桐野夏生のレビュー一覧

  • 玉蘭

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    玉蘭の花が枯れる時、幻の船に乗って失踪した男が現れる-。全てを捨てて上海に留学した有子に会いに来たのは、若き日の大伯父の幽霊。時の流れを越え、孤独を抱えて生きる男と女。

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    2024年01月27日
  • デンジャラス

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    君臨する男。寵愛される女たち。文豪・谷崎潤一郎が築き上げた理想の〈家族帝国〉と、そこで繰り広げられる妖しい四角関係-。桐野夏生が、燃えさかる作家の「業」を描く。

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    2024年01月27日
  • 真珠とダイヤモンド 下

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    福岡の証券会社で新入社員として巡り合った大卒の望月昭平、短大卒の小島佳那、高卒の伊東水矢子がバブル期に株の世界でもがいていく物語。
    プロローグで語られるのは35年後に公園の片隅で出会う佳那と水矢子。
    物語が進むうちにどうしてそんな35年後の姿になるのか想像がつかず、それだけを知りたい気持ちで読み進めた。
    あのバブルが弾けた時期には、大なり小なりこの物語の様な悲劇があちこちで起きていたのでしょう!

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    2024年01月26日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

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    江國香織さんの「夕涼み」と綿谷りささんの「青春リグレット」が読みたくて手に取った。夕涼みは、夫の行動にゾッとしたし、私だったらそんなズレた夫とは一緒にいられないと思った。「逃げたかったわけではない、が、逃げられないと思わされることは恐怖だった。竦むような、恐怖だった。」という言葉に共感。誰かに自分の選択肢を奪われたり、縛られたり、自分で自分を決められないことを、人は恐怖と感じるんだなと思った。そして誰にもその出来事は話せないことも、夫を含む周りにはいつまでも愛し合っている夫婦だと思われていることも、自分だけがこのザワザワした気持ちに気づかないふりをしていればいいんだと感じるのもわかる。老女たち

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    2024年01月21日
  • 奴隷小説

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    7つの短編小説が収められた短編小説集。雑誌掲載の作品を集めたものであるが、発表時期は2006年から2014年の間でばらついている。何かに物理的に捉われていたり、あるいは、支配されている状況を描いた小説ばかりである。「奴隷小説」という短編小説集全体の題名も、そこから来ているのだろう。
    どれも、やり切れなさ、あるいは、自分が実際に同じ状況に置かれたらどうなるだろうという怖さを感じる小説ばかりである。どの小説が最も印象的かというのは、人によって異なるだろうが、私は「告白」という短編小説が最も印象的で、最も怖かった。他の小説も、絶望的な状況に置かれた人たちを主人公にしているが、それでも、場面が展開する

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    2024年01月21日
  • だから荒野

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    一気読みしました。
    家族からいろいろあって、一人で長崎までドライブ?する女性のお話し。
    長崎では、独身老人のお世話をしたり、されたり。
    2人の息子らが、ちょっといい味出してみたり。
    あまり、おすすめできる部分が見えないが、楽しく読めました。

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    2024年01月19日
  • グロテスク 下

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    最後にきた、東電OLのモデルの方の手記が圧巻…
    恐ろしい。
    いや、家族も見過ごすのが、悪いような。
    唯一専務だけが、真正面から向き合ってきたのが、こういう人が出世するのかーと同僚の山本さんという東大卒の女性が仕事にやり甲斐を見出だせす、早々にあまりイケていない(捻くれた和恵から見ると)彼氏と寿退職する辺りだけ共感出来た。

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    2024年01月17日
  • ロンリネス

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    この本の文庫版の解説は、井上荒野が書いているが、井上荒野は、本書の前書の「ハピネス」について、斎藤美奈子が文庫版に書いている解説を引用している。孫引きになるが、引用する。
    【引用】
    「桐野夏生はつまりプチセレブのバイブルである"VERY"の読者に向けて、読者層と重なる女性たちを徹底的に皮肉り、批評した小説をぶつけたのである」
    【引用終わり】
    本書「ロンリネス」も、「ハピネス」と同じく初出は「VERY」連載であり、登場人物も前書から継続しているので、この斎藤美奈子の解説は、この「ロンリネス」にも当てはまるはずだ。
    「VERY」という雑誌を知らなかったので、ネットで調べてみた。

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    2024年01月13日
  • だから荒野

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    ネタバレ

     夫や息子にないがしろにされた中年女が突発的に家出して車で(東京から長崎へ)一人旅に出る、っていう話。

     途中被DV女と知り合って「テルマ&ルイーズ」的な展開になるのかと思いきや、そういう初期作みたいな破天荒な方向へは突っ走らず、最後の最後は何だか気の抜けたようなトホホなオチ(帰宅)に。

     旦那息子をはじめ、登場人物の8割がたが中途半端なクズっぷりを披露。ママ恋しくて長崎までやってくる次男が特に情けなかった (T_T)
     長崎の思想的なボケ老人はスゴかったな(゚д゚)!。「極端な正義は悪魔と見分けがつかない」とか何とか偉い先生が言ってたような気がするけど、まさにそれを体現した感じの御仁。て

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    2023年12月18日
  • だから荒野

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    2023/12/12

    専業主婦として生きてきたら、家族に軽んじられるようになった。
    馬鹿にされて生きていくなら出奔する。

    面白かった。家庭を生き甲斐にしないようにしなきゃ。
    白鳥PAで2時間裸足で待ったあの子の人生も読んでみたい。

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    2023年12月13日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ユーミンの曲からイメージした短編集
    一流の女流作家ばかりなのでどの作品も興味深く面白かったし、贅沢だと思う。
    最後の「春よ来い」が1番印象に残った
    願いごとひとつ叶えられるとしたら、
    自分だったら何にするだろ?
    自分や身内、知り合い以外について願わないといけないという条件がつくと案外難しい。
    でも思いついたらきっとわくわくしそうで楽しい思考だなと思った

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    2023年12月11日
  • 柔らかな頬 下

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    あまりにキツすぎて、なかなか桐野夏生作品は読んでいませんでしたが、直木賞の縛りで読みました。
    かなりきついシチュエーション。自分を見失ってしまうほどの強烈な事が起こりまくって、登場人物を翻弄していきます。
    夢か現実か分からなくなるように作られていて混乱しますが、それも含めた世界観なのでしょう。
    一気に読ませた素晴らしい作品だと思います。

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    2023年12月09日
  • グロテスク 下

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    わたしはあなたたちとは違うー
    世の中の、みんな同じ、という重苦しい圧から抜け出したい。だから最も「ふつう」とは異なる娼婦をする。それは人の頭や心から作り出された空気とは、反対に位置する肉体を通して生きる仕事なのだ。
     だがそれは「ふつう」の世の中からはグロテスクな存在にしか見えない。現実が「生」の世の中だとすれば、その反対は「死」であり、現実を振り切って極端に走ってしまえば、その先には滅亡しか待っていない。

    誰もが空っぽであることに耐え切れず、手ごたえがほしくて体を合わせる。それが性に向かわせる。だが空っぽなのは心の方だから、肉体を触ったところで残るのは虚しさだけになる。お金が喜びになるのは

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    2023年12月08日
  • 真珠とダイヤモンド 上

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    福岡を舞台に、二人の女性の、バブルと崩壊を描いた。

    1986年、証券会社の福岡支店に同期入社した、伊東水矢子と小島佳那。
    佳那は短大卒で、フロントレディ。
    水矢子は高卒で、事務職と、待遇は異なっていた。

    実家が貧しい二人は、お金を貯めて、東京に出てゆくと言う夢を持っていた。

    折しも、バブル期。
    NTT株を政府が放出することが決まった。
    絶対、値上がりすると、世間と証券会社は、浮き足だった。

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    2023年11月30日
  • 真珠とダイヤモンド 上

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    一気に読んでしまった。下巻から読んだから結末は知ってるけど。。
    ギラギラしてるなー。
    下巻だけ読んでると、何でこんな言動なんだと思ってしまったけど、上巻で3人ともお金への執着がすごい事が理解できる。

    やっぱり借りを作るのは良くないな。。

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    2023年11月22日
  • グロテスク 上

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    ネタバレ

    妹のユリコと高校の友達の和恵が娼婦になり殺されるという結末から始まる。
    『わたし』の一人語りで、Q女子高の時代から始まる。
    とにかく怪物級の美しさを持つユリコへの数々のいじわる、和恵が壊れるよう間違ったアドバイスをして様子を見て笑う、『わたし』の腹黒さ、嫌らしさ。
    女子校の内部生、外部生との越えられない壁、努力でもどうにもならない部分を明確にあぶり出している。
    『わたし』、和恵が1961年生まれユリコが1962年生まれなので、時代的に古いが今も昔も大差ないのだと思う。
    下巻に続く…

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    2023年11月13日
  • もっと悪い妻

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    どの短編も、冷笑的でシニカルな作者の目線心地よかった。本人達は真剣で真面目でも、側から見たらみっともなくて笑っちゃうのが人生かもな、などと思わされた。

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    2023年11月06日
  • 真珠とダイヤモンド 下

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    ネタバレ

    本当の意味で弾けてしまうとは…。
    お金の魔力って本当に怖い。煌びやかで派手な遊び、美味しい食べ物、持ち上げてくる周囲の大人、見たことのない世界はそりゃあ楽しい。望月と佳那が根性出して頑張っていたのは虚構じゃないし、若くして死んでしまったのはやるせなかった。清廉潔白ではないけれど、あんな最期を迎える程のことをしたのかな、と思ってしまうよ。分相応ってなんか嫌な言葉でもある。須藤とか山鼻みたいな傲慢な奴が生き残るのかあ。時代に乗って駆け上がりすぎた分、お金=それ以外は無価値、という単純な価値観に浸かりすぎて、思考停止してしまって、札束に酔っていた。
    水矢子に関しては、可哀想としか…最後に求めていた佳

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    2023年11月03日
  • 真珠とダイヤモンド 上

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    バブルと金融業界、未知の世界。自分が生きる福岡と地続きのはずなのに最早ファンタジーである。

    望月が動き始めてからが面白いが、思考行動すべてが場当たり的でハラハラする。「マジか望月…」と心の中で3回は呟いた。博打が当たり続ける望月くん。誠実さが欠片もないので友達にしたくないタイプだが、成り上がって他を見下してやる、という人間臭い欲望を純粋に追い求める姿はなんか羨ましい。緩やかな諦観がずっと流れている現代を生きていると、良くも悪くも熱量がある人間って眩しい。
    稼いだ奴がエライんじゃひれ伏せ!という価値観はシンプルで楽だけど、そこから落ちてしまった時、絶望するのか、笑い飛ばせるのか。でもこんな時代

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    2023年11月02日
  • もっと悪い妻

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    悪い妻
    「子供が生まれてからは、文字通り戦争のような日々を送っているのに、評判だけは反比例してさがってゆく」子育てを経験して、このことがとてもよくわかる気がした。旦那の仲間から悪く言われ、「悪い妻」に仕立てあげられてしまっていて、気の毒。最後が、中途半端な気がしたのが残念。続きがあればいいのにと思った。

    残念
    こちらも、続きがあればいいのに、と思った。

    オールドボーイズ
    亡くなった旦那の上司の奥様が亡くなられ、それについての書いた本を読んで、思い遣りや感慨にふれ、自分は冷たかったと思った亜美。そこからの最後の一文「気に入ってくださった方は、下記に三千円を振込願います」が、最高のオチだと思い

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    2023年10月15日