桐野夏生のレビュー一覧

  • 路上のX

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    主人公の真由は両親の借金逃れ?により叔父の家に預けられたが、そこには居場所がなく渋谷の街に出てバイトをしながら生活をする。 渋谷で身を売るレオナと真由が出会い、暴力や身体を張った危険な行動を描く小説。 最後は真由の両親の真相には親の身勝手さが子供を犠牲にし、その人生を破滅に向かわせるところには胸が痛みます。泣けて来ます。社会問題をリアルに描いた作品で。ものすごくしんどい内容なのですが、グイグイ読まされました。

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    2023年01月14日
  • デンジャラス

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    谷崎潤一郎没後50年・中央公論新社130周年を記念して書かれた、オマージュの内の一冊。
    2017年は本当に豪華な作家達が谷崎へ傑作を寄せていた。

    本書は『細雪』に登場する姉妹の中でも主要人物であった「雪子」のモデルとなりながら、手記や書簡と言った声を残さなかった「重子」に語らせる。
    重子(あくまで本書に登場する彼女の意で)は義兄の芸術に自らが採用された事を生涯、精神の拠り所としていた。
    しかし、その愉悦と義兄に守られた平穏はある日、突然に破られてしまう。
    義理の娘・千萬子の登場である。

    浮世と一線を引く様な姉妹にとって千萬子は新時代の象徴であるのみでなく、芸術のミューズの座を奪う脅威と捉え

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    2023年01月04日
  • 路上のX

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    読んでいる間ずっとヒリヒリとした辛さがある小説だった。親や社会に見捨てられ、搾取する大人に集られながら生きるしかない少女たちの現実を小説に結晶化させている。

    真由やリオナ、ミトを「愚かしい」「少しくらい我慢したらどうだ?」と責めることはとても簡単だ。実際この小説を読んでもその程度の感想しか抱けない大人はゴマンといるだろう。だが、作者の筆はそんな大人こそ愚かで説教したい気持ちを我慢できないだけと巧みに逃げ道を塞いでいるーー「説教しかしない大人より金をくれる男のほうがマシ」とはある人物の言葉だ。何と言っても、彼女たちはまだせいぜい17歳の子どもなのだ。作中彼女らの年齢が何度も具体的に表されるのは

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    2023年01月02日
  • グロテスク 上

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    東電OLモデル人物の心理描写がとにかく圧巻。これが真実だろうと思わずにいられない。周囲の架空人物は邪魔にすら思えたが人物造形もラストも物凄い!桐野ワールド恐るべし。

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    2022年12月20日
  • グロテスク 上

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    主に女性の中に存在する、「他人を攻撃したい気持ち」がとても強い主人公だった。

    実生活で、特に親しい間柄の女友達との会話において「なぜこの人は今私を攻撃するような言葉を使ったのだろう?」と思うことがよくある。反対に、「この人の嫌な部分をこの人に伝えたい」と思った時に、それを察させるようなまわりくどい意地悪を言ってしまうことがある。

    このような意地悪を含んだ会話をしている時、会話と同時並行して、サイレント口喧嘩が行われているようで、私はこの時間がとても嫌いである。そして、それをしてしまうまでの心の動きが細かく描写されており、興味深かった。

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    2022年12月02日
  • 夜の谷を行く

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    ネタバレ

    面白いという表現は違うのかもしれないが、すごく引き込まれてあっという間に読み終わった。

    私はその時代のことも、この事件のことも名前しか知らず、初めて知ることも多かった。

    あの時代変革を掲げて自分たちの子どもさえ新な時代の戦士として育てたいという理由もあって山岳ベースにはいった女性たち。
    その掲げたことさえもどこにいってしまったのか総括の対象になった妊婦の女性の亡くなり方が切なく苦しかった。

    その山岳ベースに入ったうちの1人の女性のその後に焦点をあてたこの物語。

    服役した後待っていたのは両親の死、親戚の絶縁、孤独。唯一妹と姪っ子と関係はあるが、そことも溝はある。終始彼女と関わる人との場面

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    2022年11月28日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    ネタバレ

    今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
    そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
    それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。

    気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる

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    2022年11月14日
  • 新装版 顔に降りかかる雨

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    デビュー作であり江戸川乱歩賞受賞作。女性探偵村野ミロシリーズ第一弾。以前父親が新宿で探偵事務所を開いていて、今はそこにミロが住んでいて父親はリタイア、別の場所に住んでいる。親友が4千7百万円と共に蒸発。それを探す羽目になる。
    後半からのスピーディーな展開は面白かった。友人の仇取ってきっちりケジメつけるミロがかっこよすぎる。
    桐野夏生15冊目。やはり「らしさ」があって良かった。

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    2022年11月12日
  • 柔らかな頬 上

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    過去立場展開登場人物の過不足ない見事な描写にロードムービー要素が味付け。多く長い心情描写は桐野節でなければこんな上質作品にまとまらない。そりゃ文句なしに直木賞だ。

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    2022年11月06日
  • 路上のX

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    久々に桐生夏生作品が読みたいと思って
    手に取った本。

    リアルフィクション。
    行き場のない女子高生たちの現実。
    親に捨てられた(そう思っている)女の子たちの現状。
    自分の体をお金に変えるしか生きる術がない彼女たち。

    ずっと苦しい話が続くんだけど
    読む手が止まらなかった。
    それは桐生さんの文才。

    最後の真由の荒れ方が1番苦しかった。
    怒りの裏にあるのは
    どうしようもない寂しさや、苦しさ。
    「落とし前をつけなよ」
    この全てを悟っているリオナのセリフも、
    リオナのこれまでの経験を物語っていて
    切なかった。

    どうしても家庭環境が良くないと
    子どもは荒れる傾向にある。
    だって
    1番身近な大人に傷つ

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    2022年10月10日
  • 夜また夜の深い夜

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    大好きな作家さんの一人です。
    国籍を持たず、母親と逃亡生活を送る日本人の女の子が、知り合った二人の少女と犯罪に手を染めながらも、逞しく生きていくストーリー。
    目の前の相手を簡単に信用せず、“もう一人の自分”の声に耳を傾け、己の道を進んで行く…
    現代の私達も、このようなサバイバル生活に突入しているような気がします。

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    2022年10月08日
  • 柔らかな頬 下

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    ネタバレ


    登場する人物が全員自分のことしか考えていない
    その心理描写がすごい
    生々しくて魅力的でどんどん読んでしまいます
    最後まで救いはありませんでしたが
    だからこそ色々な解釈ができる

    なぜなのか説明はできないけど
    カスミが心の拠り所にしていた
    バスの教会のシーンが好きです

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    2022年09月06日
  • ダーク(下)

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    読み終わった!
    偽造パスポートで韓国にわたってからのミロの暮らし。

    ジンホとこんなにも信頼関係築くとは思ってなかったなぁ。

    ミロがすごく女!って感じした。

    韓国に行ってからもまぁミロは辛い状況に何度も陥って、何だかんだで日本へ戻ることになって
    パクミエの名は使えずに、結局村野ミロに戻ることになったり。

    40歳で死ぬと言ってたのに出産したり。

    人生何が起きるかわかんないよなぁ。

    強烈な怒りと理不尽と、これでもかってくらい負の感情が渦巻いていたけど、ミロには幸せになってほしいなーと願ってしまう。

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    2022年08月28日
  • ダーク(上)

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    村野ミロシリーズ読んでなくていきなりこれから読んだけど、相変わらず救いがないというか、
    どんどん下に落ちていくだけだなぁと。

    光州事件の描写は圧巻すぎてすごい。目を背けたくなるやつ。

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    2022年08月28日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
    ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。

    例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。

    詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対

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    2022年08月01日
  • グロテスク 上

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    【2022年34冊目】
    初っ端から主人公である語り部の"わたし"の癖の強さに慄くんですけど、どんどんと本当に狂っているのは誰か?みたいな流れになってきて最終的には全員が全員狂っているのだろう、みたいなところで上巻が終わります。否、ある側面から見たある人はまともなのかもしれないし、まともとは何か、といった話であるのかもしれません。どうしてこのタイトルなのか、物語の行き着く先はどこなのか、下巻を読むのが楽しみです。

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    2022年07月27日
  • 優しいおとな

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    福祉システムが崩壊した近未来の東京で生きる身寄りのない少年イオンの物語。東京は中流や金持ちが住む世界と、そこからはみ出したまま一生を終えるホームレスの人々が住む世界に分かれており、さらにその地下に陽の目を避けて生きる地下住民たちの世界がある。ホームレスは毎日がサバイバルで、女子供はかたまって派閥のようにして身を守りながら生きている。少年は守られたい気持ちと自由になりたい気持ちの両方を持ち、生き延びつつ成長もしているという、危ういながら伸びやかな存在として描かれている。最期の最後で両親を思う気持ちが切なく、人はみな、愛を注がれて育ちたいものなんだなと思った。いくつになっても、「優しいおとな」を求

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    2022年07月11日
  • 夜の谷を行く

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    連合赤軍事件・・・山岳ベースや裁判ではない、一人の赤軍は女性を「設定」し、細かい細部まで再現ドラマのようにフィクションとして紡ぎ出している。
    ラストの衝撃は見事・・サスペンスとしてよくできている。

    この5年余り、殆ど国内小説を読まなくなった。余りに私小説過ぎたり、メルヘン臭が強かったりすることもあるのだが
    一番は「自分のいる空間」と多少のずれはあるとしても共有する内奥が多すぎて 一体感がありすぎるせいからかも。

    これが欧州なりアメリカなりの作品ならば他岸の火事的に俯瞰感覚で読めるのだが。
    西田啓子と言う女性、近づいてきた古市、かつての男久間、君塚・・闇から立ち上って来た「妊娠の過去」が。。

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    2022年06月18日
  • デンジャラス

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    谷崎潤一郎を細雪の雪子の視点で書いたフィクション。
    細雪を読んでいないと何の話しかはわからない
    だろうと思う
    フィクションとは言っても概ね事実に近いのか
    実在する人物を描いているので
    なるほどデンジャラスなのだな
    不可触の領域に踏み込んでいる

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    2022年06月16日
  • 夜の谷を行く

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    テーマは暗くて陰湿だが、小説ベースで書かれているのでサクサク読めてしまう。怖いもの見たさ知りたさで、子供の頃テレビで観た浅間山荘事件の映像と重なりあい好奇心が止まらない。ああいった学生運動した人って今でも極身近にいるんだろうなぁと考えると何とも複雑な気分。

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    2022年06月12日