桐野夏生のレビュー一覧

  • 夜また夜の深い夜

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    今回の長編は途中で飽きる事が全くなく、グロテスクなシーンや目や耳を塞ぎたくなる様なシーンも出て来ますがその後の展開が気になり本を閉じる事が出来ませんでした。

    最後の最後まで良い意味でどんでん返しの連続で「OUT」以来の衝撃を受けました。

    決して心地よい作品とは言えませんし自分の住む世界とはかけ離れている世界での出来事の様ですがとてもリアルな部分や問題定義も感じられ、久々にのめり込んで一気読みした作品です。

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    2021年01月28日
  • 緑の毒

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    主人公は川辺康之、妻あり子なし、39歳、開業医 そして連続レイプ犯。

    プライドだけは異常に高く全身高級品を身にまとい妻への不満を抱きながら次々とレイプを繰り返して行く。

    普通どんな悪い主人公でも一縷の同情の気持ちが芽生えたりするものですがこの主人公には全く同情の余地がありません。

    読んでいて決して気持ちの良いお話ではありませんが登場人物の心理描写が見事で脳内映像でずっと動いていました。

    最後まで飽きる事無く、堪能出来た作品です。

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    2021年01月25日
  • 柔らかな頬 下

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    ネタバレ

    『OUT』の2年後の1999年に刊行され、直木賞を受賞した桐野夏生さんの初期長編である。
     5歳の娘が北海道支笏湖付近で失踪する。見失われた長女を捜し求める母親・カスミと、癌を患い退職し、死期を間近に迎えつつある男性の元刑事・内海との、奇妙なランデブーがストーリー中メインの骨格となっている。この両者は「現実と折り合いを付けることが出来ない」点で共通点を持つとされている。
     一般的な写実的描写に基づく小説ではリアリティが大切であり、描かれゆく人物・心理・光景・出来事などが、いかにあり得るものであるか・ありそうであるか・ありがちであるか、といった尺度で現実解と比較し計測され、総合的に見てリアルな感

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    2021年01月23日
  • ダーク(下)

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    ネタバレ

    共感は出来ないはずなのに、ミロを応援してしまう。最後のハルオの可愛さに救いを感じた。前作を読んでいないため過去の因縁がよくわからなかったので、前作もこれから読みたい。

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    2021年01月19日
  • 夜の谷を行く

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    元犯罪者の女性の老後についてのお話。
    最初の硬化した態度から最後の終わり方面白かった。
    革命の中で女性たちがやろうとしたことも心に残った

    西田さんの気持ちが表されないのに、文章から伝わってくるのがとても良いと思ったら

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    2021年01月15日
  • 新装版 ローズガーデン

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    シリーズの1、2、4ん読んでからのこの作品で、いろんな背景が明らかになって世界が拡がるかと思いきや、ホンマにただのつなぎの短編集で、でもそれなりに面白く読めた。

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    2021年01月03日
  • 夜の谷を行く

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    ネタバレ

    1971-1972年、連合赤軍が起こしたリンチ殺人(山岳ベース事件)を題材にした物語。末端の女性兵士らに焦点を当て、事件のその後を描く。
    12名の死者を出した惨い事件。閉鎖空間でエスカレートする様、周囲の人々が受ける影響、それらが手に取るように分かる。いくら年月が経とうとも消えることはないのだと思った。
    事件を背負って生きる一人の物語として興味深く読んだ。啓子が何故ずっと煮え切らない態度だったのか、何故家族にすら分からないと思われているのか、その理由が最後に分かってハッとした。

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    2020年12月23日
  • 新装版 ローズガーデン

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    ネタバレ

    目次
    ・ローズガーデン
    ・漂う魂
    ・独りにしないで
    ・愛のトンネル

    表題作以外は、ミロが探偵になってからの事件。
    長編では気になるミロの性癖が、短編だと気にならないので読みやすかった。

    ただ、ミロの調査って、詰めが甘い。
    100%の調査をしていないまま報告書を書いているのが、プロとしてどうなのか。
    また、一度断った仕事を、個人的興味で勝手に調査しているのもプロではない。

    そして問題の表題作。
    ずっと気になっていたミロと自殺した夫の関係が、これですっきりと分かるのかと思いきや、余計にもやもやが募る。
    知り合った高校生のころからミロはエキセントリックだった。
    ならなぜ、結婚した挙句に自殺する

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    2020年12月03日
  • 水の眠り 灰の夢

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    ネタバレ

    東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年の東京が舞台。
    今までのイメージでは、高度経済成長の波に乗って、イケイケの時代。
    古いしがらみを切り捨てて、明るい未来に向けて社会が一丸となっていたのだと思っていた。

    高校生が昼間っから薬でラリッているという日常。
    もちろん世間の全てがそうではないにしても、これは多分特殊な事例というわけでもないのだろう。
    戦後出回っていた覚せい剤は、このころには表ルートでは入手できなくなっていたと思うけど、今よりはるかに睡眠薬は手に入りやすかった時代。
    ストーリーとは関係なく、当時薬に溺れていた若者たちがその後どういう人生を生きていったのかが気になってしょうがなかった

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    2020年11月21日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    ネタバレ

    村野ミロシリーズの第一作。
    先に二作目を読んで、彼女の夫の自殺理由などいろいろ不明でもやもやしたので第一作に遡って読んでみたのですが、もやもやは晴れず。

    村野ミロって、亡くなった人のことをうじうじ考えている割に、今現在の人間関係を大切にしているように見えない。
    頭は切れるけれど行動は衝動的で、他人の不幸にいっさい心を痛めた様子がない不気味。

    登場人物みんなに言えるのだけど、セリフや肩書で人となりが語られるだけで、互いの人間関係をあらわす様なエピソードがないので、非常につながりが薄っぺらく感じられる。

    二作目を読んだうえでの今作の感想としては、精神的な安心感を与えてくれる男、性的な満足を与

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    2020年11月03日
  • 新装版 天使に見捨てられた夜

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    ネタバレ

    失敗した!
    またシリーズ物を途中から読んでしまった。
    シリーズ物は刊行分をとりあえず全部読む、という縛りを課していたのだけど、さすがに一向に減らない読みたい本リストの残を考えると、もう、おすすめされた一冊だけでいいかなという気がしてきていたこの頃。
    でも、主人公・村野ミロの壮絶そうな過去が気になるので、やっぱり全部読むとするか。

    失踪したAV女優を捜すという依頼のため、最初の方がちょっとエグくて読み通せるか不安だったけど、意外と読みやすく思えたのは作者の力量なのだろうと思う。

    女流ハードボイルドと言えば、若竹七海の葉村晶シリーズがあるが、痛い目に遭ったり怖い思いをしても、葉村晶よりも生々し

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    2020年10月26日
  • 奴隷小説

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    短編集だが内容はズシリと重いものばかり。一気読み。なぜか頭にこびりついて離れない。暗く陰湿な世界にどっぷりと浸って自分もなかなか這い上がれない。

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    2020年10月20日
  • だから荒野

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    今月3冊目
    ★★★★
    良かった、久々の桐野夏生。
    この人の作品はぶっとんでるけどこれはロードムービー的。
    夫、息子に馬鹿にされた毎日でふとブチギレて家を出て旅をする。
    良かった

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    2020年10月08日
  • 錆びる心

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    現実にありそうな世にも奇妙な物語。
    初めての桐野夏生の本だったが、するすると読ませる巧みな文章を書く作家だと思った。
    感情の描写も巧く、震えるほど共感した部分が所々あった。
    様々な人生を垣間見れておもしろかった。
    桐野夏生の長編にも挑戦してみたい。

    虫卵の配列 ★4
    羊歯の庭 ★4.5
    ジェイソン ★3.5
    月下の楽園 ★3.5
    ネオン ★3
    錆びる心 ★3.5

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    2020年10月07日
  • 錆びる心

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    桐野夏生さんの短編小説集。
    はじめ把握していないまま読み始めたのだが、収録作は作者デビュー翌年の1994年から1997年で、大ブレイクする『OUT』(1998年)より前の、初期の作品群だ。
    これらは多彩で、どれも面白く読める豊かな短編小説である。なるほど、松本清張の作品のように、それぞれに心理的な劇の物語時間が推進されていて、それが確かな人間観察に基づいているからこそ、リアルな感触を持ち、読者の心を引きずり込んでいくのだろう。
    ただし、結末は
    「あれ? これで終わり?」
    と驚かせるような、少々肩すかしを食わせるようなものが多く、一般的な多くの読者をいくらか失望させるのではないだろうか。
    古典的

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    2020年09月29日
  • 光源

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    ネタバレ

    低予算映画をめぐりプロデューサー、監督、撮影監督、役者、スタッフの思惑が絡み合い、予想しなかった結末へ向かう。あの結末なのに、なぜカタルシスを覚えるんだろう。
    一人一人の行動、感情を納得させるのもすごく、勢いがあって一気に読みきった。

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    2020年09月06日
  • だから荒野

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    スラスラ読めた。主人公の開き直りのような強さが頼もしい。
    やっぱり、居場所と貢献してるって実感が人間には必要なんだろうな。あと、感謝する気持ち。

    毎日落ち着かず仕事もしんどいけど私はどうしたらいいんだろうなぁ。

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    2020年09月05日
  • デンジャラス

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    桐野夏生的ドロドロがいつくるかと思って読んでたけど、いつのまにか沼にどっぷりハマってる感じで終盤怖くなった。日常をずっと書いてるけど面白い。

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    2020年09月04日
  • デンジャラス

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    ネタバレ

    こういう小説、なんていうジャンルになるんだろう?(最後の解説によると、「モデル小説」というらしい。へぇ。)実在の人物を取材し、膨大な資料を分析した上で、当人たちの気持ちなどはあくまでも作家の想像によって書き、その人生の物語を描きだす。林芙美子をモデルにした「ナニカアル」もとても面白かった。沢木耕太郎さんの「壇」とか、すごく面白かったけど、あれもモデル小説というのかな?
    本書「デンジャラス」は、谷崎潤一郎を題材にした物語。谷崎は妻・松子とその妹”重子”と暮らす。重子は義理の兄である谷崎を慕い、谷崎も自分を特別に思ってくれているはずだと感じている。そこに妻の連れ子や、重子の養子の妻(つまり嫁)、数

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    2020年08月18日
  • 夜また夜の深い夜

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    オチをすっかり忘れてて、再読。
    やはり面白かった!

    筋には関係ないけど、ナポリのゴミ収集は、マフィアが関わっているんだ。市がマフィアと手を切ろうとしたらストになり、増えたゴキブリの記述のあたり、気持ち悪い…。日本の有り難さを感じた。

    あと、リベリアっていう国について全然知らなかった。アメリカの解放奴隷が住むべく、無理くり作った国なんだ。それで内戦になり、苦しんでいる。

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    2020年08月08日