桐野夏生のレビュー一覧

  • 夜の谷を行く

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    本書のストーリーのベースとなっている事件は、ウィキでは「山岳ベース事件」として扱われている。それを引用する。
    【引用】
    山岳ベース事件とは、1971年から1972年にかけて連合赤軍が群馬の山中に設置したアジト(山岳ベース)で起こした同志に対するリンチ殺人事件。当時の社会に強い衝撃を与え、同じく連合赤軍が起こした、あさま山荘事件とともに新左翼運動が退潮する契機となった。
    【引用終わり】

    事件の首謀者の1人であった永田洋子は裁判で死刑を言い渡される。ただ獄中で病を得て、死刑執行の前に病死する。それは、2011年2月、東北の大震災の直前であった。
    永田が地裁で死刑判決を受けた際の判決文は、下記のよ

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    2022年01月10日
  • 水の眠り 灰の夢

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    実際にあった昭和の未解決事件、草加次郎事件を幹にして構築したミステリー。昭和という土から生え出た虚構の蔓が実在の事件の幹に幾重にも絡まり、見事な物語へと姿を変えている。奥付によると阪神大震災の年に単行本が刊行されたようだが、二度目の東京オリンピックを終えて、一度目の東京オリンピックの頃の物語を読むことができたというのも、なんか良かった気がします。

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    2022年01月02日
  • バラカ 下

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    ドバイのベビースークで売られてしまった日系人の娘バラカ。
    身勝手な大人たちに振り回されていた中
    東日本大震災が起きる。

    原発事故の状況は伏せられ
    大阪オリンピックの準備が進められる中
    反原発を訴える人たちは何者かによって追い詰められる。
    バラカを支えてくれる人達にも次々と災いが訪れる…。

    小説と現実と重なり合うところがあって考えさせられる。
    日本はどこへ向かうのだろうか。

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    2021年12月19日
  • バラカ 上

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    ネタバレ

    日本で起こった大震災と福島第1原発の爆発という現実で起きた出来事が登場することと同じ世界に、ドバイで子供を買うという日本人女性が登場する。

    読んでいる私と同じ世界と、地続きにこのディストピアが続いているように感じる。

    バラカという少女に起こる数奇な運命に心が傷む。豊田おじいさんとどうか幸せになって....!!

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    2021年12月04日
  • 夜の谷を行く

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    独善的な啓子に辟易。あんな親戚がいたらゾッとする。赤軍派のリンチ加害者である啓子は親姉妹に迷惑をかけた、わるかった、と言う思いはあるが革命だの正義だのを盾に心からの贖罪がなくイライラした。途中で最後のオチもよめたけど面白い小説だった、筆力だなぁ

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    2021年11月21日
  • ダーク(下)

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    ネタバレ

    面白かった。ミロは因果なことに周囲を巻き込み壊していく。でも強かで強運だから、これからもきっと生きていけるだろう。

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    2021年11月07日
  • デンジャラス

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    ネタバレ

    桐野さんが好きで、本屋に立ち寄ったら半ば無意識に一冊買う癖がついています。この本も何か月も積読した後ほぼ無意識に読み始めたら、大谷崎の話でした。

    私は桐野さんのグロさも好きですが、大谷崎の耽美沼も好きです。10代の頃細雪を読んでうっとりして、映画も舞台も美しく、大好きです。偉大なる谷崎潤一郎の晩年を、敬愛する桐野さんが描いているなんて、終始わくわくドキドキしながら読破しました。

    読みながら、大谷崎は女が働くこととか嫌っていたこととか、わかってはいたけど私は受け入れられない価値観だとつくづく感じました。姉の夫に喰わせてもらう重子だって、物語の語り手としておもしろく頼りにしながらも、ただの寄生

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    2021年10月25日
  • 錆びる心

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    桐野作品に出てくる登場人物は、安易な感情移入を許さない癖の強さを感じます。6つの短編も語り手の常識や行動の方向は私と異なっていて、予測できない分、おもしろかったです。

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    2021年10月10日
  • 夜また夜の深い夜

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     ちゃんと自分の頭で考えて行動すること、信用できる人かどうかは自分の感覚で判断すること、善か悪かを決める自分の基準を作ること。そしてプライドよりも生き残ることを第一に考えること。
     桐野さんの作品から自分なりにいろんなことを学びました。読むたびに救われる気がします。
     この本はイタリアが舞台です。ギリギリで生き抜く姿は迫力があります。

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    2021年10月06日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    20人によるエッセイ。
    共感できる話が一つや二つはあるのではないでしょうか。
    私は瀬戸内寂聴さんでした。

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    2021年09月27日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    初めて読む方の文章が新鮮で特に印象に残った。山田和樹さん、永井愛さん等。既によく読んでいる方の名前につられて本を手に取り、新しい方のご研究などに興味が広がっていくのがうれしい。
    この本を読んで逆に「自由」という言葉を簡単に定義し使うことが難しくなったが。
    自由を手放したくないし、奪われそうなら戦う!新たな自由をつかみ取りたい!そして次の世代に手渡したい。

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    2021年09月20日
  • ロンリネス

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     2018年刊。『ハピネス』(2013年)の続編である。
     前作はタワマンに住むプチセレブな女児をもつママ友グループに露呈される階級による軋轢が主題であったが、本作ではそれは影を潜め、恋愛—不倫が主題となっている。
     主人公は同じ有紗で、前作のラストでは夫とよりを戻してハッピーエンドになっていたのに、2年後を描く本作では冒頭から夫婦仲があまり上手くいっておらず、不穏である。
     前作から引き続いて継起している親友・美雨ママのダブル不倫に触発されたこともあって今度は有紗が妻ある男性・高梨と恋愛に落ちる。
     しかしこの高梨なる男性はよく分からない。美雨ママの言うように「女たらし」であって、上手いこと

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    2021年09月20日
  • ロンリネス

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    第一章 賢妻愚妻 第二章 良妻悪妻 第三章 賢母愚母
    第四章 聖母俗母 第五章 愛夫憎夫

    妻も母も夫もいろいろあるのね

    会話しながら相手の心の内を推測するなんて私にはムリ。「じゃあね」と分かれた後で、ホントはこんなつもりだったのではと思いついてありゃりゃと思うのがせきのやま。次に会う時はもう忘れてるのさ

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    2021年09月01日
  • ロンリネス

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    ハピネスが好きで何回も読んでます。主人公の有紗は嫌いだけど。ハピネスは子育て、ロンリネスは不倫がメイン。不倫に嫌悪を抱くけど、少し羨ましくなるような感じになっちゃいます。中途半端で終わったので、次は「エンドレス」かな。。

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    2021年08月31日
  • ロンリネス

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    ネタバレ

    ハピネスの続編。恋愛の良い部分だとか、甘ったるく共感できる部分なんてほとんどなくて、ただ淡々と書かれたそのストーリーが面白い。あまり登場人物の誰かに強く肩入れしていない書き方が、この手のストーリーの重さや苦しさを軽くしてるから、割とあっさり読めた。高梨は危ない臭がすごい…このやり口で一体何人の女を泣かせてきたんだと言いたくなる。一生2人で旅に出るなんて絶対うそ!面倒くさくなった女に距離を持たせる貞の良い常套句で、また新しいところで新しい女をつくるぞこいつは!!と1人悶々としながら読んだ。でもこういう危ない男を求めてしまうのが不倫なんだろうなー。結婚してるから、ただ優しくて誠実でおおらかな人は求

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    2021年08月29日
  • 夜の谷を行く

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    連合赤軍、という名前は勿論聞いたことがあったけれどどんな事件を起こしたのか全く予備知識なく読み始めた。

    読む前から、名前からして危険な思想集団で、どこかオウム真理教と重なるような気がしていた。

    子供の頃、近所の交番で指名手配犯の顔写真を恐る恐る見ていた記憶が蘇る。
    昭和の記憶…。

    過去の事件から逃れることはできない。
    自分一人だけじゃなくて実家の家族は勿論の事、事件後に産まれた姪にまでに影響を与えてしまうという現実。

    犯罪者の暮らしは世間からひっそりと隠れて、息が詰まるような生活だが、ラストに明るい希望が見えた。
    あっと驚かされた。

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    2021年08月22日
  • ロンリネス

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    「ハピネス」の続編ともいえるお話。タワマンで子育てしている有紗。不倫しているママ友がおり、気が付くと自分も不倫をしている。この小説のテーマは「不倫」ではなく、子育て中の男女がしがらみの中でいかに「自分」を失わずに大切に育てていくという話だと思った。なかなか面白かった。

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    2021年08月16日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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     1993年、「江戸川乱歩賞」を受賞した桐野夏生さんのミステリデビュー作。実はこの前に彼女は野原野枝実という名義で少女小説を幾つも書いて出版しているので、これが処女作とは言えない。
     読み始めて、うわっ、これ面白い、すげえ、ヤバい。と焦るほどで、どんどんページをめくっていった。冒頭から実に巧みなストーリーテリング。しかも、女性主人公のミロの微妙な心理などを繊細にリアルに描出しており、さすが桐野さんという感じだ。
     近年の桐野さんの作品は描写の少ないスカスカの文体であることが多く、初期の『OUT』は逆にやや濃密な描写が重苦しい雰囲気を醸し出していたが、この作品の文体は「ちょうどよい」くらいだ。も

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    2021年08月10日
  • だから荒野

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    人が死なない桐野夏生は久しぶりに読んだ。
    旦那がだめなのかと思ったら読み進めていくうちにどっちもどっちっていう家族のお話。
    結局、誰かがいないと家族は成り立たないんだということを実感させられた。確実にいい方向に流れただろう。

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    2021年07月24日
  • 柔らかな頬 下

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    下巻の追い上げ力が半端ない!
    別荘へ家族で出かけ、その同じ屋根の下で密会とかもう情熱で周りが見えなくなった男女のパワーは圧倒的で、そして脆い。
    ようやく冒頭の少女が行方不明の事件が発生し、崩壊劇が始まると、ここへもう一人強力な人物が登場する。死をまじかに迎えた元刑事とかもうドラマすぎて、しかもここからは2度、3度と現実を帯びた夢が始まり、え?そんな事実が!?って思ったらそれは夢で現実かは定かではない、しかもそれが全然間違ってるとも思えないといった感じで読み手をぐるぐるかき混ぜてくれる。やるやん、桐野さん!ってちょっと見る目が変わった。
    一体少女の行方はどうなったのか?ずーっと気になりその顛末は

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    2021年06月11日