桐野夏生のレビュー一覧

  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    「知る」ことで「知らない」では感じられなかった物事が立体的に色彩を持って立ち上がってくる。
    ニュースを見て感想を抱くだけといった姿勢では流れに逆らうことはできないが、思考し行動することは人を新たな場所へ連れて行ってくれる。
    本書では各分野の著名人が各々の視点から考えを述べており、他人の視点、思考、背景等を感じながら読み進められるという点で対話的な(厳密には違うが)一冊になっている。
    自由を重んじる立場の方々の考えに多く触れることができて心地良さすら覚えるが、逆に反論する立場の人の意見にも触れたい気持ちになった。

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    2022年06月01日
  • ロンリネス

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    高級タワマンに暮らすママ友たちの人間模様を描いた『ハピネス』の続編。

    前作で主人公・有紗の夫が出張先のアメリカで女子大生と不倫したという告白を聞いた一件を経て、今作では有紗自身がタワマンの一階下の住人(『ハピネス』にも登場した高梨という男)と怪しい関係に、そしてやっぱりというか、親友の美雨ママは別のママ友の夫と相変わらず不倫&修羅場継続中という、何だかドロドロとした展開のお話である。

    『ハピネス』ではタワマン住民内にある格差みたいなところがテーマとして前面に出ていたと記憶しているけど、今回はお受験に関する話は出てくるものの、プライベートな不倫ネタがメインとなっており、やや俗っぽくなった印象だ。
    もちろん俗っぽさがダメというわけではなく、むしろ無国籍風な登場人物の多かった近年の桐野作品と比べて感情移入しやすくなっているところはあると思う。
    本作の終盤、主人公が自由を求めてあることを主体的に決断してそれを実行する様は、なかなか清々しいものがあるなと感じたけど、登場人物たちが身近に感じられるからこそ、不倫が絶対に許せないっていう人は受け付けないだろうから、読者を選ぶところはありそうで、このあたりはやっぱり桐野作品に通底するところかなと思う。
    そしてラストのモヤモヤっとした展開は更なる続編を匂わせているのか、それとも娘のいる母親の物語としてはここまでが限界なのか、『ダーク』みたいに大爆発するのかなとちょっと期待したけど、さすがにそうはならなかったか・・・

    それにしても『ハピネス』に登場したときの高梨は、冴えないおっさん程度の印象しかなかったのだが、とんでもないクセ者だったとは。
    実際、この押しの強さは同じオトコの目線で見て大変勉強になった。
    彼の人物造形はかなりイヤ~な感じが出ていてとても良かったと思う。

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    2022年05月29日
  • 水の眠り 灰の夢

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    読みやすかった。トップ屋と呼ばれる週刊紙のライターが事件に巻き込まれる話。昭和30年代の時代背景もよく描かれている。

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    2022年05月20日
  • 路上のX

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    1度読み始めると続きがめちゃくちゃ気になって、気が付いたら読み終わってた

    10代でこんな壮絶な経験してんのやばくない…?って思ったけど、描写がリアルすぎて現実味がある
    誰を信じて頼ったらいいのかわからない子も、苦い経験から強かに生きる子もその日を必死に生きてる

    若いから、女子だから、って理由で価値があるなんて思ったり思わせたりしちゃ駄目だよなぁ

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    2022年05月17日
  • バラカ 下

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    東日本大震災、赤ちゃん売買、それらに関わる人達の繋がりと邪悪な心。
    一人の幼い少女が立ち向かうにはあまりに強大で恐ろしいものがある。
    読んでいるこちら側が恐怖で叫びそうになる。

    2022.4.9

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    2022年04月09日
  • 路上のX

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    親が出奔死親戚の家に預けられ、そこで邪魔者扱いされる真由。
    継父からの性的虐待から逃れ、JKビジネスをしながら、客の東大生の家に居候するリオナ。
    付き合っている男が友達を連れて家に入り浸るようになり、シングルマザーの母親が家を出て行ってしまったミト。

    行き場の無い少女達が渋谷で危ない目に遭いながら暮らす日々。

    声を掛けてくる男たちは少女達から搾取する事しか考えていない。

    何が悲しいかって、これは小説の中の話だけではなく、現実にもっと酷いことだってうじゃうじゃあるってことだ。

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    2022年04月08日
  • バラカ 上

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    最初は東北大震災の現場から始まり、どんな展開になるのかと訝る気持ちばかりだったけれど、読み進めるうちに気分が更に重くなる。
    なんて気持ちの悪い男なんだろう…
    途中から気分が重いに加えて気持ち悪くなる。
    後半どうなるのか…

    2022.4.6

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    2022年04月06日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    コロナ後の日本社会はどのように変化してゆくのか。変化した社会にどう生きるか。桐野夏生さんの「不寛容な時代、自由な小説から力を得て欲しい」の言葉に、不安の塊がふうっと軽くなりました。

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    2022年04月04日
  • 玉蘭

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     2001年刊。『柔らかな頬』の2年後で、『グロテスク』の2年前。桐野さんのキャリアの中では比較的初期の作か。
     桐野さんの近年の作品の文体はずいぶんと薄っぺらく人物の風貌や情景はさほど書き込まないまま、スピーディーにプロットを追うようなものが多いようだが、『OUT』(1998)辺りでかなりきめ細やかな文章力を発揮していた。
     本作もそれに近く、特に冒頭は何やら文学的な雰囲気が漂っている。しかし、そんな文章を噛みしめつつ読み進めると、突如強烈な、ショッキングな出来事が起きてビリビリと来た。第1章の主人公有子は上海の学生寮に住む留学生なのだが、同じ留学生の女性が、その寮で数人の日本人男子留学生(社会人が多い)と一緒に酒を飲んでいたところ、いきなりレイプ未遂?されたというのだ。
     否応なく襲いかかる激甚な苦痛。これがきりの文学だ、とうなってしまった。
     実はこの事件の真相は各人の証言が相反し、どうもはっきりしないまま闇に包まれてしまうのだが、とりあえずここでは、異国における日本人の男どもの卑屈な性欲の無様さがむき出しとなり、日本社会そのままのおぞましい男-女間の非対称的な構造が明るみに出される。
     本書は各章ごとに主人公が変わるのだが、現代の留学生有子を主人公とする章は2つあり、そこでは日本社会のジェンダー問題がどうしても出てくる。しかし本作自体は社会問題としてのそれがテーマであるわけではなく、複合的な恋愛小説となっており、社会的ジェンダー問題は男女間の日本的な軋轢の一つとして要素の一角を占めるに過ぎない。
     現代に生きる30歳くらいの男女の恋愛と、70年前の男女の恋愛との諸相がさまざまにかき分けられており、男女を問わず人物の心理の襞がとても繊細に捉えられていて、これはとても優れた心理小説となっているのだ。他の桐野作品では、男性は戯画化されていて野放図に幻想的な欲望主体として描かれることが多いが、本作で代わりばんこに主人公となる男性陣はリアルで、適切にその心が描かれていると思う。
     有子のストーリーは、奇妙に「複雑な女」とされるこの女性が、やがて「自分を壊し」、娼婦のような存在となるという展開を見せる。この、「女性が娼婦となることで解放される」というテーマは桐野夏生さんは『グロテスク』などでも主要なテーマとして展開しているが、この衝撃的な主題は私にはすぐさま呑み込めるものはなく、とりあえずはその衝撃を味わっているほかない。たとえば吉行淳之介の小説では、逆に娼婦はいまいるこの娼婦街から脱出することを夢見ているばかり。むしろこちらの方が常識的な把握ではある。しかし時代も違うし、今や娼婦とは何なのか、私から遠いその世界はぼんやりと想像することしか出来ない。
     男女関係の多様な展開を描き、それぞれのプロセスに立ち現れる深い痛苦を刻んでゆくこの小説は、私はなかなか優れたものと評価する。とてもエンタメ小説などという枠の中に閉じ込めて済ませてしまえば良いなどとは思えない。もったいない作品だ。もっとも、多くの読者にとっては、結末のねじくれて終わるような印象や、娼婦となって「解放された」有子のその後が気になってしまう終わり方が、いささかスッキリしないかもしれない。それはエンタメの鉄則からは遠く離れた文学的な到達点なのではないかと、私は解釈するのだが。

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    2022年03月31日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    第二章 文化芸術の自由は誰のためにあるのか
    から読み始めました

    「芸術」の周辺にいらっしゃる
    人たちの 肌感覚による発言が
    そのままストレートに伝わってきます

    いつの世でも
    どの国でも
    「弾圧」「排除」は
    ピンポイントで行われる

    危うい この国では
    よほど意識しておかなければ
    いつのまにやら 加害者側に取り残されている
    ことになってしまうことが多いように思う

    本書を(肯定的に)読んでいる人たちとは
    どこかで しっかり つながっておきたい

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    2022年03月08日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    この作品に出会えてよかった〜!しかもシリーズものとあって、今後の作品も読むのが楽しみです。
    個人的にとても読みやすいミステリー。難しくないけど、真相には手が届きそうで届かない。読みすめていくごとに、主人公のミロと一緒に一歩ずつ犯人に近づいていく実感がドキドキしてたまらない。主人公もみんなキャラが立っていて面白い。
    元夫との間にあった確執や死の真相に謎が残るな〜と思ってたところに、シリーズ化されていると知って歓喜!早く読みたい〜!

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    2022年03月04日
  • ファイアボール・ブルース

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    プロレススポ根モノかと思って読んだらがっつりミステリで先が気になってガンガン読めた。男気のある火渡と女子プロレスの魅力とミステリが上手く融合されてて楽しめた。ラストもスカッ!

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    2022年02月27日
  • 奴隷小説

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    文庫本になってから読む利点は解説があるから、それがいいのか、邪魔なのか。

    この文庫版の政治学者白井聡の解説は、なるほどなあと思う。桐野夏生さんの作品が現代の(平成の)新しいプロレタリア文学ではないか、というところはおもしろい。

    ここに集められている7短編は、何かに隷属させられて藻掻くか、打ち破れる人間たちだ。現代見聞きするありがちな事情あり、昔の時代にさかのぼったのや、もっとおとぎ話的なのもあるが、それぞれが救われないどうしようもない状態なのは一緒で、作者は怒りに満ちて描いている。

    デストピアの世界といっても、人間たちが構成している世界だから、そこに矛盾が生じるのは当たり前、前向きに、個人の努力で、なんて言うのんきさからくる希望のかけらもないのである。

    作者の小説はいつも「放っぽりぱなし」の結びなのだが、ことさらこの短編たちは途切れて、漂ってしまうようだ、令和の世に。

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    2022年02月08日
  • 夜の谷を行く

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    本書のストーリーのベースとなっている事件は、ウィキでは「山岳ベース事件」として扱われている。それを引用する。
    【引用】
    山岳ベース事件とは、1971年から1972年にかけて連合赤軍が群馬の山中に設置したアジト(山岳ベース)で起こした同志に対するリンチ殺人事件。当時の社会に強い衝撃を与え、同じく連合赤軍が起こした、あさま山荘事件とともに新左翼運動が退潮する契機となった。
    【引用終わり】

    事件の首謀者の1人であった永田洋子は裁判で死刑を言い渡される。ただ獄中で病を得て、死刑執行の前に病死する。それは、2011年2月、東北の大震災の直前であった。
    永田が地裁で死刑判決を受けた際の判決文は、下記のように事件の原因を論じている。これも、下記に引用する。
    【引用】
    被告人永田は、自己顕示欲が旺盛で、感情的、攻撃的な性格とともに強い猜疑心、嫉妬心を有し、これに女性特有の執拗さ、底意地の悪さ、冷酷な加虐趣味が加わり、その資質に幾多の問題を蔵していた。
    【引用終わり】
    本書の文庫版の解説は、本事件を扱った弁護士の1人が書いている。この弁護士によれば、本事件を上記のような永田個人の資質のせいであるという判決はおかしく、控訴審では、「可能な限り事実を正確に、何が起きたかのかを歴史に刻む」ことを方針として裁判を戦ったということであった。

    以下、ネタバレにならないように、本書について書く。
    桐野夏生は、本事件に参加していた女性に注目し事件の、1つの側面を捉えなおし、ストーリーをつくっている。裁判ではなく、小説でありフィクションであるので、「可能な限り事実を正確に」というよりは、「この事件の本質」を本小説を通じて明らかにしようとしているのだと思う。まるで良くできたミステリーのような衝撃的な結末であった。

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    2022年01月10日
  • 水の眠り 灰の夢

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    実際にあった昭和の未解決事件、草加次郎事件を幹にして構築したミステリー。昭和という土から生え出た虚構の蔓が実在の事件の幹に幾重にも絡まり、見事な物語へと姿を変えている。奥付によると阪神大震災の年に単行本が刊行されたようだが、二度目の東京オリンピックを終えて、一度目の東京オリンピックの頃の物語を読むことができたというのも、なんか良かった気がします。

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    2022年01月02日
  • バラカ 下

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    ドバイのベビースークで売られてしまった日系人の娘バラカ。
    身勝手な大人たちに振り回されていた中
    東日本大震災が起きる。

    原発事故の状況は伏せられ
    大阪オリンピックの準備が進められる中
    反原発を訴える人たちは何者かによって追い詰められる。
    バラカを支えてくれる人達にも次々と災いが訪れる…。

    小説と現実と重なり合うところがあって考えさせられる。
    日本はどこへ向かうのだろうか。

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    2021年12月19日
  • バラカ 上

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    ネタバレ

    日本で起こった大震災と福島第1原発の爆発という現実で起きた出来事が登場することと同じ世界に、ドバイで子供を買うという日本人女性が登場する。

    読んでいる私と同じ世界と、地続きにこのディストピアが続いているように感じる。

    バラカという少女に起こる数奇な運命に心が傷む。豊田おじいさんとどうか幸せになって....!!

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    2021年12月04日
  • 夜の谷を行く

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    独善的な啓子に辟易。あんな親戚がいたらゾッとする。赤軍派のリンチ加害者である啓子は親姉妹に迷惑をかけた、わるかった、と言う思いはあるが革命だの正義だのを盾に心からの贖罪がなくイライラした。途中で最後のオチもよめたけど面白い小説だった、筆力だなぁ

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    2021年11月21日
  • ダーク(下)

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    ネタバレ

    面白かった。ミロは因果なことに周囲を巻き込み壊していく。でも強かで強運だから、これからもきっと生きていけるだろう。

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    2021年11月07日
  • デンジャラス

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    ネタバレ

    桐野さんが好きで、本屋に立ち寄ったら半ば無意識に一冊買う癖がついています。この本も何か月も積読した後ほぼ無意識に読み始めたら、大谷崎の話でした。

    私は桐野さんのグロさも好きですが、大谷崎の耽美沼も好きです。10代の頃細雪を読んでうっとりして、映画も舞台も美しく、大好きです。偉大なる谷崎潤一郎の晩年を、敬愛する桐野さんが描いているなんて、終始わくわくドキドキしながら読破しました。

    読みながら、大谷崎は女が働くこととか嫌っていたこととか、わかってはいたけど私は受け入れられない価値観だとつくづく感じました。姉の夫に喰わせてもらう重子だって、物語の語り手としておもしろく頼りにしながらも、ただの寄生虫だと軽蔑する気持ちさえあります。それでも、それはそれと思わせる小説の世界があるのです。クリエイティビティとかそういうことなのだけど、横文字で言ってしまうには惜しいその深い関心。谷崎作品をもっとちゃんと読みたいと思いました。

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    2021年10月25日