無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
この本の文庫版の解説は、井上荒野が書いているが、井上荒野は、本書の前書の「ハピネス」について、斎藤美奈子が文庫版に書いている解説を引用している。孫引きになるが、引用する。
【引用】
「桐野夏生はつまりプチセレブのバイブルである"VERY"の読者に向けて、読者層と重なる女性たちを徹底的に皮肉り、批評した小説をぶつけたのである」
【引用終わり】
本書「ロンリネス」も、「ハピネス」と同じく初出は「VERY」連載であり、登場人物も前書から継続しているので、この斎藤美奈子の解説は、この「ロンリネス」にも当てはまるはずだ。
「VERY」という雑誌を知らなかったので、ネットで調べてみた。いくつかのソースから引用・整理すると、下記の通りである。
■30代女性をターゲットとする光文社発行の月刊誌
■1995年に30代主婦向けファッション雑誌として創刊。1998年には本誌から、東京都白金にちなむ造語「シロガネーゼ」という新語が生まれた
■女性の社会進出に伴い、主に30代から40代前半の、結婚、出産、育児、復職など子育て世代の女性を対象としてファッション、ライフスタイルの情報を中心に掲載している
■雑誌ベリーのターゲットは、共働きである事が前提ですのでそれだけで世帯年収も必然的に上がります。実際に、VERY妻の世帯年収は1500万円以上というのが条件となります。セレブな生活を送るという事も条件の一つですので、やはりそれなりの年収がなければセレブ生活は送れませんよね
■雑誌ベリーの読者層の主な居住区域は、「世田谷区、江東区、目黒区、中央区」というのが一番多いようです
■VERY妻というのは、妻であり母である前に、「女性」なんです。そこを楽しめるか楽しめないかという事もVERY妻にとっては死活問題です
なるほど。それで、本書内の色々なエピソードの背景が少し分かった気がした。キーワード的に言えば、「タワマン-分譲棟と賃貸棟」「子供のお受験」「不倫」「青山のセレクトショップ」等である。他にも色々とある。
そういう読み方をすると、主人公の有紗の設定は面白い。
タワマンの賃貸棟の方に住んでおり、地方(新潟)出身で短大卒。共働きではあるが、パート勤務であり、上記のVERY妻の設定とは明らかに異なった設定を桐野夏生は選択している。また、有紗の一番の友人、洋子も駅前の賃貸マンション住まいで「セレブ」とは言えない生活水準。確かに、この2人がVERY妻たち、および、その夫の生活を引っ掻き回すという斎藤美奈子が言った「読書層と重なる女性たちを徹底的に皮肉り、批評した小説」と読めなくはない。
ただ、そんなこと(VERY連載であること/VERYとはどういう雑誌か)を知らなければ、この小説は、有紗と洋子の不倫恋愛に関する小説であり、読者は、2人の不倫恋愛の持つ、潜在的・顕在的破壊力に驚くばかりである。私は「そんなこと」は、小説を読んだ後に知ったので、破壊的恋愛小説として、この物語を面白く読んだ。
Posted by ブクログ
高級タワマンに暮らすママ友たちの人間模様を描いた『ハピネス』の続編。
前作で主人公・有紗の夫が出張先のアメリカで女子大生と不倫したという告白を聞いた一件を経て、今作では有紗自身がタワマンの一階下の住人(『ハピネス』にも登場した高梨という男)と怪しい関係に、そしてやっぱりというか、親友の美雨ママは別のママ友の夫と相変わらず不倫&修羅場継続中という、何だかドロドロとした展開のお話である。
『ハピネス』ではタワマン住民内にある格差みたいなところがテーマとして前面に出ていたと記憶しているけど、今回はお受験に関する話は出てくるものの、プライベートな不倫ネタがメインとなっており、やや俗っぽくなった印象だ。
もちろん俗っぽさがダメというわけではなく、むしろ無国籍風な登場人物の多かった近年の桐野作品と比べて感情移入しやすくなっているところはあると思う。
本作の終盤、主人公が自由を求めてあることを主体的に決断してそれを実行する様は、なかなか清々しいものがあるなと感じたけど、登場人物たちが身近に感じられるからこそ、不倫が絶対に許せないっていう人は受け付けないだろうから、読者を選ぶところはありそうで、このあたりはやっぱり桐野作品に通底するところかなと思う。
そしてラストのモヤモヤっとした展開は更なる続編を匂わせているのか、それとも娘のいる母親の物語としてはここまでが限界なのか、『ダーク』みたいに大爆発するのかなとちょっと期待したけど、さすがにそうはならなかったか・・・
それにしても『ハピネス』に登場したときの高梨は、冴えないおっさん程度の印象しかなかったのだが、とんでもないクセ者だったとは。
実際、この押しの強さは同じオトコの目線で見て大変勉強になった。
彼の人物造形はかなりイヤ~な感じが出ていてとても良かったと思う。
Posted by ブクログ
2018年刊。『ハピネス』(2013年)の続編である。
前作はタワマンに住むプチセレブな女児をもつママ友グループに露呈される階級による軋轢が主題であったが、本作ではそれは影を潜め、恋愛—不倫が主題となっている。
主人公は同じ有紗で、前作のラストでは夫とよりを戻してハッピーエンドになっていたのに、2年後を描く本作では冒頭から夫婦仲があまり上手くいっておらず、不穏である。
前作から引き続いて継起している親友・美雨ママのダブル不倫に触発されたこともあって今度は有紗が妻ある男性・高梨と恋愛に落ちる。
しかしこの高梨なる男性はよく分からない。美雨ママの言うように「女たらし」であって、上手いこと女性心理を操縦して遊んでいるのではないかという風に見える。
はっきりしない悶々としたやり取りが続き、この不透明さは最後まで解消しない。それは現実がそのような不透明さだらけであるからだろう。
この作品もまた、さらなる続編を可能にしているような終わり方だった。
Posted by ブクログ
かつて 瀬戸内寂聴さんも講話でおっしゃられたように 人が恋に落ちるというのは「事故みたいなもんなんですよ、もうね、仕方ないことなんです」… この小説でも、あたかも 「物見事故」のように あるいはミイラ取りがミイラになるがごとく 人が想定外に恋に落ち、そしてその沼から抜けられなくなり、ある者は 多くを失い またある者は したたかに伴侶を裏切り いずれにしても恋を叶えていく。ハピネス は 都市生活における人間関係の困難さ という背景のもと さまざまな事情さまざまな過去を抱えた登場人物の人生が描かれていたのに対して その続編であるこちら「ロンリネス」は手に汗握る大人の愛憎劇、という感じ。これはこれで僕としては面白かった。
Posted by ブクログ
陣取り合戦のような人間関係や緊張感のある逢瀬で気づいたら一気読みです。
読むのが嫌で嫌で、でも読んでしまう作品だと思います。
心が削られてもヒリヒリしたいおすすめ作です。
有紗を代表としてまともな人がいない作品なのにまともな行動を期待してはいけなかったです。
欲望やプライドに忠実過ぎます。
誰かを裏切ってスタートした幸せは後になって疑心暗鬼が蝕んでいくものです。
一通り説明はあるとはいえハピネスを読まないと背景設定が唐突過ぎて十分に楽しめないと思います。
ハピネスの続編だとわかって手に取った人がどれだけいるんでしょうか。
桐野先生の作品でOUTとINは関連ない作品だったり、少しわかりにくいです。
Posted by ブクログ
・相変わらず半径1キロが守備範囲みたいな展開
・美雨ママは最終的に沖縄に流れていくの、とっても日本的な感じ。逃避行の果てって北海より沖縄なんだよね…
・正直、1冊目を読んだ時の新鮮さはあまりない。二番煎じ感は否めない。続編の宿命。
・結局、高梨が日和って腰が引けた対応をし出した段階からもう面白くないなあ〜
・美雨ママの崩壊を目の前にしたら、やっぱり戻るのが最善策なのはわかる。
・中盤、怒涛の有紗の抱かれたいやら恋心の描写がエグい。読んでられん…読者にウケるってことは、やっぱり主婦の皆様は不倫願望があるのかしらん。まあ、日常に飽きてしまう感は誰しもあるよね…
・完全に大人本意の話で、子どもは清々しいくらい添え物感覚な描写も面白い。
・大晦日に読むべき本かどうかは疑義がありますな笑
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸