桐野夏生のレビュー一覧
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幼少期の体験や育ちが与える、その後人生や
性のゆがみをよくよくお調べになられてこの作品を書かれたんだなと、桐野さんの本気を感じました。
さらにその細やかな機微の言語化能力の素晴らしさ。私も凶悪犯罪や少年犯罪について背景を調べたりなどしてなぜこのような事が起きたのかを1人検証していたりするのですが、幸せに愛情いっぱいに育った人は皆無です。どうかこの本は幸せに生きて、
いつも何か犯罪が起きるたび、物騒ねーくらいにしか思わない人にこそ読んでいただきたいし、
お子様がいらっしゃる方にも目を通してほしいと思います。
そして、私も子供がいないので里子を考えたこともありますが、預かったその日から沢山愛情を与 -
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読んだその日は自分が虐待される夢を見たほどに心抉られた。
おそらく精神疾患のあるであろう母親のだらしなさに教養のなさ、男に頼って自分だけ楽に生きていければいい、流され生きてきた様子が本当にリアルな描写で何か自分にも通ずる部分もあると思うと満足に子育てなんてできやしない。
なんでこういう家庭って福祉に頼らないんだろうとふんわり頭の片隅で思っていたことが解説に書かれていて、なるほどなと。そんな親や子供達が埋もれてしまう前に、手を差し伸べれる人間でありたいと感じました。でも里親なんてなれるわけでもない難しい問題のまま結局他人事になるんだろうか。
篤人と鈴木のその後の様子がわからないのがホラー。もうち -
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タワマンを題材にした小説を
タワマン文学と呼ぶらしい。
タワマン✖️ママ友。
格差をテーマにするには
もってこいの題材。
同じタワマンでも
低層階の部屋と高層階の部屋
分譲と賃貸
景色の良し悪し
によって格差が生まれるらしい。
そして、そこに住むママ友とその子どもたちも
暗黙の了解で値踏みされるらしい。
どこの幼稚園に通わせるとか、
保育園はみっともないとか。
ああめんどくさい。
タワマンに賃貸で住む主人公の有紗と、
タワマンの近くに住む洋子。
この2人が最初はママ友としてお互いを
「◯◯(子どもの名前)ママ」というか呼び方から、
それぞれ自身の名前である有紗、洋子と呼び合うよう -
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松任谷由美デビュー50周年を記念して、6人の女性作家さんたちが書き下ろしたユーミン曲がテーマのオリジナル小説集。題名見るだけで惹かれるものがあり、即購入。
収録されている話は以下、
・あの日にかえりたい(小池真理子)
・DESTINY(桐野夏生)
・夕涼み(江國香織)
・青春のリグレット(綿矢りさ)
・冬の終り(柚木麻子)
・春よこい(川上弘美)
いずれの曲も知っていたが、あらためて思ったのは、その曲に対する偶像イメージは『人それぞれ』ということ。特にユーミンなどは僕らの年代は誰もが知っていて、その曲に対する絵が脳裏に自然と浮かぶ。
ただ、それをいざ物語化してみたら、作家が描くストーリーが -
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表題作「もっと悪い妻」をはじめ、計六作の短編を収録。サクッと読み終わるが、それぞれにちょっと毒を感じる桐野スパイスがまぶしてある感じでした。(読者レビューを見る限り、もっと毒が欲しかったという意見が多数です、確かにそうかな)
僕個人の意見ですが、短編集の面白いところは、一冊の本を『ひとつの世界』になぞらえ、短編それぞれの主人公がパラレルに同じ時間にそれぞれの毎日を過ごしていると考えると、まさに世の中ってこんな感じなんだろうなあと、別な楽しみがある。(変でしょうか?)
一つの話の主人公の妻は旦那の行動を訝しみ罠を仕掛け、一つの話の主人公の妻は妥協して結婚をしたことをずっと悔やみ、別の話の主人 -
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桐野夏生『砂に埋もれる犬』朝日文庫。
久し振りの桐野夏生。昨年8月に読んだ『インドラネット』以来であった。
悲惨なまでの虐待と貧困の連鎖と、明確な解の無い結末に読後は陰鬱な気分になった。
明らかに日本は下流社会に成り下がった。非正規労働が当たり前になり、まともな賃金を貰えないままに自らが生きることで精一杯の若者たち。若者たちにとっては、結婚など夢のまた夢。子供を持つなど有り得ないというおかしな社会になってしまった。
9年連続で出生率は低下し、70万人を割るのは時間の問題だ。親の貧困が子供への虐待につながり、さらにはその子供の貧困を生み出すという負の連鎖は続く。
政府が最近打ち出した高 -
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初桐野夏生さん作品。
にんげんはグロテスクな生き物だ、と思う。でもそのグロテスクを裏とすれば、反面美しい表の瞬間だっていくつもあるはず。でもこの小説ではそんな瞬間は一切描かれないので、かなり読むのに困憊した。悪意悪意悪意にまみれながら、それでもこの人たちの結末を知りたいと下巻を読むであろう私もなんだかグロテスクな気がする。
「ミツルはこの学校の中で生まれた突然変異なのです。人並み外れた良心と優しさを持った生物。それはきっと、心の中に人より大きな悪魔がいるからなのです。ミツルの中の悪魔が、良心と優しさを育てたのです。」
「姉は私が化け物だと幼い頃から苛めてきたが、私には美しい外見などどうで -
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ネタバレ話の先が気になり、どんどん読み進めてしまった。真由の気持ちも分からなくもないが、幸恵の気持ちもわかる。高校生の子供が突然1人増える。真由をリオナが見た印象を読むと、こういうタイプの子を歓迎しようとは思わないと思う。全ての原因は両親のせいだと思うが、もっと他に選択肢はあっただろうと登場人物たちへの苛立ちを覚えてしまう部分もあった。ただこれは自分が恵まれた生活を送ってきたから思う感想であって、この世には自分の想像をはるかに超えた苦しい経験をしている人達がいるのだと思うと、とても心にモヤっとしたものが残る。この先真由に少しでも楽しいことや幸せだと感じられる瞬間が訪れて欲しいと思った。
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よくここまで胸糞な人物を、というのとそのクズさ加減に読んで嫌悪を覚えるかもしれない。
人間味っていう甘いも辛いもある味でいうとエグ味。嫉妬という感情から突き動かされるエネルギーは凄まじい。そのエネルギーを仕事に活かしたら、とも思うけどそううまくもいくまい。
これ、程度の差こそあれ、現実に起こっていることなのでは?不倫がーとか、レイプがーとかじゃなくて、形を変えた形でこのやるせなさって日常にひそみ、誰もが皆持ってるものだと思う。それを切り分けて小説という形に落とし込んでエグ味を足して一冊と成す。
この本もおそらく人を選ぶ、人が選ぶのを躊躇う部類だと思う。ただし、本がもたらす人間の在り方につ