桐野夏生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
連続短編集。
プロレスの世界そのものに物語がフォーカスされているので、
1作目よりもこちらの方が断然よい。
前作では火渡抄子の活躍や生き様に重きが置かれていて彼女が主人公の扱いであったが、
本作では物語の語り手である近田が中心となって各物語が展開していく。
近田と同期の与謝野、レフリーのミッキー、ヒールの北本など、
前作ではあまり登場の機会がなかった団体内の人物がより深く描かれていて期待通り。
「プロレスが恐くなった」と言い残し、
長期欠場の末、昨年いっぱいでJWP女子プロレスを退団した大木アスカと、
近田の揺れ動いていく心境がダブって仕方がなかった。
もちろんこれは個人的な一方的思い込みな -
Posted by ブクログ
ネタバレなんとも言えない独特の世界の話。
少し話が、飛躍し過ぎ・大きくなりすぎ・現実離れしてるとも思えるけど、それもまた許される。
小さな1つの島の中から話が始まり、海上・他の島・海の底・神の世界と進んでいく。主人公も一人の小さな女の子から大人になり、色々な物に姿を変えて行く。小さな島の小さな女の子の小さな恋。そこから、ここまで大きな話に移り変わるのはすごい。
突拍子もないけれど、話しの繋がりもしっかり書かれているので違和感なく読み進める事ができる。
主人公の立場で読むと、あまりに辛く切ない物語。
仲の良かった姉妹なのに運命が大きく分かれて、やっと見つけた幸せも偽物だった、たった1つ守りたかった娘も