桐野夏生のレビュー一覧

  • グロテスク 上

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    名門女子高校に通う女子高校生たちの悪意、嫉妬、陰謀が複雑に絡み合うピカレスク小説。主人公だけじゃなく、登場する人物全てがエグくて、思いやりとか、善行なんてことをこれっぽっちも考えない。

    娼婦となるべく生まれてきた美女、ユリコと彼女を心底、憎み続ける姉のマサミの手記に記される日常は食うか食われるかのグロテスクな世界。少女たちは自らの性、知、美を駆使し、他人を踏み台にして欲望を満たそうとする。

    彼女たちの努力は認めるけど、どう考えても破滅に向かっているとしか思えない。ユリコの死はすでに示されているが、それは彼女にとって、ようやくの安らぎだろう。

    そんな汚れた世界は下巻に続く。

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    2023年05月10日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

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    印象に残ったところ
    ・小池真理子 『あの日にかえりたい』
    学生時代のほろ苦い仲違い。どこでボタンをかけちがったのかなーと思うことは、人生であるけれど、そのどうにもできない思い残りを微妙なタッチで描いた作品だった。ズシンと澱が残るような、そんな読後感。
    ・綿矢りさ 『青春のリグレット』
    菓子の思い出に共感。
    その当時は、その後にそんなに大きな存在になることなどないと思った存在が、ふといちいち思い出す存在になっていたと感じることはある。それが確かに青春という時期特有のものなのかもしれないなーと気付かされる。

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    2023年04月25日
  • 路上のX

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    テレビで作者のインタビューを見て読んだのは1年くらい前だけど、今だに内容を覚えているくらい印象に残った。
    現代の女子中高生を取り巻くいろいろな問題がテーマになっているが、社会問題もはらんでいると感じた。

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    2023年04月15日
  • だから荒野

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    自分を軽んじる夫と2人の息子に
    やり切れない思いを募らせる朋美
    自身の誕生日に思いを爆発させて
    家出をする。

    朋美の章、夫(家族)の章、と
    交互に出来事や出会いを読ませる
    朋美も家族も変わっていく、でも、
    変わらないところももちろんある。
    大きな影響をうける出会いをして
    いきつく先は?

    特に大きなケンカや大問題があったわけ
    でも無い、やるせなさや苛立ち、
    友人に愚痴ってはみたものの、全く同じように共感してもらえる訳では無い、わかっていても寂しい。わかるわーと声に出してしまう。

    数年前にドラマも見ていました。
    鈴木京香さん主演でした。
    ドラマの方が登場人物も多く、
    小説では、このまま居なく

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    2023年04月12日
  • メタボラ

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    舞台が沖縄の小説といえば原田マハさんの小説!
    そして、どちらかというと沖縄の人達の人柄や陽気さに惹かれて読後感も何となくナンクルナイサーな気分が味わえる。

    しかし、本作も舞台は沖縄ではあるが非常にネットリというか、じっとりというか、まるで熱帯雨林の湿度と森の中の土の匂いが漂ってくるような小説でした。

    2000年代初頭から団塊の世代がドロップアウトした平成の後期まで、労働者や働きたい若者にとって非常に不遇の時代であった事は間違いない!
    低賃金、ブラック労働、失業と倒産の恐怖の中で家族やマイホームを持たなければいけないという周囲の圧力に負けない強さが逞しさが、この時代の生きるという事なのではな

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    2023年04月09日
  • 女神記

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    再読。
    前編は海蛇島で生まれたナミマと死を司る女神のイザナミ神。
    後半はイザナキ神が人間の姿になった八岐那彦と従者の宇為子。
    最後はイザナミ神とイザナキ神が遂に再会する。

    この世は陰陽で全てが成っている。
    生と死、光と闇、昼と夜、男と女、姉と妹、
    そして陽=清浄、陰=穢れと優劣が存在する。
    古事記に触れた時に男女不平等を感じたことはなかったが、もし神代から男尊女卑が染み付いているのならばそう簡単にはなくならないのも当然だ。
    今も神事の際に女人禁制は確かに存在する。
    イザナキ神は完全に人間になり死と共に成仏できたのに、何故イザナミ神だけが救われずに黄泉国で死者を選び続けなければならないのか。

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    2023年04月03日
  • メタボラ

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    大事なことは解説に全部書いてある。
    前半ちょっとダラダラした気がするけど、記憶を取り戻すあたりからスピード感でてよかった。
    自己責任て言葉は嫌いなのですが、それにしたって流石に…な人達のオンパレードなので、悲惨な結末もまあ、そうなるよね…と受け止めるしかない。

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    2023年03月26日
  • ロンリネス

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    面白かった。何人子供を産もうと何回結婚しようと恋に落ちてしまうことはあるという過程の描写がリアルで読みながらドキッとして擬似不倫体験ができる小説。興味軸がママ友間の都内高水準生活マウントから男に切り替わったっていう人生にに感情移入した感覚になって、読んだ後は世知辛さも感じた。

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    2023年03月24日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    20年以上前に読んで面白かったという記憶しか残っていなかったっけれど、やはり面白かった。桐野作品でも屈指の人気キャラクター「村野ミロ」のデビュー作です。
    ゴシックミステリーの風合いも有って、気持ちの悪い面白さが好きな人は絶対好きだと思います。

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    2023年03月08日
  • 新装版 天使に見捨てられた夜

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    村野ミロシリーズ2作目。
    前作もそうだけど、新宿2丁目の雰囲気やミロや周りの人達がすごく魅力的に描かれている。
    このシリーズかなり好きかも。

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    2023年02月24日
  • 錆びる心

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     6つのお話、ミステリーというのだろうけど、怪しげな世界観があり、ファンタジー(大人向け?)という感じもする。
    表題となっている『錆びる心』。自分が去ることで、相手に「自分を植え付けたかった」というところ。共感しすぎて、息が詰まりそうだった。

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    2023年02月18日
  • 路上のX

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    主人公の真由は両親の借金逃れ?により叔父の家に預けられたが、そこには居場所がなく渋谷の街に出てバイトをしながら生活をする。 渋谷で身を売るレオナと真由が出会い、暴力や身体を張った危険な行動を描く小説。 最後は真由の両親の真相には親の身勝手さが子供を犠牲にし、その人生を破滅に向かわせるところには胸が痛みます。泣けて来ます。社会問題をリアルに描いた作品で。ものすごくしんどい内容なのですが、グイグイ読まされました。

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    2023年01月14日
  • デンジャラス

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    谷崎潤一郎没後50年・中央公論新社130周年を記念して書かれた、オマージュの内の一冊。
    2017年は本当に豪華な作家達が谷崎へ傑作を寄せていた。

    本書は『細雪』に登場する姉妹の中でも主要人物であった「雪子」のモデルとなりながら、手記や書簡と言った声を残さなかった「重子」に語らせる。
    重子(あくまで本書に登場する彼女の意で)は義兄の芸術に自らが採用された事を生涯、精神の拠り所としていた。
    しかし、その愉悦と義兄に守られた平穏はある日、突然に破られてしまう。
    義理の娘・千萬子の登場である。

    浮世と一線を引く様な姉妹にとって千萬子は新時代の象徴であるのみでなく、芸術のミューズの座を奪う脅威と捉え

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    2023年01月04日
  • 路上のX

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    読んでいる間ずっとヒリヒリとした辛さがある小説だった。親や社会に見捨てられ、搾取する大人に集られながら生きるしかない少女たちの現実を小説に結晶化させている。

    真由やリオナ、ミトを「愚かしい」「少しくらい我慢したらどうだ?」と責めることはとても簡単だ。実際この小説を読んでもその程度の感想しか抱けない大人はゴマンといるだろう。だが、作者の筆はそんな大人こそ愚かで説教したい気持ちを我慢できないだけと巧みに逃げ道を塞いでいるーー「説教しかしない大人より金をくれる男のほうがマシ」とはある人物の言葉だ。何と言っても、彼女たちはまだせいぜい17歳の子どもなのだ。作中彼女らの年齢が何度も具体的に表されるのは

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    2023年01月02日
  • グロテスク 上

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    東電OLモデル人物の心理描写がとにかく圧巻。これが真実だろうと思わずにいられない。周囲の架空人物は邪魔にすら思えたが人物造形もラストも物凄い!桐野ワールド恐るべし。

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    2022年12月20日
  • グロテスク 上

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    主に女性の中に存在する、「他人を攻撃したい気持ち」がとても強い主人公だった。

    実生活で、特に親しい間柄の女友達との会話において「なぜこの人は今私を攻撃するような言葉を使ったのだろう?」と思うことがよくある。反対に、「この人の嫌な部分をこの人に伝えたい」と思った時に、それを察させるようなまわりくどい意地悪を言ってしまうことがある。

    このような意地悪を含んだ会話をしている時、会話と同時並行して、サイレント口喧嘩が行われているようで、私はこの時間がとても嫌いである。そして、それをしてしまうまでの心の動きが細かく描写されており、興味深かった。

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    2022年12月02日
  • 夜の谷を行く

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    ネタバレ

    面白いという表現は違うのかもしれないが、すごく引き込まれてあっという間に読み終わった。

    私はその時代のことも、この事件のことも名前しか知らず、初めて知ることも多かった。

    あの時代変革を掲げて自分たちの子どもさえ新な時代の戦士として育てたいという理由もあって山岳ベースにはいった女性たち。
    その掲げたことさえもどこにいってしまったのか総括の対象になった妊婦の女性の亡くなり方が切なく苦しかった。

    その山岳ベースに入ったうちの1人の女性のその後に焦点をあてたこの物語。

    服役した後待っていたのは両親の死、親戚の絶縁、孤独。唯一妹と姪っ子と関係はあるが、そことも溝はある。終始彼女と関わる人との場面

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    2022年11月28日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    ネタバレ

    今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
    そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
    それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。

    気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる

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    2022年11月14日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    デビュー作であり江戸川乱歩賞受賞作。女性探偵村野ミロシリーズ第一弾。以前父親が新宿で探偵事務所を開いていて、今はそこにミロが住んでいて父親はリタイア、別の場所に住んでいる。親友が4千7百万円と共に蒸発。それを探す羽目になる。
    後半からのスピーディーな展開は面白かった。友人の仇取ってきっちりケジメつけるミロがかっこよすぎる。
    桐野夏生15冊目。やはり「らしさ」があって良かった。

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    2022年11月12日
  • 柔らかな頬 上

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    過去立場展開登場人物の過不足ない見事な描写にロードムービー要素が味付け。多く長い心情描写は桐野節でなければこんな上質作品にまとまらない。そりゃ文句なしに直木賞だ。

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    2022年11月06日