかりした人間になって感動の展開かと思いきや、やっぱり相手の言動にすぐ流されて自暴自棄なまま変わってなかったのか…それとも親友の思いを汲んであげたということなのか。空知は“お前が次のソルになれ”とか言ってたけど重要人物の空知消えたら主人公殺されないのか?
    主人公はカンボジアのばあちゃんとか空知のことばかり気にかけて本当に心配してくれている日本の母親には金を無心するだけでろくに連絡

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    2025年01月23日
  • オパールの炎

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    テレビで、ピンクのヘルメットを被った派手なグループが家や会社に押しかけシュプレヒコールをあげているシーンをはっきり覚えている。何事かと思っていると”中ピ連”を名乗り代表者らしき女性は榎美沙子さんとかいう名前だった。”中ピ連”とは中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合と説明していた。当時、その露悪的で挑戦的な光景に度肝を抜かれやり過ぎじゃないのと眺めていた。ウーマンリブに共鳴しながらも、あれじゃあ却って偏見を買うばかりで、むしろやらない方が益しというものと否定的だった私。
    本書はその当人・榎美沙子さんがモデルとなった塙玲衣子の名で登場している。ネット検索と並行しながら本作を読み終えた。

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    2025年01月13日
  • 燕は戻ってこない

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    ネタバレ

    なが!って思ったけどすぐ読めました。
    深い。。。この作家さん、昔の作品はエログロなイメージしかなかったのですが、今の不妊の女性の心の複雑さや、子供を持つということ、先々有り得る代理母という選択肢、、、など色々考えさせられる話でした。
    でも、やっぱり産むと母性出ちゃうよね!女の子を選んだという所にまた色々意味を感じます。

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    2025年01月11日
  • グロテスク 上

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    自分が理解出来ないことへの不安や恐ろしさが嫉妬や差別を生んでいくのだと感じた。
    人間は自分が今までされてきたことを無意識的に、周囲の人にしていく生き物なのかもしれないと思った。
    なので、核を作る途中にある子供の頃の体験が自身に多大な影響をあたえるのだろう。無力反応。
    モノとして扱われてきたから、周囲も自分もモノとしてしか扱えないユリコ
    希少価値や理由がないと、自分も周囲も存在するべきではないと考える和子
    家庭のどこにも休める場所がない人はどうやって自身の核を作れば良いのだろうか。
    普通に生きることって、物凄く難しいのかもしれない。

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    2024年12月31日
  • 新装版 天使に見捨てられた夜

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    ネタバレ

    桐野夏生さんの本は大好きで全部追いかけて読んでいるが内容を忘れてしまっていた。でもこの話は上位に入るくらい好きな話だったのを思い出した。
    細切れに読んでもすぐにちょっと前が思い出せる感じ、食事中も続きが気になって、誰もいないお昼についに読みながらご飯を食べる始末。それくらいやめられなかった。
    AVの作品は生まれてこの方見たことがない。でもどんなものかはもちろん知っているけれど笑笑
    いろんなジャンルがあるのもなんとなくわかるけれど、本当にレイプがあったのかなかったのか、それは見極め難しいんだろうな、と思う。最初から演技としてと演者に伝えているより、知らない方がリアリティを追求できるのか。
    何にせ

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    2024年12月26日